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第21章 神の試練と預言者
第950話 神の恩寵とその先の運命と
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骸の戦士にフェスマールを突きつけ、しばらくすると戦士達は道を空ける。
『どうやらこの先に進んで良いそうだ』
「わたしたちもいいのですか?」
『どうやらお前たちは数に入っていないらしい』
そういえば最初、サロールに会ったときもオレの事は『人間』扱いされていなかったな。
この亡霊はあくまでもイル=フェロ信徒を選別するだけの存在なのか?
もっとも部外者だけで訪れたら、その場で八つ裂きにしようと攻撃したかもしれないな。
『奴らはこの先に神がいると言っておるぞ』
「それについてあなたはどう思っているのですか?」
『どうせ我が何を伝えようと、そなたの行動を変える事など出来まい』
フェスマールなりにオレの事を分析し、機嫌を損ねないようにして、約束通りどこかのケルマル神の寺院に持って行くまで『便利な道具』でいることにしたらしい。
そんなわけでオレは改めてサロールに近づいた上で『肉体の治癒』をかける。
これでダメージは全快するはずだ。
サロールは改めて自分の身体を見下ろし、少しばかり困惑した様子で問いかけてくる。
「お前にはこんなことも出来るのか?」
「もちろんです。何度でも出来ますよ」
「分かった……」
またもサロールは顔を赤らめつつ、視線をそらす。
ううむ。あまりこういうやり方は好きではないが、サロールが外部の人間を『堕落した存在』と見下しているのを改めるきっかけになってくれればそれでいいか。
「とにかくオレは偉大なるイル=フェロの神意に触れて、必ずや『偽りの預言者』を打倒してみせるとも」
それだけ言うとサロールは改めて歩き出す。
だがそんなサロールの様子を見ながら、テセルはまたしてもオレに話しかけてくる。
「アルタシャはあの男の思惑通り、物事が進むと思っているのか?」
「そんなことをテセルが気にしているのですか」
テセルがサロールに対し『研究対象』以上の関心を有していたとはちょっと驚きだ。
「当然だろう。アルタシャはあいつの思惑通りに進まなかったら、手助けするに違いないからな」
オレの事を知っていれば、それぐらいは簡単に予想がつくか。
どちらかと言えば『シャンサがイル=フェロ信徒を扇動して、外部への戦いを引き起こすのを止める』のがオレの主目的ではあるけど、そのためにサロールの手助けをする事に変わりは無い。
「テセルもサロールさんの願い通りにはいかないと考えているのですね」
もちろんそれについてはオレだって同意見だ。
そんなに簡単に話が進む方がどうかしている。
「いや。あの男の願いはかなうとは思うぞ」
「え?」
テセルが何を言っているのか、このときのオレは正直、理解出来なかった。
「つまりこの先の聖地にたどり着きイル=フェロ神に対面し、神から力が与えられる可能性は高いということだ」
「そんなに簡単なものなのですか?」
「さほど驚くような事ではないぞ。試練をくぐり抜けて神命を受けたものに特別な力を与えるが、その力をどう使うかはそいつ次第という信仰は決して珍しくはない。一般的に考えうるような善悪の基準を持たない神の場合にはよくあることだな」
「そういう場合、力に溺れて破滅するような神話があるのですね」
言われてみれば元の世界の神話でも、神の与えた恩寵ゆえに破滅する話は幾度か聞いたことがあるな。
それは『たとえ神であっても人間の心はどうしようもない』ので慢心や驕りを戒める話の場合もあれば『神であろうとも=誰であろうとも時として過ちを犯す』という教訓を垂れる場合もあった。
「まあそんなところだ……」
テセルはどこか複雑そうな表情を浮かべている。
もしかすると何か心当たりがあるのだろうか。いや。欲に駆られた神造者がいれば『試練をくぐり抜けて神命を受けたものに与えられる神の恩寵』を自分で独り占めするよう、神話をねじ曲げる事は当然、考えられる話だ。
「もしかすると信仰を捻じ曲げて『神の恩寵』を独占するような神造者もいるのではないですか?」
シャンサが新造者と関わりがあるなら、この先の聖地でイル=フェロ神の力を得ると共に、それを独り占め出来るよう、神話をいじりまわすような真似をしている事は十分に考えられるのだ。
「確かにアルタシャの身体は僕が独り占めするのは当然だな」
「そうですか。ならばテセルにはわたしの拳を独占させてあげてもいいですよ」
オレが拳を固めつつにらみつけると、テセルは小さく肩をすくめる。
「真面目な話をするが、僕ら神造者はこの世界でもっとも効率的で優れた信仰を有しているが、その力を私利私欲のために振るうことは厳に禁じられている」
「禁じられているからと言って、実行しないとは限りません」
サロールの言う『偽りの預言者シャンサ』が外部の人間を敵視する教えを唱えているのは、神造者として不自然という話だった。
だがシャンサが『道を外れ私利私欲に走った神造者』と関わりがあったのなら、他の神造者に手出しされないため、あえてそのような事を信徒に説いている事があり得るのではないだろうか?
『どうやらこの先に進んで良いそうだ』
「わたしたちもいいのですか?」
『どうやらお前たちは数に入っていないらしい』
そういえば最初、サロールに会ったときもオレの事は『人間』扱いされていなかったな。
この亡霊はあくまでもイル=フェロ信徒を選別するだけの存在なのか?
もっとも部外者だけで訪れたら、その場で八つ裂きにしようと攻撃したかもしれないな。
『奴らはこの先に神がいると言っておるぞ』
「それについてあなたはどう思っているのですか?」
『どうせ我が何を伝えようと、そなたの行動を変える事など出来まい』
フェスマールなりにオレの事を分析し、機嫌を損ねないようにして、約束通りどこかのケルマル神の寺院に持って行くまで『便利な道具』でいることにしたらしい。
そんなわけでオレは改めてサロールに近づいた上で『肉体の治癒』をかける。
これでダメージは全快するはずだ。
サロールは改めて自分の身体を見下ろし、少しばかり困惑した様子で問いかけてくる。
「お前にはこんなことも出来るのか?」
「もちろんです。何度でも出来ますよ」
「分かった……」
またもサロールは顔を赤らめつつ、視線をそらす。
ううむ。あまりこういうやり方は好きではないが、サロールが外部の人間を『堕落した存在』と見下しているのを改めるきっかけになってくれればそれでいいか。
「とにかくオレは偉大なるイル=フェロの神意に触れて、必ずや『偽りの預言者』を打倒してみせるとも」
それだけ言うとサロールは改めて歩き出す。
だがそんなサロールの様子を見ながら、テセルはまたしてもオレに話しかけてくる。
「アルタシャはあの男の思惑通り、物事が進むと思っているのか?」
「そんなことをテセルが気にしているのですか」
テセルがサロールに対し『研究対象』以上の関心を有していたとはちょっと驚きだ。
「当然だろう。アルタシャはあいつの思惑通りに進まなかったら、手助けするに違いないからな」
オレの事を知っていれば、それぐらいは簡単に予想がつくか。
どちらかと言えば『シャンサがイル=フェロ信徒を扇動して、外部への戦いを引き起こすのを止める』のがオレの主目的ではあるけど、そのためにサロールの手助けをする事に変わりは無い。
「テセルもサロールさんの願い通りにはいかないと考えているのですね」
もちろんそれについてはオレだって同意見だ。
そんなに簡単に話が進む方がどうかしている。
「いや。あの男の願いはかなうとは思うぞ」
「え?」
テセルが何を言っているのか、このときのオレは正直、理解出来なかった。
「つまりこの先の聖地にたどり着きイル=フェロ神に対面し、神から力が与えられる可能性は高いということだ」
「そんなに簡単なものなのですか?」
「さほど驚くような事ではないぞ。試練をくぐり抜けて神命を受けたものに特別な力を与えるが、その力をどう使うかはそいつ次第という信仰は決して珍しくはない。一般的に考えうるような善悪の基準を持たない神の場合にはよくあることだな」
「そういう場合、力に溺れて破滅するような神話があるのですね」
言われてみれば元の世界の神話でも、神の与えた恩寵ゆえに破滅する話は幾度か聞いたことがあるな。
それは『たとえ神であっても人間の心はどうしようもない』ので慢心や驕りを戒める話の場合もあれば『神であろうとも=誰であろうとも時として過ちを犯す』という教訓を垂れる場合もあった。
「まあそんなところだ……」
テセルはどこか複雑そうな表情を浮かべている。
もしかすると何か心当たりがあるのだろうか。いや。欲に駆られた神造者がいれば『試練をくぐり抜けて神命を受けたものに与えられる神の恩寵』を自分で独り占めするよう、神話をねじ曲げる事は当然、考えられる話だ。
「もしかすると信仰を捻じ曲げて『神の恩寵』を独占するような神造者もいるのではないですか?」
シャンサが新造者と関わりがあるなら、この先の聖地でイル=フェロ神の力を得ると共に、それを独り占め出来るよう、神話をいじりまわすような真似をしている事は十分に考えられるのだ。
「確かにアルタシャの身体は僕が独り占めするのは当然だな」
「そうですか。ならばテセルにはわたしの拳を独占させてあげてもいいですよ」
オレが拳を固めつつにらみつけると、テセルは小さく肩をすくめる。
「真面目な話をするが、僕ら神造者はこの世界でもっとも効率的で優れた信仰を有しているが、その力を私利私欲のために振るうことは厳に禁じられている」
「禁じられているからと言って、実行しないとは限りません」
サロールの言う『偽りの預言者シャンサ』が外部の人間を敵視する教えを唱えているのは、神造者として不自然という話だった。
だがシャンサが『道を外れ私利私欲に走った神造者』と関わりがあったのなら、他の神造者に手出しされないため、あえてそのような事を信徒に説いている事があり得るのではないだろうか?
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