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第23章 女神の聖地にて真相を
第1041話 いろいろと話を聞くと
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見習聖女達の争いはあまり心配すべき事では無いらしいけど、他にもドーマルに聞くべき事は幾つかあるな。
「ところでギルボック島にアルタシャ……様がおられるという話をご存じですか?」
「そりゃいるだろう」
「ええ?!」
ドーマルはそんな大事をあっさりと断言するの?
「アルタシャ様だったらオレの知る限り、港ごとにいるぜ。きっとこの大陸の殆どの港にいるんじゃないかな。もっとも俺は見た事は無いけどな」
「……そういう話ですか」
要するにどこに行ってもその手の噂が流れているから、ドーマルはもういちいち気にもしないと言う事らしい。
つまりこれ以上、尋ねても無駄だな。
それならそれで別の事を聞くとするか。
「ところでこのあたりには海賊も多いのでしょう?」
「ああ。無数の島があって、隠れる入り江も多いからな。なかなか討伐がうまくいかんのだ」
当然ではあるが船員であるドーマルにとって海賊は『アルタシャ』よりもずっと深刻な話題らしい。
「海賊神もたくさんいるのですよね?」
「そうだ。海賊神もいろいろあってな。島の神が海賊の神もかねている事もあれば、島の港に祀られているのもいる、幾つもの島をまたいで縄張りのある神もいる。もちろん海賊同士で縄張りを巡っても戦うが、その時には神様同士でも戦う事も多いらしいぜ」
この世界では神様は自らの権能を通じてしか人間に関われないので、海賊神でも直接、人間と戦う事は出来ないが、神様同士なら喧嘩が出来ると言う事か。
「あと有名なのは――」
ここでドーマルはちょっとばかり言いよどむ。
かなり恐れられている様子だな。
「捕らえた人間を生け贄に捧げる事を要求している神もいるのですよね」
「それは……そうだな。『海の牙』と呼ばれる悪名高い神だ。他の海賊は金さえ渡せば通してくれることが多いが、連中は金よりも生け贄を優先して要求するので特に恐れられているな」
なんだ? ドーマルはオレの指摘とは違う海賊神を思い浮かべていたのかな?
「ただこの船は『海の牙』の縄張りには近づかないから、出会う心配はまずないぜ」
「いまドーマルさんは別の神の事を考えていませんでしたか?」
「ああ……それなんだが……」
「おおい! ドーマル。いつまでサボっていやがる!」
話の途中で別の船員がドーマルを呼ぶ。
「おっとすまん。話はまた後でな。何だったら俺の船室まで夜中に来てくれてもいいぞ。たっぷり可愛がってやるからさ」
こら。その発言はオレの元の世界だったらクビにされかねないセクハラだぞ。
しかしドーマルとの話も途中で終わってしまったし、ここは喧嘩が終わっている事を期待して、見習い聖女の部屋に戻るとするか。
部屋に戻るとやっぱり重苦しい空気が流れているのは変わりない。
さすがに聖女同士、とっくみあいまではしていないが、静かでもかなり激しい口撃が行われている様子だ。
「私はヒクソス王国首都の聖女教会から来ましたが、アルタシャ様は最近ではヒクソス王国とエシュミール王国の戦争を終わらせ、その時には驚くべき事にエシュミール軍のゴーレムを全て止めてしまった程です」
ええ? その話、もうここまで広まっているの?
やっぱりクロン王子が広めているのだろうか?
いや。信徒が欲しいカルマノスの方かもしれないな。
カルマノスにすれば自分がゴーレムを止めたと言っても信じられないだろうけど、オレと一緒だったと言えば通じる可能性が高い。
何よりイロールもいたから、あの女神に神託すればカルマノスがあの場にいて、ゴーレムを止めるのに貢献した事も分かるからな。
あの自称『正統なる皇帝』にすれば、オレのおこぼれでも何でも、自分の存在が維持できる崇拝が得られたらそれでいいというわけだ。
「あのお方を騙る偽者は多くとも、そのような偉大な功業は本物にしか出来ない事は明らかですよね」
「確かに、アルタシャ様の名にふさわしき偉業ですが、それとあなたとどう関係があるのですか?」
「つまりもっとも最近に我が国を訪れて下さったのですから、今はこの私がもっとも近しいと言う事ですよ」
それはちょっと強引過ぎるんじゃ無いか?
もちろん当然のツッコミが入る。
「しかしあなたの寺院を訪問されたワケでは無いのでしょう? それはつまり相手にする価値もない、取るに足らない存在と判断されたからではありませんか?」
いや。そもそも気にもしていなかったというか、もともとオレは必要も無いのに聖女教会を訪れたりしないんだよ。
ここでヴィンガが口を開く。
「フラネス王国では大勢の前に姿を見せて、国王を翻意させたそうですが、そこから来た人がいれば、間違い無く本物のアルタシャ様をその目で見ているはずなのですけどね」
「そこから来たものがいないのだから仕方ありません。そういえば……」
ここで一同はオレに視線を注ぐ。
「先ほどから殆ど何も言いませんが、あなたはどこから来たのです?」
むう。これは困ったな。デタラメを答えても、ネットで検索できる元の世界とは異なり、こっちではそうそう分からない筈だが、細かい事を突っ込まれると途端にボロを出してしまいかねない。
何しろオレは女神の化身にすら何度もなっているけど、聖女教会の教義についてはかじった程度しか知らないのだ。
「どうしたのです? 答えられないのですか?」
オレが返答に窮しているのを見て、連中は意地悪そうに重ねて問いかけてくるが、ここで思わぬ事態が起きる事になる。
「ところでギルボック島にアルタシャ……様がおられるという話をご存じですか?」
「そりゃいるだろう」
「ええ?!」
ドーマルはそんな大事をあっさりと断言するの?
「アルタシャ様だったらオレの知る限り、港ごとにいるぜ。きっとこの大陸の殆どの港にいるんじゃないかな。もっとも俺は見た事は無いけどな」
「……そういう話ですか」
要するにどこに行ってもその手の噂が流れているから、ドーマルはもういちいち気にもしないと言う事らしい。
つまりこれ以上、尋ねても無駄だな。
それならそれで別の事を聞くとするか。
「ところでこのあたりには海賊も多いのでしょう?」
「ああ。無数の島があって、隠れる入り江も多いからな。なかなか討伐がうまくいかんのだ」
当然ではあるが船員であるドーマルにとって海賊は『アルタシャ』よりもずっと深刻な話題らしい。
「海賊神もたくさんいるのですよね?」
「そうだ。海賊神もいろいろあってな。島の神が海賊の神もかねている事もあれば、島の港に祀られているのもいる、幾つもの島をまたいで縄張りのある神もいる。もちろん海賊同士で縄張りを巡っても戦うが、その時には神様同士でも戦う事も多いらしいぜ」
この世界では神様は自らの権能を通じてしか人間に関われないので、海賊神でも直接、人間と戦う事は出来ないが、神様同士なら喧嘩が出来ると言う事か。
「あと有名なのは――」
ここでドーマルはちょっとばかり言いよどむ。
かなり恐れられている様子だな。
「捕らえた人間を生け贄に捧げる事を要求している神もいるのですよね」
「それは……そうだな。『海の牙』と呼ばれる悪名高い神だ。他の海賊は金さえ渡せば通してくれることが多いが、連中は金よりも生け贄を優先して要求するので特に恐れられているな」
なんだ? ドーマルはオレの指摘とは違う海賊神を思い浮かべていたのかな?
「ただこの船は『海の牙』の縄張りには近づかないから、出会う心配はまずないぜ」
「いまドーマルさんは別の神の事を考えていませんでしたか?」
「ああ……それなんだが……」
「おおい! ドーマル。いつまでサボっていやがる!」
話の途中で別の船員がドーマルを呼ぶ。
「おっとすまん。話はまた後でな。何だったら俺の船室まで夜中に来てくれてもいいぞ。たっぷり可愛がってやるからさ」
こら。その発言はオレの元の世界だったらクビにされかねないセクハラだぞ。
しかしドーマルとの話も途中で終わってしまったし、ここは喧嘩が終わっている事を期待して、見習い聖女の部屋に戻るとするか。
部屋に戻るとやっぱり重苦しい空気が流れているのは変わりない。
さすがに聖女同士、とっくみあいまではしていないが、静かでもかなり激しい口撃が行われている様子だ。
「私はヒクソス王国首都の聖女教会から来ましたが、アルタシャ様は最近ではヒクソス王国とエシュミール王国の戦争を終わらせ、その時には驚くべき事にエシュミール軍のゴーレムを全て止めてしまった程です」
ええ? その話、もうここまで広まっているの?
やっぱりクロン王子が広めているのだろうか?
いや。信徒が欲しいカルマノスの方かもしれないな。
カルマノスにすれば自分がゴーレムを止めたと言っても信じられないだろうけど、オレと一緒だったと言えば通じる可能性が高い。
何よりイロールもいたから、あの女神に神託すればカルマノスがあの場にいて、ゴーレムを止めるのに貢献した事も分かるからな。
あの自称『正統なる皇帝』にすれば、オレのおこぼれでも何でも、自分の存在が維持できる崇拝が得られたらそれでいいというわけだ。
「あのお方を騙る偽者は多くとも、そのような偉大な功業は本物にしか出来ない事は明らかですよね」
「確かに、アルタシャ様の名にふさわしき偉業ですが、それとあなたとどう関係があるのですか?」
「つまりもっとも最近に我が国を訪れて下さったのですから、今はこの私がもっとも近しいと言う事ですよ」
それはちょっと強引過ぎるんじゃ無いか?
もちろん当然のツッコミが入る。
「しかしあなたの寺院を訪問されたワケでは無いのでしょう? それはつまり相手にする価値もない、取るに足らない存在と判断されたからではありませんか?」
いや。そもそも気にもしていなかったというか、もともとオレは必要も無いのに聖女教会を訪れたりしないんだよ。
ここでヴィンガが口を開く。
「フラネス王国では大勢の前に姿を見せて、国王を翻意させたそうですが、そこから来た人がいれば、間違い無く本物のアルタシャ様をその目で見ているはずなのですけどね」
「そこから来たものがいないのだから仕方ありません。そういえば……」
ここで一同はオレに視線を注ぐ。
「先ほどから殆ど何も言いませんが、あなたはどこから来たのです?」
むう。これは困ったな。デタラメを答えても、ネットで検索できる元の世界とは異なり、こっちではそうそう分からない筈だが、細かい事を突っ込まれると途端にボロを出してしまいかねない。
何しろオレは女神の化身にすら何度もなっているけど、聖女教会の教義についてはかじった程度しか知らないのだ。
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