異世界転移したら女神の化身にされてしまったので、世界を回って伝説を残します

高崎三吉

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第23章 女神の聖地にて真相を

第1068話 ようやく聖地ギルボック島にたどり着き

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 サリリゴール島から数日の船旅は順調に進んだ。オレとしては少しばかり意外なほどだ。
 いや。むしろ普通の基準で言えば途中が波瀾万丈だっただけなのだが、それでも文字通りオレにとっては『嵐の前の静けさ』にしか思えなかった。

「ほうら。坊主。あれがギルボック島だぜ」

 船員の一人がオレに向けて話しかけてくる。
 あんまり細かいことは気にしない人らしく、男装してフードを被っているオレの性別にも気付いていないらしい。
 それはともかくギルボック島の港はこの世界の基準ではかなり大きなものだが、遠目に目を引くのは、海から見える建物の多くが白く塗られていることだ。
 これも間違い無く聖女教会の意向だろう。
 イロールが『白き貴婦人』と呼ばれ、聖女も殆どが白無垢の格好をしている事から分かるように、聖女教会を象徴する色は白なのだ。
 入港して周囲を見ると、もちろん港には活気はあるが、それでも他の場所と比べると全てが粛々と静かに動いているかのような印象がある。

 抑圧されて人々が黙らされているとか、そういう陰鬱な空気があるわけではないが、全体として大人しく控えめに感じられるのだ。
 街の建物もほとんどが一定の規格に基づいて建てられているらしく、この世界にしては非常に統一性が高く見える。
 ただ港の一角にある埋立地だけは別格で、いろいろとカラフルで異国情緒が漂っているらしいが、恐らく聖女教会として排除も出来ないが、聖地に入ると秩序を乱しかねない相手を隔離している『出島』なのは間違い無い。
 よくよく見ると、中には神造者の象徴である八角形オクタゴンもあるので、ここにまで連中は進出しているのだな。

 あと港の一角にはオレが女海賊団に同行した時に別れた『癒しの風』号が停泊している。
 無事にこのギルボック島に到着したようで何よりだ。
 ドーマルやヴィンガも元気ならばいいのだがな。
 もっともあの二人は別れ際にオレの正体を勘づいただろうし、間違いなくその事はこのギルボック島の聖女教会に伝わっているはず。
 それをここの聖女教会が信じるかどうかはともかく、イロールが神託を下している可能性も否定できない。
 小さなやしろ程度ならば、オレを害するような事はしないだろうけど、このギルボック島は島そのものが世界有数の聖女教会の根拠地なのだ。

 オレを拘束しようとする場合も十分にありうるし、下手をすれば命を狙われる場合だって絶無とは言い切れない。
 元の世界の宗教の権威も暗殺されることもあるれば、それが疑われる不審死も数多いと聞いている。
 このギルボック島でもオレを目障りだと思う人間もいれば、危害を加えて責任者を失脚させようとか考える人間だっていてもおかしくはない。
 また聖女教会の組織に属さないオレの行動が、教会にとっては目障りな一面は間違いなくある。
オレが『治癒の女神イロールの化身』として活動している事で、聖女教会は間違いなく利益を得ているはずだが、それと共にいろいろ問題も発生しているそうだ。

 ミツリーンから聞いたところによればオレの偽者に騙された人間達から、聖女教会に抗議が殺到しているらしい。
 もちろんオレの方が聖女教会に配慮してやる筋合いなど微塵も無いのだが、相手にすればそんなオレを捕まえて軟禁し、勝手な行動が出来ないようにしようと考える事は十分にあり得る。
 そんなわけでギルボック島での行動は慎重にならざるを得ない。
 当面の目的は、ソルフ神から聞いた『一千年前に男が女になった』という話しの真実を探る事であり、またこの島を聖地として開闢した『最初の選ばれしもの』についても調べてみたいところである。

 もちろんオレが自ら名乗りを上げ、衆目の前でイロールの化身にでもなって見せれば、異論を挟めるものなどいないはず。
 それで会衆を煽って、聖女教会に圧力をかけるという手段もあるが、それはそれでオレを都合よく利用しようとする相手が出てくるのは確実だし、群衆が暴走して収拾がつかなくなる危険性もある。
 絶対に避けねばならないというわけではないが、今のところオレの存在をおおっぴらにする気はない。
 常識的に考えれば、この地を支配する聖女教会の目をくぐって、コッソリ活動していても一千年前の真相にたどり着けるはずがない――それが普通の人間ならば。
 そのような過去の重大な真相が秘められた場所には、通常は霊体が宿っていてオレはそいつらに接触出来るのだ。
 縁もゆかりもない相手ならば重要な情報をそうそう漏らす事はないだろうけど、オレは何しろこの島の『ご本尊』とは切っても切れない関係だ――自分でもどう表現していいのかは分からないけどな。
 いずれにしてもイロールに関係があるなら、決してオレの頼みを問答無用には断れないはずだ。
 もちろん人間を簡単に信じるわけにはいかないのと同様、その手の相手も言うことを鵜呑みにするのは禁物だが、少なくとも世俗とは関係ない彼らはそちらのしがらみを心配はしなくていいだろう。
 とにかく幾つかの選択肢がある中で、オレとしてはもっとも穏便で騒ぎにならない方策を選ぶつもりなのだが、実際にそんな事になった試しがないのが運命というものなのだけどな。
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