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第23章 女神の聖地にて真相を
第1081話 『望んでいなかった来客』とは
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寺院に近づいたところでオレは違和感を抱く。
何かがおかしい。そうだ。子供達の騒ぐ声が聞こえないのだ。
その上でよくよく見ると寺院の正面に馬車が止められている。
かなり立派なものだから、相当に裕福な客だろう。
「おや。こんなところに馬車でお越しのお客様とは珍しいですね。もしかすると重病人かもしれません。急ぎましょう」
クレアも馬車には気づいた様子だが、さすがに何か問題があるとまでは思っていないようだ。
だがオレはいったいどうすべきだろうか?
大勢の相手がこちらを待ち伏せているとか、そんな気配もない。
幾ら何でも寺院の中が流血の惨事という事もありえまい。
仮にオレを追ってきた相手がいたとして考えられるのはミツリーンあたりだろうか?
いや。いくらあの男でも、オレがここにいるに気付いて追いかけてくるなど不可能だろう――もしもそんな事が出来るのなら、あのミツリーンこそどこかの神の化身か何かだ。
とりあえず警戒をしつつ近づくとしよう。
教会の扉に近づくとヴィンガが扉を開けて中から出てきたが、その表情はどこか思い詰めたものだった。
それは待っているあいだに孤児達に振り回されて憔悴したとか、そういうものではない。
ただ何かを恐れているわけでもなく、脅迫されているとかその類いでもないようだ。
「あの……アルタシャ様」
「いったいどうしました?」
クレアもヴィンガの様子が普通で無いことに気付いたようだ。いや。さすがに孤児達も黙っている事を異様に思ったのかもしれないな。
「お客様です……」
深刻そうな表情でヴィンガが伝えるとなるとその客は何者か?
思い当たる相手は大勢いるが、この場合にもっとも考えられるのは――
「聖女教会からの客ですね」
もしも『最初の選ばれし者』がこの温泉の事を覚えていれば、オレがここで精霊と接触した事で何らかの影響があったのかもしれない。
いや。それでは幾ら何でも早すぎる。
「おお。やはり使者の方がお越しですか。随分とお急ぎのようですね」
クレアは嬉しげな様子だが、それでオレにも事情の見当はついた。
「あのう……もしかしてクレアさんは今日の事を――」
「もともとヴィンガさんが来られたら連絡を入れる事になっていましたが、その時にもちろんアルタシャ様の事もお伝えしておきました」
やっぱりそうか!
同じ神を崇拝する寺院同士はある程度、魔法で連絡が取れるがクレアがオレの事を報告していたのだな。
もちろんそのような連絡は魔力を消費する――並みの聖女ではそうそう簡単にできることでは無い――のだけど、今回はたまたまヴィンガが着任したら報告する準備をしていたので、その時についでにオレの事も伝えていたのだ。
「この度の温泉の復活もアルタシャ様の功績でございます。私は喜んで証人となりましょう。教会の方で正式に『奇跡』と認定されるのもすぐでしょう」
そう言ってクレアはウキウキと中に入っていく。
どうやら彼女は自分が『伝説の生き証人』になった事が本当に嬉しいらしい。
まあこの村に着任してから二十年もの間、地道に活動を続け、地元の住民からは深く感謝されている事に対し、特に不満はなかったのだろけど、それでも思い寄らぬ刺激的な出来事が起きたことで興奮を禁じ得ないのだろうな。
「どうされました? 早くお入りください」
満面の笑顔を見せているクレアに対し、ヴィンガは申し訳なさそうな表情を浮かべつつ耳打ちしてくる。
「申し訳ありません。あたしが着任したらクレア様が連絡を入れるだろう事をすっかり忘れていました」
まあ見習いのヴィンガにはそこまで思い浮かばなくとも仕方ない。言ってはなんだが元から頼りにしていたわけではないので、彼女を責める気にはなれないな。
「どうされますか?」
「とりあえずその使者の人にあって話を聞きましょう」
いくら司祭であるクレアが報告したとしても、聖女教会がいきなり『本物のアルタシャ』だと信じたとは思えない。
その手のニセモノの報告など聖女教会にはごまんと押し寄せているはずだからな。
だからまずはオレが本物かどうか確認するため、近くのもっと大きな寺院に連絡を入れ、急いで使者を送り込んできたのは間違いないな。
ただオレがニセモノだったら力づくで捕らえるための人手もいるだろうけど、それならせいぜい二、三人だろう。
実際、馬車は結構大きなものだけど、乗れるのは数人ぐらいのものだ。
もしも身柄を拘束しようとしてきても、切り抜けるのは簡単なことである。
そんなわけでオレは嬉しげなクレアと緊張したヴィンガとともに、聖堂へと向かう。
そこにいたのは四人。
とりあえず真っ先に暴力的活動を抑止する『調和』をかけておく事にする。少なくともこれでいきなり身柄を押さえ込まれる心配はなくなった。
改めて確認すると二人は屈強そうな男だが、残りの二人は白無垢姿の聖女だった。
間違いなくクレアと同様、相手の有する魔力を感知する能力があるだろう。
それは入ってきたオレを見て、二人が揃って驚愕の表情を浮かべた事から明らかだった。
どうやら今度こそギルボック島の聖女教会にオレが上陸した事が明らかになってしまったようだな。
もちろんいずれは明らかになることであって、遅いか早いかの違いでしかなかったけど、こうなればもうオレとしても覚悟を固めるしか無いな。
何かがおかしい。そうだ。子供達の騒ぐ声が聞こえないのだ。
その上でよくよく見ると寺院の正面に馬車が止められている。
かなり立派なものだから、相当に裕福な客だろう。
「おや。こんなところに馬車でお越しのお客様とは珍しいですね。もしかすると重病人かもしれません。急ぎましょう」
クレアも馬車には気づいた様子だが、さすがに何か問題があるとまでは思っていないようだ。
だがオレはいったいどうすべきだろうか?
大勢の相手がこちらを待ち伏せているとか、そんな気配もない。
幾ら何でも寺院の中が流血の惨事という事もありえまい。
仮にオレを追ってきた相手がいたとして考えられるのはミツリーンあたりだろうか?
いや。いくらあの男でも、オレがここにいるに気付いて追いかけてくるなど不可能だろう――もしもそんな事が出来るのなら、あのミツリーンこそどこかの神の化身か何かだ。
とりあえず警戒をしつつ近づくとしよう。
教会の扉に近づくとヴィンガが扉を開けて中から出てきたが、その表情はどこか思い詰めたものだった。
それは待っているあいだに孤児達に振り回されて憔悴したとか、そういうものではない。
ただ何かを恐れているわけでもなく、脅迫されているとかその類いでもないようだ。
「あの……アルタシャ様」
「いったいどうしました?」
クレアもヴィンガの様子が普通で無いことに気付いたようだ。いや。さすがに孤児達も黙っている事を異様に思ったのかもしれないな。
「お客様です……」
深刻そうな表情でヴィンガが伝えるとなるとその客は何者か?
思い当たる相手は大勢いるが、この場合にもっとも考えられるのは――
「聖女教会からの客ですね」
もしも『最初の選ばれし者』がこの温泉の事を覚えていれば、オレがここで精霊と接触した事で何らかの影響があったのかもしれない。
いや。それでは幾ら何でも早すぎる。
「おお。やはり使者の方がお越しですか。随分とお急ぎのようですね」
クレアは嬉しげな様子だが、それでオレにも事情の見当はついた。
「あのう……もしかしてクレアさんは今日の事を――」
「もともとヴィンガさんが来られたら連絡を入れる事になっていましたが、その時にもちろんアルタシャ様の事もお伝えしておきました」
やっぱりそうか!
同じ神を崇拝する寺院同士はある程度、魔法で連絡が取れるがクレアがオレの事を報告していたのだな。
もちろんそのような連絡は魔力を消費する――並みの聖女ではそうそう簡単にできることでは無い――のだけど、今回はたまたまヴィンガが着任したら報告する準備をしていたので、その時についでにオレの事も伝えていたのだ。
「この度の温泉の復活もアルタシャ様の功績でございます。私は喜んで証人となりましょう。教会の方で正式に『奇跡』と認定されるのもすぐでしょう」
そう言ってクレアはウキウキと中に入っていく。
どうやら彼女は自分が『伝説の生き証人』になった事が本当に嬉しいらしい。
まあこの村に着任してから二十年もの間、地道に活動を続け、地元の住民からは深く感謝されている事に対し、特に不満はなかったのだろけど、それでも思い寄らぬ刺激的な出来事が起きたことで興奮を禁じ得ないのだろうな。
「どうされました? 早くお入りください」
満面の笑顔を見せているクレアに対し、ヴィンガは申し訳なさそうな表情を浮かべつつ耳打ちしてくる。
「申し訳ありません。あたしが着任したらクレア様が連絡を入れるだろう事をすっかり忘れていました」
まあ見習いのヴィンガにはそこまで思い浮かばなくとも仕方ない。言ってはなんだが元から頼りにしていたわけではないので、彼女を責める気にはなれないな。
「どうされますか?」
「とりあえずその使者の人にあって話を聞きましょう」
いくら司祭であるクレアが報告したとしても、聖女教会がいきなり『本物のアルタシャ』だと信じたとは思えない。
その手のニセモノの報告など聖女教会にはごまんと押し寄せているはずだからな。
だからまずはオレが本物かどうか確認するため、近くのもっと大きな寺院に連絡を入れ、急いで使者を送り込んできたのは間違いないな。
ただオレがニセモノだったら力づくで捕らえるための人手もいるだろうけど、それならせいぜい二、三人だろう。
実際、馬車は結構大きなものだけど、乗れるのは数人ぐらいのものだ。
もしも身柄を拘束しようとしてきても、切り抜けるのは簡単なことである。
そんなわけでオレは嬉しげなクレアと緊張したヴィンガとともに、聖堂へと向かう。
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間違いなくクレアと同様、相手の有する魔力を感知する能力があるだろう。
それは入ってきたオレを見て、二人が揃って驚愕の表情を浮かべた事から明らかだった。
どうやら今度こそギルボック島の聖女教会にオレが上陸した事が明らかになってしまったようだな。
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