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第24章 全てはアルタシャのために?
第1131話 自称『婚約者』の役得?
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地下道の出口まではすぐだった。
敵対的な霊体が待ち構えていたり、魔法が仕掛けられていたりする事も無く、罠の類いも見当たらない様子だ。
オントールの亡霊に出会った事は想定外だったけど、ここまでは怖いぐらいに順調だな。
だがここで安心していたらどんな厄介事が起きるか分かったものではない。
「それでは私が開けますよ」
登ったミツリーンが出口の戸に力を込めると――ビクともしなかった。
「く……これは……」
「何だよ。ダメなのか?」
テセルが文句を言うと、ミツリーンはにらみ返す。
「そう言うならお前がどうにかしろ」
「僕は頭脳労働専門なんだ。もちろんギャラは僕の方が高くて当然だけどな」
いったい何の話だ?
「どうやらこの上に何か置かれていて、扉が開かない様子です」
そういえばウァリウスが地下道を使おうとした時も、寝台を動かしていたな。
あの部屋がどうなったのかは分からないが、もしかすると物置にでも鳴っているのかもしれない。
そうすると――
「分かった。僕がやるよ」
「ダメですよ」
イオが身を乗り出してきたが、もちろん止めねばなるまい。
ドラゴンの力をもってすれば上に何が積んであろうが、吹っ飛ばすのは造作も無いだろうが、そんな事をされては後宮どころか宮城の方にまで破壊音が轟く事になる。
あっという間に兵士が群れと押し寄せて、イオと一大決戦という羽目になる。
オレはまだしもマルキウス達が危険だし、どうなろうと多大な犠牲は避けられない。
「ここは私がどうにかしましょう」
「どうされるおつもりですか?」
「大地の精霊にお願いします。皆さんは下がっていて下さい」
オレは『精霊使い』の魔法で大地の精霊を呼び出す。
しばらくして地下道の壁が脈打ち始める。
どうやら大地の精霊が集まってきたらしい。
もちろんあまり大ごとにはしたくないので、ここは一時的に穴を開けてもらうぐらいにしておこう――それでも慎重に進めないといけないが。
しばらくして精霊が掘り進んだ道の先に光が見えてきた。
大地の精霊にとって土に触れているものは一目瞭然だから、何も塞いでいないところに道をもうけるのは造作も無いのだ。
「わたしが先に行きますので、皆さんは後からついてきて下さい」
「それは危険ではありませんか?」
「どうせ僕たちが先に行っても何も出来ないだろう。ここは黙って『僕のアルタシャ』を信じるべきだ」
心配げなミツリーンに対し、テセルは相変わらず図々しい事を口にする。
取りあえず先に登り、周囲を見回したところ思った通り、オレがファーストキスを奪われた『ユリフィラスの部屋』だった。
別に物置にされていたわけではないが、脱出路の上には埃にまみれた寝床が置かれていて、がっちりと蓋をしている。
今のところは誰かに見つかっている様子もないようで、周囲は静かなものだ。
「それではなるだけ静かに上がってきて……」
穴の方に声をかけようとしたところ、どういうわけかテセルがすぐ下にいて嬉しげな表情を浮かべていた。
「いやあ。素晴らしい眼福だったよ」
どういう意味だ? と思った瞬間、オレの『自称婚約者』が何をやらかしたのかはすぐに見当がついた。
この野郎! オレが上に向かう道を登っている時に、下から覗いてやがったのか!
「どうかしたのかい? 僕は婚約者なのだから、どこをどれだけ見ようがアルタシャが気にする事はないだろう」
「貴様! なんという破廉恥な真似を! アルタシャ様を先に送り出したのもそれが理由か?」
ミツリーンが下から声をあげるが、これ以上、騒いだらこっそりと潜入しているのが台無しになりかねない。
ここはぐっとこらえるしかないのだ。
テセルはそれを分かっていてやったとしたら、相変わらずとんでもないセクハラ野郎だ。
「ミツリーンさん。今は我慢して下さい」
「ぐ……ぐぐ……」
「ははは。まあ当然だろうな。お前と僕とではアルタシャとの絆が違うのだ」
ミツリーンが引き下がったところで、テセルが下からガン見する視線は変わらない。
オレがかばったのを、激しく勘違いしているのか、それとも故意にねじ曲げているのか。
それなら大地の精霊に頼んで、首から下まで埋めてやろうかという気にもなる。
「もう急いで登って来て下さい。これ以上、調子に乗っているとそれが『この世で最後に見た光景』になるかもしれませんよ」
「それは困るな。僕はアルタシャの全てをこの目に焼き付けたいのであって、これだけではまだまだ足りないよ」
「前にも言った覚えがありますけど、テセルには品性が足りないと思うのですけどね」
一瞬だがのぞき込むテセルの顔面を蹴りつけてやろうかと思ったぐらいだ。
こんなところで無駄に自制心を消耗させられるとは、本当にコイツはどこまでも空気の読めない男ではあるな。
しかしコイツに頼らねばならない面もあるのは不本意な事実であり、なんだかんだ言いながらも友人の一人でもあるわけだ。
まあミツリーンのように殆ど『崇拝』されるよりはまだマシの気もするし、こうやって付き合って行くしかないのだなあ。
敵対的な霊体が待ち構えていたり、魔法が仕掛けられていたりする事も無く、罠の類いも見当たらない様子だ。
オントールの亡霊に出会った事は想定外だったけど、ここまでは怖いぐらいに順調だな。
だがここで安心していたらどんな厄介事が起きるか分かったものではない。
「それでは私が開けますよ」
登ったミツリーンが出口の戸に力を込めると――ビクともしなかった。
「く……これは……」
「何だよ。ダメなのか?」
テセルが文句を言うと、ミツリーンはにらみ返す。
「そう言うならお前がどうにかしろ」
「僕は頭脳労働専門なんだ。もちろんギャラは僕の方が高くて当然だけどな」
いったい何の話だ?
「どうやらこの上に何か置かれていて、扉が開かない様子です」
そういえばウァリウスが地下道を使おうとした時も、寝台を動かしていたな。
あの部屋がどうなったのかは分からないが、もしかすると物置にでも鳴っているのかもしれない。
そうすると――
「分かった。僕がやるよ」
「ダメですよ」
イオが身を乗り出してきたが、もちろん止めねばなるまい。
ドラゴンの力をもってすれば上に何が積んであろうが、吹っ飛ばすのは造作も無いだろうが、そんな事をされては後宮どころか宮城の方にまで破壊音が轟く事になる。
あっという間に兵士が群れと押し寄せて、イオと一大決戦という羽目になる。
オレはまだしもマルキウス達が危険だし、どうなろうと多大な犠牲は避けられない。
「ここは私がどうにかしましょう」
「どうされるおつもりですか?」
「大地の精霊にお願いします。皆さんは下がっていて下さい」
オレは『精霊使い』の魔法で大地の精霊を呼び出す。
しばらくして地下道の壁が脈打ち始める。
どうやら大地の精霊が集まってきたらしい。
もちろんあまり大ごとにはしたくないので、ここは一時的に穴を開けてもらうぐらいにしておこう――それでも慎重に進めないといけないが。
しばらくして精霊が掘り進んだ道の先に光が見えてきた。
大地の精霊にとって土に触れているものは一目瞭然だから、何も塞いでいないところに道をもうけるのは造作も無いのだ。
「わたしが先に行きますので、皆さんは後からついてきて下さい」
「それは危険ではありませんか?」
「どうせ僕たちが先に行っても何も出来ないだろう。ここは黙って『僕のアルタシャ』を信じるべきだ」
心配げなミツリーンに対し、テセルは相変わらず図々しい事を口にする。
取りあえず先に登り、周囲を見回したところ思った通り、オレがファーストキスを奪われた『ユリフィラスの部屋』だった。
別に物置にされていたわけではないが、脱出路の上には埃にまみれた寝床が置かれていて、がっちりと蓋をしている。
今のところは誰かに見つかっている様子もないようで、周囲は静かなものだ。
「それではなるだけ静かに上がってきて……」
穴の方に声をかけようとしたところ、どういうわけかテセルがすぐ下にいて嬉しげな表情を浮かべていた。
「いやあ。素晴らしい眼福だったよ」
どういう意味だ? と思った瞬間、オレの『自称婚約者』が何をやらかしたのかはすぐに見当がついた。
この野郎! オレが上に向かう道を登っている時に、下から覗いてやがったのか!
「どうかしたのかい? 僕は婚約者なのだから、どこをどれだけ見ようがアルタシャが気にする事はないだろう」
「貴様! なんという破廉恥な真似を! アルタシャ様を先に送り出したのもそれが理由か?」
ミツリーンが下から声をあげるが、これ以上、騒いだらこっそりと潜入しているのが台無しになりかねない。
ここはぐっとこらえるしかないのだ。
テセルはそれを分かっていてやったとしたら、相変わらずとんでもないセクハラ野郎だ。
「ミツリーンさん。今は我慢して下さい」
「ぐ……ぐぐ……」
「ははは。まあ当然だろうな。お前と僕とではアルタシャとの絆が違うのだ」
ミツリーンが引き下がったところで、テセルが下からガン見する視線は変わらない。
オレがかばったのを、激しく勘違いしているのか、それとも故意にねじ曲げているのか。
それなら大地の精霊に頼んで、首から下まで埋めてやろうかという気にもなる。
「もう急いで登って来て下さい。これ以上、調子に乗っているとそれが『この世で最後に見た光景』になるかもしれませんよ」
「それは困るな。僕はアルタシャの全てをこの目に焼き付けたいのであって、これだけではまだまだ足りないよ」
「前にも言った覚えがありますけど、テセルには品性が足りないと思うのですけどね」
一瞬だがのぞき込むテセルの顔面を蹴りつけてやろうかと思ったぐらいだ。
こんなところで無駄に自制心を消耗させられるとは、本当にコイツはどこまでも空気の読めない男ではあるな。
しかしコイツに頼らねばならない面もあるのは不本意な事実であり、なんだかんだ言いながらも友人の一人でもあるわけだ。
まあミツリーンのように殆ど『崇拝』されるよりはまだマシの気もするし、こうやって付き合って行くしかないのだなあ。
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