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第24章 全てはアルタシャのために?
第1139話 化身は消えて疑惑は残り
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本物であるオレに出会った結果として、消え去ろうとする『アルタシャの化身』は寂しげな様子を見せているが、原因となったはずのオレに対しては何ら感情を示そうとしない。
やはり『自分の意志』があるのではなく、創造者に命じられた通りに行動しているのか?
「死ねえ! お前さえいなければ、愛しき我が女神は――」
「その痴れ者を止めよ!」
宰相は短剣を手に殺意全開で迫ってくるが、ウァリウスの命令を受けた兵士によって拘束される。
「うああ! 離せぇ! あいつさえ、あいつさえいなければ!」
皇帝の事などもうどうでもいいと言わんばかりに、宰相は叫び暴れ回る。
だがそうしている間にも化身の存在はますます薄まり、消えていく。
『宰相様。ありがとう……わたしはあなたに出会えて幸せでした……』
化身がオレの前で発した最初で最後の言葉は、それが終わると同時に全てが消え去って後には本当に何も残らなかった。
まるでオレと同じ顔の美女など、最初からいなかったかのように思える光景だった。
「あああ!」
化身が消滅した瞬間、宰相は床に倒れ伏し、当たりをはばからず泣き叫ぶ。
「これが……あの宰相閣下なのか……」
紫宸殿に入り込んだ貴族や兵士も驚くというか、呆れるというか、どう反応してよいのか分からないと言わんばかりの様子だった。
ううむ。宰相がここまで化身に入れ込んでしまうとは、送った神造者にとっても想定外だったはずだ。
連中にすればこのマニリア帝国を自分達の勢力圏に食い込むための道具であって、入れ込んで我を忘れてしまうのでは話にもならないだろう。
もっとも神造者の場合、あくまでも『実験の一環』としか考えていない場合も十分にありうるな。
いずれにしてもこれまでは推測でしかなかった、オレの化身があちこちの有力者の元に送り込まれ、毎晩奉仕しているのは確実となったわけだ。
「とりあえず宰相の身柄を拘束しておけ。それから入念に取り調べる」
「かしこまりました!」
兵士に両脇を抱えられ、宰相は紫宸殿から連れて行かれた。
「それから宰相派だった奴らも全員拘束しろ」
「はは! みな急げ!」
ウァリウスの命令を受けて兵士達は急いで紫宸殿から出ていく。
もっともこいつらは皇帝が軟禁されている間、何もせずに宰相に従っていたのだから、ただ単にその場その場で優勢な側についているだけなんだろうな。
そしてここでウァリウスはオレの手を取る。
ケリがついた後でオレが逃げる事を心配しているのだな――実際そのつもりなんだから仕方ないけど。
「それではアルタシャは改めて僕と共に来てくれるかい?」
「分かりました……」
取りあえず今後の事の話も必要だからな。どのみちすぐに逃げ出すつもりは無かったからある程度は付き合おう。
もちろんウァリウスが本当に望んでいるのは、先ほど消えた化身が宰相に対して毎晩行っていたように、オレがベッドの中でサービスする事だろう。
こちらはそんな事をする気は毛頭無いけどな。
しばしの後、オレと他の面々は宮城で最大の建物であり本来は皇帝の居館である太極殿の一室にいた。
イオもドラゴンの姿のままでは目立ち過ぎるので、また少年の姿に戻っている。
もっとも『皇帝が女神アルタシャと一緒にドラゴンの背に乗ってやってきた』という話は尾ひれがいくつもついて、今後は宮城どころか首都ノチェット全域、そしてすぐに国中に広まる事だろう。
そしてウァリウスがそれを自分の権威づけに利用するのも確実だ。
「まさか宰相があんな事になっていたとは、僕にも想定できなかったよ。気分を悪くしたのなら謝ろう」
「別にいいですよ。気にはしていません」
ここでオレはあえてウァリウスではなく、テセルに話をふる。
「先ほどの出来事について、神造者はどこまで関わっているのか分かりますか」
「少なくとも宰相がああなったのは、神造者の計画に入っているとは思えないな。影響下に置くにしても、送った女に溺れてしまうのでは話にならない」
そこはオレも考えたところだ。
テセルの言っている事は確かに正論ではあるけど、これまで見てきた神造者の習性からすればまだ考えられるところはある。
「思惑通りにいかなかった事は世の中にはよくある話でしょう。それに宰相と手を組むのでは無く、この
マニリア帝国を内部から崩壊させるための言わば先兵として使われた可能性もあるでしょう」
「そこまでは僕の感知するところではないな」
あっさりと言い切ったが、テセルも否定しないところを見るとその可能性はあるのだな。
元の世界のフィクションでも美女を送り込んで、帝国を混乱させるというネタはよくある話だったからな。
神造者だったら『アルタシャのコピーを使って一国を支配出来ればよし、混乱してもそれでも実験にはなる』などと考えている事は十分にありうる。
何とも困ったものだが、神造者はその手のはた迷惑な『実験』を過去幾度もやらかした事はテセル自身すら認めているのだ。
そうすると今回の一件も神造者にとっては成功となるのかもしれないな。
やはり『自分の意志』があるのではなく、創造者に命じられた通りに行動しているのか?
「死ねえ! お前さえいなければ、愛しき我が女神は――」
「その痴れ者を止めよ!」
宰相は短剣を手に殺意全開で迫ってくるが、ウァリウスの命令を受けた兵士によって拘束される。
「うああ! 離せぇ! あいつさえ、あいつさえいなければ!」
皇帝の事などもうどうでもいいと言わんばかりに、宰相は叫び暴れ回る。
だがそうしている間にも化身の存在はますます薄まり、消えていく。
『宰相様。ありがとう……わたしはあなたに出会えて幸せでした……』
化身がオレの前で発した最初で最後の言葉は、それが終わると同時に全てが消え去って後には本当に何も残らなかった。
まるでオレと同じ顔の美女など、最初からいなかったかのように思える光景だった。
「あああ!」
化身が消滅した瞬間、宰相は床に倒れ伏し、当たりをはばからず泣き叫ぶ。
「これが……あの宰相閣下なのか……」
紫宸殿に入り込んだ貴族や兵士も驚くというか、呆れるというか、どう反応してよいのか分からないと言わんばかりの様子だった。
ううむ。宰相がここまで化身に入れ込んでしまうとは、送った神造者にとっても想定外だったはずだ。
連中にすればこのマニリア帝国を自分達の勢力圏に食い込むための道具であって、入れ込んで我を忘れてしまうのでは話にもならないだろう。
もっとも神造者の場合、あくまでも『実験の一環』としか考えていない場合も十分にありうるな。
いずれにしてもこれまでは推測でしかなかった、オレの化身があちこちの有力者の元に送り込まれ、毎晩奉仕しているのは確実となったわけだ。
「とりあえず宰相の身柄を拘束しておけ。それから入念に取り調べる」
「かしこまりました!」
兵士に両脇を抱えられ、宰相は紫宸殿から連れて行かれた。
「それから宰相派だった奴らも全員拘束しろ」
「はは! みな急げ!」
ウァリウスの命令を受けて兵士達は急いで紫宸殿から出ていく。
もっともこいつらは皇帝が軟禁されている間、何もせずに宰相に従っていたのだから、ただ単にその場その場で優勢な側についているだけなんだろうな。
そしてここでウァリウスはオレの手を取る。
ケリがついた後でオレが逃げる事を心配しているのだな――実際そのつもりなんだから仕方ないけど。
「それではアルタシャは改めて僕と共に来てくれるかい?」
「分かりました……」
取りあえず今後の事の話も必要だからな。どのみちすぐに逃げ出すつもりは無かったからある程度は付き合おう。
もちろんウァリウスが本当に望んでいるのは、先ほど消えた化身が宰相に対して毎晩行っていたように、オレがベッドの中でサービスする事だろう。
こちらはそんな事をする気は毛頭無いけどな。
しばしの後、オレと他の面々は宮城で最大の建物であり本来は皇帝の居館である太極殿の一室にいた。
イオもドラゴンの姿のままでは目立ち過ぎるので、また少年の姿に戻っている。
もっとも『皇帝が女神アルタシャと一緒にドラゴンの背に乗ってやってきた』という話は尾ひれがいくつもついて、今後は宮城どころか首都ノチェット全域、そしてすぐに国中に広まる事だろう。
そしてウァリウスがそれを自分の権威づけに利用するのも確実だ。
「まさか宰相があんな事になっていたとは、僕にも想定できなかったよ。気分を悪くしたのなら謝ろう」
「別にいいですよ。気にはしていません」
ここでオレはあえてウァリウスではなく、テセルに話をふる。
「先ほどの出来事について、神造者はどこまで関わっているのか分かりますか」
「少なくとも宰相がああなったのは、神造者の計画に入っているとは思えないな。影響下に置くにしても、送った女に溺れてしまうのでは話にならない」
そこはオレも考えたところだ。
テセルの言っている事は確かに正論ではあるけど、これまで見てきた神造者の習性からすればまだ考えられるところはある。
「思惑通りにいかなかった事は世の中にはよくある話でしょう。それに宰相と手を組むのでは無く、この
マニリア帝国を内部から崩壊させるための言わば先兵として使われた可能性もあるでしょう」
「そこまでは僕の感知するところではないな」
あっさりと言い切ったが、テセルも否定しないところを見るとその可能性はあるのだな。
元の世界のフィクションでも美女を送り込んで、帝国を混乱させるというネタはよくある話だったからな。
神造者だったら『アルタシャのコピーを使って一国を支配出来ればよし、混乱してもそれでも実験にはなる』などと考えている事は十分にありうる。
何とも困ったものだが、神造者はその手のはた迷惑な『実験』を過去幾度もやらかした事はテセル自身すら認めているのだ。
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