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第24章 全てはアルタシャのために?
第1140話 ウァリウスとの新たな対話にて
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オレの化身を送り込んで宰相を虜にした神造者の真意をここで確かめようもないが、少なくともマニリア帝国についてはもう安心といえるな。
それなら後始末はウァリウス皇帝に任せ、なるだけ急いでここを立ち去って、神造者の支配地域であるフォンリット帝国に向かわねばなるまい。
だがここに大きな問題がある。
いつの間にかウァリウスがオレに対してズイと迫ってきたのだ。
「世間に大勢いる『アルタシャの恋人』というのは嘘をついているか、さもなくばさっきの宰相のように偽者をつかまされているのだろう?」
「そんなところですね」
ウァリウスも『恋人だと嘘をついている側』だけど、ここでそこをツッコんだらきっと『本物の恋人』になろうと、『アルタシャの身体にツッコミ』を入れようと考えるだろうよ。
もっともオレの感覚では『偽者のアルタシャ』が出回るようになったのはつい最近の事なのだけど、いつからなのかはハッキリしないし、ここは適当に合わせておこう。
どっちにしろこのままではコピーは増えることはあっても減ることはないだろうし、神造者が今回の一件をあくまでも実験と心得ているなら、彼らなりに『改良を加えた量産型アルタシャ』を作り出すことも十分に考えられるのだ。
そうなる前に奴らの本拠地であるフォンリット帝国に向かってそんなことはやめさせねばならない。
「アルタシャがいま僕と添い遂げるわけにはいかないのは分かったよ。でもそれは他のすべての男に対しても同じなのだよね」
「……そうですよ」
「アルタシャが多くの女神のように、向かう先々でその地の神や英雄を恋人にしているという話は幾度も聞かされていたのでね。正直なところアルタシャの『夫』として心穏やかではいられなかったよ」
オレが一時、ここの後宮にいた事で相変わらず抜け目のないアピールをしてくるな。
そもそも後宮にいた時ですら、オレが皇帝の寵愛になど興味がなかったことは知っているのに、こういう図々しいところは何とも政治家らしい。
「今のアルタシャが、先ほど宰相をたぶらかしていた偽者をどうにかするのを優先せねばならないのは僕にだって分かる。だから喜んで送り出すさ。きっと僕のところに戻ってきてくれると信じているからね」
「あなたがもっと立派で頼れる皇帝だったら、わざわざこの国を訪れる必要はなかったのですけどね」
「それなら僕は君がいないと国を守れない情けない皇帝の方がよかったのかな?」
「本気で言っているのですか?」
「もちろん半分は冗談だよ」
つまり半分は本気という事か。
「アルタシャはこれで僕の愛があのようなまがい物に惑わされない、正真正銘の本物だって分かってくれただろう?」
ウァリウスは誇らしげにその身を寄せてくる。
「だから今宵一晩だけ、とどまってくれてかまわないよ」
ウァリウスが期待するのは元男として理解は出来るが、そんな『新婚初夜』に付き合う気は皆無だから。
「申し訳ないのですが、こちらも先を急ぐ旅なのです」
「それならその旅が終わってからならいいだろう?」
ここまでアピールするのはウァリウスにとっては『人生の正念場』というところなのだろうなあ。
「それも確約は出来ません。わたしの旅はいつも危険と背中合わせなのですから」
「そんな危険を背負いながら、しかも皇帝である僕の助力は受ける気もないだろう?」
「ええ。この国にもウァリウスにも累が及ぶようなことはしたくないのですよ」
これは紛れも無い本音だ。
神造者は疑いもなく、この大陸に君臨する大勢力である。
結果的に失敗したと言っても、オレのコピーを使って宰相をあっさりと籠絡したことは連中の実力の一端でしか無い。
下手に衝突すれば今度はウァリウスの身に危険が及ぶことは十分にあり得る。
今のところ神造者側も事を荒立てる気はないようなので、ここはなるだけ穏便に片付けろとしか言いようがない。
「僕はアルタシャのためなら何だって捧げるつもりだよ。もちろんこの国を含めて全てが君のものだと言ってもいい」
「それに対するわたしの返答がどういうものかは分かっていますよね」
「本当に君のそんなところは変わらないんだね」
ウァリウスは少しばかり落胆した様子を見せるが。、一方でどこか晴れやかな態度でもあった。
「少しは安堵したよ。アルタシャの評判を聞いていると、あちこちで恋人を作っている様子だけど『本物の恋人』は一人もいないのだろう?」
「もちろんですよ。あなたはわたしが本当にそんな事をしていると思っていたのですか?」
そうではないから、オレの偽者には見向きもしなかったのではないだろうか。
「言ってはなんだけど皇帝であるこの僕に見向きもしないのに、他の男とよろしくやっているとは考えていなかったさ。だけど一抹の不安があったのも事実だよ。そんな男の気持ちはアルタシャだって分かってくれるよね」
オレも元男としてその気持ちは分かるし、もっと言えばウァリウスがオレのコピーに入れ込んで、籠絡されているのではないかと疑念を抱いていた身でもある。
だから少しばかりサービスしてやってもいい気はするけど、妻になる気もないのにそんなそぶりを見るのは不誠実な態度なのも間違いないだろう。
そんなわけでここはハッキリとこの国を出て行くことを明確にさせてもらおう。
「すみませんがわたしの意志は変わりません。急いでこの国を出て本来の目的地に向かい、そこで成し遂げねばならない事があるのです」
「分かったよ。ならば僕はこの国で君の帰りを待つとしよう。なんだからお姫様と英雄の立場が逆な気がするけどね」
そう言ってウァリウスは苦笑した。
それなら後始末はウァリウス皇帝に任せ、なるだけ急いでここを立ち去って、神造者の支配地域であるフォンリット帝国に向かわねばなるまい。
だがここに大きな問題がある。
いつの間にかウァリウスがオレに対してズイと迫ってきたのだ。
「世間に大勢いる『アルタシャの恋人』というのは嘘をついているか、さもなくばさっきの宰相のように偽者をつかまされているのだろう?」
「そんなところですね」
ウァリウスも『恋人だと嘘をついている側』だけど、ここでそこをツッコんだらきっと『本物の恋人』になろうと、『アルタシャの身体にツッコミ』を入れようと考えるだろうよ。
もっともオレの感覚では『偽者のアルタシャ』が出回るようになったのはつい最近の事なのだけど、いつからなのかはハッキリしないし、ここは適当に合わせておこう。
どっちにしろこのままではコピーは増えることはあっても減ることはないだろうし、神造者が今回の一件をあくまでも実験と心得ているなら、彼らなりに『改良を加えた量産型アルタシャ』を作り出すことも十分に考えられるのだ。
そうなる前に奴らの本拠地であるフォンリット帝国に向かってそんなことはやめさせねばならない。
「アルタシャがいま僕と添い遂げるわけにはいかないのは分かったよ。でもそれは他のすべての男に対しても同じなのだよね」
「……そうですよ」
「アルタシャが多くの女神のように、向かう先々でその地の神や英雄を恋人にしているという話は幾度も聞かされていたのでね。正直なところアルタシャの『夫』として心穏やかではいられなかったよ」
オレが一時、ここの後宮にいた事で相変わらず抜け目のないアピールをしてくるな。
そもそも後宮にいた時ですら、オレが皇帝の寵愛になど興味がなかったことは知っているのに、こういう図々しいところは何とも政治家らしい。
「今のアルタシャが、先ほど宰相をたぶらかしていた偽者をどうにかするのを優先せねばならないのは僕にだって分かる。だから喜んで送り出すさ。きっと僕のところに戻ってきてくれると信じているからね」
「あなたがもっと立派で頼れる皇帝だったら、わざわざこの国を訪れる必要はなかったのですけどね」
「それなら僕は君がいないと国を守れない情けない皇帝の方がよかったのかな?」
「本気で言っているのですか?」
「もちろん半分は冗談だよ」
つまり半分は本気という事か。
「アルタシャはこれで僕の愛があのようなまがい物に惑わされない、正真正銘の本物だって分かってくれただろう?」
ウァリウスは誇らしげにその身を寄せてくる。
「だから今宵一晩だけ、とどまってくれてかまわないよ」
ウァリウスが期待するのは元男として理解は出来るが、そんな『新婚初夜』に付き合う気は皆無だから。
「申し訳ないのですが、こちらも先を急ぐ旅なのです」
「それならその旅が終わってからならいいだろう?」
ここまでアピールするのはウァリウスにとっては『人生の正念場』というところなのだろうなあ。
「それも確約は出来ません。わたしの旅はいつも危険と背中合わせなのですから」
「そんな危険を背負いながら、しかも皇帝である僕の助力は受ける気もないだろう?」
「ええ。この国にもウァリウスにも累が及ぶようなことはしたくないのですよ」
これは紛れも無い本音だ。
神造者は疑いもなく、この大陸に君臨する大勢力である。
結果的に失敗したと言っても、オレのコピーを使って宰相をあっさりと籠絡したことは連中の実力の一端でしか無い。
下手に衝突すれば今度はウァリウスの身に危険が及ぶことは十分にあり得る。
今のところ神造者側も事を荒立てる気はないようなので、ここはなるだけ穏便に片付けろとしか言いようがない。
「僕はアルタシャのためなら何だって捧げるつもりだよ。もちろんこの国を含めて全てが君のものだと言ってもいい」
「それに対するわたしの返答がどういうものかは分かっていますよね」
「本当に君のそんなところは変わらないんだね」
ウァリウスは少しばかり落胆した様子を見せるが。、一方でどこか晴れやかな態度でもあった。
「少しは安堵したよ。アルタシャの評判を聞いていると、あちこちで恋人を作っている様子だけど『本物の恋人』は一人もいないのだろう?」
「もちろんですよ。あなたはわたしが本当にそんな事をしていると思っていたのですか?」
そうではないから、オレの偽者には見向きもしなかったのではないだろうか。
「言ってはなんだけど皇帝であるこの僕に見向きもしないのに、他の男とよろしくやっているとは考えていなかったさ。だけど一抹の不安があったのも事実だよ。そんな男の気持ちはアルタシャだって分かってくれるよね」
オレも元男としてその気持ちは分かるし、もっと言えばウァリウスがオレのコピーに入れ込んで、籠絡されているのではないかと疑念を抱いていた身でもある。
だから少しばかりサービスしてやってもいい気はするけど、妻になる気もないのにそんなそぶりを見るのは不誠実な態度なのも間違いないだろう。
そんなわけでここはハッキリとこの国を出て行くことを明確にさせてもらおう。
「すみませんがわたしの意志は変わりません。急いでこの国を出て本来の目的地に向かい、そこで成し遂げねばならない事があるのです」
「分かったよ。ならば僕はこの国で君の帰りを待つとしよう。なんだからお姫様と英雄の立場が逆な気がするけどね」
そう言ってウァリウスは苦笑した。
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