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第24章 全てはアルタシャのために?
第1148話 何者かが近づいて
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ひとまずグレイスフルの城壁外に広がる街に入って、なるだけ異国情緒にあふれる街区に足を踏み入れる。
そのようなところの方が神造者の影響のより小さいところだという予想があったからだ。
その上で目立たない宿の二階の部屋を借りた。
「テセルはこの街の聖女教会にミツリーンさんを案内してくれますか? あとくれぐれも喧嘩はしないで下さいよ」
前もって釘を刺すとテセルとミツリーンは揃って何も言わずに部屋を出て行こうとする。
「念のために裏口から出て下さい。どこで誰に見られているか分かりませんからね」
これは本当に見られている心配をしているというよりは、可能な限り気をつけて行動する意識を持って欲しくて口にした事だ。
しばらくは大人しくしてくれればいいのだが。
ただそれ以外でも気になる事は幾つもある。
ミツリーンは聖女教会の命でオレを追っていたとは言えど、どう考えてもこの街の聖女教会とは無関係だろう。
特にフォンリット帝国内の聖女教会は他の地域のものよりも独立性が強いらしい。
そのため神造者の支配も及んでいないらしいが、よそ者のミツリーンに協力してくれる見込みも少ないだろう。
もともと聖女教会は頼りにしてはいないが、場合によっては神造者との駆け引きにも使いたいところなので、少なくとも『アルタシャ』に対してどのような意識を持っているのかは調べて欲しいところである。
だがもっと気になるのはテセルだ。
もともとテセルはこのグレイスフルにある神造者学院を弱冠十六歳にして優秀な成績で卒業したエリート中のエリート神造者だった。
しかしいろいろあって――オレと関わったのもその一つだ――大陸の反対側にまで左遷されエリート街道を脱落したのだ。
そのテセルがこの首都グレイスフルに勝手に帰ってくるのが神造者の組織として認める筈がない。
全世界に神造者が広まっているので、テセル個人の行動などいちいち注目はしていないだろうから今のところはお尋ね者になっているとは思えないが、この勝手な行動が無罪放免になるはずがあるまい。
当然、神造者組織の中にはテセルの事を知っている相手もいるだろうし、いくらテセルが『古巣』に詳しくとも何事もなく情報収集だけして戻って来られるだろうか?
それに久々の首都ともなれば羽を伸ばしたくなる気持ちも生まれるだろうし、羽目を外さないかと心配だ。
あとテセルによれば神造者の組織は規律違反を犯した神造者に対しては『復讐の精霊』を送り込む事が出来るらしい(第十一章)。
その時に聞いた話によると幾度撃退されても諦めること無く襲撃を繰り返し、最終的に相手に取り憑いてその罪に応じた償いをさせるらしい。
テセル本人は気にしている様子は無かったが、その可能性は十分にありうると考えねばならないだろう。
神造者の本拠地に来てしまった以上、何があるか分からないと覚悟を固める必要があるな。
そんな事を考えつつ、オレが窓から外を眺めていると、あからさまにこちらの宿を注視している相手が目に入って来た。
まさかもう神造者の手が回って来たのか?
幾ら何でも早すぎる!
一瞬、ヒヤリとしたがとにかく、何者なのか確認するのが先だ。
まず相手は普段のオレと同じようにフードを被っているので、容姿はよく分からない。
だが体格は成人男子とすれば華奢な上にかなり小柄で、身長もオレと変わらないぐらいだ。
ただオレたちの泊まっている宿を必要以上に凝視している事はフードの中から発せられる視線からも一目瞭然だった。
何とも大げさで不自然な凝視だが、少し見ているとどうも何かが違う気がしてくる。
隠れてこちらを監視しているというわけではなく、宿の前の大通りを行ったり来たりして何かを悩んでいる様子が伺えるのだ。
あれ? フードの人物が心ここにあらずとばかりに歩いていると、通りすがりの行商人にぶつかってる。
怒った行商人に叱られた上に、深々と頭を下げて謝利、相手が立ち去った後ではあからさまに安どしているのも明らかだった。
ううむ。ただの気にしすぎだろうか?
しかしこの宿の前を不自然に振り子運動しているからには、オレ達に対して何らかの意図がある可能性が高い。
元の世界のフィクションならドジっ子属性付きのズッコケ警察官や密偵も珍しくは無いが、いくら何でもそんな相手がここにいるはずがない。
官憲や神造者とは別口だが、オレかイオやサレナの正体に気づいたが、こんなところで宿をとっているのが意外過ぎて確かめようと思っている可能性もあるな。
冷静に考えれば、オレ達の一行は大陸中を探してもまず見当たらないであろう、特別すぎるメンツの集まりなのだ――『伝説の名を残す英雄の一行』としてはどうにも頼りない事は自覚している。
だが何も知らない人間がオレ達の正体を知れば、いかなる天変地異の前触れかと不安になるのも仕方ない。
こうなると直接、出て行って尋ねるべきかもしれないな。
しかしこの場にいるのはオレとイオ、サレナの三人だ。どう考えてもオレが出るしかない。
そんなわけでオレは謎の人物のために宿を出る事となった。
そのようなところの方が神造者の影響のより小さいところだという予想があったからだ。
その上で目立たない宿の二階の部屋を借りた。
「テセルはこの街の聖女教会にミツリーンさんを案内してくれますか? あとくれぐれも喧嘩はしないで下さいよ」
前もって釘を刺すとテセルとミツリーンは揃って何も言わずに部屋を出て行こうとする。
「念のために裏口から出て下さい。どこで誰に見られているか分かりませんからね」
これは本当に見られている心配をしているというよりは、可能な限り気をつけて行動する意識を持って欲しくて口にした事だ。
しばらくは大人しくしてくれればいいのだが。
ただそれ以外でも気になる事は幾つもある。
ミツリーンは聖女教会の命でオレを追っていたとは言えど、どう考えてもこの街の聖女教会とは無関係だろう。
特にフォンリット帝国内の聖女教会は他の地域のものよりも独立性が強いらしい。
そのため神造者の支配も及んでいないらしいが、よそ者のミツリーンに協力してくれる見込みも少ないだろう。
もともと聖女教会は頼りにしてはいないが、場合によっては神造者との駆け引きにも使いたいところなので、少なくとも『アルタシャ』に対してどのような意識を持っているのかは調べて欲しいところである。
だがもっと気になるのはテセルだ。
もともとテセルはこのグレイスフルにある神造者学院を弱冠十六歳にして優秀な成績で卒業したエリート中のエリート神造者だった。
しかしいろいろあって――オレと関わったのもその一つだ――大陸の反対側にまで左遷されエリート街道を脱落したのだ。
そのテセルがこの首都グレイスフルに勝手に帰ってくるのが神造者の組織として認める筈がない。
全世界に神造者が広まっているので、テセル個人の行動などいちいち注目はしていないだろうから今のところはお尋ね者になっているとは思えないが、この勝手な行動が無罪放免になるはずがあるまい。
当然、神造者組織の中にはテセルの事を知っている相手もいるだろうし、いくらテセルが『古巣』に詳しくとも何事もなく情報収集だけして戻って来られるだろうか?
それに久々の首都ともなれば羽を伸ばしたくなる気持ちも生まれるだろうし、羽目を外さないかと心配だ。
あとテセルによれば神造者の組織は規律違反を犯した神造者に対しては『復讐の精霊』を送り込む事が出来るらしい(第十一章)。
その時に聞いた話によると幾度撃退されても諦めること無く襲撃を繰り返し、最終的に相手に取り憑いてその罪に応じた償いをさせるらしい。
テセル本人は気にしている様子は無かったが、その可能性は十分にありうると考えねばならないだろう。
神造者の本拠地に来てしまった以上、何があるか分からないと覚悟を固める必要があるな。
そんな事を考えつつ、オレが窓から外を眺めていると、あからさまにこちらの宿を注視している相手が目に入って来た。
まさかもう神造者の手が回って来たのか?
幾ら何でも早すぎる!
一瞬、ヒヤリとしたがとにかく、何者なのか確認するのが先だ。
まず相手は普段のオレと同じようにフードを被っているので、容姿はよく分からない。
だが体格は成人男子とすれば華奢な上にかなり小柄で、身長もオレと変わらないぐらいだ。
ただオレたちの泊まっている宿を必要以上に凝視している事はフードの中から発せられる視線からも一目瞭然だった。
何とも大げさで不自然な凝視だが、少し見ているとどうも何かが違う気がしてくる。
隠れてこちらを監視しているというわけではなく、宿の前の大通りを行ったり来たりして何かを悩んでいる様子が伺えるのだ。
あれ? フードの人物が心ここにあらずとばかりに歩いていると、通りすがりの行商人にぶつかってる。
怒った行商人に叱られた上に、深々と頭を下げて謝利、相手が立ち去った後ではあからさまに安どしているのも明らかだった。
ううむ。ただの気にしすぎだろうか?
しかしこの宿の前を不自然に振り子運動しているからには、オレ達に対して何らかの意図がある可能性が高い。
元の世界のフィクションならドジっ子属性付きのズッコケ警察官や密偵も珍しくは無いが、いくら何でもそんな相手がここにいるはずがない。
官憲や神造者とは別口だが、オレかイオやサレナの正体に気づいたが、こんなところで宿をとっているのが意外過ぎて確かめようと思っている可能性もあるな。
冷静に考えれば、オレ達の一行は大陸中を探してもまず見当たらないであろう、特別すぎるメンツの集まりなのだ――『伝説の名を残す英雄の一行』としてはどうにも頼りない事は自覚している。
だが何も知らない人間がオレ達の正体を知れば、いかなる天変地異の前触れかと不安になるのも仕方ない。
こうなると直接、出て行って尋ねるべきかもしれないな。
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