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第24章 全てはアルタシャのために?
第1169話 廃墟の中で廃神に出会って
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ここが神界におけるグレイスフルの姿だと?
言われてみればあちこちの建物の残骸が、少し垣間見たあの都市に繋がって感じられるし、テセル達の尋常でない態度は冗談でない事を明白に物語っていた。
しかしそれが何を意味しているのだろうか?
神界にあるこの都市が神造者の治めるフォンリット帝国首都グレイスフルの現し身だとしたら、こんな有様になっている理由は何なんだろうか。
少なくとも全世界に広まった神造者の中枢部であり、世界中から富を集めてあれだけ繁栄している大都市の真の姿がこれだというワケではない筈だ。
元の世界のフィクションだと大都市の廃墟を見せつけられて、敵の王ボスが『これが未来の姿だ』などと位って屈服を迫る事はよくあったけど、そんなパターンだろうか?
取りあえずここにいる中で、グレイスフルについて最も詳しいと思われるミシェルに問うとしよう。
「ミシェルさん。これについて思い当たる事は無いですか?」
「そんなのあるわけが……無いわ」
明らかに一瞬、言いよどんだな。どう見てもあからさまに思い当たる事がある様子だぞ。
「教えて下さい! この光景が何を意味しているのです?!」
オレが食ってかかると横からテセルが口を挟んでくる。
「まあ待て。恐らくは……いや。今はそれどころではないな」
「え? それはどういう意味で――」
オレが問いかけようとしたところで、周囲の廃墟からわき出てくる幾つもの影があった。
それはこの神界に入る前に、テセルを襲った『廃神』と似た外見で、見るからにおぞましい液体をその身からジクジクとにじみ出しながら、ヨタヨタとぎこちなくこちらに迫ってくる。
『ううう……』
『がああああ……』
『お……おお……お……』
どれもこれも歪んだ口から、声にならない声、言葉にならない言葉を発しつつヨタヨタと歩いてきた。
ううむ。見るだけで胸が悪くなる光景だな。
「こんな奴らは僕がすぐにでも片付けてやるよ」
「このあたしの出番がよくやく来たようね」
イオとサレナが前に出て、連中に立ち向かおうとする。確かに荒事担当のこの二人ならばあの程度の連中ならば、軽く蹴散らせるかもしれない。
「野蛮な連中だな。そんな暴力に訴えなくとも、あのような廃神ごときこの僕が再定義してやるよ」
「私とテセルの二人がいれば、造作も無いわね」
「お前も下がっていろ。この僕、一人で十分だ」
「何よそれ……」
むくれるミシェルを無視するテセルだったが、オレはあえてその前に立つ。
「ちょっと待って下さい。彼らは何かを伝えたいのではないですか?」
確かに気色悪い連中だが、それでも何かが聞こえてくる気がするのだ。
そういえばすっかり忘れていたが、オレが手にした最初のチートが『どんな言葉でも理解出来る』というものだった。
もっと近づけば、彼らが何を訴えようとしているのか分かるかもしれない。
「ダメだ。幾ら何でも危険すぎる」
「そうですとも。アルタシャ様にもしものことがあれば、私はどうやって償えばいいのですか!」
当然ながらテセルもミツリーンも強く反対する。
この二人の意見が一致する事は滅多に無いから、むしろ喜ぶべきなのだろうか?
「アルタシャが危ないというなら、あんな奴ら僕が蹴散らしてやるよ」
「何だってあんたはそんな無茶ばかりするのかしらね……」
イオはいつも通りだが、サレナの方は心底呆れた様子だ。
「とにかくそんな危ない事をしなくとも――」
「止めても無駄よ。テセルだったっけ、あんたもアルタシャとそれなりの付き合いがあるのなら分かっている事でしょうに」
サレナはオレのやる事を支持してくれている様子だ。
過去にサレナとはいろいろと危ない橋を渡って、一度は『身も心も溶け合って一つになった』ことがあるぐらいだからな。
「止めるぐらいなら、万一に備えてアルタシャを守る事を考えなさいよ」
そう言ってサレナはオレの傍に寄ってくる。
どうやらオレが襲撃された時には、擬似生命体の本性を現して攻撃を食い止めてくれるつもりらしい
なんともありがたいよ。やっぱり持つべきものは頼りになる友人だね。
「ところであれは一体、何なの?」
「正直、見当もつきません。だから今から話をするのです」
「何だってあんたはいつもそんなに行き当たりばったりなのよ? 命が幾らあっても足りないんじゃないの?」
「そうかもしれませんけど、今のところは一つで間に合っていますから」
オレは苦笑しつつサレナに答える。
「二つ目が必要になったら、それは普通手遅れというのよ」
「そうなる前にサレナさんが助けてくれると思っておきますよ」
「あたしの助けは高くつく事を分かっているわよね?」
かつてオレは訪れた街の危機を救うために、サレナと合体し巨大化して戦った事があるのだが、その時も合体して時間が経てば元に戻れなくなるというもの凄くやばい状況だった。
「それでも構いませんよ」
もちろん危険は百も承知だが、オレだって別に成算も無しにこんな真似をしているわけではない。
彼らが苦しんでいるのならば、その苦痛を癒やす事はオレには十分に可能なはず。
そんなわけでオレは迫り来る多数の廃神へと向かった。
言われてみればあちこちの建物の残骸が、少し垣間見たあの都市に繋がって感じられるし、テセル達の尋常でない態度は冗談でない事を明白に物語っていた。
しかしそれが何を意味しているのだろうか?
神界にあるこの都市が神造者の治めるフォンリット帝国首都グレイスフルの現し身だとしたら、こんな有様になっている理由は何なんだろうか。
少なくとも全世界に広まった神造者の中枢部であり、世界中から富を集めてあれだけ繁栄している大都市の真の姿がこれだというワケではない筈だ。
元の世界のフィクションだと大都市の廃墟を見せつけられて、敵の王ボスが『これが未来の姿だ』などと位って屈服を迫る事はよくあったけど、そんなパターンだろうか?
取りあえずここにいる中で、グレイスフルについて最も詳しいと思われるミシェルに問うとしよう。
「ミシェルさん。これについて思い当たる事は無いですか?」
「そんなのあるわけが……無いわ」
明らかに一瞬、言いよどんだな。どう見てもあからさまに思い当たる事がある様子だぞ。
「教えて下さい! この光景が何を意味しているのです?!」
オレが食ってかかると横からテセルが口を挟んでくる。
「まあ待て。恐らくは……いや。今はそれどころではないな」
「え? それはどういう意味で――」
オレが問いかけようとしたところで、周囲の廃墟からわき出てくる幾つもの影があった。
それはこの神界に入る前に、テセルを襲った『廃神』と似た外見で、見るからにおぞましい液体をその身からジクジクとにじみ出しながら、ヨタヨタとぎこちなくこちらに迫ってくる。
『ううう……』
『がああああ……』
『お……おお……お……』
どれもこれも歪んだ口から、声にならない声、言葉にならない言葉を発しつつヨタヨタと歩いてきた。
ううむ。見るだけで胸が悪くなる光景だな。
「こんな奴らは僕がすぐにでも片付けてやるよ」
「このあたしの出番がよくやく来たようね」
イオとサレナが前に出て、連中に立ち向かおうとする。確かに荒事担当のこの二人ならばあの程度の連中ならば、軽く蹴散らせるかもしれない。
「野蛮な連中だな。そんな暴力に訴えなくとも、あのような廃神ごときこの僕が再定義してやるよ」
「私とテセルの二人がいれば、造作も無いわね」
「お前も下がっていろ。この僕、一人で十分だ」
「何よそれ……」
むくれるミシェルを無視するテセルだったが、オレはあえてその前に立つ。
「ちょっと待って下さい。彼らは何かを伝えたいのではないですか?」
確かに気色悪い連中だが、それでも何かが聞こえてくる気がするのだ。
そういえばすっかり忘れていたが、オレが手にした最初のチートが『どんな言葉でも理解出来る』というものだった。
もっと近づけば、彼らが何を訴えようとしているのか分かるかもしれない。
「ダメだ。幾ら何でも危険すぎる」
「そうですとも。アルタシャ様にもしものことがあれば、私はどうやって償えばいいのですか!」
当然ながらテセルもミツリーンも強く反対する。
この二人の意見が一致する事は滅多に無いから、むしろ喜ぶべきなのだろうか?
「アルタシャが危ないというなら、あんな奴ら僕が蹴散らしてやるよ」
「何だってあんたはそんな無茶ばかりするのかしらね……」
イオはいつも通りだが、サレナの方は心底呆れた様子だ。
「とにかくそんな危ない事をしなくとも――」
「止めても無駄よ。テセルだったっけ、あんたもアルタシャとそれなりの付き合いがあるのなら分かっている事でしょうに」
サレナはオレのやる事を支持してくれている様子だ。
過去にサレナとはいろいろと危ない橋を渡って、一度は『身も心も溶け合って一つになった』ことがあるぐらいだからな。
「止めるぐらいなら、万一に備えてアルタシャを守る事を考えなさいよ」
そう言ってサレナはオレの傍に寄ってくる。
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「あたしの助けは高くつく事を分かっているわよね?」
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もちろん危険は百も承知だが、オレだって別に成算も無しにこんな真似をしているわけではない。
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