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第24章 全てはアルタシャのために?
第1168話 たどり着いた都市の正体は?
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ひとまずイオの背に乗って飛び続けたが、しばらく経つと少しばかり不安になってきた。
どういうわけかいつまでたってもその街に近づいている感覚がないのだ。
ただ方向を間違えているとか、そういう次元の話ではない。
これはもしかして想像を絶する程、遠くに見えているのだろうか?
あと眼下の光景は延々と荒野が続いていて、人っ子ひとりどころか動いているものすら全くみかけない。
どう考えても異常だ。
このまま永遠にこの荒野を飛び続ける羽目になるのではないか。
オレがそんな不安を感じ始めたところで、テセルが声をかけてくる。
「いったいどうしたんだ?」
「いえ。このままではあの街にまでとてもたどり着けないのではないかと心配になったものですから」
「なんだそんなことか」
テセルはごく当たり前のように言い切る。
「ここは神界だぞ。物理的な距離は無意味だ」
「はあ?!」
オレは思わずあっけに取られた。
なんで今まで何も言わなかったんだ。
「どうしてそんな大事なところを黙っていたのですか!」
「いや。アルタシャの事だから、この光景を見て何かに気付くかと思ったのでね。だからあえて何も言わなかったんだ」
「そうだったんですか」
それはちょっとばかりオレを買いかぶっている気がするぞ。
「あと僕だってこんな光景を見たら驚くに決まっているだろう」
やっぱり試験秀才だけあって、想定外の事態に直面すると冷静ではいられないか。
「ここは首都グレイスフルにかぶっている神界の一部なのは間違いない。それがこのように荒廃しているなど普通ではあり得ないはずなんだ」
「それでは間違って、どこか別の神界につながってしまったという事でしょうか?」
「その可能性もあるが……とにかく今は調査をするしかないな」
もともとはオレのコピーをどうするのか、という話だったはずなのに随分と事が大きくなってしまったな。
もしかすると神造者の存亡に関わるとか、大陸の命運を左右するとかそんな大げさなところまで話が発展するような、そんな不吉な予感がしてきたぞ。
「それではあの街にはどうすればたどり着けるのですか?」
「神界では何をおいても意思の力だ。だからあの街に辿り着きたいという、明確な意識をもって神経を集中させればいい」
「そんな簡単な事なんですか?」
幾ら何でもそれはちょっとどころではなくビックリだ。
「神界は無数の意識が漂っているんだ。その中で迷わずに目的に直面たどり着くのは神造者でも簡単ではないのだぞ。おっと」
そこでテセルは大きく胸を張るが、そこで体勢を崩しかける。
おいおい。イオの背中から落ちたら、間違い無く木っ端微塵だぞ。
「なあに心配はいらないぞ。この僕ならば……」
「胸を張るどころか、虚勢を張るために命を賭けたいんですか!」
オレは文句をいいつつ、テセルの服を引っ張って引き戻す。
「そういう時は手をつかむものではないのかい?」
「とにかくテセルでも誰でもいいので、なるだけ急いであの街に到着できるようにしてくれたらそれでいいですよ」
「随分とぞんざいな言いぐさだな。だけど僕には無理だ」
「え? どういうことです?」
傲慢を絵に描いて額縁に入れて飾っているのではないかと思えるようなテセルが、そんな事を口にするとは、この荒廃した神界を見たときと同じぐらいの驚きだよ。
「神界では旅をする一同の心を合わせないと、いくら力のある存在でもそうそう目的にはたどり着けないのさ」
「それは他の同行者の意志が違っていたら、道が逸れてしまうからなのですか?」
元の世界のファンタジーでもパーティの意志を一つにしないとダメという展開はしばしばあったが、神造者の定めたルールも似たようなものであるらしい。
要するにどこの世界であろうと人間の考える事に大した違いは無いのだろう。
「だからこの一行の心を一つに出来るのはアルタシャしかいない。残念だけど僕の場合は、他の連中が首を縦に振らないだろうからな」
なるほど。少なくともミツリーンはテセルの言い分にはいそうですかと従ったりはしないだろうからな。
この一行の心を一つにするには、オレが呼びかける必要があるというわけか。
「それでは皆さん、あの街にすぐに到着するように考えて下さい」
「うん。分かったよ」
「……分かりました」
イオはともかく、その背にしがみついている面々は返答するのがやっとのようだ。
そしてしばらくすると周囲の景色は一気に切り替わり、都市のすぐ近くにまで到着した。
だがその眼下に広がる光景は、かつての繁栄していたと思しき都市の巨大な廃墟だったのだ。
あちこちひび割れ、崩落しているがそれでも残る壮大な城壁がかろうじて往事の繁栄を垣間見せているが、城壁内の建物は殆どが崩壊している様子だ。
まあ正直に言えばその可能性が高いと思っていたので、さほど衝撃は受けなかった。
しかしここが本当に神界だとしたら、いったい何がどうなってこのような有様になっているのだろうか?
「取りあえずあそこに見える中央の広場に降りてくれますか?」
「分かったよ」
イオは円形の中央広場に着地する。
このような広場を街の中心におく形状から神造者に関わりが深い街の廃墟だという事は見当がつくが、オレにはそれ以上の事は分からない。だが――
「まさか……本当にこれが……」
「うそ……信じられない……」
どういうわけかテセルとミシェルの二人が愕然とした表情を浮かべていた。
「いったいどうしたのですか? あ? もしかしたら?!」
ここでオレも一つ思い当たる節があった――と言うよりはつい先日見たばかりの街にそっくりだ。
「ああそうだ……これは我らが首都グレイスフルだ……」
テセルは絞り出すようにかすれた声を発していた。
どういうわけかいつまでたってもその街に近づいている感覚がないのだ。
ただ方向を間違えているとか、そういう次元の話ではない。
これはもしかして想像を絶する程、遠くに見えているのだろうか?
あと眼下の光景は延々と荒野が続いていて、人っ子ひとりどころか動いているものすら全くみかけない。
どう考えても異常だ。
このまま永遠にこの荒野を飛び続ける羽目になるのではないか。
オレがそんな不安を感じ始めたところで、テセルが声をかけてくる。
「いったいどうしたんだ?」
「いえ。このままではあの街にまでとてもたどり着けないのではないかと心配になったものですから」
「なんだそんなことか」
テセルはごく当たり前のように言い切る。
「ここは神界だぞ。物理的な距離は無意味だ」
「はあ?!」
オレは思わずあっけに取られた。
なんで今まで何も言わなかったんだ。
「どうしてそんな大事なところを黙っていたのですか!」
「いや。アルタシャの事だから、この光景を見て何かに気付くかと思ったのでね。だからあえて何も言わなかったんだ」
「そうだったんですか」
それはちょっとばかりオレを買いかぶっている気がするぞ。
「あと僕だってこんな光景を見たら驚くに決まっているだろう」
やっぱり試験秀才だけあって、想定外の事態に直面すると冷静ではいられないか。
「ここは首都グレイスフルにかぶっている神界の一部なのは間違いない。それがこのように荒廃しているなど普通ではあり得ないはずなんだ」
「それでは間違って、どこか別の神界につながってしまったという事でしょうか?」
「その可能性もあるが……とにかく今は調査をするしかないな」
もともとはオレのコピーをどうするのか、という話だったはずなのに随分と事が大きくなってしまったな。
もしかすると神造者の存亡に関わるとか、大陸の命運を左右するとかそんな大げさなところまで話が発展するような、そんな不吉な予感がしてきたぞ。
「それではあの街にはどうすればたどり着けるのですか?」
「神界では何をおいても意思の力だ。だからあの街に辿り着きたいという、明確な意識をもって神経を集中させればいい」
「そんな簡単な事なんですか?」
幾ら何でもそれはちょっとどころではなくビックリだ。
「神界は無数の意識が漂っているんだ。その中で迷わずに目的に直面たどり着くのは神造者でも簡単ではないのだぞ。おっと」
そこでテセルは大きく胸を張るが、そこで体勢を崩しかける。
おいおい。イオの背中から落ちたら、間違い無く木っ端微塵だぞ。
「なあに心配はいらないぞ。この僕ならば……」
「胸を張るどころか、虚勢を張るために命を賭けたいんですか!」
オレは文句をいいつつ、テセルの服を引っ張って引き戻す。
「そういう時は手をつかむものではないのかい?」
「とにかくテセルでも誰でもいいので、なるだけ急いであの街に到着できるようにしてくれたらそれでいいですよ」
「随分とぞんざいな言いぐさだな。だけど僕には無理だ」
「え? どういうことです?」
傲慢を絵に描いて額縁に入れて飾っているのではないかと思えるようなテセルが、そんな事を口にするとは、この荒廃した神界を見たときと同じぐらいの驚きだよ。
「神界では旅をする一同の心を合わせないと、いくら力のある存在でもそうそう目的にはたどり着けないのさ」
「それは他の同行者の意志が違っていたら、道が逸れてしまうからなのですか?」
元の世界のファンタジーでもパーティの意志を一つにしないとダメという展開はしばしばあったが、神造者の定めたルールも似たようなものであるらしい。
要するにどこの世界であろうと人間の考える事に大した違いは無いのだろう。
「だからこの一行の心を一つに出来るのはアルタシャしかいない。残念だけど僕の場合は、他の連中が首を縦に振らないだろうからな」
なるほど。少なくともミツリーンはテセルの言い分にはいそうですかと従ったりはしないだろうからな。
この一行の心を一つにするには、オレが呼びかける必要があるというわけか。
「それでは皆さん、あの街にすぐに到着するように考えて下さい」
「うん。分かったよ」
「……分かりました」
イオはともかく、その背にしがみついている面々は返答するのがやっとのようだ。
そしてしばらくすると周囲の景色は一気に切り替わり、都市のすぐ近くにまで到着した。
だがその眼下に広がる光景は、かつての繁栄していたと思しき都市の巨大な廃墟だったのだ。
あちこちひび割れ、崩落しているがそれでも残る壮大な城壁がかろうじて往事の繁栄を垣間見せているが、城壁内の建物は殆どが崩壊している様子だ。
まあ正直に言えばその可能性が高いと思っていたので、さほど衝撃は受けなかった。
しかしここが本当に神界だとしたら、いったい何がどうなってこのような有様になっているのだろうか?
「取りあえずあそこに見える中央の広場に降りてくれますか?」
「分かったよ」
イオは円形の中央広場に着地する。
このような広場を街の中心におく形状から神造者に関わりが深い街の廃墟だという事は見当がつくが、オレにはそれ以上の事は分からない。だが――
「まさか……本当にこれが……」
「うそ……信じられない……」
どういうわけかテセルとミシェルの二人が愕然とした表情を浮かべていた。
「いったいどうしたのですか? あ? もしかしたら?!」
ここでオレも一つ思い当たる節があった――と言うよりはつい先日見たばかりの街にそっくりだ。
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