異世界転移したら女神の化身にされてしまったので、世界を回って伝説を残します

高崎三吉

文字の大きさ
1,167 / 1,316
第24章 全てはアルタシャのために?

第1167話 飛び込んだ神界にて

しおりを挟む
テセルは現れた『廃神』の攻撃を悠然と受け止めている。

「この首都グレイスフルに廃神が姿を現すとはな……本当にこの街の神造者はどうしているんだ?」

 ここでテセルは光で複数の八角形の魔方陣を造り出し、その廃神を覆いつくす。

『ぐああああ!』

 廃神の悲鳴と供にその姿は消えていく。
 以前に聞いたところだと、これは消滅したのではなく、あくまでも神造者の定める『正しい崇拝』に組み込まれただけだという事だった。
 通常の神造者なら入念な準備が必要だが、テセルなら造作も無いという話だ。

「こんなところに廃神が現れるなんて……いったい何が起きているの……」

 ミシェルも驚愕している様子である。
 廃神はもともと神として崇拝されていたが、神造者の公式神話に組み込まれること無く放置された結果、信仰を失った『元神』のはずだ。
 その一部はある程度の力を残しつつ、自分を見捨てた人間を恨んで出会った相手に襲いかかるという。
 先ほどの相手はそれなのだろうが、少なくともこの首都グレイスフルにそのような廃神がいる事は考えられない筈だった。

 ミシェルが驚いているのはそれなのか?
 いや。違うな。そのような事態が起きているにも関わらず、それを自分が知らない――知らされていない事に驚いているのだ。
 ただしそれはあくまでも『一般人はともかくエリート神造者である自分は知っていて当然』という意識があるからだろう。
 だが今の課題はそれではない。

「これからどうします? 先に行きますか。それとも今回は引き返しますか?」
「それはアルタシャが決めてくれ」

 おい。お前たちは本職だろうが。何で決断をこっちに丸投げしているんだ?
 推測するにテセルにもどんな事態が起きているのか分かっていないのだろうな。
 それでは時間をかけて更に情報収集すべきだろうか?
 これがオレひとりだったら、少しばかり危険があっても突入したかもしれないが、みんなを不必要な危険にさらすわけにはいかない。
 もともとオレの問題にみんなを巻き込む形になっているのだから、いったん引き返した方がいいか。だが――

『おおお……』
『こんなところにいたのか……』

 いつの間にか聖堂の周囲に亡霊が集まってきていたのだ。
 もちろんオレを狙う亡霊が大勢いる事は分かっていたが、わざわざこんなタイミングで集まってくるのか?
 これが偶然であるはずがない。
 昨日イロールによって神界に入った時はともかく、神造者の作った道を使って神界にアクセスしたら、妨害するように仕組まれていたのかもしれないな。

「どうやら以前にやってきた連中よりも桁違いに強大な亡霊の群れのようだな……」

 テセルは少しばかり呆れた様子だ。
 確かに凄い数だ。
 このグレイスフルがいかに神造者の本拠地であろうと――むしろ本拠地だからこそ――うかばれぬ亡霊が集っているのかもしれないな。
 ここで亡霊達と戦ってもいいし、イオがドラゴン化すればその背に乗って逃げるのも簡単だろう。
  だがここでの異変が神造者によって仕組まれていたとすれば次から次へともっと面倒な奴らがやってくるかもしれない。
 仕方ない。ここはいったん神界に入って、状況を確認しよう。
 それで問題があれば、テセル達がいるのだから逃げ出すのも簡単のはず。

「ここはいったん神界に逃げ込みましょう」
「相変わらずアルタシャは無茶な事を言うのだな」

 そんなわけでオレ達一同はテセルが開いた神界への道へと一斉に飛び込んだ。


 向かった先の光景にオレというか、一同は少々どころではなく驚いていた。

「ここはいったいどこなんですか?」
「この僕に分からない神界があるとは……」

 もちろん快適な旅を期待していたわけではないし、それどころか向かった先にいきなり敵が待ち構えている最悪の事態も想定していたつもりだった。
 しかし目の前に広がる光景はこちらの想像を越えていた。
 そこにあったものはただひたすら地平線が広がっているだけだった。
 しかもその大地はひび割れ、朽ち果てた文字通りの荒野、死せる大地なのだ。

「これは神界のどこに位置しているのですか?」
「分からない。ただこれは恐らく何者かによって信仰の力を奪われ、枯渇してしまった場所だろうな」
「その何者か……というのは神造者なのでしょう? それ以外には考えられませんよね?」
「アルタシャの言うとおりだが……」

 テセルは納得出来ないのか、いつもと比べて明らかに歯切れが悪いな。
 そしてここでイオが口を挟んでくる。

「ここがどうなっているのか僕が確かめてみるよ」

 いきなりイオはドラゴンの姿に戻ると宙に舞う。

「ええ? この子、まさか?!」

 そう言えばミシェルはイオの正体を知らなかったんだな。
 そしてここでイオは首を振ってある方向を指し示した。

「アルタシャ。あちらの方に街が見えるよ」
「本当ですか?」
「うん。人間の街で間違い無いさ」

 オレの知覚でも見えないから、よほど遠くに存在しているのだな。

「みんな僕の背に乗ってよ。そちらに行ってみようじゃないか」

 この荒野にいても何も出来ないから、いまはイオの言うとおりにするしかないか。
 そしてオレ達一行は神界の遙か彼方に見える街へと向かう事となった。
しおりを挟む
感想 104

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました! (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です) 壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

他人の寿命が視える俺は理を捻じ曲げる。学園一の美令嬢を助けたら凄く優遇されることに

千石
ファンタジー
【第17回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞】 魔法学園4年生のグレイ・ズーは平凡な平民であるが、『他人の寿命が視える』という他の人にはない特殊な能力を持っていた。 ある日、学園一の美令嬢とすれ違った時、グレイは彼女の余命が本日までということを知ってしまう。 グレイは自分の特殊能力によって過去に周りから気味悪がられ、迫害されるということを経験していたためひたすら隠してきたのだが、 「・・・知ったからには黙っていられないよな」 と何とかしようと行動を開始する。 そのことが切っ掛けでグレイの生活が一変していくのであった。 他の投稿サイトでも掲載してます。 ※表紙の絵はAIが生成したものであり、著作権に関する最終的な責任は負いかねます。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

処理中です...