異世界転移したら女神の化身にされてしまったので、世界を回って伝説を残します

高崎三吉

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第24章 全てはアルタシャのために?

第1172話 創造神の領域にて

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 いろいろとドス黒いものが漂う神造者の姿だが、この領域にオレ達が留まっていてもできる事は何も無いのだ。
 仕方ない。今はテセルを頼りにしよう。

「ここから出るためにはどうすればいいのですか?」
「この領域をこのままにしておくわけにはいかないが……今の僕たちにどうにか出来るとも思えない。そうするといったん引くしかないのだろうな」

 もしもテセルかミシェルがこの件を報告すれば、神造者がどう出るだろうか?
 最悪、口封じのために命を奪う事すら考えうるぞ。
 幸か不幸か、この二人は神造者の中枢部に逆らってここにいるから、ありのままに報告は出来ない立場だ。
 しかしどちらもエリート階級に属しているから、真相に気付くのは時間の問題だろう。

「戻ったらすぐに調査するように進言するわ」
「そうだな。それ以外に僕たちに出来る事は無いか」

 ううむ。報告するなとも言えないが、普通に考えるとことの真相を神造者達が知らない筈がない。
 恐らく気付いている神造者は少なく無いのだろう。
 そうすると報告しても握りつぶされるだけで終わるかもしれない。
 いや。黙っているのはいくら何でもマズイ。
 後でオレの知った事情を説明して、そこでテセル達の判断に委ねるのが今できる最善の選択だろう。

「取りあえず改めて別の領域に向かうとしよう」
「そんな事が出来るのですか?」
「当たり前だろう。僕のような本物のエリートならば複数の領域を移動するぐらいは造作も無いさ」

 元の世界のファンタジーならいろいろな世界を次から次に渡り歩くのはしばしば見られる展開だけど、テセルだったら可能なのか。
 とにかく今はこの領域を出て、当初の目的だった創造神エルウリンの領域に入るしかないのだな。

「だいたい人間の世界から神界に入るより、神界の中を移動する方がよっぽど簡単だよ」

 言われてみればそんなものなのかもしれないな。

「ここは急いで立ち去りましょう」
「分かった。改めて道を作るぞ」
「……」

 傍目で見ながらミシェルは小さくため息をつく。どうやらテセルの実力の一端を改めて認識したのだろうな。
 それからしばらく準備した後でテセルは改めて『門』を開く。

「今度こそ間違い無いのだろうな?」
「まあ僕を信じてくれたらいいよ」

 ミツリーンのツッコミにテセルは平然と答えた。

「それでは行くとしよう」
「みんな気をつけましょう。何が出てくるのかは分かりませんからね」
「何だよ。アルタシャまで僕を信じていないのかい?」
「信頼はしていますけど、人間ならば誰だって間違いぐらいはあるでしょう」

 警戒しつつオレ達は改めて門をくぐった。
 

 門の先に広がっている光景は、多数の巡礼者が訪れている巨大な神殿だった。
 その巡礼者はオレの『霊視』ソウルサイトで見る限り、殆どが普通の人間だ。
 恐らくは創造神エルウリンに陳情して、自分の望む何かを創造してもらえるように頼みに来ているのだろう。
 過去にも寺院にいた信者達が儀式により一斉に神界に入って、神と対面する場面は幾度も付き合わされてきたが、神界において物理的な距離は関係無いと言う事だから、この大陸にいるエルウリンの信者がみんなここを訪れているのはまず間違い無いな。
 もっとも願ったモノを創造してもらえるのは――そしてそれが満足できるものなのは――全体のごく一部だけだろう。
 ただ大勢がここにいると言う事は、すぐにこちらの正体が見つかるという事も無いはずだ。しばらくは様子見が出来るかもしれない。
 しかしオレの存在が神様に気付かれないとも考えにくいので、あんまり悠長な真似をするわけにもいかない。

「それでどうするつもりなんだ?」

 いくら何でも正面からぶつかってどうにかなるとは思えないし、ひとまずはオレのコピーを作っているのかどうか確かめねばなるまいな。
 ここがエルウリンの領域ならば、力尽くで押し通るのは不可能だろう。
 ならば少し待って、相手の出方を待つべきだろう。いつも通りの行き当たりばったりの出たとこ勝負だけど、ここまで来たらやるしかない。
 そう思って寺院に向かおうとした時、いきなり声がかかった。
 まさか神からの呼び出しか?
 反射的に身構えたところで、警備兵らしい相手が近寄ってくる。恐らくはこの寺院を守護している精霊が人型をとっているのだろう。

『なぜお前がここにいるのだ?』
「え?」
『急いでこちらに来なさい』
「おい! お前たち! 何のつもりだ?」

 テセルや他の連中もいきり立つが、もしかするとこれは――

「待って下さい。ここは言うとおりにしますから、皆さんは待っていてくれますか?」
「いいのか?」
「たぶん……わたしの事を『化身』だと勘違いしていますよ」

 テセルがかけた神格をごまかす魔法の効果は、この警備兵にはある程度有効らしいが、それでアルタシャのコピーだと誤認している可能性が高い。
 ならばここは言うとおりにして、内部に入り込むべきだろう。
 もちろんエルウリン神をごまかす事は不可能だが、そこでどうにか話をまとめてオレのコピーの製造を止めさせたいところだ。
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