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第24章 全てはアルタシャのために?
第1178話 最高神学会の深層にて
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今までもいろいろと困った国に出会ってきたし、国家存亡の危機に直面した事も幾度かある。
しかしそんな経験をいくら積んだところで、いま目の前で展開している問題の深刻さは微塵も減じる事など無いのだ。
そして困った事に、本来ならばこの問題に取り組むべき連中は、自ら作り出した偽りの希望にすがりついて、現実に対処する術を失ってしまっているのだ。
元の世界でも国によっては『トイレットペーパーを買うためには、買うものより分厚い紙幣が必要になる』とか馬鹿な話を耳にして、どうしてそんな事になるのかと疑問に思ったものだったが、こんな風に現実から目を背けてしまった結果なのだろう。
『今まで我ら神造者は幾度も存亡の危機を迎えては乗り越え、さらなる発展を遂げてきたのだ。今回も必ずや乗り越えてみせようぞ』
「今の最高神学会の有様を見て、あなたはそんな事を言っていられるのですか?」
『もちろんだとも。偉大なる我らに成し遂げられない事はないのだ』
ああ。本当によくある『栄光だけを継承して現実への対処能力を失ってしまった頭でっかちエリート』の発想だ。
過去の成功体験は受け継いでいるけど、その成功にばかり目が向いて――あぐらをかいてと言ってもいいだろう――時代がすでに変わっているにも関わらず、自分たちがその先人の成功を繰り返す事が出来ると思い込んでしまっているのだ。
神造者は『公式神話』を定めて、支配地域での信仰を統一する事で大いなる力を手に入れたはずなのだが、その彼らが公式神話には影も形もない無い『神造者無敵・不滅神話』を信じ込んでしまっているのは皮肉としか言いようがないな。
しかも困った事に、現在のところ神造者は史上最大の繁栄を謳歌し、全世界に勢力を拡大しつつあるのだから、なおさらその危機を自覚できないでいるに違いない。
こうなると当初、オレが考えていた話し合いで解決など不可能、というよりも下手をすると最高神学会との話し合いそのものが成り立たないかもしれないぞ。
いつもながらオレが事態の打開に窮していると、改めて神造者の霊体が話しかけてくる。
『もちろんこの危機が深刻なものである事は分かっているが、いまそれを乗り越える方策が一つ見つかった』
「それは一体なんですか?」
こういう場合、例によってオレにとってロクでもない結論に達しているものだ。
それについてだけは確信はあるぞ。
『本物のアルタシャである、そなたがエルウリンの妻となればよいのだ』
やっぱりそうなるか!
さっきはあの神から、父と呼べと言われたが、今度は妻になれという話か。
神造者は神様の配偶も自分たちにとって都合よく決めるのが当たり前だから、本当にオレの事など考えもしていないのだな。
『そなたがエルウリンの妻となれば、いま存在している化身は全てアルタシャの娘という形で独自の信仰を持つ事が出来るだろう。そうなればその存在を維持するためだけに無尽蔵に霊力を必要とはしなくなる』
今いる化身はあくまでも『アルタシャの一部』として作ったものだけど、それが娘として独立した存在になればどうにかなるのか?
例えるならば『娘を嫁に出すので、もう養う必要がなくなる』というところだろうか?
もちろんオレがそんな話を受け入れる道理など無い。
「お断りします!」
『そうか。それでは仕方あるまい』
随分と簡単に諦めたな。いや。そんなに甘いはずが無い。
『ならばそなたを捕らえて、その身に宿る崇拝を有効に活用させてもらうとしようぞ』
「わたしは人の身ですよ! この国の法律ではそんな事など出来ない筈です」
テセルも言っていたが、オレはそこらの神を遥かに凌ぐ崇拝の力を有しているが、このフォンリット帝国の法律では、人の身に留まっている限り、手出しは出来ないという事だったはず。
『確かに国家の法ではその通りだ。しかしここは神界だ。俗世の法律など適用はされぬ』
「ええ?!」
『ここにそなたが来た以上、それぐらいは承知の事のはずだろう』
なんだよ! それは『家に上がった以上、何があるぐらい分かっているだろうな?』などと一方的に迫る男のような論理だろうが。
しかし神造者ともなると、そういうご都合主義で神話を好き勝手にいじるのがむしろ当たり前なのか。
『ここは神造者の最高神学会だ。いかなる神であろうと、ここでは我らの定めに従わねばならなくなる。もちろんそなたも同じだ』
この言葉と同時に、オレの身体はまるで動かなくなる。
「こ、これは……」
『案ずるな。別にとって喰おうというわけではない。ただ他の奴らがそなたの化身で満足しているところで、この私が本物を手中に収めたというわけだ』
こら待て! あんたの目的が全くすり替わっていないか?
神造者の直面する危機の手助けにする話だったのが、オレを手に入れる事で自分が主導権を握る事になっているだろう。
だがこの時、オレの視界には思わぬものが飛び込んできた。
神造者最高神学会の議事堂の隅っこに亀裂が入っていたように見えたのだ。
そしてその亀裂は見る見る拡大し、そして一気に砕け散った。
しかしそんな経験をいくら積んだところで、いま目の前で展開している問題の深刻さは微塵も減じる事など無いのだ。
そして困った事に、本来ならばこの問題に取り組むべき連中は、自ら作り出した偽りの希望にすがりついて、現実に対処する術を失ってしまっているのだ。
元の世界でも国によっては『トイレットペーパーを買うためには、買うものより分厚い紙幣が必要になる』とか馬鹿な話を耳にして、どうしてそんな事になるのかと疑問に思ったものだったが、こんな風に現実から目を背けてしまった結果なのだろう。
『今まで我ら神造者は幾度も存亡の危機を迎えては乗り越え、さらなる発展を遂げてきたのだ。今回も必ずや乗り越えてみせようぞ』
「今の最高神学会の有様を見て、あなたはそんな事を言っていられるのですか?」
『もちろんだとも。偉大なる我らに成し遂げられない事はないのだ』
ああ。本当によくある『栄光だけを継承して現実への対処能力を失ってしまった頭でっかちエリート』の発想だ。
過去の成功体験は受け継いでいるけど、その成功にばかり目が向いて――あぐらをかいてと言ってもいいだろう――時代がすでに変わっているにも関わらず、自分たちがその先人の成功を繰り返す事が出来ると思い込んでしまっているのだ。
神造者は『公式神話』を定めて、支配地域での信仰を統一する事で大いなる力を手に入れたはずなのだが、その彼らが公式神話には影も形もない無い『神造者無敵・不滅神話』を信じ込んでしまっているのは皮肉としか言いようがないな。
しかも困った事に、現在のところ神造者は史上最大の繁栄を謳歌し、全世界に勢力を拡大しつつあるのだから、なおさらその危機を自覚できないでいるに違いない。
こうなると当初、オレが考えていた話し合いで解決など不可能、というよりも下手をすると最高神学会との話し合いそのものが成り立たないかもしれないぞ。
いつもながらオレが事態の打開に窮していると、改めて神造者の霊体が話しかけてくる。
『もちろんこの危機が深刻なものである事は分かっているが、いまそれを乗り越える方策が一つ見つかった』
「それは一体なんですか?」
こういう場合、例によってオレにとってロクでもない結論に達しているものだ。
それについてだけは確信はあるぞ。
『本物のアルタシャである、そなたがエルウリンの妻となればよいのだ』
やっぱりそうなるか!
さっきはあの神から、父と呼べと言われたが、今度は妻になれという話か。
神造者は神様の配偶も自分たちにとって都合よく決めるのが当たり前だから、本当にオレの事など考えもしていないのだな。
『そなたがエルウリンの妻となれば、いま存在している化身は全てアルタシャの娘という形で独自の信仰を持つ事が出来るだろう。そうなればその存在を維持するためだけに無尽蔵に霊力を必要とはしなくなる』
今いる化身はあくまでも『アルタシャの一部』として作ったものだけど、それが娘として独立した存在になればどうにかなるのか?
例えるならば『娘を嫁に出すので、もう養う必要がなくなる』というところだろうか?
もちろんオレがそんな話を受け入れる道理など無い。
「お断りします!」
『そうか。それでは仕方あるまい』
随分と簡単に諦めたな。いや。そんなに甘いはずが無い。
『ならばそなたを捕らえて、その身に宿る崇拝を有効に活用させてもらうとしようぞ』
「わたしは人の身ですよ! この国の法律ではそんな事など出来ない筈です」
テセルも言っていたが、オレはそこらの神を遥かに凌ぐ崇拝の力を有しているが、このフォンリット帝国の法律では、人の身に留まっている限り、手出しは出来ないという事だったはず。
『確かに国家の法ではその通りだ。しかしここは神界だ。俗世の法律など適用はされぬ』
「ええ?!」
『ここにそなたが来た以上、それぐらいは承知の事のはずだろう』
なんだよ! それは『家に上がった以上、何があるぐらい分かっているだろうな?』などと一方的に迫る男のような論理だろうが。
しかし神造者ともなると、そういうご都合主義で神話を好き勝手にいじるのがむしろ当たり前なのか。
『ここは神造者の最高神学会だ。いかなる神であろうと、ここでは我らの定めに従わねばならなくなる。もちろんそなたも同じだ』
この言葉と同時に、オレの身体はまるで動かなくなる。
「こ、これは……」
『案ずるな。別にとって喰おうというわけではない。ただ他の奴らがそなたの化身で満足しているところで、この私が本物を手中に収めたというわけだ』
こら待て! あんたの目的が全くすり替わっていないか?
神造者の直面する危機の手助けにする話だったのが、オレを手に入れる事で自分が主導権を握る事になっているだろう。
だがこの時、オレの視界には思わぬものが飛び込んできた。
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そしてその亀裂は見る見る拡大し、そして一気に砕け散った。
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