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第24章 全てはアルタシャのために?
第1224話 最終的に背中を押したのは
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正直に言えば「このまま神の声が聞こえない世界」のままと「元通り神様だらけの世界」のどちらがいいのかなどオレには分からない。
そしてテセルの言っている事が正しいかどうかも見当もつかない。
だが一つだけはっきりしているのは「このような事態は元凶となった神造者たち」を含めて誰一人想定していなかったと言うことだ。
今までも信徒に見捨てられ、力を失った神々は大勢見てきた。
戦争などで信徒が根こそぎ消えてしまった神だって少なくはあるまい。
何よりも神造者たちは殆ど好き放題に、神を自分たちのルールに合わせて変化させていた事を考えれば、将来的にはこの世界でも「神の声など不要」となって、信仰はあっても神がその意思を示さない事だって十分にありうるだろう。
しかしそれは良くも悪くも「人間が自ら選択した結果」だ。
今回の事が神造者だけにとどまるなら自業自得で済ませられたけど、明らかにそれを遥かに超える巨大な影響が世界を覆っている。
そうするとやはり、オレの感覚では元に戻すべきだろうな。
「確かに……わたしは元に戻した方がいいのではないかと思います」
「アルタシャ様! そんな! 何もあなた様が犠牲になることなどありません!」
まだオレが犠牲になると決まったわけではないのだが、ミツリーンは涙を流しながらすがってくる。
「やっぱりそうか……アルタシャは僕よりも世界を取るのか……」
「少なくともその選択だったら、躊躇無く後者を選びますよ」
元の世界のフィクションだったら「世界と愛する異性を天秤にかける」なんて展開はよくあった。
もちろん殆どは両方救うのだけど、たまにバッドエンドもあったなあ。
いずれにしてもここでそんな選択の余地は無い。
だがここで横合いから悲鳴が割り込んでくる。
「待ってよ! アルタシャがいなくなるって、どういうことなんだよ!」
調子が悪くて下がっていたイオが起き上がって叫んできた。
そういえば「人間に神の声が聞こえない」事ばかり考えていたが、もしかするとイオだけでなくドラゴン族が全て『神界と現実世界を繋ぐ橋』が壊れた事で魔力の供給が足りず、不調になっているのかもしれないな。
いや。それだけじゃない。この世界にいる、精霊などのいわば「超自然」の存在全てに影響があるかもしれない。
ただ彼らが軒並み滅んで世界が不毛になると言う事はないだろう。
元の世界でもそうだったように、それらの精霊達が人間の前に姿を見せて、その意志を示すような事はなくなるだろう。
過去に何度も出会った亡霊達も同じく、消えていくに違いない。
それが何百年も続けば「昔の人間の単なる迷信」として、片付けられてしまうのかもしれないな。
「アルタシャはいなくなったりしないよね! 僕と一緒にいてくれるよね?!」
立っているのも辛い様子だが、それでもイオはオレを引き留めようとする。
本人にそんなつもりは全く無いのだろうけど、むしろこっちが後押しされているようにしか見えないぞ。
「ちょっとどういうことよ?!」
今度は廃墟の中からミシェルが顔を出してきたが、テセルは不満そうに顔を歪める。
「どうしてお前が出てくるんだ」
「ふざけんじゃないわよ! あんた達があれだけ大声で騒いでいて聞こえないわけがないでしょうが!」
「そうは言うがこの件はミシェルには関係無いぞ」
「そんなわけないでしょうが! 世界の運命かかっているのなら、こっちだって関係者に決まっているでしょ!」
強引だけど一応の筋は通っている。
「ハッキリ言うけど、いくら卓越した英雄でも、アルタシャ一人の犠牲で世界が救えるなら、安いモノでしょう」
いやまあ。それも筋は通っているけど、当人を目の前にして言う事か?
オレがいなくなったらテセルが、自分になびくかもしれないと思っているのか?
そもそも他のメンツと違って出会ったばかりなんだから、ミシェルがオレの身を案じる筋合いがないからな。
「お前は本当にそう思っているのか?」
「だって……テセルも私も神造者よ!あんたは人々の為に人生を捧げる事を誓ったでしょ! この私と一緒に!」
「もちろん誓いは忘れていない。だけどそれよりも大事なものがある!」
ミシェルの訴える対象が変わっているけど、取りあえず放置しておこう。
「さっきから聞いていたら……何を言っているのよ……」
今度はサレナが出てきた。
先ほど同様、体の半分が水銀のような光沢ある擬似生命体の姿をさらしている。
何も知らなくても一目で「人間では無い」のは明らかだが、オレはもちろんドラゴンの化身までいたら驚くようなことでは無いらしい。
「あたしがこうなっているのも、いまあんたらが言っていた事が原因なの?」
「ええ……そうです」
見るからに苦しそうだけど、そうなるとオレがどうなろうが『橋』を修復するために行ってこい!と言われそうだ。
「それなら……仕方ないわね」
「ええ?! それでいいのですか?」
「だって……あたしは『本物のサレナ』の複製でしかないのは、アルタシャだって知っているでしょ。本来、存在すべきでないものが消えてしまうのは運命というものよ」
ドラゴンや疑似生命がその身を賭しても、オレの身を案じてくれるのは嬉しいのだけど、そうなると放置出来ないじゃ無いか!
そしてテセルの言っている事が正しいかどうかも見当もつかない。
だが一つだけはっきりしているのは「このような事態は元凶となった神造者たち」を含めて誰一人想定していなかったと言うことだ。
今までも信徒に見捨てられ、力を失った神々は大勢見てきた。
戦争などで信徒が根こそぎ消えてしまった神だって少なくはあるまい。
何よりも神造者たちは殆ど好き放題に、神を自分たちのルールに合わせて変化させていた事を考えれば、将来的にはこの世界でも「神の声など不要」となって、信仰はあっても神がその意思を示さない事だって十分にありうるだろう。
しかしそれは良くも悪くも「人間が自ら選択した結果」だ。
今回の事が神造者だけにとどまるなら自業自得で済ませられたけど、明らかにそれを遥かに超える巨大な影響が世界を覆っている。
そうするとやはり、オレの感覚では元に戻すべきだろうな。
「確かに……わたしは元に戻した方がいいのではないかと思います」
「アルタシャ様! そんな! 何もあなた様が犠牲になることなどありません!」
まだオレが犠牲になると決まったわけではないのだが、ミツリーンは涙を流しながらすがってくる。
「やっぱりそうか……アルタシャは僕よりも世界を取るのか……」
「少なくともその選択だったら、躊躇無く後者を選びますよ」
元の世界のフィクションだったら「世界と愛する異性を天秤にかける」なんて展開はよくあった。
もちろん殆どは両方救うのだけど、たまにバッドエンドもあったなあ。
いずれにしてもここでそんな選択の余地は無い。
だがここで横合いから悲鳴が割り込んでくる。
「待ってよ! アルタシャがいなくなるって、どういうことなんだよ!」
調子が悪くて下がっていたイオが起き上がって叫んできた。
そういえば「人間に神の声が聞こえない」事ばかり考えていたが、もしかするとイオだけでなくドラゴン族が全て『神界と現実世界を繋ぐ橋』が壊れた事で魔力の供給が足りず、不調になっているのかもしれないな。
いや。それだけじゃない。この世界にいる、精霊などのいわば「超自然」の存在全てに影響があるかもしれない。
ただ彼らが軒並み滅んで世界が不毛になると言う事はないだろう。
元の世界でもそうだったように、それらの精霊達が人間の前に姿を見せて、その意志を示すような事はなくなるだろう。
過去に何度も出会った亡霊達も同じく、消えていくに違いない。
それが何百年も続けば「昔の人間の単なる迷信」として、片付けられてしまうのかもしれないな。
「アルタシャはいなくなったりしないよね! 僕と一緒にいてくれるよね?!」
立っているのも辛い様子だが、それでもイオはオレを引き留めようとする。
本人にそんなつもりは全く無いのだろうけど、むしろこっちが後押しされているようにしか見えないぞ。
「ちょっとどういうことよ?!」
今度は廃墟の中からミシェルが顔を出してきたが、テセルは不満そうに顔を歪める。
「どうしてお前が出てくるんだ」
「ふざけんじゃないわよ! あんた達があれだけ大声で騒いでいて聞こえないわけがないでしょうが!」
「そうは言うがこの件はミシェルには関係無いぞ」
「そんなわけないでしょうが! 世界の運命かかっているのなら、こっちだって関係者に決まっているでしょ!」
強引だけど一応の筋は通っている。
「ハッキリ言うけど、いくら卓越した英雄でも、アルタシャ一人の犠牲で世界が救えるなら、安いモノでしょう」
いやまあ。それも筋は通っているけど、当人を目の前にして言う事か?
オレがいなくなったらテセルが、自分になびくかもしれないと思っているのか?
そもそも他のメンツと違って出会ったばかりなんだから、ミシェルがオレの身を案じる筋合いがないからな。
「お前は本当にそう思っているのか?」
「だって……テセルも私も神造者よ!あんたは人々の為に人生を捧げる事を誓ったでしょ! この私と一緒に!」
「もちろん誓いは忘れていない。だけどそれよりも大事なものがある!」
ミシェルの訴える対象が変わっているけど、取りあえず放置しておこう。
「さっきから聞いていたら……何を言っているのよ……」
今度はサレナが出てきた。
先ほど同様、体の半分が水銀のような光沢ある擬似生命体の姿をさらしている。
何も知らなくても一目で「人間では無い」のは明らかだが、オレはもちろんドラゴンの化身までいたら驚くようなことでは無いらしい。
「あたしがこうなっているのも、いまあんたらが言っていた事が原因なの?」
「ええ……そうです」
見るからに苦しそうだけど、そうなるとオレがどうなろうが『橋』を修復するために行ってこい!と言われそうだ。
「それなら……仕方ないわね」
「ええ?! それでいいのですか?」
「だって……あたしは『本物のサレナ』の複製でしかないのは、アルタシャだって知っているでしょ。本来、存在すべきでないものが消えてしまうのは運命というものよ」
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