1,283 / 1,316
第24章 全てはアルタシャのために?
第1283話 別れたものの気持ちも分かる
しおりを挟む
オレの意識が裂かれると言う事だが、先ほど無理をし過ぎてアルタシャの身体が砕けたときには、別に痛みがあったわけではないのでさほど深刻には考えていなかった。
だがオレ自身の意識が一部切り離されると、耐えきれない激痛という程では無いがちょっと苦しい。
これまでに神が分裂した時も、こんな感覚だったのだろうか?
いや。そういう連中は教団が分裂し、その教義がどんどん食い違っていった結果だから、分裂してしまうまで数年、長ければ数世代かかったろう。
オレの場合はそんな例に比べたら、ほぼ瞬時だからな。
ちょっとばかり興味もあったけど、やっぱり辛いものがある。
ファンタジーRPGでも時々、使い魔とか強力なマジックアイテムを作るのに当人の精神の一部を分け与えるのがあったがそれに近いか。
『これで終わりだ。後は分裂した意識の方を故郷の世界に送ろう』
「それで元通りに過ごせるのですか?」
『基本的には当人の意識が反映されるな』
ええ? 何だって? それは聞き捨てならないぞ。
「だったらスゴイ能力を意識していたら、その力が得られるのですか? 外見なんかも変わる事もあるのですか?」
『それは無理だな。そもそも元の世界にあった存在を越えるような事は出来ないのはわかり切っているだろう』
「そうですか……」
『だから能力は受け継がれない。精神が部分的に引き継がれる程度だろう』
やっぱりそうだろうなあ。
結局、どんなに頑張っても「イケメンでチート能力を有すモテモテの男子高校生」なんて都合のいい存在にはなれないのか。
「もしかして、このまま何もしなかったら、元の世界ではやっぱり消滅しているのですか?」
『いや。たぶん周囲の人間の意識から元とおおむね同じ存在が生み出されただろう。そうでないとこちらで死んでいたら、いきなり消滅と言う事になるはずだからな』
「ええ? それではこんな手間をかける必要が無かったのでは?」
話を聞くと異世界に呼び込まれる事はしばしばあるらしいが、オレだって幾度も死にかけたのだから、当然異世界で命を落とすものも少なく無いはず。
それでも元の世界では「こういうヤツがいた」という周囲の認識から、生まれた存在により当人が消えた事にはならないらしい。
確かにこちらの方でも「こんな神がいる」とみんな信じていれば、それで神様が生まれるどころか、ずっと昔からの神話まで出来てしまうわけだから大差は無いのか。
それならオレの意識をわざわざ一部裂く必要もなかったんじゃないかな。
いや。もともとオレが元の世界に戻る事を唱えた結果なのだから、別に嘘をついているわけではないのだろうが、やっぱり納得は難しいな。
『そうでもない。周囲の人間の意識から生み出された存在と、当人の意識の分身ではやはり異なるものだろう』
ううむ。それはそれで真実だろうし、オレ自身の意志でもあるから納得するしかないか。
どこか力が抜けたというか、ちょっとばかり弱くなったかのような気がするな。
元の世界でもたまに魔王が異世界に分身を送ったけど、何かの手違いで平凡な学生――しばしばオタク――になってしまうとかあったな。
そして分身を吸収しようと異世界から魔王がやってきたら、なぜか本体の方が吸収されてしまったので、分身のヲタ学生が魔王の力を震えるなんてアホらしいネタを見たことがある。
オレの場合は、わかっていて「平凡な学生」を送り込んだわけだが、やっぱりひと一人分作るとなると結構大変なもんだ。
某有名漫画で「人間の材料は子供の小遣いで買える」なんて話があったが、それは「人間作って魂入れず」であって、実際に魂の入った人間を送るとなるとこりゃ想像以上に手間がかかるな。
神が自分の力の一部を送り化身として働かせても、人間そのものを作って国王に据えるとかしないのも当然と言えるな。
「これで元の世界に戻ったわけですか……」
『少しは寂しい思いがあるのか?』
「そりゃそうでしょう」
それなりにこちらの世界に馴染んでいて、あんまり強い未練があったわけでもない。
もしかすると「元の世界に対する未練」が分裂したのかもしれない。
ちゃんと「本人」を戻したわけだから、家族を心配させる事もなくなったが、やはり本来自分のいるべきところに「別の何か」が占めるのはいろいろとこそばゆい気がするな。
もちろんそれも間違い無くオレ自身ではあるのだが、決してイコールでは無い。
なるほど。元は同じ信仰、同じ神同士で争う事がオレには理解出来なかったが、彼らもそんな意識を有していたのかもしれないな。
もちろんオレの方はもう争うどころか、もう元の世界に対して何も出来ないのだけど。
そんなわけで改めてオレが「世界の意志」として働く事になるのか。
君臨と言うほどでもないし、もちろん支配するわけでもない。ただなんとなく存在し、なんとなく人々の意志を受け、なんとなくそれをよりよい方向に誘導する。
確かにいろいろと考えてみたらそういうのが、オレには一番向いているのかもな。
だがオレ自身の意識が一部切り離されると、耐えきれない激痛という程では無いがちょっと苦しい。
これまでに神が分裂した時も、こんな感覚だったのだろうか?
いや。そういう連中は教団が分裂し、その教義がどんどん食い違っていった結果だから、分裂してしまうまで数年、長ければ数世代かかったろう。
オレの場合はそんな例に比べたら、ほぼ瞬時だからな。
ちょっとばかり興味もあったけど、やっぱり辛いものがある。
ファンタジーRPGでも時々、使い魔とか強力なマジックアイテムを作るのに当人の精神の一部を分け与えるのがあったがそれに近いか。
『これで終わりだ。後は分裂した意識の方を故郷の世界に送ろう』
「それで元通りに過ごせるのですか?」
『基本的には当人の意識が反映されるな』
ええ? 何だって? それは聞き捨てならないぞ。
「だったらスゴイ能力を意識していたら、その力が得られるのですか? 外見なんかも変わる事もあるのですか?」
『それは無理だな。そもそも元の世界にあった存在を越えるような事は出来ないのはわかり切っているだろう』
「そうですか……」
『だから能力は受け継がれない。精神が部分的に引き継がれる程度だろう』
やっぱりそうだろうなあ。
結局、どんなに頑張っても「イケメンでチート能力を有すモテモテの男子高校生」なんて都合のいい存在にはなれないのか。
「もしかして、このまま何もしなかったら、元の世界ではやっぱり消滅しているのですか?」
『いや。たぶん周囲の人間の意識から元とおおむね同じ存在が生み出されただろう。そうでないとこちらで死んでいたら、いきなり消滅と言う事になるはずだからな』
「ええ? それではこんな手間をかける必要が無かったのでは?」
話を聞くと異世界に呼び込まれる事はしばしばあるらしいが、オレだって幾度も死にかけたのだから、当然異世界で命を落とすものも少なく無いはず。
それでも元の世界では「こういうヤツがいた」という周囲の認識から、生まれた存在により当人が消えた事にはならないらしい。
確かにこちらの方でも「こんな神がいる」とみんな信じていれば、それで神様が生まれるどころか、ずっと昔からの神話まで出来てしまうわけだから大差は無いのか。
それならオレの意識をわざわざ一部裂く必要もなかったんじゃないかな。
いや。もともとオレが元の世界に戻る事を唱えた結果なのだから、別に嘘をついているわけではないのだろうが、やっぱり納得は難しいな。
『そうでもない。周囲の人間の意識から生み出された存在と、当人の意識の分身ではやはり異なるものだろう』
ううむ。それはそれで真実だろうし、オレ自身の意志でもあるから納得するしかないか。
どこか力が抜けたというか、ちょっとばかり弱くなったかのような気がするな。
元の世界でもたまに魔王が異世界に分身を送ったけど、何かの手違いで平凡な学生――しばしばオタク――になってしまうとかあったな。
そして分身を吸収しようと異世界から魔王がやってきたら、なぜか本体の方が吸収されてしまったので、分身のヲタ学生が魔王の力を震えるなんてアホらしいネタを見たことがある。
オレの場合は、わかっていて「平凡な学生」を送り込んだわけだが、やっぱりひと一人分作るとなると結構大変なもんだ。
某有名漫画で「人間の材料は子供の小遣いで買える」なんて話があったが、それは「人間作って魂入れず」であって、実際に魂の入った人間を送るとなるとこりゃ想像以上に手間がかかるな。
神が自分の力の一部を送り化身として働かせても、人間そのものを作って国王に据えるとかしないのも当然と言えるな。
「これで元の世界に戻ったわけですか……」
『少しは寂しい思いがあるのか?』
「そりゃそうでしょう」
それなりにこちらの世界に馴染んでいて、あんまり強い未練があったわけでもない。
もしかすると「元の世界に対する未練」が分裂したのかもしれない。
ちゃんと「本人」を戻したわけだから、家族を心配させる事もなくなったが、やはり本来自分のいるべきところに「別の何か」が占めるのはいろいろとこそばゆい気がするな。
もちろんそれも間違い無くオレ自身ではあるのだが、決してイコールでは無い。
なるほど。元は同じ信仰、同じ神同士で争う事がオレには理解出来なかったが、彼らもそんな意識を有していたのかもしれないな。
もちろんオレの方はもう争うどころか、もう元の世界に対して何も出来ないのだけど。
そんなわけで改めてオレが「世界の意志」として働く事になるのか。
君臨と言うほどでもないし、もちろん支配するわけでもない。ただなんとなく存在し、なんとなく人々の意志を受け、なんとなくそれをよりよい方向に誘導する。
確かにいろいろと考えてみたらそういうのが、オレには一番向いているのかもな。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします
雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました!
(書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です)
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
他人の寿命が視える俺は理を捻じ曲げる。学園一の美令嬢を助けたら凄く優遇されることに
千石
ファンタジー
【第17回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞】
魔法学園4年生のグレイ・ズーは平凡な平民であるが、『他人の寿命が視える』という他の人にはない特殊な能力を持っていた。
ある日、学園一の美令嬢とすれ違った時、グレイは彼女の余命が本日までということを知ってしまう。
グレイは自分の特殊能力によって過去に周りから気味悪がられ、迫害されるということを経験していたためひたすら隠してきたのだが、
「・・・知ったからには黙っていられないよな」
と何とかしようと行動を開始する。
そのことが切っ掛けでグレイの生活が一変していくのであった。
他の投稿サイトでも掲載してます。
※表紙の絵はAIが生成したものであり、著作権に関する最終的な責任は負いかねます。
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる