異世界転移したら女神の化身にされてしまったので、世界を回って伝説を残します

高崎三吉

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第24章 全てはアルタシャのために?

第1283話 別れたものの気持ちも分かる

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 オレの意識が裂かれると言う事だが、先ほど無理をし過ぎてアルタシャの身体が砕けたときには、別に痛みがあったわけではないのでさほど深刻には考えていなかった。
 だがオレ自身の意識が一部切り離されると、耐えきれない激痛という程では無いがちょっと苦しい。
 これまでに神が分裂した時も、こんな感覚だったのだろうか?
 いや。そういう連中は教団が分裂し、その教義がどんどん食い違っていった結果だから、分裂してしまうまで数年、長ければ数世代かかったろう。
 オレの場合はそんな例に比べたら、ほぼ瞬時だからな。
 ちょっとばかり興味もあったけど、やっぱり辛いものがある。
 ファンタジーRPGでも時々、使い魔とか強力なマジックアイテムを作るのに当人の精神の一部を分け与えるのがあったがそれに近いか。

『これで終わりだ。後は分裂した意識の方を故郷の世界に送ろう』
「それで元通りに過ごせるのですか?」
『基本的には当人の意識が反映されるな』

 ええ? 何だって? それは聞き捨てならないぞ。

「だったらスゴイ能力を意識していたら、その力が得られるのですか? 外見なんかも変わる事もあるのですか?」
『それは無理だな。そもそも元の世界にあった存在を越えるような事は出来ないのはわかり切っているだろう』
「そうですか……」
『だから能力は受け継がれない。精神が部分的に引き継がれる程度だろう』

 やっぱりそうだろうなあ。
 結局、どんなに頑張っても「イケメンでチート能力を有すモテモテの男子高校生」なんて都合のいい存在にはなれないのか。

「もしかして、このまま何もしなかったら、元の世界ではやっぱり消滅しているのですか?」
『いや。たぶん周囲の人間の意識から元とおおむね同じ存在が生み出されただろう。そうでないとこちらで死んでいたら、いきなり消滅と言う事になるはずだからな』
「ええ? それではこんな手間をかける必要が無かったのでは?」

 話を聞くと異世界に呼び込まれる事はしばしばあるらしいが、オレだって幾度も死にかけたのだから、当然異世界で命を落とすものも少なく無いはず。
 それでも元の世界では「こういうヤツがいた」という周囲の認識から、生まれた存在により当人が消えた事にはならないらしい。
 確かにこちらの方でも「こんな神がいる」とみんな信じていれば、それで神様が生まれるどころか、ずっと昔からの神話まで出来てしまうわけだから大差は無いのか。
 それならオレの意識をわざわざ一部裂く必要もなかったんじゃないかな。
 いや。もともとオレが元の世界に戻る事を唱えた結果なのだから、別に嘘をついているわけではないのだろうが、やっぱり納得は難しいな。

『そうでもない。周囲の人間の意識から生み出された存在と、当人の意識の分身ではやはり異なるものだろう』

 ううむ。それはそれで真実だろうし、オレ自身の意志でもあるから納得するしかないか。
 どこか力が抜けたというか、ちょっとばかり弱くなったかのような気がするな。
 元の世界でもたまに魔王が異世界に分身を送ったけど、何かの手違いで平凡な学生――しばしばオタク――になってしまうとかあったな。
 そして分身を吸収しようと異世界から魔王がやってきたら、なぜか本体の方が吸収されてしまったので、分身のヲタ学生が魔王の力を震えるなんてアホらしいネタを見たことがある。
 オレの場合は、わかっていて「平凡な学生」を送り込んだわけだが、やっぱりひと一人分作るとなると結構大変なもんだ。
 某有名漫画で「人間の材料は子供の小遣いで買える」なんて話があったが、それは「人間作って魂入れず」であって、実際に魂の入った人間を送るとなるとこりゃ想像以上に手間がかかるな。
 神が自分の力の一部を送り化身として働かせても、人間そのものを作って国王に据えるとかしないのも当然と言えるな。

「これで元の世界に戻ったわけですか……」
『少しは寂しい思いがあるのか?』
「そりゃそうでしょう」

 それなりにこちらの世界に馴染んでいて、あんまり強い未練があったわけでもない。
 もしかすると「元の世界に対する未練」が分裂したのかもしれない。
 ちゃんと「本人」を戻したわけだから、家族を心配させる事もなくなったが、やはり本来自分のいるべきところに「別の何か」が占めるのはいろいろとこそばゆい気がするな。

 もちろんそれも間違い無くオレ自身ではあるのだが、決してイコールでは無い。
 なるほど。元は同じ信仰、同じ神同士で争う事がオレには理解出来なかったが、彼らもそんな意識を有していたのかもしれないな。
 もちろんオレの方はもう争うどころか、もう元の世界に対して何も出来ないのだけど。
 そんなわけで改めてオレが「世界の意志」として働く事になるのか。
 君臨と言うほどでもないし、もちろん支配するわけでもない。ただなんとなく存在し、なんとなく人々の意志を受け、なんとなくそれをよりよい方向に誘導する。
 確かにいろいろと考えてみたらそういうのが、オレには一番向いているのかもな。
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