能力者の都市で僕が最強の"覇王"になるまで。

ミースケ

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#34

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「まだ攻めきれないのか?」
 政府軍の最奥の臨時拠点で、龍桜は部下にそんな事を聞く。
「はっ!少しずつ押してはいますが、敵の抵抗が激しくかなりの負傷者を出しています!」
「そうか・・・」
 龍桜はその報告を聞いて画面の方に目を向ける。
 画面には現在の前線の状況が映し出されており、そこで目立つのがやはり雷を放つ女だ。こちら側の兵士を圧倒していることからも、明らかに強者だと言うことが分かるが、それだけなら数で押し切れているだろう。それが出来ていないと言う事は、この女と同等かそれ以上実力者がサポートに回っているのだろう。
「それが《破壊神》なのか、あるいは・・・」
「龍桜様、敵が突然軍内に現れたとの報告が!」
「なんだと?」
 その報告を聞いた龍桜は驚きの表情を浮かべる。
「人数は?」
「・・・2名ですが、両者とも圧倒的な力で我が軍の兵士を圧倒しています!」
 その報告を聞き、龍桜はわずかに笑みを浮かべる。
「・・・そっちから来てくれるなら話は早い。よし、私が相手をしよう」
「ですが・・・」
「お前らではどうせ相手にならぬ。お前らは工場の方の攻撃に勢力を注げ」
「承知しました。」
 龍桜がここに来た目的は"ICE"の2人が持つ【特殊能力】を殺して奪うためだ。
 今の自分なら2人が相手でも圧勝出来る自身が龍桜にはある。そのために10年前の事件を引き起こしたのだから。

「うお!凄えな」
 着地した瞬間に陽翔が腕を振ると、周囲の兵士たちが次々と倒れていくその光景をみて、僕は素直に関心していた。
「感心してないでさっさと戦え、敵はどんどん来るぞ」
「ああ、分かってる」
 背中合わせの形になっている僕と陽翔の周囲360°には臨戦体制の敵が大勢おり、こちらを攻撃しようとしている。
「邪魔をするならお前らにも容赦はしないぞ」
 陽翔はそんな台詞と共に剣を構えて、それを思い切り振る。
「グガッ・・・!?」
 するとそんな声と共に兵士たちが倒れていき、周囲の兵士は約3分の1程度まで減ってしまった。
「なんだよそれ、チートじゃねぇか!」
「そんな事はない。一応回数制限はあるんだよ」
 なるほどな、にしても強すぎる気がするが、もう既に着地の時と今で2回使用しているため、もうそう多くは使えないだろう。
「さ~て、ここからは自力で頑張るとしましょうかね!」
 僕はそう言いながら剣を作り出し、正面の敵を見る。
「・・・死にたいやつから掛かってこい」
 僕がそう言い放った瞬間、兵士たちが凄い勢いでこちらに向かってくる。
 まず3人、恐らく身体強化系の能力を使用して他よりも速く接近してきた奴らがそれぞれ攻撃を放ってくる。
 能力を活かすためかは知らないが、かなりの軽装備で、攻撃は通し易そうだ。
 拳、蹴り、拳と、それぞれの攻撃を容易く避け、僕はカウンターをそれぞれに入れる。やはりこういった能力者は単調な攻撃しかしてこないため、避けるのが簡単だ。その上3人とも連携が取れておらず、人数差が活かせていない。
 軽装備に重く入った僕の攻撃によって、3人ともその場で倒れ込む。
「で・・・次は?」
 僕がそういった瞬間、僕に向けてナイフが飛んでくる。しかも能力でかなり加速されており避けるのは難しい。となると防ぐのが一番で、僕は剣でそれを防いでナイフを破壊し、逆にナイフを創って敵に向ってばら撒いていく。
 それによって、軽装備の奴らにはそれなりの傷を負わせることに成功する。
 続けて炎や水などの属性系の攻撃が飛んでくるが、玲奈の《雷撃》ほどの速さはなく、やすやすと避けることが出来る。それでも追いかけてくるので、兵士たちの方へ突っ込んで行き、直前で進行方向を変えると案の定その攻撃は仲間へとヒットしてしまう。
「これもおまけだ。やるよ」
 僕はそう言って手榴弾を後方にいる炎などの攻撃を放ってきた奴らにプレゼントする。
「コノやろぉぉぉぉぉ!」
「なんだよ、お前も欲しいのか?」
 そう叫びながら突っ込んでくる男の頭に、僕は弾丸を撃ち込む。
 まあ、一応ヘルメットを被っているため、死ぬ事は無いだろうが、脳に震盪を起こして男は倒れる。
「・・・?」
 後方に気配を感じたため、僕は即座に振り返って距離を取る。
「暴れ回ってくれてる見てぇじゃねぇか!この俺様がぶっ殺してやるぜ!」
「おう、そうか」
 明らかに小物っぽい言動をしているが、こいつは恐らく普通に強い。
 僕はそいつとの距離を詰めて、剣を振って攻撃を放つが、相手の左腕によって防がれる。
「なんつー硬さしてんだよ!」
「ハハハハハ!」
 僕のその発言でそいつは調子に乗り、右腕で拳を放ってくるが、その瞬間そいつの装甲の様なものが剥がされる。
「なにぃ!?」
 突然の事で戸惑ったのか、そいつは一瞬隙を見せる。
 僕はその隙をついて頭部に剣での一撃を浴びせ、そいつを倒す。
「助かった」
「気にするな」
 僕は助けてくれたであろう陽翔に礼を言いつつ、周りを見渡す。
「もう全滅か?流石だな…」
 僕が数名の兵士を倒している間に、陽翔のやつはかなりの人数…下手すると100人以上かもれしないというレベルで倒している。まあ、そのおかげでこうして一息付けている訳だが。
「俺の能力は範囲制圧には便利だからな、逆にお前の能力は戦闘にはあまり向かないようだが…」
「まあ、確かにな」
 《破壊神》の能力で生み出したエネルギーを雑に放出しているだけで並の兵士ならば倒せてしまう上、恐らく陽翔はまだエネルギーを温存しながら戦っている。先程僕が戦っていた敵の装甲を剥がした時も、単に能力ブッパで倒すのではなく、表面を剥がすだけで能力の使用を抑えて後は僕に任せるという方法を取っていた。こういった面を見ると、やはりこいつは戦いのプロ何だなと思わされてしまう。
「にしても敵の増援が来ないな…」
「俺たちが来たことがバレてるんだろ、なら無駄な兵士を増援に向かわせるよりも自分で行ったほうが良いと考えるだろうな…あいつは」
「だとすると向こうから来てくれるってことか。ラッキーだな」
 龍桜の目的が"僕と陽翔の能力を奪うこと"である以上、龍桜から見ればその標的がわざわざ自分から自陣に突っ込んで来てくれているという状況となっている。この機を逃さずにこちらに向かってきているのだろう。
「さて、どっちが倒す?」
「そりゃ勿論俺だ」
「そうか、分かったよ。まあ、出来れば僕が倒したいんだけどな」
 僕と陽翔がそんな話をしていると、暗闇の中から声が聞こえてくる。
「やあ、陽翔君と・・・零君…だっけ?わざわざそちらから来てくれたこと、感謝するよ」
 瞬間、僕と陽翔は臨戦態勢に入り、声のした方向を向く。
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