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黎奈編
【黎奈編】#4 恋心
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「ねぇ黎奈。あんた、駿の事が好きなの?」
その日の夜、2人きりになったリビングで、陽向は黎奈に向かってそう問いを放つ。
「・・・・・」
いつものように椅子に座って本を読んでいた黎奈は、陽向の質問に一瞬顔を上げるが、その問いに答えることなくすぐに視線を本に戻す。
そんな黎奈を見て、陽向は「いつも通りね」と思い、ため息をつく。
「もし、あんたが俊のことを好きなら・・・やめておきなさい。」
「・・・なんで?」
それには流石の黎奈も反応し、顔を上げて陽向に視線を向ける。
それを見た陽向は「やっぱりそうか」と思いつつ、はっきりと、だが少し悲しそうにこう言う。
「その恋が絶対に叶わないからよ」
「・・・どういうこと?」
「さあね。じゃ、おやすみ」
それを聞いた黎奈は、わけが分からないといった様子で陽向に聞き返すが、陽向はしらばっくれてリビングを出ていってしまう。
___わけが分からない。
確かに私はシュン君の事が好きだ。シュン君と出会って約2年、その間ずっとシェアハウスで一緒に過ごして来た。シュン君は特別イケメンでも無ければ何かに秀でているわけでもない。だけど、優しくて細かな気遣いが出来て、この家の損な役回りを率先して行ってくれる。そんな人柄に私は惹かれた。
いつからだろうか?この気持ちが芽生え始めたのは?分からない。だけどこの気持ちは本物だ。
「それが叶わないって・・・」
先程の陽向の言葉を思い出して、私は思わず呟く。陽向はなぜ故にそれを断言出来るのか?
そういえばシュン君と陽向は私がこのシェアハウスに来た時にはもう既にここで暮らしていた。しかも、かなり仲が良さそうで距離感も近く、それこそ"恋人"の様に・・・
「・・・!」
脳内に嫌な思考が駆け巡る。
「違う・・・絶対に違う・・・」
私はそう呟きながら、その思考を止めるために、読みかけの本に意識を戻すのだった。
「悪いな、結希。荷物持ちなんて頼んじゃって」
「えへへ。大丈夫ですよ~!お兄ちゃんの役に立てて嬉しいです!」
「そうか、そう言ってもらえると嬉しいよ」
翌日の夕方、いつもの買い出しの帰り道で、僕と結希はそんな会話をしていた。
今日はいつもよりも買う予定の物が多くあり、一人では持って帰れそうに無かったので結希についてきてもらっていたのだ。
「なんで今日はこんなに多く買ったんですか?しかもちょいちょい高価な食べ物まで買ってありますし」
「まあ、それはまだ秘密だ。まあすぐに分かるさ」
「そうですか、じゃあ楽しみにしておきますね!」
そう言って結希は満面の笑みを浮かべる・・・かわいい。
いや、何と言うか結希からはマスコット的な可愛さを感じるのだ。決して僕がロリコンと言うわけではないよ!?
「そういえば、私とお兄ちゃんが出会ってもうすぐ1年ですね」
「そういえばそうだな」
約2年前に黎奈と琉輝がシェアハウスに来て、1年弱程前に結希がシェアハウスに来たため、このシェアハウスでは結希が一番の新入りだ。
「あ、言い忘れてたけど、明日僕と陽向は家にいないから、よろしく!」
「お、もしかしてデートですか?」
「違う。まあ色々とあるんだよ」
そう、僕たちには色々と事情があるのだ。
夏休みのある日、僕は勝海の家で勝海と格ゲーをしていた。
「彼女が欲しい」
「どうしたんだ急に」
格ゲー中、突然そんな事を言い出す勝海に、僕は困惑する。ちなみに僕たちがやっている格ゲーは、僕が陽向とよくやっているやつだ。
「いや、だってな?俺ももう17歳になるのに彼女なんて出来たことが無いんだよ!」
「そうか、それは残念だったな」
「そうなんだよ!俺はこんなにも魅力的なのに女は誰も寄ってこない!なぜだ!?」
「そういうとこなんじゃね?知らんけど・・・っと、僕の勝ちだな」
「それはどういうことだよ!って話は置いといて、なんかお前強くね?」
ここまで勝海とタイマンで15戦やって15勝0敗、僕は勝海相手に無双していた。
「俺もそこそこ上手いつもりだったんだがな・・・」
「いや、十分上手いよ」
「それ以上に陽向が強すぎるだけで」という言葉を飲み込む。
このゲームの陽向の腕前は十分プロともやり合える程だ。そんな陽向に勝ちたくて何度も何度も挑戦し、何度も何度も負け続け、そのたびに敗因を研究し続けた結果、いつの間にか僕もそこそこ上手くなっていた。
それでも陽向には1勝も出来ないのだが、中級者レベルの勝海相手なら余裕で勝つ事が出来る。
「良いよな~お前はゲームも上手くて彼女もいて!」
隣に座ってゲームをしていた勝海が、座ったまま背伸びをしながら妬むように僕にそう言ってくる。
「・・・僕、彼女いないけど?」
「嘘だろ!?じゃあこの前のショッピングモールの女の子は!?」
「だからデートしてた訳じゃないって言っただろ」
「おお親友よ、お前もこちら側だったとはな」
僕のその発言を聞いた瞬間、手のひらをひっくり返した様に勝海が手を広げてこちらを向く。
ちなみに勝海は僕がシェアハウスをしていることを知らない。だからこそのこの発言なのだろうが・・・まあ、現在は彼女が居ないため実際そうなのだが。
その日の夜、2人きりになったリビングで、陽向は黎奈に向かってそう問いを放つ。
「・・・・・」
いつものように椅子に座って本を読んでいた黎奈は、陽向の質問に一瞬顔を上げるが、その問いに答えることなくすぐに視線を本に戻す。
そんな黎奈を見て、陽向は「いつも通りね」と思い、ため息をつく。
「もし、あんたが俊のことを好きなら・・・やめておきなさい。」
「・・・なんで?」
それには流石の黎奈も反応し、顔を上げて陽向に視線を向ける。
それを見た陽向は「やっぱりそうか」と思いつつ、はっきりと、だが少し悲しそうにこう言う。
「その恋が絶対に叶わないからよ」
「・・・どういうこと?」
「さあね。じゃ、おやすみ」
それを聞いた黎奈は、わけが分からないといった様子で陽向に聞き返すが、陽向はしらばっくれてリビングを出ていってしまう。
___わけが分からない。
確かに私はシュン君の事が好きだ。シュン君と出会って約2年、その間ずっとシェアハウスで一緒に過ごして来た。シュン君は特別イケメンでも無ければ何かに秀でているわけでもない。だけど、優しくて細かな気遣いが出来て、この家の損な役回りを率先して行ってくれる。そんな人柄に私は惹かれた。
いつからだろうか?この気持ちが芽生え始めたのは?分からない。だけどこの気持ちは本物だ。
「それが叶わないって・・・」
先程の陽向の言葉を思い出して、私は思わず呟く。陽向はなぜ故にそれを断言出来るのか?
そういえばシュン君と陽向は私がこのシェアハウスに来た時にはもう既にここで暮らしていた。しかも、かなり仲が良さそうで距離感も近く、それこそ"恋人"の様に・・・
「・・・!」
脳内に嫌な思考が駆け巡る。
「違う・・・絶対に違う・・・」
私はそう呟きながら、その思考を止めるために、読みかけの本に意識を戻すのだった。
「悪いな、結希。荷物持ちなんて頼んじゃって」
「えへへ。大丈夫ですよ~!お兄ちゃんの役に立てて嬉しいです!」
「そうか、そう言ってもらえると嬉しいよ」
翌日の夕方、いつもの買い出しの帰り道で、僕と結希はそんな会話をしていた。
今日はいつもよりも買う予定の物が多くあり、一人では持って帰れそうに無かったので結希についてきてもらっていたのだ。
「なんで今日はこんなに多く買ったんですか?しかもちょいちょい高価な食べ物まで買ってありますし」
「まあ、それはまだ秘密だ。まあすぐに分かるさ」
「そうですか、じゃあ楽しみにしておきますね!」
そう言って結希は満面の笑みを浮かべる・・・かわいい。
いや、何と言うか結希からはマスコット的な可愛さを感じるのだ。決して僕がロリコンと言うわけではないよ!?
「そういえば、私とお兄ちゃんが出会ってもうすぐ1年ですね」
「そういえばそうだな」
約2年前に黎奈と琉輝がシェアハウスに来て、1年弱程前に結希がシェアハウスに来たため、このシェアハウスでは結希が一番の新入りだ。
「あ、言い忘れてたけど、明日僕と陽向は家にいないから、よろしく!」
「お、もしかしてデートですか?」
「違う。まあ色々とあるんだよ」
そう、僕たちには色々と事情があるのだ。
夏休みのある日、僕は勝海の家で勝海と格ゲーをしていた。
「彼女が欲しい」
「どうしたんだ急に」
格ゲー中、突然そんな事を言い出す勝海に、僕は困惑する。ちなみに僕たちがやっている格ゲーは、僕が陽向とよくやっているやつだ。
「いや、だってな?俺ももう17歳になるのに彼女なんて出来たことが無いんだよ!」
「そうか、それは残念だったな」
「そうなんだよ!俺はこんなにも魅力的なのに女は誰も寄ってこない!なぜだ!?」
「そういうとこなんじゃね?知らんけど・・・っと、僕の勝ちだな」
「それはどういうことだよ!って話は置いといて、なんかお前強くね?」
ここまで勝海とタイマンで15戦やって15勝0敗、僕は勝海相手に無双していた。
「俺もそこそこ上手いつもりだったんだがな・・・」
「いや、十分上手いよ」
「それ以上に陽向が強すぎるだけで」という言葉を飲み込む。
このゲームの陽向の腕前は十分プロともやり合える程だ。そんな陽向に勝ちたくて何度も何度も挑戦し、何度も何度も負け続け、そのたびに敗因を研究し続けた結果、いつの間にか僕もそこそこ上手くなっていた。
それでも陽向には1勝も出来ないのだが、中級者レベルの勝海相手なら余裕で勝つ事が出来る。
「良いよな~お前はゲームも上手くて彼女もいて!」
隣に座ってゲームをしていた勝海が、座ったまま背伸びをしながら妬むように僕にそう言ってくる。
「・・・僕、彼女いないけど?」
「嘘だろ!?じゃあこの前のショッピングモールの女の子は!?」
「だからデートしてた訳じゃないって言っただろ」
「おお親友よ、お前もこちら側だったとはな」
僕のその発言を聞いた瞬間、手のひらをひっくり返した様に勝海が手を広げてこちらを向く。
ちなみに勝海は僕がシェアハウスをしていることを知らない。だからこそのこの発言なのだろうが・・・まあ、現在は彼女が居ないため実際そうなのだが。
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