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琉輝編
【琉輝編】#2 出発
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「・・・というわけで、今週末は僕と琉輝は居ないからな」
翌日の朝、僕は同じテーブルで結希の作った朝食を食べる3人に、週末に琉輝と2人で旅館の手伝いをしに行くという事を伝えていた。
「・・・シュン君?」
そう名前を呼ばれたため、黎奈の方を向くと、黎奈は頬を膨らませて少しだけ起こったような表情でこちらを睨んで来ていた。
あの日以来、以前に比べて黎奈は感情を表に出すことが多くなり、僕は申し訳無さを覚えつつ、嬉しく感じている。
まあ、黎奈の動作からを察するに「私を振っておいて琉輝と一緒に出掛けるのか」と思っているのだろう。
「ごめんな、だけど琉輝が心配でさ。少しでも経験を積ませておきたいんだよ」
「・・・分かった」
僕がそう言うと、黎奈はしょんぼりとしつつも、納得してくれた。そんな黎奈の様子に、僕は罪悪感を感じてしまう。
「じゃあさ・・・」
僕と黎奈の会話を聞いていた陽向が、何か思いついた様子で手を叩きながら口を開く。
「私達は旅行に行きましょう!」
「おお~~!いいですね!」
そんな陽向の提案に、結希が目を輝かせて賛同する。
「いいんじゃないか?今年の夏休みはどこにも行ってなかったし、お前らだけでも楽しんでこいよ」
「はぁ?何言ってんのよ。旅行の宿、あんたらが手伝う旅館にするから」
「え、ちょっ・・・はあ!?」
「・・・いいね」
「いいですねぇ、そうしましょう!」
ニヤニヤしながらそう言う陽向に、僕は戸惑いの声を上げ、黎奈と結希は賛同の声を上げている。
陽向のやつ、頭がかなりキレやがる。流石はゲーマーと言った所か・・・
「で、あんたらが手伝う旅館ってどこなのよ」
「こっから電車で4時間くらい行った所の近くの温泉街だな」
「あ、そこ知ってます!結構有名な所ですよね!」
「おっ、結希詳しいな。まあ、だからこの時期は客が多くて手が回らないんだろうな」
「楽しみですね~!温泉街♪温泉街♪」
ウキウキした様子で結希は体を前後に揺らす。
「・・・んまあ、行くからには皆楽しめよ」
僕はそう言って再び飯を食い始める。旅館の手伝い中、時間を調整して琉輝は陽向たちと観光させるつもりだが、僕は編集もあるからな…恐らく死ぬほど働く事になるだろう。まあ、それでも別にいいんだけどな。
それにしても結希の作る飯はやっぱり美味いな。なんでこんなに飯を作るのが上手いんだよ。
「じゃあ、しゅっぱ~つ!」
「「「お~~~!」」」
週末、今から温泉街に行く僕たちは鉄道の駅でそう叫んでいた。
現在時刻は午前7時半、まだ朝も早いため、当然ながら叫んだら普通に迷惑だ。
「今から4時間、電車に乗るわけだが…お前ら何かする事はあるのか?」
「ボクは特に無いよ」
「・・・考えてない」
「トランプは持ってきたわよ?」
「トランプ良いですね~!」
「おう、そうか」
4時間トランプをやり続けるのか?琉輝と黎奈は特に何も考えてないみたいだし、結希が何かしら考えていたとしても、そんなに時間を潰せるものとは思えないからな。
まあ、最悪僕は編集でもすればいいのだが、せっかくだから皆と遊びたいしな。
『まもなく、電車が参ります…』
「おっ!電車が来たみたいですよ!」
僕がそんな事を考えていると、駅のアナウンスと共に電車の走行音が聞こえてくる。
「じゃあ、行くか!」
僕はそう言って電車に乗り込み、それに続いて他の皆も次々と電車に乗り込んでいく。
「ババ抜きしましょう!」
そんな結希の言葉から、電車内でのトランプゲームはババ抜きをする事に決まった。
電車の中は案外広く、対面席があったのでそこに座る。僕の右隣に陽向、反対側には僕から見て左から黎奈、琉輝、結希という並びで座っている。
「いいわよ、でも普通にやるってのもあれじゃない?」
「じゃあ、罰ゲームありでやるってこと?」
「そうよ、琉輝もわかってるじゃない!」
「いいと思います!」
「・・・私も」
てな感じでトントンと罰ゲームありでやる流れになっているが・・・
「しゅんもそれでいいわよね?」
「・・・あ、ああ…」
陽向に聞かれて、僕は若干歯切れ悪くそう答える。僕ってこういうのをやると決まって負けるんだよなぁ。
まあ、当然参加はするのだが。
「知ってたよ!」
数分後、僕は目の前の惨状を目の当たりにしてそう叫んでいた。
もう既に琉輝が1位、陽向が2位、黎奈が3位であがっており、残りは僕と結希だけだ。
僕の手札はJOKERとダイヤのエース。これまででた札を見るに、結希の持っているのはクローバーのエースだろう。そして次は結希が僕のカードを引く番だ。
「ふふ~ん!お兄ちゃん、覚悟の準備をしておいてくださいね!」
結希はそう言いながら、僕の持っている2枚のカードを交互に触る。
「残念だが、今回こそは僕が勝たせてもらうぞ!」
僕がそう言った瞬間、結希は僕の持っていたカードを引く。
「・・・!」
「・・・!?」
そう、僕の持っていた"ダイヤのエース"を……
「やった~~~!勝ちましたぁ!」
「クッソ!終わったぁ!!」
てな感じで案の定僕は負けてしまったわけなのだが、一体どんな罰ゲームが待っているのだろうか?
「で、駿君の罰ゲームはどうするの?」
「・・・どうしよ」
「じゃあ、1位の琉輝の命令を何でも1つ聞くって事にしましょう!」
「・・・む…」
「え?いいの?」
ん?あれ、なんかこの流れ、どこかで見た事あるような気がするぞ?そうだそうだ、黎奈にババ抜きでボコボコにされた時と同じだ!思い出したわ。
「・・・終わったぁ…」
「今は何も思いつかないから後でいい?」
「ええ、いいわよ」
どうやら猶予を頂けるらしい。僕はその間、せいぜいヤバくない命令が来ることを祈っておくとするか。
翌日の朝、僕は同じテーブルで結希の作った朝食を食べる3人に、週末に琉輝と2人で旅館の手伝いをしに行くという事を伝えていた。
「・・・シュン君?」
そう名前を呼ばれたため、黎奈の方を向くと、黎奈は頬を膨らませて少しだけ起こったような表情でこちらを睨んで来ていた。
あの日以来、以前に比べて黎奈は感情を表に出すことが多くなり、僕は申し訳無さを覚えつつ、嬉しく感じている。
まあ、黎奈の動作からを察するに「私を振っておいて琉輝と一緒に出掛けるのか」と思っているのだろう。
「ごめんな、だけど琉輝が心配でさ。少しでも経験を積ませておきたいんだよ」
「・・・分かった」
僕がそう言うと、黎奈はしょんぼりとしつつも、納得してくれた。そんな黎奈の様子に、僕は罪悪感を感じてしまう。
「じゃあさ・・・」
僕と黎奈の会話を聞いていた陽向が、何か思いついた様子で手を叩きながら口を開く。
「私達は旅行に行きましょう!」
「おお~~!いいですね!」
そんな陽向の提案に、結希が目を輝かせて賛同する。
「いいんじゃないか?今年の夏休みはどこにも行ってなかったし、お前らだけでも楽しんでこいよ」
「はぁ?何言ってんのよ。旅行の宿、あんたらが手伝う旅館にするから」
「え、ちょっ・・・はあ!?」
「・・・いいね」
「いいですねぇ、そうしましょう!」
ニヤニヤしながらそう言う陽向に、僕は戸惑いの声を上げ、黎奈と結希は賛同の声を上げている。
陽向のやつ、頭がかなりキレやがる。流石はゲーマーと言った所か・・・
「で、あんたらが手伝う旅館ってどこなのよ」
「こっから電車で4時間くらい行った所の近くの温泉街だな」
「あ、そこ知ってます!結構有名な所ですよね!」
「おっ、結希詳しいな。まあ、だからこの時期は客が多くて手が回らないんだろうな」
「楽しみですね~!温泉街♪温泉街♪」
ウキウキした様子で結希は体を前後に揺らす。
「・・・んまあ、行くからには皆楽しめよ」
僕はそう言って再び飯を食い始める。旅館の手伝い中、時間を調整して琉輝は陽向たちと観光させるつもりだが、僕は編集もあるからな…恐らく死ぬほど働く事になるだろう。まあ、それでも別にいいんだけどな。
それにしても結希の作る飯はやっぱり美味いな。なんでこんなに飯を作るのが上手いんだよ。
「じゃあ、しゅっぱ~つ!」
「「「お~~~!」」」
週末、今から温泉街に行く僕たちは鉄道の駅でそう叫んでいた。
現在時刻は午前7時半、まだ朝も早いため、当然ながら叫んだら普通に迷惑だ。
「今から4時間、電車に乗るわけだが…お前ら何かする事はあるのか?」
「ボクは特に無いよ」
「・・・考えてない」
「トランプは持ってきたわよ?」
「トランプ良いですね~!」
「おう、そうか」
4時間トランプをやり続けるのか?琉輝と黎奈は特に何も考えてないみたいだし、結希が何かしら考えていたとしても、そんなに時間を潰せるものとは思えないからな。
まあ、最悪僕は編集でもすればいいのだが、せっかくだから皆と遊びたいしな。
『まもなく、電車が参ります…』
「おっ!電車が来たみたいですよ!」
僕がそんな事を考えていると、駅のアナウンスと共に電車の走行音が聞こえてくる。
「じゃあ、行くか!」
僕はそう言って電車に乗り込み、それに続いて他の皆も次々と電車に乗り込んでいく。
「ババ抜きしましょう!」
そんな結希の言葉から、電車内でのトランプゲームはババ抜きをする事に決まった。
電車の中は案外広く、対面席があったのでそこに座る。僕の右隣に陽向、反対側には僕から見て左から黎奈、琉輝、結希という並びで座っている。
「いいわよ、でも普通にやるってのもあれじゃない?」
「じゃあ、罰ゲームありでやるってこと?」
「そうよ、琉輝もわかってるじゃない!」
「いいと思います!」
「・・・私も」
てな感じでトントンと罰ゲームありでやる流れになっているが・・・
「しゅんもそれでいいわよね?」
「・・・あ、ああ…」
陽向に聞かれて、僕は若干歯切れ悪くそう答える。僕ってこういうのをやると決まって負けるんだよなぁ。
まあ、当然参加はするのだが。
「知ってたよ!」
数分後、僕は目の前の惨状を目の当たりにしてそう叫んでいた。
もう既に琉輝が1位、陽向が2位、黎奈が3位であがっており、残りは僕と結希だけだ。
僕の手札はJOKERとダイヤのエース。これまででた札を見るに、結希の持っているのはクローバーのエースだろう。そして次は結希が僕のカードを引く番だ。
「ふふ~ん!お兄ちゃん、覚悟の準備をしておいてくださいね!」
結希はそう言いながら、僕の持っている2枚のカードを交互に触る。
「残念だが、今回こそは僕が勝たせてもらうぞ!」
僕がそう言った瞬間、結希は僕の持っていたカードを引く。
「・・・!」
「・・・!?」
そう、僕の持っていた"ダイヤのエース"を……
「やった~~~!勝ちましたぁ!」
「クッソ!終わったぁ!!」
てな感じで案の定僕は負けてしまったわけなのだが、一体どんな罰ゲームが待っているのだろうか?
「で、駿君の罰ゲームはどうするの?」
「・・・どうしよ」
「じゃあ、1位の琉輝の命令を何でも1つ聞くって事にしましょう!」
「・・・む…」
「え?いいの?」
ん?あれ、なんかこの流れ、どこかで見た事あるような気がするぞ?そうだそうだ、黎奈にババ抜きでボコボコにされた時と同じだ!思い出したわ。
「・・・終わったぁ…」
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