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琉輝編
【琉輝編】#3 観光
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「着いたぞ~!」
あの後も電車の中でトランプやら何やらして過ごし、数時間の長旅を終えて、僕たちは温泉街に着いていた。
「ったくもう…体が痛いわね」
「・・・私も痛い…」
「ハハッ、まあ何時間も座ってたからな」
陽向と黎奈はそう言いながら腰を伸ばす。それに比べて結希と琉輝は意外と平気そうな様子だ。元気いっぱいな結希はともかく、琉輝が平気なのは常日頃からパソコンに向かって何時間も座っており慣れているからだろう。
「よし!じゃあ早速観光するぞ!」
「あれ?駿君、手伝いは?」
「ああ、旅館の手伝いは夕方からだな。それまでは観光するとしようか」
僕にとっては旅館の手伝いを始める夕方までがこの温泉街を観光できる唯一の時間だからな。
「あらかじめこの街の観光スポットをリストアップしておいたから、行きたいところを選んでくれ!」
僕はそう言ってカバンの中からルーズリーフのフォルダを取り出して琉輝に手渡す。
「おお、さすがお兄ちゃん!準備が良いですね!」
「あんたが一番楽しもうとしてるじゃない」
「まあな!」
せっかくの機会なのだ、楽しまなければ損というやつであろう。それにみんなにも楽しんで欲しいしな。
「あ、ボクこの『足湯に浸かれるカフェ』ってとこ行ってみたい」
「・・・私も行きたい」
リストに目を通していた琉輝はそう言いながらリストのカフェを指差してそう言う。コーヒーが好きな黎奈も行きたいようで琉輝に賛成している。
「良いですね、温泉街っぽくて!」
「まあ、いいんじゃない?」
「よし、じゃあカフェに行くぞ~!」
結希と陽向も異論は無いようなので、僕はカフェがある方向に体を向けて歩き出す。
「方向まで覚えてるとはね・・・」
・・・後ろから聞こえてきた陽向の呆れたような声は聞かなかったことにしよう…
「あぁ…気持ちいぃですねぇ」
「そうね、温度もちょうどいいわ」
「これはいいねぇ」
足湯に浸かってぐったりしている結希と陽向も琉輝の3人を眺めつつ、僕は注文したコーヒーを飲む。
この『足湯に浸かれるカフェ』は屋内の飲食スペースと屋外の飲食スペースがあり、足湯に浸かれるのは屋外の方だ。屋外は土足禁止で、店内から外に出る時に靴と靴下を脱ぎ、カウンター式のテーブルの足元が足湯になっており、座ると湯に浸かれるようになっている。
「・・・ん、美味しい・・・」
「そうか、黎奈の口に合ったようでよかったよ」
僕は満足気な表情でコーヒーを飲む黎奈を見て少しだけ安心する。このカフェをリストに加えたのはコーヒー好きな黎奈の為でもあったからな、気に入ってもらえて嬉しい。
「・・・足湯…気持ちいいね」
「ああ、そうだなぁ…」
とにかく、みんな満足してくれているようで僕もハッピーになれるな。
「じゃ、僕と琉輝はこれから旅館の手伝いに行くから!」
「それじゃ、行ってくるね」
あの後、数時間この街を観光していて、気がつけばもう4時を過ぎていた。僕と琉輝はこれから旅館の手伝いがあるため、ここで一旦みんなとは別れる事になる。
「琉輝ちゃん頑張ってくださいね!」
「無理するんじゃないわよ?」
「出来る限り頑張るよ…」
やっぱり普段引き籠もっている琉輝がバイトをするということで、結希と陽向は心配そうな声を掛けている。声には出していないが、その後ろで黎奈も表情を変えずに右手をグッと突き出して親指を立てている。黎奈なりのエールのつもりなのだろうが、傍から見たら少しシュールで面白く見えてしまう。
「まぁ、僕が助けるから心配しなくて大丈夫だよ」
「ほんとかねぇ…」
僕の頼もしい(多分)のセリフに疑いの視線を向けてくる陽向。失礼なやつだな、僕はこんなにも頼もしい(よな?)のに・・・
「じゃあ琉輝、行くか!」
「そうだね」
旅館はここから10分ほど歩いたところにあるため、僕は琉輝にそう声を掛けながらそちらの方向に向かって歩き出す。
もちろん旅館での琉輝のバイトは心配することも多いが、琉輝なら何とか出来ると信じている・・・
なんてったって琉輝は自慢の『 』だからな!
あの後も電車の中でトランプやら何やらして過ごし、数時間の長旅を終えて、僕たちは温泉街に着いていた。
「ったくもう…体が痛いわね」
「・・・私も痛い…」
「ハハッ、まあ何時間も座ってたからな」
陽向と黎奈はそう言いながら腰を伸ばす。それに比べて結希と琉輝は意外と平気そうな様子だ。元気いっぱいな結希はともかく、琉輝が平気なのは常日頃からパソコンに向かって何時間も座っており慣れているからだろう。
「よし!じゃあ早速観光するぞ!」
「あれ?駿君、手伝いは?」
「ああ、旅館の手伝いは夕方からだな。それまでは観光するとしようか」
僕にとっては旅館の手伝いを始める夕方までがこの温泉街を観光できる唯一の時間だからな。
「あらかじめこの街の観光スポットをリストアップしておいたから、行きたいところを選んでくれ!」
僕はそう言ってカバンの中からルーズリーフのフォルダを取り出して琉輝に手渡す。
「おお、さすがお兄ちゃん!準備が良いですね!」
「あんたが一番楽しもうとしてるじゃない」
「まあな!」
せっかくの機会なのだ、楽しまなければ損というやつであろう。それにみんなにも楽しんで欲しいしな。
「あ、ボクこの『足湯に浸かれるカフェ』ってとこ行ってみたい」
「・・・私も行きたい」
リストに目を通していた琉輝はそう言いながらリストのカフェを指差してそう言う。コーヒーが好きな黎奈も行きたいようで琉輝に賛成している。
「良いですね、温泉街っぽくて!」
「まあ、いいんじゃない?」
「よし、じゃあカフェに行くぞ~!」
結希と陽向も異論は無いようなので、僕はカフェがある方向に体を向けて歩き出す。
「方向まで覚えてるとはね・・・」
・・・後ろから聞こえてきた陽向の呆れたような声は聞かなかったことにしよう…
「あぁ…気持ちいぃですねぇ」
「そうね、温度もちょうどいいわ」
「これはいいねぇ」
足湯に浸かってぐったりしている結希と陽向も琉輝の3人を眺めつつ、僕は注文したコーヒーを飲む。
この『足湯に浸かれるカフェ』は屋内の飲食スペースと屋外の飲食スペースがあり、足湯に浸かれるのは屋外の方だ。屋外は土足禁止で、店内から外に出る時に靴と靴下を脱ぎ、カウンター式のテーブルの足元が足湯になっており、座ると湯に浸かれるようになっている。
「・・・ん、美味しい・・・」
「そうか、黎奈の口に合ったようでよかったよ」
僕は満足気な表情でコーヒーを飲む黎奈を見て少しだけ安心する。このカフェをリストに加えたのはコーヒー好きな黎奈の為でもあったからな、気に入ってもらえて嬉しい。
「・・・足湯…気持ちいいね」
「ああ、そうだなぁ…」
とにかく、みんな満足してくれているようで僕もハッピーになれるな。
「じゃ、僕と琉輝はこれから旅館の手伝いに行くから!」
「それじゃ、行ってくるね」
あの後、数時間この街を観光していて、気がつけばもう4時を過ぎていた。僕と琉輝はこれから旅館の手伝いがあるため、ここで一旦みんなとは別れる事になる。
「琉輝ちゃん頑張ってくださいね!」
「無理するんじゃないわよ?」
「出来る限り頑張るよ…」
やっぱり普段引き籠もっている琉輝がバイトをするということで、結希と陽向は心配そうな声を掛けている。声には出していないが、その後ろで黎奈も表情を変えずに右手をグッと突き出して親指を立てている。黎奈なりのエールのつもりなのだろうが、傍から見たら少しシュールで面白く見えてしまう。
「まぁ、僕が助けるから心配しなくて大丈夫だよ」
「ほんとかねぇ…」
僕の頼もしい(多分)のセリフに疑いの視線を向けてくる陽向。失礼なやつだな、僕はこんなにも頼もしい(よな?)のに・・・
「じゃあ琉輝、行くか!」
「そうだね」
旅館はここから10分ほど歩いたところにあるため、僕は琉輝にそう声を掛けながらそちらの方向に向かって歩き出す。
もちろん旅館での琉輝のバイトは心配することも多いが、琉輝なら何とか出来ると信じている・・・
なんてったって琉輝は自慢の『 』だからな!
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