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陽向編
【陽向編】#3 「付き合って」
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「…私と付き合って」
陽向にそう告白された。衝撃的だった。だって、陽向からそんな言葉を聞くとは思ってもいなかったからだ。
陽向と出会って1年半…陽向とはもっと違う…少し離れた悪友の様な関係がこの先もずっと続いていくと思っていた。だからこそ、俺は凄まじい衝撃を受けてその告白に答えることが出来なかった。
「…ごめん、陽向。少し考える時間をくれ」
「・・・うん、分かったわ」
少し呼吸が乱れている陽向の様子からして、よくよく悩んだ末に勇気を出して告白してくれたのだろう。だから俺もよく考えなくてはならない。陽向の気持ちを無下にすることは出来ないから。
「陽向から告白された」
「おう、そうか」
その日の夜、陽向が眠りについた後に、俺ははるかさんにそんな話を切り出していた。
「別に付き合いたいんなら付き合えば良いじゃないか。お前も別に陽向の事が嫌いな訳じゃ無いんだろ?」
「まぁ…それはそうだけどさ…怖いんだよ、俺は。これまでの陽向との関係が変わるのが」
そうだ、ここで告白に答えてしまえば俺と陽向の関係は"家族"から"恋人"に変わる。もしかするとそうなってしまえば、もう二度と元の関係…二人でバカやって互いに笑い合う関係には戻れなくなってしまうのではないかと不安なのだ。
「はぁ…駿、一つ話をしてやろう」
そんな俺の様子を見たはるかさんは俺の肩を軽く叩いてそう語りだす。
「昔、ある男にプロポーズされたんだ。そいつとは昔からの腐れ縁でさ、まさかと耳を疑ったよ。でも、その今までの関係が壊れてしまうかもしれない…そんな不安に勝ってプロポーズしてくれたそいつの気持ちが私はたまらなく嬉しかった。だからそのプロポーズを受けて私達は結婚した…」
「・・・その後は?」
「それは…まあいいだろ。だからつまり、今の陽向もそいつと同じって事だ。お前は告白に答えることで今までの関係が壊れてしまうのを恐れているみたいだが、陽向も告白する時その気持ちを抱えていたんだ。だから、そんな不安を抜きにしたお前の単純な気持ちだけでその告白に答えろ!そうすりゃ、何も問題は無いだろ」
そうか、そうだな。やっぱり俺は自分の事しか考えられていなかったんだ。告白してきた陽向の覚悟を無下にして、自分だけが関係が変わるのを恐れて…なんて自己中心的なんだ。
陽向が覚悟を決めて告白してきてくれたのなら、俺も覚悟を決めてそれに応えるしか無いのだ。
「それに、恋人になったところで陽向はあんまり変わらないと思うぞ?」
「はるかさん、ありがとう。俺、決めたよ」
「おうそうか、まあ、後悔の無いようにな」
俺ははるかさんにお礼を言って、座っていた椅子から立ち上がって、リビングを出ていく。
「…で、付き合うのか付き合わないのか、どっちにするの?」
翌日、俺は陽向の部屋へと足を運んでいた。理由は当然、昨日の告白の返事をするためだ。
心臓の音がうるさい。覚悟を決めたつもりでいたが、それでも僕の心臓はバクバクと悲鳴を上げている。
「陽向…俺はお前とはずっと悪友みたいな関係でいると思っていた、だからお前から告白されたとき驚いたよ。」
僕は前置きしてからその続きを告げる。
「でも、俺はお前に告白されて嬉しかった。凄く…嬉しかったんだ。なぁ、陽向…俺と付き合ってくれ」
俺は震える声で、そう最後まで言い切る。俺は陽向の事が好きだ、その気持ちに嘘はない。
「うんっ!駿、好きよ…!」
「ああ、俺もだよ」
目に涙を浮かべながら俺に向かって抱きついてくる陽向を、俺はそれに応えるように強く抱きしめる___
「お兄ちゃん、大丈夫ですか?疲れてるなら自分の部屋で寝たほうが良いと思いますけど」
「・・・ん、ああ、有希か…いや、大丈夫だっ…少し仮眠してただけだからな」
僕はそう言ってソファから身体を起こして立ち上がる。
あれは?もう3年以上も前の記憶か。陽向に告白されて…付き合う事になって…色々あったけどなんだかんだ幸せで…それで…それで…?
「わわっ!お兄ちゃん大丈夫ですか!?」
そこで僕は少し身体のバランスを崩してしまい、ふらついてしまう。
いや、大丈夫だ。"あの日"の選択は間違っていなかったんだ。
僕は痛む頭を抑えながら、自分にそう言い聞かせて乱れた呼吸を整えるのだった。
陽向にそう告白された。衝撃的だった。だって、陽向からそんな言葉を聞くとは思ってもいなかったからだ。
陽向と出会って1年半…陽向とはもっと違う…少し離れた悪友の様な関係がこの先もずっと続いていくと思っていた。だからこそ、俺は凄まじい衝撃を受けてその告白に答えることが出来なかった。
「…ごめん、陽向。少し考える時間をくれ」
「・・・うん、分かったわ」
少し呼吸が乱れている陽向の様子からして、よくよく悩んだ末に勇気を出して告白してくれたのだろう。だから俺もよく考えなくてはならない。陽向の気持ちを無下にすることは出来ないから。
「陽向から告白された」
「おう、そうか」
その日の夜、陽向が眠りについた後に、俺ははるかさんにそんな話を切り出していた。
「別に付き合いたいんなら付き合えば良いじゃないか。お前も別に陽向の事が嫌いな訳じゃ無いんだろ?」
「まぁ…それはそうだけどさ…怖いんだよ、俺は。これまでの陽向との関係が変わるのが」
そうだ、ここで告白に答えてしまえば俺と陽向の関係は"家族"から"恋人"に変わる。もしかするとそうなってしまえば、もう二度と元の関係…二人でバカやって互いに笑い合う関係には戻れなくなってしまうのではないかと不安なのだ。
「はぁ…駿、一つ話をしてやろう」
そんな俺の様子を見たはるかさんは俺の肩を軽く叩いてそう語りだす。
「昔、ある男にプロポーズされたんだ。そいつとは昔からの腐れ縁でさ、まさかと耳を疑ったよ。でも、その今までの関係が壊れてしまうかもしれない…そんな不安に勝ってプロポーズしてくれたそいつの気持ちが私はたまらなく嬉しかった。だからそのプロポーズを受けて私達は結婚した…」
「・・・その後は?」
「それは…まあいいだろ。だからつまり、今の陽向もそいつと同じって事だ。お前は告白に答えることで今までの関係が壊れてしまうのを恐れているみたいだが、陽向も告白する時その気持ちを抱えていたんだ。だから、そんな不安を抜きにしたお前の単純な気持ちだけでその告白に答えろ!そうすりゃ、何も問題は無いだろ」
そうか、そうだな。やっぱり俺は自分の事しか考えられていなかったんだ。告白してきた陽向の覚悟を無下にして、自分だけが関係が変わるのを恐れて…なんて自己中心的なんだ。
陽向が覚悟を決めて告白してきてくれたのなら、俺も覚悟を決めてそれに応えるしか無いのだ。
「それに、恋人になったところで陽向はあんまり変わらないと思うぞ?」
「はるかさん、ありがとう。俺、決めたよ」
「おうそうか、まあ、後悔の無いようにな」
俺ははるかさんにお礼を言って、座っていた椅子から立ち上がって、リビングを出ていく。
「…で、付き合うのか付き合わないのか、どっちにするの?」
翌日、俺は陽向の部屋へと足を運んでいた。理由は当然、昨日の告白の返事をするためだ。
心臓の音がうるさい。覚悟を決めたつもりでいたが、それでも僕の心臓はバクバクと悲鳴を上げている。
「陽向…俺はお前とはずっと悪友みたいな関係でいると思っていた、だからお前から告白されたとき驚いたよ。」
僕は前置きしてからその続きを告げる。
「でも、俺はお前に告白されて嬉しかった。凄く…嬉しかったんだ。なぁ、陽向…俺と付き合ってくれ」
俺は震える声で、そう最後まで言い切る。俺は陽向の事が好きだ、その気持ちに嘘はない。
「うんっ!駿、好きよ…!」
「ああ、俺もだよ」
目に涙を浮かべながら俺に向かって抱きついてくる陽向を、俺はそれに応えるように強く抱きしめる___
「お兄ちゃん、大丈夫ですか?疲れてるなら自分の部屋で寝たほうが良いと思いますけど」
「・・・ん、ああ、有希か…いや、大丈夫だっ…少し仮眠してただけだからな」
僕はそう言ってソファから身体を起こして立ち上がる。
あれは?もう3年以上も前の記憶か。陽向に告白されて…付き合う事になって…色々あったけどなんだかんだ幸せで…それで…それで…?
「わわっ!お兄ちゃん大丈夫ですか!?」
そこで僕は少し身体のバランスを崩してしまい、ふらついてしまう。
いや、大丈夫だ。"あの日"の選択は間違っていなかったんだ。
僕は痛む頭を抑えながら、自分にそう言い聞かせて乱れた呼吸を整えるのだった。
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