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第10話 董卓さん、一途ですね

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グルダ・ガルダが光に消えた。
辺りには激戦を物語る様にあちらこちらの木々が破壊されている。

ゴリア「董卓殿!す、素晴らしい戦いぶりでした!‥そして、我が長老の仇打ちありがとうござ‥い‥まし‥た、グスッ」
ゴリアは泣くのを堪えていたのが我慢出来ずに泣き崩れてしまった。
村人「ゴリアさん、一旦村へ戻りましょうね。董卓様達も村へお越しくださいませ」
董卓達は村へと向かった

エルフの村

アリアナ「皆様、お帰りなさい!ご無事で何より‥」
董卓「アリアナ殿、長老の仇、取ったぞ!」
アリアナ「と、董卓様‥カオル様‥ありがとうございます‥!」
董卓「お前の兄上も、よう戦ってくれた、労ってやってくれ。」
アリアナ「‥はい!」
アリアナ殿は心持ち晴れ晴れしているようだった。

カオル「さ、さすがに疲れましたね‥」
董卓「ふむ、カオル殿の助けがなかったら危うかった‥感謝する」
カオル「い、いえ、董卓さんの力があってこそです」
カオル「魔法が効かない相手でも使い方次第ではなんとかなる!って分かりました。これからも頑張らないと!」
董卓「わしもじゃ‥自分の実力を過信しておった‥精進せねば」
カオル「僕、汗を流しに沐浴してきます。お先に失礼します」
董卓「うむ、ごゆるりと過ごせ」
カオル殿は沐浴か‥わしはどうしようかのぉ‥わしも汗を流しにいこうかのぉ‥
‥‥‥いやいやいや、これではまるでカオル殿の裸目当てではないか‼︎
‥でも、汗を流すのはほんとの事じゃし‥
カオル殿はわしを誘わなかったという事は、1人で入りたい気分じゃろうて‥邪魔する訳にはいかんな!
うむ、我慢じゃ!

アリアナ「‥董卓様、大丈夫ですか?」
董卓「アリアナ殿⁉︎いつからそこに⁉︎」
アリアナ「結構前からいましたが、考え事されていたので、そっとしておきました。ただ、余りにも長かったので声をかけさせて頂きました。
董卓「そ、そうか!何かあったか?」
アリアナ「お父様が董卓様をお探しです。ご一緒に来て頂いても宜しいでしょうか?」
董卓「うむ、わかった」

ゴリア宅

ゴリア「わざわざご足労ありがとうございます。この度は狼族の討伐感謝致します。娘だけでなく、我が村までもお救いになられた。そして長老の仇までも。感謝してもしつくせまん。」
董卓「そうかしこまるな。アリアナ殿はこんなわしでも冷ややかな目でみず、誠実に向き合ってくれている。アリアナ殿はわしらの友じゃ。友の家族はわしらの家族も同然じゃ!」
ゴリア「あぁ、なんとも嬉しい言葉をかけて下さる‥やはり、私の目は正しかった!」
ゴリア「董卓様、私達の村の長になってくだされ!」
アリアナ「お父様⁉︎」
ゴリア「先の一件でわかった。もうこの森と村を他族の侵入から守れる力は誰ももっておらん。常に戦の危機にさいなまれながら暮らす事になる」
董卓「すまんが、その話には乗れん」
ゴリア「な、何故に⁉︎」
董卓「やはり種族の長はその種族の者に限る。それに先の戦いでは充分に村を守れたではないか。優秀なリアもおる。リアなら長に向いておる。」
ゴリア「確かにリアなら出来るでしょう‥ただリアが望まない。あの子は自由にしてやらんと腐ってしまう‥」
董卓「確かにリアはそういうタイプではないか‥」
董卓「あと、わしが出来ぬもう一つの理由がある。それは董卓ゴブリンの件じゃ」
ゴリア「ゴブリン‥」
ゴリア「その件についてはアリアナが許しております。私達も遺恨はありません」
董卓「そうか‥なんだか嬉しいのぉ‥」
董卓「ではこうしよう!長の件については今後決めるとして、わし達と共に暮らそう!」
ゴリア「‥い、いいのですか?」
董卓「ふむ、この森の惨状だと復活にはしばらくかかるだろう。それまでは我が砦で過ごすがよい」
ゴリア「あ、ありがとうございます!」
アリアナ「董卓さん‥ありがとうございます!」
董卓「ガハハハ、構わん、構わん!また楽しく暮らそうではないか!早速、明日、出発しようぞ!」
アリアナ達は涙を流して、喜んだ。

その夜‥

わし達に感謝の意を表すと宴が開かれた
董卓「おぉ、これはこれは素晴らしい食事ではないか!」
ゴリア「喜んで貰えて嬉しいです。ささ、満足いくまで召し上がって下さいませ」
董卓「かたじけない!」
董卓さんは余程、腹をすかしていたのかバクバクと食べていく

カオル「はは、すごいな」
リア「食べっぷりも我が主と呼べる方だ」
カオル「えっ、あ、主?」
リア「聞いていないのか‥?あっ、まだ誰にも言っておらんかった。私は董卓軍の軍隊長になる事にした!」
董卓「⁉︎」
董卓「ぐ、軍隊長だと⁉︎」
リア「御意。あなた様の強さに感服し、私があなた様の手足となって動くと決めました」
董卓「いやいやいや、わし軍隊作るつもりないぞ⁉︎」
リア「な‥‥こ、国王になるのでは?」
董卓「わしは国王はならん!‥なってはいかんのじゃ‥わしはこの世界に来る前は極悪非道と呼ばれた君主であったのだ‥」
リア「‥‥ですが、私は今のあなたなら良い国王になれると思います」
カオル「僕もそう思います。董卓さんは昔の董卓さんではありません!」
董卓「ありがとう。ただ、わしの中でまだ黒い渦が渦巻いておる。これが消えるまではとても‥」
カオル「‥分かりました。でも、僕はずっと董卓さんの近くにいますよ」
董卓「カ、カオル殿‥」
リア「‥私も今の董卓様ならついていきます。軍は作らないなら親衛隊長として勝手に守らせてもらいます!」
董卓「リア殿‥感謝する」

アリアナ「ごめんなさい、立ち聞きしてしまったわ。私も皆さんと同じ気持ち。今はみんな友達でいましょ!さぁさぁ、もっと飲んで!」
董卓「うぅ、すまない‥感謝する‥」
董卓は泣きながらエルフの酒をどんどんと飲み干していく。

数時間後‥
リア「飲ませすぎてしまったな。エルフの酒は人間には強すぎたみたいだ」
カオル「はは、まぁ楽しそうだから良かったです。」
村人「董卓様をお部屋に連れて行きますね」
リア「助かる、頼んだ。」
村人は董卓を連れて部屋に向かった

リア「‥さて、主も寝た事だし、カオル殿、私と沐浴しに行こう。裸の付き合いだ!」
カオル「は、はい。分かりました」
アリアナ「だめぇ!もう、お兄様!絶対下心でしょ!」
リア「神にいや、董卓様に誓ってそんな事はない!」
リア「下心ではない、これは‥私からカオル殿への正統なる求愛だ!」
カオル「‥ごめんなさい!男の人には興味がありません!」

ガーン!‥‥

と聞こえそうなぐらいにリアはショックを受けた顔をしている
リア「くっ、‥もう寝ます!」
リアは走り去っていった‥

カオル「し、失礼な言い方してしまったかな‥」
アリアナ「大丈夫です。明日には忘れてます!さっ、カオルさんもお休みになって下さい」
カオル「だと、いいけど‥まぁ、考えても仕方ないですね。おやすみなさい」

董卓の寝室

ここは寝室か‥寝てしまったのか‥運んでもらって迷惑をかけてしまったな。
それにしても今日は疲れたわい。
傷を癒す回復力はあっても、治るまではしんどいのぅ‥もっと鍛えんとな。
なんというか、ほんとに、わし‥変わってきたな。今までは誰かがいたから真面目なフリをしてきたが、今は自然に考えられるようになってきた‥いい兆候じゃ!
さて、そろそろ‥本格的に寝るかのぉ‥


タッタッタッ

ガチャッ!

リア「董卓さまぁ!カオル殿にフラれましたぁ~!」
董卓「な、急に入ってくるでない!びっくりするではないか!」
リア「も、申し訳ございません!で、ですが私はかなりの傷心でございます。あなた様の体で私を癒やしてくださいませ‥」
そういうとリアは服を脱ぎ出した‥
董卓「ふむ、わかった。わしがお前の心と体を癒してやろう‥ちこうよれ!」
リア「はっ、はい!仰せのままに!」
リアは半裸の状態で董卓に近づいてきた
董卓「‥‥と言いたい所じゃが、リア殿すまん!」
リアはビクッとなって立ち止まった
董卓「わしはカオル殿以外とは交わらんと決めたのじゃ。カオル殿がたとえ振り向いてくれなくても構わん。ずっと想っている‥そう決めたのじゃ!」
董卓「すまぬな、リア。お前の気持ちには答えられん。」
リア「董卓様‥カオル殿は男には興味がないと仰せです。それでも想っていくのですか?」
董卓「ガハハハ、わしは決めたら曲げん男じゃ!この世界を周る旅が終わったらカオル殿と暮らす‥それがわしの夢じゃ!」
リア「‥その夢、叶う様に私もお手伝いさせていただきます。今後はこの様な事は董卓様、カオル様には致しません。」
董卓「かっかっかっ!そういって貰えて嬉しいぞ!頼りにしておるわい!」
もう確信した‥わしはカオル殿が好きになっておる。
無事に世界を周ったあかつきには、カオル殿に想いをぶつける。
それまでは旅を共にする信頼出来る戦友のままだ。

翌朝‥
ゴリア「皆の者、忘れ物はないか?」
村人「大丈夫です。」
アリアナ「さぁ、皆さん董卓様の砦に向かいましょう!私が案内いたしますからついてきて下さい!」
こうして村人達は董卓の砦に向かう事になった‥

旅の道中

ゴリア「なんとも、平和な草原になったな‥前はオオカミやらゴブリンやらで常に危険と隣り合わせだったのに‥」
リア「これも董卓様のおかげです」
ゴリア「そうじゃな!」
これからは董卓様の元、平和な世の中が始まる‥私はそう確信した。

数時間後‥

アリアナ「つ‥着いたはずだけどこれは‥?」
そこには砦というには大きすぎる建物がたっている‥
董卓「これでは、まるで城ではないか!い、いつのまにここまで‥」
董卓達が動揺しているとモビルが空から降りてきた

董卓「そ、空も飛べるのか⁉︎」
モビル「はい、どんどん改良して行きました。まだ城の周りだけですがいずれ飛距離も伸びます。」
董卓「‥モビルって最強なんじゃなかろうか‥」
モビル「いえいえ、私はこの城の半径1キロ以内でしか活動出来ない制約が有りますので、あくまで防衛用ロボです」
あっ、皆が戸惑っている‥
カオル「みなさん、モビルです。私が魔法で生み出したロボットです。だけど、もう完全に自立しているので私の制御は効きません。優しいロボットなのでご安心ください!」
ゴリア「ロボット‥これが‥空まで飛べるとは鳥人族みたいだ」

モビル「さぁ、中にお入り下さい。門は自動的に開きますのでそのままお進みください」
カオル「自動ドアの門バージョンだね!益々便利になっていく。」
董卓「わ、わしにとっては未知の世界じゃよ‥」
カオル「慣れていきますよ、きっと。さぁ中に入りましょう!」
こうして城内に入っていく

城内は豪華絢爛、その一言に尽きる。
装飾も色鮮やかでまるでここの空間だけ世界が違う

董卓「よく、ここまで出来たな‥」
モビル「ゴブリンさん達が頑張ってくれましたあ。良く働いてくれます」
カオル「あのゴブリン達がねぇ‥」
モビル「ゴブリン達は今訓練中です。見に行かれますか?」
董卓「そうだな、今後の為にもリアは行くか?」
リア「はい、是非ご一緒させてください!」
董卓「では、カオル殿、リア殿、向かいましょう」
他の村人達は城内を見て回る事になり、一旦別行動になる

モビル「ここが訓練所です。みなの上達は目を見張ります。相手してあげては?」
リア「今後の為にも私がさせて頂きます。完全にゴブリン達を許せた訳ではないので真意を確かめたい」
董卓「リア殿‥頼んだぞ」
リア「はい!」

モビル「こちらの木刀を使用して下さい。あくまで訓練です。急所は外して下さい。」
モビル「リア殿は董卓様をお助けしたエルフの戦士です。お相手して貰える事に感謝しましょう!」
董卓ゴブリン「はっ、ありがとうございます!」
リア「大袈裟に言わないでください‥」
リア「それでは、訓練を始めようか。誰から来る?」
董卓ゴブリン「私から行かせてもらいます。」
リア「名は?」
ゴヤ「ゴヤです。以後お見知り置きを」
リア「ゴヤだな。分かった!いつでも来い!」
ゴヤ「それでは‥」
ヒュン!

ガキン!
リア「中々いい太刀筋だ。だが‥」
ガキンッ!
ヒュッ!
バキッ!
ゴヤの木刀は折れてしまった
ゴヤ「ま、参りました‥」
リア「ふむ、これからに期待だ。名前は覚えてたぞ!」
ゴヤ「はっ、ありがたき幸せ!」
リア「それでは、次!」
こうしてリア殿は全員との打ち合いが完了するまで休まずに続けた。

リア「よし、終わりだな!お前らゴブリンの気持ちがよぉくわかった。これからは私も一緒に董卓様を守ろうではないか!」
董卓ゴブリン「わぁぁ、ありがとうごさいます!」

カオル「どうやらゴブリンとリアさんの気持ちは通じたみたいですね。」
董卓「ふむ、剣を交えると分かる事もある‥」
カオル「これからが楽しみになって来ました♪」
董卓「何がじゃ?」
カオル「董卓さんは嫌かもしれないけど、董卓国が出来上がって来てるかんじがする!」
董卓「うぅむ、確かにのぉ‥」
国王になるべきではない、頭では分かっているが周りから期待されているのも分かる。
いつか、皆の期待に応えられる君主になれたらいいな‥

第10回 完
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