26 / 47
27
しおりを挟む
「それは……」
「あなたの言いたい事はわかる、諸外国でも外国人に選挙権を与えている国は殆どない、理由は国ごと乗っ取られてしまう危険性があるから」
「わかっているなら……」
「昔の概念ね、いまさら在日朝鮮人が選挙権を有しても日本を乗っ取るなんて不可能、分かっているんでしょ? 本当の理由は票が見込める年寄りから反感を買うのが怖い」
無言でいるのをイエスと解釈した。
「そんな時代じゃないのよ、これからはもっとグローバルな時代になっていくの、インターネットで世界中が繋がって、内輪だけの古臭い政治なんてしていたら先進国に遅れをとるわ、あなたは時期日本のリーダーでしょう、若いうちに革新的な成果を残しなさい、あなたなら出来る、それに」
チラリと麗娜を見る。
「綺麗になったでしょう? 十八歳、石川さんは確か三十歳よね、あの頃は思いっきり犯罪だけど、今なら歳の離れた恋人でもおかしくないわ、それとも恋人がいらっしゃるかしら?」
「いない! いない! いないです」
やはり石川はいまだに麗娜を忘れられていないようだ、それもそうだろう、身内から見ても彼女より良い女なんて見たことがない。しかも石川は一度彼女を味わってしまっている。
「お姉ちゃんちょっと」
麗娜を一睨みして黙らせる。
「在日朝鮮人の日本における立場が上がらないとさ、結婚も出来ないでしょう? 次期総理大臣になるようなお方と」
「いや、僕は麗娜さんと一緒になれるならこの世界から足を洗う覚悟で――」
「だめよ、麗娜は政治家が好きなの」
目を見開いて呆気に取られている麗娜が視界の端に映る。
「そ、そうなの?」
「ええ、だから結婚するにはあなたが頑張るしかないわね」
「やってみるよ、俺やってみる、みんなが幸せに暮らせる平等な世の中をつくってみせる」
鼻息荒く語る石川はやはり御し易い男だった、宣美は独立国についてはコチラからタイミングをみて連絡する、選挙権については早々に国会の議題に上げるように指示すると会計もせずに喫茶店を引き上げた。
「くくく、バカ丸出しね」
当たり前だがいくら総理大臣でも一人の力で法律を変える事など不可能、しかし問題提起をする事で少なからず世論は動き出す、小さくても一歩目を踏み出すことで未来に繋がっていくかも知れない。
「オンニ、いい加減にして!」
しばらく沈黙していた麗娜が口を開いたのは高島平にあるハルボジの家に着いてからだった、今日はここに泊めてもらう予定だ、家主のハルボジは留守にしている、どうせパチンコだろう。
「麗娜、ごめんね、あなたをダシに使うような真似をして」
鞄を置いてその場で土下座した、自分の過去を見知らぬ人間に暴露され、その張本人を利用するために差し出すような真似をされて、いくら温厚な麗娜でも立腹するのは当然だろう、しかし。
彼女の過去は利用価値がある、この美貌故のインパクト、人にはそれぞれ与えられる役割、適所が存在する。過去に起きた悲運を不幸な事故であったと蓋をしてしまうよりも、利用できるのであれば最大限に利用するべきだ。
「ちょっと、オンニやめてよ」
畳に着いた手を無理やり引き剥がされた、その顔には怒りよりも困惑が張り付いている。あっさりと謝られてしまってはそれ以上文句を言うこともできないのだろう。
「麗娜、今が一番大切な時、嫌な思いをさせたと思うけどこれが一番効果的なの、お願い、もう少しだけオンニに力をかして」
「でも……」
案の定もうなにも言い返せない。
「もちろん、石川なんかにあなたは渡さないわ、日本人なんて騙して利用してやれば良いの」
「……」
しばらくは無言の時間が支配していたが、静寂を破るように激しく外階段が鳴った、カンカンカンカンと慌ただしく誰か駆け上がってくる。
次の瞬間ガチャガチャっと玄関のドアノブが揺れるが鍵が閉まっていて開かないようだ、数秒おいて鍵穴に差し込まれる金属音が響くと勢いよく扉が開け放たれた。
「おお、宣美か!」
もしかして、宣美が帰ってきているのを察して慌てて戻ってきたのかと思いきや、次の瞬間にはリビング傍にあるトイレに駆け込んだ。どうやらトイレを我慢していただけのようだ。
「ぷっ」
麗娜と顔を見合わせて思わず吹き出した、最近は物騒な計画ばかり立てているせいであまり笑う事もなかったような気がする、やっぱり家族はいいな、素直に思った。
しかし――。
その大切な家族をメチャクチャにして奪っていった日本人をやはり許すことはできない。改めて自分の使命を思い出して緊褌した。
「あなたの言いたい事はわかる、諸外国でも外国人に選挙権を与えている国は殆どない、理由は国ごと乗っ取られてしまう危険性があるから」
「わかっているなら……」
「昔の概念ね、いまさら在日朝鮮人が選挙権を有しても日本を乗っ取るなんて不可能、分かっているんでしょ? 本当の理由は票が見込める年寄りから反感を買うのが怖い」
無言でいるのをイエスと解釈した。
「そんな時代じゃないのよ、これからはもっとグローバルな時代になっていくの、インターネットで世界中が繋がって、内輪だけの古臭い政治なんてしていたら先進国に遅れをとるわ、あなたは時期日本のリーダーでしょう、若いうちに革新的な成果を残しなさい、あなたなら出来る、それに」
チラリと麗娜を見る。
「綺麗になったでしょう? 十八歳、石川さんは確か三十歳よね、あの頃は思いっきり犯罪だけど、今なら歳の離れた恋人でもおかしくないわ、それとも恋人がいらっしゃるかしら?」
「いない! いない! いないです」
やはり石川はいまだに麗娜を忘れられていないようだ、それもそうだろう、身内から見ても彼女より良い女なんて見たことがない。しかも石川は一度彼女を味わってしまっている。
「お姉ちゃんちょっと」
麗娜を一睨みして黙らせる。
「在日朝鮮人の日本における立場が上がらないとさ、結婚も出来ないでしょう? 次期総理大臣になるようなお方と」
「いや、僕は麗娜さんと一緒になれるならこの世界から足を洗う覚悟で――」
「だめよ、麗娜は政治家が好きなの」
目を見開いて呆気に取られている麗娜が視界の端に映る。
「そ、そうなの?」
「ええ、だから結婚するにはあなたが頑張るしかないわね」
「やってみるよ、俺やってみる、みんなが幸せに暮らせる平等な世の中をつくってみせる」
鼻息荒く語る石川はやはり御し易い男だった、宣美は独立国についてはコチラからタイミングをみて連絡する、選挙権については早々に国会の議題に上げるように指示すると会計もせずに喫茶店を引き上げた。
「くくく、バカ丸出しね」
当たり前だがいくら総理大臣でも一人の力で法律を変える事など不可能、しかし問題提起をする事で少なからず世論は動き出す、小さくても一歩目を踏み出すことで未来に繋がっていくかも知れない。
「オンニ、いい加減にして!」
しばらく沈黙していた麗娜が口を開いたのは高島平にあるハルボジの家に着いてからだった、今日はここに泊めてもらう予定だ、家主のハルボジは留守にしている、どうせパチンコだろう。
「麗娜、ごめんね、あなたをダシに使うような真似をして」
鞄を置いてその場で土下座した、自分の過去を見知らぬ人間に暴露され、その張本人を利用するために差し出すような真似をされて、いくら温厚な麗娜でも立腹するのは当然だろう、しかし。
彼女の過去は利用価値がある、この美貌故のインパクト、人にはそれぞれ与えられる役割、適所が存在する。過去に起きた悲運を不幸な事故であったと蓋をしてしまうよりも、利用できるのであれば最大限に利用するべきだ。
「ちょっと、オンニやめてよ」
畳に着いた手を無理やり引き剥がされた、その顔には怒りよりも困惑が張り付いている。あっさりと謝られてしまってはそれ以上文句を言うこともできないのだろう。
「麗娜、今が一番大切な時、嫌な思いをさせたと思うけどこれが一番効果的なの、お願い、もう少しだけオンニに力をかして」
「でも……」
案の定もうなにも言い返せない。
「もちろん、石川なんかにあなたは渡さないわ、日本人なんて騙して利用してやれば良いの」
「……」
しばらくは無言の時間が支配していたが、静寂を破るように激しく外階段が鳴った、カンカンカンカンと慌ただしく誰か駆け上がってくる。
次の瞬間ガチャガチャっと玄関のドアノブが揺れるが鍵が閉まっていて開かないようだ、数秒おいて鍵穴に差し込まれる金属音が響くと勢いよく扉が開け放たれた。
「おお、宣美か!」
もしかして、宣美が帰ってきているのを察して慌てて戻ってきたのかと思いきや、次の瞬間にはリビング傍にあるトイレに駆け込んだ。どうやらトイレを我慢していただけのようだ。
「ぷっ」
麗娜と顔を見合わせて思わず吹き出した、最近は物騒な計画ばかり立てているせいであまり笑う事もなかったような気がする、やっぱり家族はいいな、素直に思った。
しかし――。
その大切な家族をメチャクチャにして奪っていった日本人をやはり許すことはできない。改めて自分の使命を思い出して緊褌した。
0
あなたにおすすめの小説
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
【完結】私が愛されるのを見ていなさい
芹澤紗凪
恋愛
虐げられた少女の、最も残酷で最も華麗な復讐劇。(全6話の予定)
公爵家で、天使の仮面を被った義理の妹、ララフィーナに全てを奪われたディディアラ。
絶望の淵で、彼女は一族に伝わる「血縁者の姿と入れ替わる」という特殊能力に目覚める。
ディディアラは、憎き義妹と入れ替わることを決意。
完璧な令嬢として振る舞いながら、自分を陥れた者たちを内側から崩壊させていく。
立場と顔が入れ替わった二人の少女が織りなす、壮絶なダークファンタジー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる