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青ヶ島に建てられた目新しい三階建てのビルの地下で、在日朝鮮人の幹部たちは集合していた。宣美が建てたこのビルは表向き島民の集会所など多目的に利用できる場所として開放している。
毎月の第一月曜日に宣美を中心とした幹部たちが現状報告やこれからの指針について話し合っていた、もちろん島民は知らない。
「それでは定例会議をはじめます」
ホワイトボードの前に立つ金本静香が号令する、彼女は二年前に宣美が本島から連れてきた才女だ。
長椅子がコの字に置かれていて、それぞれに三人づつ着席しているので計九人、立って司会をしている金本を入れても十人の少数精鋭だ。
「では先月の売上報告と島内であったトラブル、変化などあればお願いします、柳さんから」
幹部たちにはそれぞれ指揮する在日朝鮮人が十名から二十名いる、彼らを使い様々な事業をしている。そこで得た資金は在日朝鮮人全員に平等に振り分けられる。日本の法律に従うならば贈与税などが適用されるがもちろんそんなものは無視している。
「純利益は二億三千万円、昨年対比で十五%アップです、FXは爆発的な利益を生み出す一方でギャンブル的な要素も強く長期運用には向いていないかと」
主に証券取引で利益を上げている柳武志は幹部の中でもエース級の働きだ、まだ二十五歳の若さだが東大卒のエリート証券マンだった彼は宣美の右腕と言えた。
「島民に不審がる様子は相変わらずありません、しかし増え続ける人口に多少の息苦しさを訴える高齢者がいる、そんな話はちらほらと」
以上で終わります、そう言って柳は着席した、相変わらず澱みなく隙のない報告だ。
「それでは、木本さんお願いします」
取り立てて珍しい事は今月もなかった、そこで全員の報告が終わった所で宣美が手を上げる、いつも静かに傍観している事が多いので一瞬、場に緊張が走る、彼らにとって宣美は神にも等しい指導者なのだ。
「そろそろ」
それだけ言うと少し間をおいて左右にいる幹部たちを見渡す、皆なにを発言するのか期待を膨らませているのが表情でわかる。
「島民を消そうと思うのですがみなさんどうでしょうか?」
幹部たちが一斉に声を出して盛り上がる、皆その指示を待っていたようだ。現在の島人口は四百五十人、そのうち在日朝鮮人は三百人、日本人のちょうど倍になった所で敢行する予定だった。
「ついに、在日朝鮮人だけの島になるのですね」
五十四歳、最年長の草間仁が感慨深く頷く。
「やっと、くっせえ日本人と一緒に暮らさなくて良いのね、最高、あらやだ、口が悪かったわね」
この島唯一のスナックを経営するママの工藤由香里が細長いタバコに火をつけて紫煙を吐き出した。
「宣美さん、具体案はあるんですか?」
司会の金本は冷静だ、再び幹部たちの視線が宣美に集まる。
「うん、簡単なのは一箇所に集めてサリンでも巻けば良いんだけどね、クルーザーに乗せて爆破なんてのも綺麗よねきっと、みんなの意見が聞きたいわ」
宣美が促すと皆一斉に意見する。
「でかい穴に生き埋めはどうですか?」
「いや、一人一人しっかりと拷問しながら殺したいなあ」
「あ、島民同士で殺し合いとかはどうですかね」
次々に良案が出てくる、皆生き生きしていて素晴らしい。
「ちょっと待ってください!」
勢いよく立ち上がったのは比較的おとなしくあまり意見を言わない久本麻美だった。
「宣美さん、全島民を殺害するのは危険です、本島から警察が大挙してきませんか」
冷静な人間がいることに安堵する、その可能性については宣美も考えていた、殺さないで人質として囲っておいた方が日本国との交渉がしやすい。もっとも生きていることにすれば同じことだが。
「我々は日本の法律では裁かれない、この国のルールは私たちだ」
柳の言うことはもっともだが現状この島は日本国が所有する青ヶ島、自分たちの国ではない。何かあれば日本の警察なり自衛隊が押し寄せてくるだろう。
「確かになんの軍事力もない私たちには、警察や自衛隊に対抗する術はないわね」
幹部たちが一気にトーンダウンする、この小さな島にいる三百人のネオコリアン対日本国、あまりの戦力差に肩を落とすのは仕方ない、最初からわかっていた事だ。
「とりあえず一箇所に集めようか」
宣美の言葉を最初に理解したのはやはり柳だ。
「建設中の体育館ですか?」
「ええ、みんなには体育館て言ってたんだけど、本当は島民を閉じ込める為に作ってる施設なの」
毎月の第一月曜日に宣美を中心とした幹部たちが現状報告やこれからの指針について話し合っていた、もちろん島民は知らない。
「それでは定例会議をはじめます」
ホワイトボードの前に立つ金本静香が号令する、彼女は二年前に宣美が本島から連れてきた才女だ。
長椅子がコの字に置かれていて、それぞれに三人づつ着席しているので計九人、立って司会をしている金本を入れても十人の少数精鋭だ。
「では先月の売上報告と島内であったトラブル、変化などあればお願いします、柳さんから」
幹部たちにはそれぞれ指揮する在日朝鮮人が十名から二十名いる、彼らを使い様々な事業をしている。そこで得た資金は在日朝鮮人全員に平等に振り分けられる。日本の法律に従うならば贈与税などが適用されるがもちろんそんなものは無視している。
「純利益は二億三千万円、昨年対比で十五%アップです、FXは爆発的な利益を生み出す一方でギャンブル的な要素も強く長期運用には向いていないかと」
主に証券取引で利益を上げている柳武志は幹部の中でもエース級の働きだ、まだ二十五歳の若さだが東大卒のエリート証券マンだった彼は宣美の右腕と言えた。
「島民に不審がる様子は相変わらずありません、しかし増え続ける人口に多少の息苦しさを訴える高齢者がいる、そんな話はちらほらと」
以上で終わります、そう言って柳は着席した、相変わらず澱みなく隙のない報告だ。
「それでは、木本さんお願いします」
取り立てて珍しい事は今月もなかった、そこで全員の報告が終わった所で宣美が手を上げる、いつも静かに傍観している事が多いので一瞬、場に緊張が走る、彼らにとって宣美は神にも等しい指導者なのだ。
「そろそろ」
それだけ言うと少し間をおいて左右にいる幹部たちを見渡す、皆なにを発言するのか期待を膨らませているのが表情でわかる。
「島民を消そうと思うのですがみなさんどうでしょうか?」
幹部たちが一斉に声を出して盛り上がる、皆その指示を待っていたようだ。現在の島人口は四百五十人、そのうち在日朝鮮人は三百人、日本人のちょうど倍になった所で敢行する予定だった。
「ついに、在日朝鮮人だけの島になるのですね」
五十四歳、最年長の草間仁が感慨深く頷く。
「やっと、くっせえ日本人と一緒に暮らさなくて良いのね、最高、あらやだ、口が悪かったわね」
この島唯一のスナックを経営するママの工藤由香里が細長いタバコに火をつけて紫煙を吐き出した。
「宣美さん、具体案はあるんですか?」
司会の金本は冷静だ、再び幹部たちの視線が宣美に集まる。
「うん、簡単なのは一箇所に集めてサリンでも巻けば良いんだけどね、クルーザーに乗せて爆破なんてのも綺麗よねきっと、みんなの意見が聞きたいわ」
宣美が促すと皆一斉に意見する。
「でかい穴に生き埋めはどうですか?」
「いや、一人一人しっかりと拷問しながら殺したいなあ」
「あ、島民同士で殺し合いとかはどうですかね」
次々に良案が出てくる、皆生き生きしていて素晴らしい。
「ちょっと待ってください!」
勢いよく立ち上がったのは比較的おとなしくあまり意見を言わない久本麻美だった。
「宣美さん、全島民を殺害するのは危険です、本島から警察が大挙してきませんか」
冷静な人間がいることに安堵する、その可能性については宣美も考えていた、殺さないで人質として囲っておいた方が日本国との交渉がしやすい。もっとも生きていることにすれば同じことだが。
「我々は日本の法律では裁かれない、この国のルールは私たちだ」
柳の言うことはもっともだが現状この島は日本国が所有する青ヶ島、自分たちの国ではない。何かあれば日本の警察なり自衛隊が押し寄せてくるだろう。
「確かになんの軍事力もない私たちには、警察や自衛隊に対抗する術はないわね」
幹部たちが一気にトーンダウンする、この小さな島にいる三百人のネオコリアン対日本国、あまりの戦力差に肩を落とすのは仕方ない、最初からわかっていた事だ。
「とりあえず一箇所に集めようか」
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「建設中の体育館ですか?」
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