2 / 5
第二話 悪党登場
しおりを挟む
島を囲むは、白い砂浜。
寄せてけ、反ってけ、輝け、波々。
青い海ゆく波は白く砕けて。
砕ける激しい波は、天然の防犯装置。
泡立つ青くて広い海は、世界樹を抱く小島を守る。
「やたらと強い公爵とその執事は、いまなら留守だ。ドラゴンに乗って飛んでったのを見たからなっ!」
船の甲板で小島を眺めながら、やたらと鼻のデカい男が得意げに言った。
「へへへっ、船長。今なら世界樹の実、採り放題っすね」
子分の小太りの男が、薄ら笑いを浮かべていった。
「何言ってんだい。あの島には、もっといい物がたくさんあるぜ? 宝石に貴重な聖水。呪いのかかった財宝もあれば、呪いを解く財宝もある。貴重なポーションの作れる薬草が、雑草みたいに生えているし。それに人魚もいる」
船長の言葉に、子分が手を叩いて嬉しそうに言う。
「あー、人魚。攫ってくれば高く売れますね」
「そうだよ。人魚は鑑賞用としても売れるし、薬としても売れるからな」
海賊は悪い笑みを浮かべた顔を見合わせて、ニヒヒと気味の悪い笑い声をあげた。
寄せてくる波は高く、船縁に反り上がっては白く砕けていく。
小舟なら転覆してしまうだろうが、ドクロの旗を掲げた大きな海賊船なら、激しい波で泡立つ海も簡単に超えられる。
「いざという時のために、新しい船を作っておいてよかったぜ。船体は丈夫だし、燃料で動くエンジンもある」
「この船なら荒波も楽々ですねぇ、船長~」
「ああ、逃げ足も速いぞ」
「流石です、船長~」
手下におだてられて、船長は大きな鼻を更に膨らめた。
その海賊船がザザーと砂浜に突っ込んでくるのを、シャーリンとドラ美はヤシの木の陰に隠れてながら見ていた。
「どうしよう、どうしよう、セージョちゃんっ。悪い人たちが、来ちゃった」
アワアワするドラ美の横で、シャーリンは少し考えるように鮫の頭を傾けた。
「どうしましょう。聖女ちゃん、あの人たちで遊びたい」
「ダメだよ、セージョちゃん。大人がいないときに勝手なことをしたら」
爛々と目を輝かせて海賊を見るシャーリンの隣で、ドラ美は困った様子で眉を下げた。
そうしている間にも、二人が見守る先では、海賊船から続々と人が下りてくる。
「でも、大人が帰ってくるのは、もうちょっと後だよ?」
シャーリンは鮫の顔をドラ美に向けて言った。
ドラ美は青ざめ震え、シャーリンの言葉を聞いているようで聞いていない。
「あぁ、どんどん降りてくるよぉ……。パパとママがいれば、すぐに追っ払ってくれるのに」
海賊は、背の高いのもいれば低いのもいるし、太っているのも痩せているのもいれは、筋肉モリモリのマッチョもいた。
男もいれば女もいるし、年を取った者もいれば、未成年と思しき年若い者もいた。
「女の人もいるよ」
「男女平等だね」
ドラ美が意外そうに言うと、シャーリンは覚えたての言葉を口にした。
二人の前で海賊船からは、海賊が次から次へと降りてくる。
始めて見る人数の人間に、幼いドラゴンはピンクの体を青くして震えた。
「あぁ、どんどん増えるよぉ。セージョちゃん、どうしよう?」
「このままココにいるのは危ないね。ヤシの木を超えて、もっと奥に行かないと」
シャーリンは鮫の顔をキリッとさせて島の奥を指さした。
ドラ美は、さらに青ざめて震えあがった。
「えーダメだよ、セージョちゃん。子どもだけで世界樹のほうへ行っちゃダメって言われてるでしょ?」
シャーリンは丸くてウルウルした目でドラ美を真っすぐに見ると、小さな手をポンポンと親友の両肩へとそれぞれ置いた。
そして静かに言う。
「ドラ美ちゃん。それは去年までの話でしょ? 聖女ちゃんたちは、もう五歳。立派な大人よ」
ドラ美も、丸くて澄んだ青い瞳でシャーリンを見た。
「あたちたちは、大人……」
「そうだよ、行こ」
シャーリンが小さな手でドラ美の丸い手を掴むと、ピンク色したドラゴンはコクンと頷いた。
寄せてけ、反ってけ、輝け、波々。
青い海ゆく波は白く砕けて。
砕ける激しい波は、天然の防犯装置。
泡立つ青くて広い海は、世界樹を抱く小島を守る。
「やたらと強い公爵とその執事は、いまなら留守だ。ドラゴンに乗って飛んでったのを見たからなっ!」
船の甲板で小島を眺めながら、やたらと鼻のデカい男が得意げに言った。
「へへへっ、船長。今なら世界樹の実、採り放題っすね」
子分の小太りの男が、薄ら笑いを浮かべていった。
「何言ってんだい。あの島には、もっといい物がたくさんあるぜ? 宝石に貴重な聖水。呪いのかかった財宝もあれば、呪いを解く財宝もある。貴重なポーションの作れる薬草が、雑草みたいに生えているし。それに人魚もいる」
船長の言葉に、子分が手を叩いて嬉しそうに言う。
「あー、人魚。攫ってくれば高く売れますね」
「そうだよ。人魚は鑑賞用としても売れるし、薬としても売れるからな」
海賊は悪い笑みを浮かべた顔を見合わせて、ニヒヒと気味の悪い笑い声をあげた。
寄せてくる波は高く、船縁に反り上がっては白く砕けていく。
小舟なら転覆してしまうだろうが、ドクロの旗を掲げた大きな海賊船なら、激しい波で泡立つ海も簡単に超えられる。
「いざという時のために、新しい船を作っておいてよかったぜ。船体は丈夫だし、燃料で動くエンジンもある」
「この船なら荒波も楽々ですねぇ、船長~」
「ああ、逃げ足も速いぞ」
「流石です、船長~」
手下におだてられて、船長は大きな鼻を更に膨らめた。
その海賊船がザザーと砂浜に突っ込んでくるのを、シャーリンとドラ美はヤシの木の陰に隠れてながら見ていた。
「どうしよう、どうしよう、セージョちゃんっ。悪い人たちが、来ちゃった」
アワアワするドラ美の横で、シャーリンは少し考えるように鮫の頭を傾けた。
「どうしましょう。聖女ちゃん、あの人たちで遊びたい」
「ダメだよ、セージョちゃん。大人がいないときに勝手なことをしたら」
爛々と目を輝かせて海賊を見るシャーリンの隣で、ドラ美は困った様子で眉を下げた。
そうしている間にも、二人が見守る先では、海賊船から続々と人が下りてくる。
「でも、大人が帰ってくるのは、もうちょっと後だよ?」
シャーリンは鮫の顔をドラ美に向けて言った。
ドラ美は青ざめ震え、シャーリンの言葉を聞いているようで聞いていない。
「あぁ、どんどん降りてくるよぉ……。パパとママがいれば、すぐに追っ払ってくれるのに」
海賊は、背の高いのもいれば低いのもいるし、太っているのも痩せているのもいれは、筋肉モリモリのマッチョもいた。
男もいれば女もいるし、年を取った者もいれば、未成年と思しき年若い者もいた。
「女の人もいるよ」
「男女平等だね」
ドラ美が意外そうに言うと、シャーリンは覚えたての言葉を口にした。
二人の前で海賊船からは、海賊が次から次へと降りてくる。
始めて見る人数の人間に、幼いドラゴンはピンクの体を青くして震えた。
「あぁ、どんどん増えるよぉ。セージョちゃん、どうしよう?」
「このままココにいるのは危ないね。ヤシの木を超えて、もっと奥に行かないと」
シャーリンは鮫の顔をキリッとさせて島の奥を指さした。
ドラ美は、さらに青ざめて震えあがった。
「えーダメだよ、セージョちゃん。子どもだけで世界樹のほうへ行っちゃダメって言われてるでしょ?」
シャーリンは丸くてウルウルした目でドラ美を真っすぐに見ると、小さな手をポンポンと親友の両肩へとそれぞれ置いた。
そして静かに言う。
「ドラ美ちゃん。それは去年までの話でしょ? 聖女ちゃんたちは、もう五歳。立派な大人よ」
ドラ美も、丸くて澄んだ青い瞳でシャーリンを見た。
「あたちたちは、大人……」
「そうだよ、行こ」
シャーリンが小さな手でドラ美の丸い手を掴むと、ピンク色したドラゴンはコクンと頷いた。
20
あなたにおすすめの小説
召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。
SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない?
その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。
ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。
せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。
こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
異世界召喚された巫女は異世界と引き換えに日本に帰還する
白雪の雫
ファンタジー
何となく思い付いた話なので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合展開です。
聖女として召喚された巫女にして退魔師なヒロインが、今回の召喚に関わった人間を除いた命を使って元の世界へと戻る話です。
ハイエルフの幼女に転生しました。
レイ♪♪
ファンタジー
ネグレクトで、死んでしまったレイカは
神様に転生させてもらって新しい世界で
たくさんの人や植物や精霊や獣に愛されていく
死んで、ハイエルフに転生した幼女の話し。
ゆっくり書いて行きます。
感想も待っています。
はげみになります。
「俺が勇者一行に?嫌です」
東稔 雨紗霧
ファンタジー
異世界に転生したけれども特にチートも無く前世の知識を生かせる訳でも無く凡庸な人間として過ごしていたある日、魔王が現れたらしい。
物見遊山がてら勇者のお披露目式に行ってみると勇者と目が合った。
は?無理
芋くさ聖女は捨てられた先で冷徹公爵に拾われました ~後になって私の力に気付いたってもう遅い! 私は新しい居場所を見つけました~
日之影ソラ
ファンタジー
アルカンティア王国の聖女として務めを果たしてたヘスティアは、突然国王から追放勧告を受けてしまう。ヘスティアの言葉は国王には届かず、王女が新しい聖女となってしまったことで用済みとされてしまった。
田舎生まれで地位や権力に関わらず平等に力を振るう彼女を快く思っておらず、民衆からの支持がこれ以上増える前に追い出してしまいたかったようだ。
成すすべなく追い出されることになったヘスティアは、荷物をまとめて大聖堂を出ようとする。そこへ現れたのは、冷徹で有名な公爵様だった。
「行くところがないならうちにこないか? 君の力が必要なんだ」
彼の一声に頷き、冷徹公爵の領地へ赴くことに。どんなことをされるのかと内心緊張していたが、実際に話してみると優しい人で……
一方王都では、真の聖女であるヘスティアがいなくなったことで、少しずつ歯車がズレ始めていた。
国王や王女は気づいていない。
自分たちが失った者の大きさと、手に入れてしまった力の正体に。
小説家になろうでも短編として投稿してます。
召喚聖女の結論
こうやさい
ファンタジー
あたしは異世界に聖女として召喚された。
ある日、王子様の婚約者を見た途端――。
分かりづらい。説明しても理解される気がしない(おい)。
殿下が婚約破棄して結構なざまぁを受けてるのに描写かない。婚約破棄しなくても無事かどうかは謎だけど。
続きは冒頭の需要の少なさから判断して予約を取り消しました。今後投稿作業が出来ない時等用に待機させます。よって追加日時は未定です。詳しくは近況ボード(https://www.alphapolis.co.jp/diary/view/96929)で。
ただいま諸事情で出すべきか否か微妙なので棚上げしてたのとか自サイトの方に上げるべきかどうか悩んでたのとか大昔のとかを放出中です。見直しもあまり出来ないのでいつも以上に誤字脱字等も多いです。ご了承下さい。
URL of this novel:https://www.alphapolis.co.jp/novel/628331665/937590458
勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~
楠ノ木雫
ファンタジー
IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき……
※他の投稿サイトにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる