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◇◇◇ 第6話だ ◇◇◇
ジョイは有能な魔法使いだ。
そのため従属魔法でメイリーンの支配下に置かれることとなった。
ユリウスは心配げな様子でメイリーンに聞いた。
「危なくないのか?」
「大丈夫……だと思うが、自信はない」
メイリーンは正直な気持ちを伝えた。
ジョイは上級の魔法使いだ。
王国魔法師同席の上での契約だったといっても、メイリーンが術者では不安が残る。
「不安なら、僕も契約魔法を使っておこうか? 二重掛けになるから脆弱性は増すけど、いざという時には、僕のほうが魔法は得意だ」
「ん~。でも物理ならわたしのほうが強いし……ジョイにそこまでの危険性は……」
メイリーンとユリウスが話していると、2人の姿を見つけたジョイが駆け寄ってきた。
「メイリーン! 私も混ぜてよぉ~。私はあなたの従属でしょ~?」
従属の意味とは?
メイリーンが頭を抱える程度には、ジョイはノリノリで従属魔法をかけられた。
「うーん、ご主人さまぁ~。えーい、スリスリしちゃえ」
ジョイはメイリーンの左側へぶら下がるようにしてスリスリと頬を擦り付け始めた。
「やめてください、ジョイ」
「いやです、メイリーン。従属させたのだから、私の面倒をみるのが正しい在り方ですよ。うぅ~ん。ご主人さまぁ~」
面倒なモードに入ったジョイは、ちっとやそっとのことでは諦めない。
「なんだそれは?」
「ああ。従属魔法の副作用なのか、もともと甘えん坊さんなのか、ジョイは時々……というか、わたしの顔をみるたびにこうなる」
「えー、止められないの?」
ユリウスが驚いて引き気味になり、嫌そうな顔をして眺めてくるのを、メイリーンは複雑な表情で見返した。
「ジョイが飽きるまではな。……って羨ましそうな顔をするな、ユリウス」
「だってぇ~」
ユリウスはジョイを羨ましそうに指をくわえて見ていた。
「これは僕にとって、婚約を解消されかねない、危機的状況なのではなかろうか?」
「なぜっ⁉」
メイリーンが驚いて問うと、ユリウスは肩をすくめた。
「メイリーンは鈍いからなぁ。やはり僕は剣の腕を磨くよ」
「なぜ? ユリウスは魔法のほうが得意なのだから、そっちの腕を磨いたほうがよいのでは?」
「いや、メイリーンの側にいるためには、魔法よりも剣の腕のほうが必要だ」
ユリウスはひとりでウンウンとうなずいている。
言葉の意味は分かるが、真意はよくわからない。
ジョイの頭を撫でながら、ただなんとなーく複雑な気持ちになるメイリーンであった。
卒業後。
魔法科を出たユリウスのクラスメイトたちは、メイリーンの下につき、バッシバシ鍛えられることとなる。
オーシャン男爵家は海賊上がりの貴族だ。
その意味を彼らは勘違いしていた。
海賊である初代オーシャン男爵が奪ったのは、年若い王女さまの心だ。
王家と繋がりのあるオーシャン男爵家が担うのは荒事であり、特殊な能力は海賊上がりの祖先と、王家の血の両方から受け継いでいる。
オーシャン男爵家、なかでもメイリーンの眼力によって選ばれ、進路が決められていく現実を目の当たりにしたユリウスのクラスメイトたちは、深い絶望と後悔に襲われるのだった。
一方、メイリーンとユリウスは、順調に交際と出世を続けてめでたく結婚に辿り着く。
「僕の奥さん」
「なんだ。わたしの夫よ」
2人が仲良く見つめ合っていると、ジョイが割り込む。
「私も可愛がってくださいよ、ご主人さまぁ~」
メイリーンについている20名ほどの影の者も、生暖かい視線をメイリーンとユリウスに向けている。
影の者の中には、ユリウスの元クラスメイトもいる。
幸せな家庭の周囲は慌ただしかったが、それでもメイリーンは満足していた。
~ HappyEnd ~
そのため従属魔法でメイリーンの支配下に置かれることとなった。
ユリウスは心配げな様子でメイリーンに聞いた。
「危なくないのか?」
「大丈夫……だと思うが、自信はない」
メイリーンは正直な気持ちを伝えた。
ジョイは上級の魔法使いだ。
王国魔法師同席の上での契約だったといっても、メイリーンが術者では不安が残る。
「不安なら、僕も契約魔法を使っておこうか? 二重掛けになるから脆弱性は増すけど、いざという時には、僕のほうが魔法は得意だ」
「ん~。でも物理ならわたしのほうが強いし……ジョイにそこまでの危険性は……」
メイリーンとユリウスが話していると、2人の姿を見つけたジョイが駆け寄ってきた。
「メイリーン! 私も混ぜてよぉ~。私はあなたの従属でしょ~?」
従属の意味とは?
メイリーンが頭を抱える程度には、ジョイはノリノリで従属魔法をかけられた。
「うーん、ご主人さまぁ~。えーい、スリスリしちゃえ」
ジョイはメイリーンの左側へぶら下がるようにしてスリスリと頬を擦り付け始めた。
「やめてください、ジョイ」
「いやです、メイリーン。従属させたのだから、私の面倒をみるのが正しい在り方ですよ。うぅ~ん。ご主人さまぁ~」
面倒なモードに入ったジョイは、ちっとやそっとのことでは諦めない。
「なんだそれは?」
「ああ。従属魔法の副作用なのか、もともと甘えん坊さんなのか、ジョイは時々……というか、わたしの顔をみるたびにこうなる」
「えー、止められないの?」
ユリウスが驚いて引き気味になり、嫌そうな顔をして眺めてくるのを、メイリーンは複雑な表情で見返した。
「ジョイが飽きるまではな。……って羨ましそうな顔をするな、ユリウス」
「だってぇ~」
ユリウスはジョイを羨ましそうに指をくわえて見ていた。
「これは僕にとって、婚約を解消されかねない、危機的状況なのではなかろうか?」
「なぜっ⁉」
メイリーンが驚いて問うと、ユリウスは肩をすくめた。
「メイリーンは鈍いからなぁ。やはり僕は剣の腕を磨くよ」
「なぜ? ユリウスは魔法のほうが得意なのだから、そっちの腕を磨いたほうがよいのでは?」
「いや、メイリーンの側にいるためには、魔法よりも剣の腕のほうが必要だ」
ユリウスはひとりでウンウンとうなずいている。
言葉の意味は分かるが、真意はよくわからない。
ジョイの頭を撫でながら、ただなんとなーく複雑な気持ちになるメイリーンであった。
卒業後。
魔法科を出たユリウスのクラスメイトたちは、メイリーンの下につき、バッシバシ鍛えられることとなる。
オーシャン男爵家は海賊上がりの貴族だ。
その意味を彼らは勘違いしていた。
海賊である初代オーシャン男爵が奪ったのは、年若い王女さまの心だ。
王家と繋がりのあるオーシャン男爵家が担うのは荒事であり、特殊な能力は海賊上がりの祖先と、王家の血の両方から受け継いでいる。
オーシャン男爵家、なかでもメイリーンの眼力によって選ばれ、進路が決められていく現実を目の当たりにしたユリウスのクラスメイトたちは、深い絶望と後悔に襲われるのだった。
一方、メイリーンとユリウスは、順調に交際と出世を続けてめでたく結婚に辿り着く。
「僕の奥さん」
「なんだ。わたしの夫よ」
2人が仲良く見つめ合っていると、ジョイが割り込む。
「私も可愛がってくださいよ、ご主人さまぁ~」
メイリーンについている20名ほどの影の者も、生暖かい視線をメイリーンとユリウスに向けている。
影の者の中には、ユリウスの元クラスメイトもいる。
幸せな家庭の周囲は慌ただしかったが、それでもメイリーンは満足していた。
~ HappyEnd ~
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