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第11話 できちゃった婚 2
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健太郎さんの反応は、わたしの予想を裏切るように冷静でした。
ドラマのように大騒ぎしたり、ちゃぶ台をひっくり返して大暴れするようなことになったらどうしようかと思っていましたが、そうはなりませんでした。
土曜日の昼下がり。
冬が始まったばかりの時期です。
こたつを挟んで健太郎さんと順子は向かい合っています。
「子どもができたから、哲也さんと結婚する」
順子がそう告げると、一瞬だけ健太郎さんは目を見張り、それから渋い顔になりました。
「そうか」
健太郎さんは一言短く言って、黙り込んでしまいました。
我が家が女性側の家だったせいもあるかもしれません。
順子のお腹には、すでに子どもがいます。
暴力なんて絶対ふるうことはできません。
あの子のお腹にいるのは、わたしたちの初孫です。
何かあったら困ります。
順子から報告を受けた健太郎さんは渋い顔をしていますが、怒鳴り散らすようなことはありません。
冷静です。
だからこそ、怖いと思うのですが。
順子は平気な顔をして、健太郎さんの正面でお茶をすすっています。
「で、どうするんだ? 結婚式とかは」
「しなくてもいいかなぁ、と思ってるんだけど」
健太郎さんは眉をしかめてきっぱりと言う。
「それはダメだ」
「どうして? 私たちは別にこだわりはないわ。赤ちゃんも生まれるし、新居も準備しなきゃいけないし。お金はいくらあっても足りないもの」
「いや、お金の問題じゃない」
順子は不思議そうに首を傾げています。
「結婚式はしておいたほうがいい。生まれてくる子どものためにも、写真を残しておきなさい。幸せなお前たちの姿を記録として残しなさい。後から子どもが見て、自分が愛されて生まれたことを知り、安心するから。結婚式の写真はもちろん、妊娠中の写真も撮っておきなさい」
「そんなものかしら?」
「そんなものだ」
健太郎さんは断言しています。
「お前たちは、私たちの結婚式の写真とかが当然のようにあったから、そのありがたみが分からんのだ」
「そうかなぁ? そんなに大事?」
「ああ、大事だ。子どものために結婚式も挙げて、写真も撮っておきなさい」
「子どものため」
「そうだ。子どものためだ」
順子はピンときていないようです。
「親戚に結婚したことを報告するのは大事だぞ。子どもが生まれるなら、なおさらだ」
「んー。でもお金が……」
「なに結婚式なら、ご祝儀が入る。トータルで考えれば、そんなに足は出ないはずだ。私も援助しよう。それに順子。子どものためにも親戚付き合いは大切だぞ」
「そんなものなのね」
「そうだ。お前は親になるんだぞ、順子。自覚を持ちなさい」
健太郎さんは順子を叱るのではなく、次を見据えて導こうとしているようです。
わたしも健太郎さんと一緒に、順子へ寄り添うことに決めました。
ドラマのように大騒ぎしたり、ちゃぶ台をひっくり返して大暴れするようなことになったらどうしようかと思っていましたが、そうはなりませんでした。
土曜日の昼下がり。
冬が始まったばかりの時期です。
こたつを挟んで健太郎さんと順子は向かい合っています。
「子どもができたから、哲也さんと結婚する」
順子がそう告げると、一瞬だけ健太郎さんは目を見張り、それから渋い顔になりました。
「そうか」
健太郎さんは一言短く言って、黙り込んでしまいました。
我が家が女性側の家だったせいもあるかもしれません。
順子のお腹には、すでに子どもがいます。
暴力なんて絶対ふるうことはできません。
あの子のお腹にいるのは、わたしたちの初孫です。
何かあったら困ります。
順子から報告を受けた健太郎さんは渋い顔をしていますが、怒鳴り散らすようなことはありません。
冷静です。
だからこそ、怖いと思うのですが。
順子は平気な顔をして、健太郎さんの正面でお茶をすすっています。
「で、どうするんだ? 結婚式とかは」
「しなくてもいいかなぁ、と思ってるんだけど」
健太郎さんは眉をしかめてきっぱりと言う。
「それはダメだ」
「どうして? 私たちは別にこだわりはないわ。赤ちゃんも生まれるし、新居も準備しなきゃいけないし。お金はいくらあっても足りないもの」
「いや、お金の問題じゃない」
順子は不思議そうに首を傾げています。
「結婚式はしておいたほうがいい。生まれてくる子どものためにも、写真を残しておきなさい。幸せなお前たちの姿を記録として残しなさい。後から子どもが見て、自分が愛されて生まれたことを知り、安心するから。結婚式の写真はもちろん、妊娠中の写真も撮っておきなさい」
「そんなものかしら?」
「そんなものだ」
健太郎さんは断言しています。
「お前たちは、私たちの結婚式の写真とかが当然のようにあったから、そのありがたみが分からんのだ」
「そうかなぁ? そんなに大事?」
「ああ、大事だ。子どものために結婚式も挙げて、写真も撮っておきなさい」
「子どものため」
「そうだ。子どものためだ」
順子はピンときていないようです。
「親戚に結婚したことを報告するのは大事だぞ。子どもが生まれるなら、なおさらだ」
「んー。でもお金が……」
「なに結婚式なら、ご祝儀が入る。トータルで考えれば、そんなに足は出ないはずだ。私も援助しよう。それに順子。子どものためにも親戚付き合いは大切だぞ」
「そんなものなのね」
「そうだ。お前は親になるんだぞ、順子。自覚を持ちなさい」
健太郎さんは順子を叱るのではなく、次を見据えて導こうとしているようです。
わたしも健太郎さんと一緒に、順子へ寄り添うことに決めました。
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