【完結】昭和25年生まれ 木村悦子75歳

天田れおぽん

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第20話 2003年 悦子 53歳

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「ばーばぁ。ばーばぁ」
「なぁに? 玲子ちゃん」

 2003年、平成15年。
 孫の玲子は5歳になりました。
 
 保育園へのお迎えは、わたしです。
 当然のように、玲子はわたしの家にいます。
 保育園へお迎えに行って、お風呂に入れて、ご飯を食べさせて。
 夜になって迎えに来た順子へバトンタッチ。
 その時に残ったおかずを持たせたりしています。
 
 家は別で、嫁にやったはずですが。

 甘い親ですね、わたし。
 でも孫は可愛いし、子どもも可愛いのです。
 子どもの夫である哲也さんの分はオマケですね。
 
 そんなこんなで世話を焼いているので、孫の玲子はわたしにとても懐いています。

 5歳になった玲子は、とてもお喋りが上手です。

「おおきなばーばは、きょう、こない?」
「どの大きなばーばかな?」

 玲子は、わたしたち夫婦にはもちろん、哲也さんのご両親や、わたしの両親にもとても可愛がられています。
 健太郎さんのご両親にも可愛がられていますから『ばーば』だけでも何人かいるのです。

「えーとねぇ、えーとねぇ、とよちゃん」

 とよちゃんは、わたしの実母です。
 
「とよちゃんおおばーばは、今日は来ないわねぇ~」

 玲子はたくさんいる『ばーば』や『じーじ』を覚えているようです。
 賢いですね。
 我が家にいることが多いですから、普通に『ばーば』と言えばわたしだし、『じーじ』と言ったら健太郎さんなのですけどね。
 
 ついこの間生まれたばかりのような幼子が、たくさんの親族を覚えているというのは感動を覚えます。
 もっとも殆ど合わない伯父である健太のことは、あまり記憶にないようですが。
 それは当然のことですから仕方ありません。

「とよちゃん、こない……ちょっと、さびしい」
「ふふ。そうなの。寂しいのね」

 哲也さんのご両親ではなく、わたしの実母と会えないのが寂しいと言われると、ちょっと心の中でガッツポーズをとっちゃいますね。
 大人げないかもしれませんけど、わたしのほうが世話していますからね。
 この程度は……ほほほっ。

 そんなこんなで楽しく毎日暮らしています。

 2003年は、SARSが気になった年でもあります。
 今もそうですが、感染症は怖いです。
 特に幼い子どものいる家庭では、怖いですよね。

 元気に遊んでいて欲しいけれど、子どもはただでさえ病気をしがちです。
 すぐに熱を出してしまいますから、用心するに越したことはありません。
 無理をさせないように、生活習慣に気を付けて、衛生面にも気を使って……とやっていても病気になるのが子どもです。

 特に感染症は、子ども同士で感染うつしっこしているようなものですから、たまりません。
 心配していてもきりがないので、やれることをやるだけです。
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