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さるもの
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オレは吠えた。オレは本気で京香が好きなんだ。結婚してくれ。結婚しようよ。そんな気持ちを声にしてみました、って感じで叫んだ。
「もう、うるさい。ホント、アンタってばサルなんだから」
京香は長いサラサラストレートの髪をウザそうに後ろへと流し、次の瞬間、その手でオレを指さした。
「いつも、いつも。叫べば自分の思い通りになると考えてるなら甘いからっ」
辛口ストレートなご意見を、ぷっくりとした可愛らしい唇から吐き出しながらオレを見る。その目はデカい。長い睫毛に縁どられた黒い瞳がオレをとらえた。
見て下さい。見て見て、と、ばかりにオレがボディランゲージをとると、京香は溜息を吐いた。
「ホントもう呆れる。アンタは。怒られたって、ちっとも反省しないし」
はい。自分でも分かっています。オレの辞書に反省という文字はない。
「自分を分かろうともしないし」
はい。分かろうともしていません。オレってば本能に忠実なんで。本能に忠誠誓っちゃっているタイプなんで。諦めて結婚してくれよぉ、京香。
「ほら、鏡を見てごらんなさい」
京香は鏡をオレの前に差し出した。
「アンタはホントにサルでしょ?」
「……」
確かに。そこには一匹の猿が映っていた。
「ホントにもう。アンタは猿だから私とは結ばれないって、何度も何度も言っているのに信じないんだもの」
「ウッキー」
オレは鳴いた。
「そーゆー思い込みが激しいトコが、女子ウケ悪い理由だぞ」
京香は茶目っ気たっぷりに続けた。
「そんなキミのために、好みに合いそうな女子を手配いたしました」
高らかに宣言すると、京香は襖をドーンと開けた。
そこには。
可愛らしい猿がいた。
「ウッキー」
彼女は鳴いた。
「ウッキー!」
オレも鳴いた。
もちろん、オレは一目で恋に落ちた。
『京香ってばオレのこと分かってるぅー』と、心のなかで叫びながら、オレは飛び跳ねながら吠えたんだ。
「もう、うるさい。ホント、アンタってばサルなんだから」
京香は長いサラサラストレートの髪をウザそうに後ろへと流し、次の瞬間、その手でオレを指さした。
「いつも、いつも。叫べば自分の思い通りになると考えてるなら甘いからっ」
辛口ストレートなご意見を、ぷっくりとした可愛らしい唇から吐き出しながらオレを見る。その目はデカい。長い睫毛に縁どられた黒い瞳がオレをとらえた。
見て下さい。見て見て、と、ばかりにオレがボディランゲージをとると、京香は溜息を吐いた。
「ホントもう呆れる。アンタは。怒られたって、ちっとも反省しないし」
はい。自分でも分かっています。オレの辞書に反省という文字はない。
「自分を分かろうともしないし」
はい。分かろうともしていません。オレってば本能に忠実なんで。本能に忠誠誓っちゃっているタイプなんで。諦めて結婚してくれよぉ、京香。
「ほら、鏡を見てごらんなさい」
京香は鏡をオレの前に差し出した。
「アンタはホントにサルでしょ?」
「……」
確かに。そこには一匹の猿が映っていた。
「ホントにもう。アンタは猿だから私とは結ばれないって、何度も何度も言っているのに信じないんだもの」
「ウッキー」
オレは鳴いた。
「そーゆー思い込みが激しいトコが、女子ウケ悪い理由だぞ」
京香は茶目っ気たっぷりに続けた。
「そんなキミのために、好みに合いそうな女子を手配いたしました」
高らかに宣言すると、京香は襖をドーンと開けた。
そこには。
可愛らしい猿がいた。
「ウッキー」
彼女は鳴いた。
「ウッキー!」
オレも鳴いた。
もちろん、オレは一目で恋に落ちた。
『京香ってばオレのこと分かってるぅー』と、心のなかで叫びながら、オレは飛び跳ねながら吠えたんだ。
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