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第二話 冷遇夜伽聖女
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ここはスウィーティ王国。
気候は温暖で、薄っすらと四季はあるものの春がとても長い。
そして甘そうな国名に反し、この国の者は呪われやすい。
人々には魔力があり、生活魔法を使って便利に暮らしている。
平和に、穏やかに、暮らしていけば問題はないのだが。
人々は生活に困らない分、力の行き先をちょくちょく間違える。
結果として蔓延したのが呪いだ。
特に王族は呪われやすい。
その対策として神殿は『聖女』という存在を用意した。
聖女は呪いを払うことができる。
瘴気払いの聖女と呼ばれる者たちは、自らの魔力を使って呪いや瘴気を払うことができた。
魔力量は聖女により異なる。
聖女には『聖女紋』が刻まれ、魔力を使い瘴気を払う。
聖女の中には『夜伽聖女』という、性行為を通じて瘴気払いのできる者もいた。
特別な存在であり、通常は『避妊紋』が刻まれているため妊娠はしない。
神殿に住まう夜伽聖女とは、寄進のランクにより夜伽による瘴気払いを受けることができる。
だが王族専門の『王族聖女紋』を刻まれた『夜伽聖女』は違う。
聖女のなかでも王族専属となる特別な夜伽聖女だからだ。
彼女たちは王族しか抱くことができない。
その中でも『国王の夜伽聖女』の立場は側妃相当にあたり、聖女のなかで最も地位が高い。
『国王の夜伽聖女』として正式に迎え入れられた聖女は『避妊紋』を解かれ、日々の瘴気払いの役目を果たしながら懐妊することも可能となる。
「はぁ~……暇」
聖女であるレイチェル・ミアン男爵令嬢は、自室の窓辺にもたれ掛かって溜息を吐いた。
レイチェルは『王族聖女紋』を持つ『夜伽聖女』だ。
二十歳になったのを機に、次の『国王の夜伽聖女』となるべく王宮へと迎え入れられた。
王位継承が行われて現在の王太子が国王となった暁には、レイチェルは晴れて『国王の夜伽聖女』となる予定だ。
(でもわたしは、形だけの夜伽聖女だから……避妊紋も必要がないくらいの夜伽聖女。王宮住まいになってからは、普通の瘴気払いすらしていないのに。ホント、聖女紋と避妊紋の無駄遣い~)
レイチェルは憂鬱な気分で窓の外にある中庭を見下ろした。
晴れた暖かい春の日。
中庭にはテーブルと椅子が並べられ、大きな日傘のような白いレースのガーデンパラソルが日よけのために立てられている。
降り注ぐ日差しのなかに夏の気配を感じる今日は、ピクニック日和だ。
遠出するほどの暇はないがお茶をする程度には時間のある貴族たちは王宮の美しい中庭に集い、賑やかに語り合ったり、紅茶を飲んだり、サンドイッチを食べたりしている。
だが、そこにレイチェルが呼ばれることはない。
(上位貴族たちの楽しい集まりに、男爵家の娘が混ざったりしたらいけないらしいから……)
聖女は爵位に関係なく身分が定められている。
特に『王族聖女紋』を持つレイチェルの地位は高い。
それが面白くない人たちもいるのだ。
「ほら、夜伽聖女さまがこちらを見ているわ」
「あら、本当ね」
ツンと澄ました令嬢たちのわざとらしい声が響いて、レイチェルは眉をひそめた。
(ノラさまの腰ぎんちゃく、細長いのとポッチャリだわ)
「伯爵令嬢であるノラさまを差し置いて、図々しくも次の『国王の夜伽聖女』となった男爵令嬢……名前はなんだったかしら? 忘れちゃったわ」
細長い令嬢が話しかけると、ポッチャリした令嬢が頷きながら言う。
「ふふふ。私も忘れちゃったわね。魔力量が多いからって、男爵令嬢が王宮住まいなんて。格式高すぎて、かえって肩がこるのではないかしら? ねぇ、ノラさま」
話しかけられた令嬢は嫌そうに顔をしかめ、こちらを見上げた。
(ノラさまは、相変わらずね)
ノラ・フィックス伯爵令嬢。
レイチェルと同じ瘴気払いの聖女だが、彼女は魔力量がかなり少ない。
だから爵位は低くとも魔力量が上のレイチェルが将来の『国王の夜伽聖女』に選ばれたのだ。
しかし聖女の中で最も爵位の高い伯爵家の令嬢であるノラは、男爵令嬢であるレイチェルが選ばれたことに納得はしていない。
氷のように冷たい青い瞳で、レイチェルをジロリと睨むのがお約束だ。
ノラは銀色の髪に、骨格が外から分かるような細い体をしている。
夜伽聖女としては性的な匂いを感じさせないタイプで、いかにも気位の高い貴族令嬢といった雰囲気の女性だ。
「わたくしはレイチェルのことなど、認めてはいないわ。認めていない者など、いないも同然。そうでしょう? ホルツさま」
「ああ。そうだな」
話しかけられたホルツは、面倒そうに答えた。
王太子であるホルツは、レイチェルが仕えるべき貴人だ。
彼の瘴気払いは本来、レイチェルの仕事であるが、今その仕事はノラが勤めている。
ホルツは淡い金髪に金の瞳、色黒の大柄な筋肉質な体をした男性で、王子さまとしては、かなり男臭いタイプだ。
「オレは、あんな娼婦のような女を抱きたいとは思わない」
傲慢に言い放つホルツに、レイチェルは眉根を寄せた。
(わたしだって、あなたなんかに抱かれたくはないわ)
ホルツの着ている黒地に赤地をアクセントに使った貴族服は、軍服のようにも見える。
金の刺繍が入れられていても、金のバックルを使ったベルトを締めていても、彼の不穏さを消すことはできない。
(王子さまというよりも軍人。ホルツさまは、兵を率いて敵国へと攻め入る将軍みたい。ホルツさまは血にまみれていなくても、血生臭い匂いがする)
現王妃ルシアナの一人息子であるホルツは、我儘に育った。
多少粗雑な所もあるためか、呪われやすい。
(ホルツさまにかけられた呪いは鉄さびのような、血のような独特の臭いがするのよね)
だがレイチェルがホルツの瘴気払いをしたことは一度もない。
なぜならホルツの瘴気払いは、ノラが行っているからだ。
魔力量の弱いノラによる瘴気払いは不完全で、ホルツからはいつも呪いの臭いがした。
「オレの瘴気払いの聖女は、ノラがよかったのに。何故レイチェルなんだ?」
「本当にそうですわね、ホルツさま。わたくしが『国王の夜伽聖女』に選ばれていれば、何も問題がなかったのですけれど……」
「ああ、そうだな。抱くならノラがいい。レイチェルを抱くとか、虫唾が走る」
聞こえるように、わざと大きな声で繰り広げられている会話は、当然のようにレイチェルの耳に届いた。
レイチェルは、溜息を吐いた。
小さな頃から、いつもこうだ。
レイチェルとホルツ、そしてノラは同い年の二十歳。
早々に聖女の修行を神殿で始めていたレイチェルは、魔力量の多さから将来の『国王の夜伽聖女』として選ばれた。
彼女は『夜伽』の意味も分からない頃から、日々修行に励んでいた。
神官たちに褒められながら、レイチェルは日々頑張って聖女としての腕を上げていった。
なのにレイチェルは、まだ『国王の夜伽聖女』の役割を知らないうちから、ホルツとノラに疎まれていた。
嫌ってくる相手を好きになる者などいない。
レイチェルも彼らが嫌いだ。
ピンク色の髪にアメジスト色の瞳を持つレイチェルが、いかにも女性的な体へと育っていくにしたがって、ホルツたちから向けられる感情は嫌悪に変わっていった。
ホルツはレイチェルのいる窓辺を見上げ、吐き捨てるように言う。
「男に媚びる女は嫌いだ」
ホルツの隣でノラがウフフと嗤う。
「オレは背筋がシャンと伸びた、気高い雰囲気の女性が好みだ。ノラのように」
「ありがとうございます、ホルツさま」
ノラは頬を赤く染め、うっとりとした表情を浮かべて隣に座っているホルツを見上げた。
彼の好みは小さな頃から一貫している。
(わたしのような男に媚びるタイプは嫌いだと、ホルツさまは言うけれど。わたしは男に媚びているわけじゃない)
レイチェルは、たまたま男好きのする容姿を持って生まれただけだ。
細身ながら出るべき所はボンッと出ている、美しい曲線を持つ体。
ツヤツヤのピンク色の髪にぷっくりしたピンク色の唇。
アメジスト色の瞳がはまった目は大きく、丸みのある顔は顎の辺りでシュッと締まっている。
少し甘えたように聞こえる声も、百六十センチほどの身長も、細い指も、白くて朱を帯びやすい肌も。
全て持って生まれたものなのだから仕方ない。
魔力量もそうだ。
レイチェルだって好きで膨大な魔力量を持って生まれたわけではない。
男爵家に生まれたのだって、選んだわけではないのだ。
それなのに――――
レイチェルは考えることをやめて、靴を脱ぎ捨てるとベッドの上にゴロリと横になった。
他人は意地悪。
悪意のささやきは風に乗り、わたしの耳に届いて心を抉る。
聖力はあっても、わたしは無力。
ベッドの上に1人きりの、わたしは孤独。
「わたしは、誰のことも好きじゃない……」
レイチェルのささやきは窓から入り込んだ風に乗り、誰に聞かれることもなく、どこかへと消えていった。
気候は温暖で、薄っすらと四季はあるものの春がとても長い。
そして甘そうな国名に反し、この国の者は呪われやすい。
人々には魔力があり、生活魔法を使って便利に暮らしている。
平和に、穏やかに、暮らしていけば問題はないのだが。
人々は生活に困らない分、力の行き先をちょくちょく間違える。
結果として蔓延したのが呪いだ。
特に王族は呪われやすい。
その対策として神殿は『聖女』という存在を用意した。
聖女は呪いを払うことができる。
瘴気払いの聖女と呼ばれる者たちは、自らの魔力を使って呪いや瘴気を払うことができた。
魔力量は聖女により異なる。
聖女には『聖女紋』が刻まれ、魔力を使い瘴気を払う。
聖女の中には『夜伽聖女』という、性行為を通じて瘴気払いのできる者もいた。
特別な存在であり、通常は『避妊紋』が刻まれているため妊娠はしない。
神殿に住まう夜伽聖女とは、寄進のランクにより夜伽による瘴気払いを受けることができる。
だが王族専門の『王族聖女紋』を刻まれた『夜伽聖女』は違う。
聖女のなかでも王族専属となる特別な夜伽聖女だからだ。
彼女たちは王族しか抱くことができない。
その中でも『国王の夜伽聖女』の立場は側妃相当にあたり、聖女のなかで最も地位が高い。
『国王の夜伽聖女』として正式に迎え入れられた聖女は『避妊紋』を解かれ、日々の瘴気払いの役目を果たしながら懐妊することも可能となる。
「はぁ~……暇」
聖女であるレイチェル・ミアン男爵令嬢は、自室の窓辺にもたれ掛かって溜息を吐いた。
レイチェルは『王族聖女紋』を持つ『夜伽聖女』だ。
二十歳になったのを機に、次の『国王の夜伽聖女』となるべく王宮へと迎え入れられた。
王位継承が行われて現在の王太子が国王となった暁には、レイチェルは晴れて『国王の夜伽聖女』となる予定だ。
(でもわたしは、形だけの夜伽聖女だから……避妊紋も必要がないくらいの夜伽聖女。王宮住まいになってからは、普通の瘴気払いすらしていないのに。ホント、聖女紋と避妊紋の無駄遣い~)
レイチェルは憂鬱な気分で窓の外にある中庭を見下ろした。
晴れた暖かい春の日。
中庭にはテーブルと椅子が並べられ、大きな日傘のような白いレースのガーデンパラソルが日よけのために立てられている。
降り注ぐ日差しのなかに夏の気配を感じる今日は、ピクニック日和だ。
遠出するほどの暇はないがお茶をする程度には時間のある貴族たちは王宮の美しい中庭に集い、賑やかに語り合ったり、紅茶を飲んだり、サンドイッチを食べたりしている。
だが、そこにレイチェルが呼ばれることはない。
(上位貴族たちの楽しい集まりに、男爵家の娘が混ざったりしたらいけないらしいから……)
聖女は爵位に関係なく身分が定められている。
特に『王族聖女紋』を持つレイチェルの地位は高い。
それが面白くない人たちもいるのだ。
「ほら、夜伽聖女さまがこちらを見ているわ」
「あら、本当ね」
ツンと澄ました令嬢たちのわざとらしい声が響いて、レイチェルは眉をひそめた。
(ノラさまの腰ぎんちゃく、細長いのとポッチャリだわ)
「伯爵令嬢であるノラさまを差し置いて、図々しくも次の『国王の夜伽聖女』となった男爵令嬢……名前はなんだったかしら? 忘れちゃったわ」
細長い令嬢が話しかけると、ポッチャリした令嬢が頷きながら言う。
「ふふふ。私も忘れちゃったわね。魔力量が多いからって、男爵令嬢が王宮住まいなんて。格式高すぎて、かえって肩がこるのではないかしら? ねぇ、ノラさま」
話しかけられた令嬢は嫌そうに顔をしかめ、こちらを見上げた。
(ノラさまは、相変わらずね)
ノラ・フィックス伯爵令嬢。
レイチェルと同じ瘴気払いの聖女だが、彼女は魔力量がかなり少ない。
だから爵位は低くとも魔力量が上のレイチェルが将来の『国王の夜伽聖女』に選ばれたのだ。
しかし聖女の中で最も爵位の高い伯爵家の令嬢であるノラは、男爵令嬢であるレイチェルが選ばれたことに納得はしていない。
氷のように冷たい青い瞳で、レイチェルをジロリと睨むのがお約束だ。
ノラは銀色の髪に、骨格が外から分かるような細い体をしている。
夜伽聖女としては性的な匂いを感じさせないタイプで、いかにも気位の高い貴族令嬢といった雰囲気の女性だ。
「わたくしはレイチェルのことなど、認めてはいないわ。認めていない者など、いないも同然。そうでしょう? ホルツさま」
「ああ。そうだな」
話しかけられたホルツは、面倒そうに答えた。
王太子であるホルツは、レイチェルが仕えるべき貴人だ。
彼の瘴気払いは本来、レイチェルの仕事であるが、今その仕事はノラが勤めている。
ホルツは淡い金髪に金の瞳、色黒の大柄な筋肉質な体をした男性で、王子さまとしては、かなり男臭いタイプだ。
「オレは、あんな娼婦のような女を抱きたいとは思わない」
傲慢に言い放つホルツに、レイチェルは眉根を寄せた。
(わたしだって、あなたなんかに抱かれたくはないわ)
ホルツの着ている黒地に赤地をアクセントに使った貴族服は、軍服のようにも見える。
金の刺繍が入れられていても、金のバックルを使ったベルトを締めていても、彼の不穏さを消すことはできない。
(王子さまというよりも軍人。ホルツさまは、兵を率いて敵国へと攻め入る将軍みたい。ホルツさまは血にまみれていなくても、血生臭い匂いがする)
現王妃ルシアナの一人息子であるホルツは、我儘に育った。
多少粗雑な所もあるためか、呪われやすい。
(ホルツさまにかけられた呪いは鉄さびのような、血のような独特の臭いがするのよね)
だがレイチェルがホルツの瘴気払いをしたことは一度もない。
なぜならホルツの瘴気払いは、ノラが行っているからだ。
魔力量の弱いノラによる瘴気払いは不完全で、ホルツからはいつも呪いの臭いがした。
「オレの瘴気払いの聖女は、ノラがよかったのに。何故レイチェルなんだ?」
「本当にそうですわね、ホルツさま。わたくしが『国王の夜伽聖女』に選ばれていれば、何も問題がなかったのですけれど……」
「ああ、そうだな。抱くならノラがいい。レイチェルを抱くとか、虫唾が走る」
聞こえるように、わざと大きな声で繰り広げられている会話は、当然のようにレイチェルの耳に届いた。
レイチェルは、溜息を吐いた。
小さな頃から、いつもこうだ。
レイチェルとホルツ、そしてノラは同い年の二十歳。
早々に聖女の修行を神殿で始めていたレイチェルは、魔力量の多さから将来の『国王の夜伽聖女』として選ばれた。
彼女は『夜伽』の意味も分からない頃から、日々修行に励んでいた。
神官たちに褒められながら、レイチェルは日々頑張って聖女としての腕を上げていった。
なのにレイチェルは、まだ『国王の夜伽聖女』の役割を知らないうちから、ホルツとノラに疎まれていた。
嫌ってくる相手を好きになる者などいない。
レイチェルも彼らが嫌いだ。
ピンク色の髪にアメジスト色の瞳を持つレイチェルが、いかにも女性的な体へと育っていくにしたがって、ホルツたちから向けられる感情は嫌悪に変わっていった。
ホルツはレイチェルのいる窓辺を見上げ、吐き捨てるように言う。
「男に媚びる女は嫌いだ」
ホルツの隣でノラがウフフと嗤う。
「オレは背筋がシャンと伸びた、気高い雰囲気の女性が好みだ。ノラのように」
「ありがとうございます、ホルツさま」
ノラは頬を赤く染め、うっとりとした表情を浮かべて隣に座っているホルツを見上げた。
彼の好みは小さな頃から一貫している。
(わたしのような男に媚びるタイプは嫌いだと、ホルツさまは言うけれど。わたしは男に媚びているわけじゃない)
レイチェルは、たまたま男好きのする容姿を持って生まれただけだ。
細身ながら出るべき所はボンッと出ている、美しい曲線を持つ体。
ツヤツヤのピンク色の髪にぷっくりしたピンク色の唇。
アメジスト色の瞳がはまった目は大きく、丸みのある顔は顎の辺りでシュッと締まっている。
少し甘えたように聞こえる声も、百六十センチほどの身長も、細い指も、白くて朱を帯びやすい肌も。
全て持って生まれたものなのだから仕方ない。
魔力量もそうだ。
レイチェルだって好きで膨大な魔力量を持って生まれたわけではない。
男爵家に生まれたのだって、選んだわけではないのだ。
それなのに――――
レイチェルは考えることをやめて、靴を脱ぎ捨てるとベッドの上にゴロリと横になった。
他人は意地悪。
悪意のささやきは風に乗り、わたしの耳に届いて心を抉る。
聖力はあっても、わたしは無力。
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「わたしは、誰のことも好きじゃない……」
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