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第七話 1人じゃない夜
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不思議なことにレイチェルは、すっかり犬に慣れた。
黒いポメラニアンのほうは最初からレイチェルに信頼を寄せていて、昔からの飼い犬のように無防備だ。
「うわぁ……ペットちゃんって、こんな感じなんだぁ……」
レイチェルは感動に胸を震わせながら、犬を膝に置いて撫でている。
何とも言えない温かさに信頼される心地よさ。
確かな命の感触を持ちながら疑うことなく自分の側にいてくれる存在の愛しさを、レイチェルは初めて感じていた。
(ん~、でも犬は生き物だから……食事とか排泄とか、どうすれば……)
レイチェルが頭を悩ませていると、黒いポメラニアンが「きゅ~ん」と小さく甘えた声を上げながら彼女の指先を舐めた。
(可愛いぃぃぃ)
レイチェルは、すっかり黒いポメラニアンの虜である。
「ん、なんとかなるか」
その何とかをどうしていこうか、レイチェルは考えた。
(散歩とかは。小型犬だから、当面は部屋の中を歩かせておけばよいとして……食事と排泄は毎日必要だから……)
首を傾げた犬の黒い瞳が、不思議そうにレイチェルを見上げている。
(ん、食事はわたしの食事を多めに用意してもらって。排泄とか他のことは魔法でなんとかなるか。あ、でもペットは人間の食事と同じじゃダメだったような……図書室で本を借りてこなきゃ)
レイチェルは、犬を飼うための算段を始めた。
(どうしよう。王宮だから許可をもらわないといけないかなぁ? でもホルツさまに意地悪されて取り上げられちゃったら嫌だなぁ……ん、当面は内緒にする)
温かな犬の体温を感じながら、レイチェルは急激な眠気を感じた。
「ふわぁ~。もう今日は寝よう。ねぇ、わんちゃん。あなたも一緒に寝る?」
レイチェルは大きな伸びをしながら、黒いポメラニアンに聞いた。
聞かれた犬は、小さくプルプル震えながらキョトンとした表情を浮かべて首を傾げている。
「はは。何を聞かれているのかなんて、分かんないわよね。ん、今夜は一緒に寝よっか」
レイチェルは、立ち上がりながらヒョイと黒いポメラニアンを抱きかかえて、ベッドへと向かった。
広いベッドはレイチェルと小型犬くらいなら余裕で受け止めてくれる。
(夜伽聖女なのに、ホルツさまとよりも先に犬と寝ることになろうとは!)
想像もしなかった事態に、レイチェルは愉快な気分になってしまってフフフと笑った。
黒いポメラニアンはキョトンとした表情でレイチェルを見上げている。
「可愛い~」
レイチェルは犬をギュッと抱きしめて、その頭をアゴでワシワシと撫でた。
こんな可愛い生き物と一緒に寝られるのだ。
白いシーツの上では黒い抜け毛は目立つかもしれないが、後から片付ければいいだろう。
(浄化を使えば解決するわ。それにしても、1人じゃない夜なんて、いつぶりかしら?)
両親を早くに亡くしたレイチェルは、神殿で育った。
集団生活であれば、同じ部屋に押し込められて寝るのが普通だ。
しかし、レイチェルの場合は違った。
(わたしは魔力量が多かったから、魔力暴走とか万が一の事態に備えて最初から1人部屋だったし。わたしも何かあったら怖いから、1人でいることが多くて……動物に対しても何かあったら怖いから、避けていたのよね。今ならちゃんと調節できるから平気だわ)
レイチェルは黒いポメラニアンを撫でると胸に抱き、モゾモゾとベッドへと潜り込んだ。
「あなたは、ここで寝る?」
レイチェルが胸の上にヒョイと黒いポメラニアンを置くと、黒い毛玉はちょっと慌てた様子を見せた。
「ふふふ。安定が悪いかな? でも平気でしょ?」
黒いポメラニアンは、レイチェルの胸の上をチョイチョイと前足の先で確認したのち、安心したように腰を下ろした。
あっという間に胸の上でくつろぎ始めた黒いポメラニアンを見て、レイチェルは笑った。
仄かに温かいフワフワした体は、心地よい。
(ちょっと重いけど、コレは癖になりそう)
自然とレイチェルの口元は緩んだ。
「そこが気に入った? ならよかったわ。今日はもう寝ましょう。これから先のことは明日、考えましょう。わたし、なんだかとても疲れてしまったの……」
急激な眠気を覚えたレイチェルは、胸の上の黒い毛玉を撫でながら、あっという間に眠りに落ちたのだった。
黒いポメラニアンのほうは最初からレイチェルに信頼を寄せていて、昔からの飼い犬のように無防備だ。
「うわぁ……ペットちゃんって、こんな感じなんだぁ……」
レイチェルは感動に胸を震わせながら、犬を膝に置いて撫でている。
何とも言えない温かさに信頼される心地よさ。
確かな命の感触を持ちながら疑うことなく自分の側にいてくれる存在の愛しさを、レイチェルは初めて感じていた。
(ん~、でも犬は生き物だから……食事とか排泄とか、どうすれば……)
レイチェルが頭を悩ませていると、黒いポメラニアンが「きゅ~ん」と小さく甘えた声を上げながら彼女の指先を舐めた。
(可愛いぃぃぃ)
レイチェルは、すっかり黒いポメラニアンの虜である。
「ん、なんとかなるか」
その何とかをどうしていこうか、レイチェルは考えた。
(散歩とかは。小型犬だから、当面は部屋の中を歩かせておけばよいとして……食事と排泄は毎日必要だから……)
首を傾げた犬の黒い瞳が、不思議そうにレイチェルを見上げている。
(ん、食事はわたしの食事を多めに用意してもらって。排泄とか他のことは魔法でなんとかなるか。あ、でもペットは人間の食事と同じじゃダメだったような……図書室で本を借りてこなきゃ)
レイチェルは、犬を飼うための算段を始めた。
(どうしよう。王宮だから許可をもらわないといけないかなぁ? でもホルツさまに意地悪されて取り上げられちゃったら嫌だなぁ……ん、当面は内緒にする)
温かな犬の体温を感じながら、レイチェルは急激な眠気を感じた。
「ふわぁ~。もう今日は寝よう。ねぇ、わんちゃん。あなたも一緒に寝る?」
レイチェルは大きな伸びをしながら、黒いポメラニアンに聞いた。
聞かれた犬は、小さくプルプル震えながらキョトンとした表情を浮かべて首を傾げている。
「はは。何を聞かれているのかなんて、分かんないわよね。ん、今夜は一緒に寝よっか」
レイチェルは、立ち上がりながらヒョイと黒いポメラニアンを抱きかかえて、ベッドへと向かった。
広いベッドはレイチェルと小型犬くらいなら余裕で受け止めてくれる。
(夜伽聖女なのに、ホルツさまとよりも先に犬と寝ることになろうとは!)
想像もしなかった事態に、レイチェルは愉快な気分になってしまってフフフと笑った。
黒いポメラニアンはキョトンとした表情でレイチェルを見上げている。
「可愛い~」
レイチェルは犬をギュッと抱きしめて、その頭をアゴでワシワシと撫でた。
こんな可愛い生き物と一緒に寝られるのだ。
白いシーツの上では黒い抜け毛は目立つかもしれないが、後から片付ければいいだろう。
(浄化を使えば解決するわ。それにしても、1人じゃない夜なんて、いつぶりかしら?)
両親を早くに亡くしたレイチェルは、神殿で育った。
集団生活であれば、同じ部屋に押し込められて寝るのが普通だ。
しかし、レイチェルの場合は違った。
(わたしは魔力量が多かったから、魔力暴走とか万が一の事態に備えて最初から1人部屋だったし。わたしも何かあったら怖いから、1人でいることが多くて……動物に対しても何かあったら怖いから、避けていたのよね。今ならちゃんと調節できるから平気だわ)
レイチェルは黒いポメラニアンを撫でると胸に抱き、モゾモゾとベッドへと潜り込んだ。
「あなたは、ここで寝る?」
レイチェルが胸の上にヒョイと黒いポメラニアンを置くと、黒い毛玉はちょっと慌てた様子を見せた。
「ふふふ。安定が悪いかな? でも平気でしょ?」
黒いポメラニアンは、レイチェルの胸の上をチョイチョイと前足の先で確認したのち、安心したように腰を下ろした。
あっという間に胸の上でくつろぎ始めた黒いポメラニアンを見て、レイチェルは笑った。
仄かに温かいフワフワした体は、心地よい。
(ちょっと重いけど、コレは癖になりそう)
自然とレイチェルの口元は緩んだ。
「そこが気に入った? ならよかったわ。今日はもう寝ましょう。これから先のことは明日、考えましょう。わたし、なんだかとても疲れてしまったの……」
急激な眠気を覚えたレイチェルは、胸の上の黒い毛玉を撫でながら、あっという間に眠りに落ちたのだった。
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