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第九話 王子さま登場
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「えっ⁉ あっ、なに?」
レイチェルは、目の前の光景に後ずさった。
(本当にクロイツ王太子殿下⁉ しかも素っ裸!)
黒いポメラニアンから金色のポメラニアンへと姿を変えた犬は、更に王子さまへと変身したのだ。
大きな白いベッドのうえに、白い肌の逞しい体つきの男性が、ポカンとした顔をしてうずくまっている。
輝く長い金髪に金色の瞳。
呪いの解けた衝撃による光が消えても、なお発光しているように見える美丈夫だ。
(うわぁ、ちょっとちょっとどういうこと⁉ 噂に聞いたことはあるけど、本当に人間が動物になるなんて……うわぁ、しかも裸。……っていうか、クロイツ王太子殿下、いい体をしてらっしゃる……いやいや、そこじゃない。そこは見ちゃダメ!)
クロイツは右足の膝を立て、左足は折りたたんで外側に投げ出している。
わざとしているわけではないだろうが、クロイツのクロイツが丸見えだ。
レイチェルは下のほうに下がりがちな視線を慌てて逸らした。
(たしかクロイツ王太子殿下は今……二十四歳。姿を消されたときには、十六歳だったはず。あの体は十六歳には見えないから、呪われたまま年齢は重ねられたようね。クロイツ王太子殿下なら呪い対策のための、あの複雑な術式の魔法陣が体内に刻まれていたのも納得だわ)
クロイツの母である亡き王妃クロエは、聖女ではないが魔力量の多い女性だった。
公爵家の娘である彼女が神殿入りすることはなかったが、その豊富な魔力を活用するための勉強に余念がなかったとレイチェルは聞いていた。
(クロエ王妃殿下がクロイツ王太子殿下のために、あの独特な守護を施していたのね。だから夜伽聖女であったヘレンさまが亡くなっても、生き延びて……あぁ、わたしはどうしたらいいのかしら?)
レイチェルは混乱していた。
起きている事象を冷静に分析する一方、これからどうするかについての思考を巡らせ、そして自分の中で巻き上がる感情に振り回されている。
不安や恐れ、面倒なことになったという思いもあるのに、ときめきが止まらない。
裸のクロイツに恥じらう一報で、期待に胸が高鳴る。
未来への期待に心が弾んでわくわくするのだ。
心の中に色とりどりの花が咲き乱れるが如く華やぐ心。
ドキドキと心が躍る自分を止められない。
(お会いしたことがあるのに、というか遠目で拝見しただけではあるけれど。わたしはクロイツ王太子殿下のことをしっているのよ。なのに……何なの、あれは! 子どもの時には綺麗な王子さまだなぁ、と思っただけなのに。ベッドの上にいるからいけない。裸なのがいけない。なぜ裸? よりによってベッドの上で裸だなんてっ)
素っ裸でも上品で優雅な美しさを持つ金髪美青年の姿に、レイチェルはすっかり魅了されていた。
(もうっ! 素敵すぎるでしょ、クロイツ王太子殿下!)
レイチェルは高鳴る胸をワンピース型のナイトウエアの上から押さえた。
そんな彼女を、クロイツは戸惑ったような表情で見ながら聞いた。
「えっと……ぼくは、というか君は、なぜ此処にいるのかな?」
クロイツは不思議そうな表情を浮かべた優美な顔をレイチェルに向け、右手の人差し指で彼女を指さした後、指をグルリと回しながら部屋の中を指さして、首を傾けた。
(うわぁ~綺麗~)
サラサラと音を立てて流れる金髪に、レイチェルはうっとりと見惚れた。
「わたしにも、よく分かりませんが……この部屋を割り当てられたので仕方なくいます」
レイチェルの答えに、金色に輝く眉毛をふにょりと下げた王子さまは、室内を見回しながら聞く。
「えーと。調度品や絵画は見当たらないけど……ここは、ぼくの部屋だよね?」
裸の王子さま登場に、ときめいている場合ではなかったようだ。
(あっそうだ。この部屋は元々クロイツさまの……)
レイチェルは慌てて居ずまいを整えると、ベッドの上にキチンと座って答えた。
「はい、そうです。今はわたしが使っています」
(そうよね。御自分の部屋が勝手に夜伽聖女の部屋にされていたら驚くわよね)
レイチェルは気を取り直して自己紹介を始めた。
「わたしはホルツ王太子殿下の夜伽聖女で、レイチェル・ミアンと申します」
自己紹介がベッドの上というのがいかにも夜伽聖女といった感じがして、レイチェルは自分を笑った。
レイチェルに割り当てられた部屋は、元はクロイツが使っていた部屋だ。
そのことは彼女も知っていた。
この部屋で夜伽聖女であるヘレンは死体となって発見され、クロイツの姿は消えた。
(そんな部屋をわたしに割り当てるなんて。ホルツさまのわたしへの扱いが知れるというものだわ)
レイチェルは唇をキュッと噛んだ。
クロイツは彼女をまじまじと眺めて聞く。
「レイチェル・ミアン……ああ、ミアン男爵家の……」
「はい、そうです」
(お父さまたちは、2人揃って亡くなったから、印象に残っているのかしら? それとも幼い時から『王族聖女紋』を刻まれたから、わたしのことをご存じだったのかしら?)
金色の瞳にじっくりと見られて、レイチェルは頬を赤く染めて俯いた。
「……ん? さっき、ホルツ王太子殿下と言ったか?」
クロイツの声音がピキッと厳しく冷たい響きを帯びた。
レイチェルはハッとして顔を上げると、クロイツが何かに気付いたように目を見張っていた。
(ああ、そうよね。王太子はクロイツさまだったのに。自分の知らない間に腹違いのホルツさまに変わっていたら、気分悪いわよね)
「……はい」
レイチェルがバツの悪そうな消え入るような声で返事をすると、クロイツは怪訝そうな表情を浮かべた。
クロイツはキチンと足をたたんで座っているレイチェルの前へとにじりよった。
(あっ……えっ? 近い……ああ、クロイツ王太子殿下が、近いっ)
「もしかして、ぼくに代わって、ホルツが王太子になったの?」
「えっと……はい」
「どうして? ぼくが、ここにいるのに?」
自分を指さして聞いてくるクロイツに、レイチェルは1つの疑問を持った。
「あのぉ……クロイツ王太子殿下? もしかして、呪われた時の記憶がないのですか?」
レイチェルに言われて、クロイツはハッとした表情をうかべて後ろにのけぞった。
「ん~……残念ながら、あるな?」
「あるのですかっ⁉」
レイチェルは驚いて叫び、慌てて口を押えた。
(ああ、この部屋を遮蔽しておいてよかった。わたしってば叫び放題じゃない。内緒にしておくのは得意なほうじゃないから……でも、この状況。どうすればいいの⁉)
1人で百面相をするレイチェルを黙って眺めていたクロイツだったが、突然、何か思いついたようにニヤリと笑った。
(美形の、含みのある笑みって……怖い)
レイチェルはちょっと引いた。
クロイツは、その秀麗な顔をグイッと彼女に近付けて言う。
「ねぇ、君。君は夜伽聖女なんだろう?」
「えっ? あ、はい」
(近いっ、近いってばぁ~)
綺麗な顔と綺麗な体が一糸まとわぬ状態で、手を伸ばせば触れる距離にある。
初めての状況に、レイチェルはどぎまぎしながら答えた。
「王族専属の夜伽聖女? それとも未来の『国王の夜伽聖女』かい?」
「えっ、えっと……未来の『国王の夜伽聖女』です」
レイチェルの答えを聞いたクロイツは、甘い笑顔を浮かべ、右目でバチンとウインクした。
「なら、君。ぼくに抱かれてみない?」
「はい……えっ? はいっ⁉」
(えっ⁉ なにをおっしゃってるの⁉)
レイチェルは真っ赤になって、全身から汗がブワッと吹き出した。
「君が未来の『国王の夜伽聖女』ならば、君はぼくの夜伽聖女だ」
真っ裸のクロイツは、カチンコチンに身を固くしたレイチェルの肩を左手で抱き寄せると、右手を顎の下に差し入れてクイッと持ちあげた。
レイチェルのアメジスト色の瞳と、クロイツの金色の瞳が見つめ合う。
「瘴気払いをしてくれないかい? ぼくの夜伽聖女。人間には戻れたけど、まだ呪いが体中に絡みついているみたいだ。ねぇ、レイチェル? ぼくを正気に戻してくれないか」
目いっぱい見開かれたレイチェルの目に、金髪に金の瞳の美形が大きく映り込む。
(え? クロイツ王太子殿下に抱かれる? え?)
動揺して固まったままのレイチェルに、クロイツは不満そうに言う。
「んん~ん? 君、このぼくよりも、ホルツのほうがいいの?」
「えっ⁉ いえいえいえ」
レイチェルは即答すると、クロイツに向けた両手の平をブンブンと振った。
「ホルツさまに抱かれたことなんてありませんし……」
頭に浮かんだホルツの姿に、レイチェルはウゲッとなった。
ホルツも王族、しかも王太子ということで整った見た目をしている。
だが目の前にいるクロイツと比べたら月とスッポンだ。
軍人のように見えるホルツとは違って、クロイツは夢のように美しい王子さまである。
「ふぅん……君、もしかして夜伽はしたことがない?」
「はい、実技はしたことがないです」
バリッバリの処女です、と言いそうになってレイチェルは口をつぐんだ。
「そっか、処女か」
クロイツはレイチェルの呑み込んだ言葉を呟いて、パァァァァァと表情を輝かせた。
そして誘う。
「なら……ねぇ、ぼくとやってみない?」
色っぽい眼差しを向けてくるクロイツに気圧されながら、レイチェルはゴクリと唾を呑み込んでコクリと頷いた。
レイチェルは、目の前の光景に後ずさった。
(本当にクロイツ王太子殿下⁉ しかも素っ裸!)
黒いポメラニアンから金色のポメラニアンへと姿を変えた犬は、更に王子さまへと変身したのだ。
大きな白いベッドのうえに、白い肌の逞しい体つきの男性が、ポカンとした顔をしてうずくまっている。
輝く長い金髪に金色の瞳。
呪いの解けた衝撃による光が消えても、なお発光しているように見える美丈夫だ。
(うわぁ、ちょっとちょっとどういうこと⁉ 噂に聞いたことはあるけど、本当に人間が動物になるなんて……うわぁ、しかも裸。……っていうか、クロイツ王太子殿下、いい体をしてらっしゃる……いやいや、そこじゃない。そこは見ちゃダメ!)
クロイツは右足の膝を立て、左足は折りたたんで外側に投げ出している。
わざとしているわけではないだろうが、クロイツのクロイツが丸見えだ。
レイチェルは下のほうに下がりがちな視線を慌てて逸らした。
(たしかクロイツ王太子殿下は今……二十四歳。姿を消されたときには、十六歳だったはず。あの体は十六歳には見えないから、呪われたまま年齢は重ねられたようね。クロイツ王太子殿下なら呪い対策のための、あの複雑な術式の魔法陣が体内に刻まれていたのも納得だわ)
クロイツの母である亡き王妃クロエは、聖女ではないが魔力量の多い女性だった。
公爵家の娘である彼女が神殿入りすることはなかったが、その豊富な魔力を活用するための勉強に余念がなかったとレイチェルは聞いていた。
(クロエ王妃殿下がクロイツ王太子殿下のために、あの独特な守護を施していたのね。だから夜伽聖女であったヘレンさまが亡くなっても、生き延びて……あぁ、わたしはどうしたらいいのかしら?)
レイチェルは混乱していた。
起きている事象を冷静に分析する一方、これからどうするかについての思考を巡らせ、そして自分の中で巻き上がる感情に振り回されている。
不安や恐れ、面倒なことになったという思いもあるのに、ときめきが止まらない。
裸のクロイツに恥じらう一報で、期待に胸が高鳴る。
未来への期待に心が弾んでわくわくするのだ。
心の中に色とりどりの花が咲き乱れるが如く華やぐ心。
ドキドキと心が躍る自分を止められない。
(お会いしたことがあるのに、というか遠目で拝見しただけではあるけれど。わたしはクロイツ王太子殿下のことをしっているのよ。なのに……何なの、あれは! 子どもの時には綺麗な王子さまだなぁ、と思っただけなのに。ベッドの上にいるからいけない。裸なのがいけない。なぜ裸? よりによってベッドの上で裸だなんてっ)
素っ裸でも上品で優雅な美しさを持つ金髪美青年の姿に、レイチェルはすっかり魅了されていた。
(もうっ! 素敵すぎるでしょ、クロイツ王太子殿下!)
レイチェルは高鳴る胸をワンピース型のナイトウエアの上から押さえた。
そんな彼女を、クロイツは戸惑ったような表情で見ながら聞いた。
「えっと……ぼくは、というか君は、なぜ此処にいるのかな?」
クロイツは不思議そうな表情を浮かべた優美な顔をレイチェルに向け、右手の人差し指で彼女を指さした後、指をグルリと回しながら部屋の中を指さして、首を傾けた。
(うわぁ~綺麗~)
サラサラと音を立てて流れる金髪に、レイチェルはうっとりと見惚れた。
「わたしにも、よく分かりませんが……この部屋を割り当てられたので仕方なくいます」
レイチェルの答えに、金色に輝く眉毛をふにょりと下げた王子さまは、室内を見回しながら聞く。
「えーと。調度品や絵画は見当たらないけど……ここは、ぼくの部屋だよね?」
裸の王子さま登場に、ときめいている場合ではなかったようだ。
(あっそうだ。この部屋は元々クロイツさまの……)
レイチェルは慌てて居ずまいを整えると、ベッドの上にキチンと座って答えた。
「はい、そうです。今はわたしが使っています」
(そうよね。御自分の部屋が勝手に夜伽聖女の部屋にされていたら驚くわよね)
レイチェルは気を取り直して自己紹介を始めた。
「わたしはホルツ王太子殿下の夜伽聖女で、レイチェル・ミアンと申します」
自己紹介がベッドの上というのがいかにも夜伽聖女といった感じがして、レイチェルは自分を笑った。
レイチェルに割り当てられた部屋は、元はクロイツが使っていた部屋だ。
そのことは彼女も知っていた。
この部屋で夜伽聖女であるヘレンは死体となって発見され、クロイツの姿は消えた。
(そんな部屋をわたしに割り当てるなんて。ホルツさまのわたしへの扱いが知れるというものだわ)
レイチェルは唇をキュッと噛んだ。
クロイツは彼女をまじまじと眺めて聞く。
「レイチェル・ミアン……ああ、ミアン男爵家の……」
「はい、そうです」
(お父さまたちは、2人揃って亡くなったから、印象に残っているのかしら? それとも幼い時から『王族聖女紋』を刻まれたから、わたしのことをご存じだったのかしら?)
金色の瞳にじっくりと見られて、レイチェルは頬を赤く染めて俯いた。
「……ん? さっき、ホルツ王太子殿下と言ったか?」
クロイツの声音がピキッと厳しく冷たい響きを帯びた。
レイチェルはハッとして顔を上げると、クロイツが何かに気付いたように目を見張っていた。
(ああ、そうよね。王太子はクロイツさまだったのに。自分の知らない間に腹違いのホルツさまに変わっていたら、気分悪いわよね)
「……はい」
レイチェルがバツの悪そうな消え入るような声で返事をすると、クロイツは怪訝そうな表情を浮かべた。
クロイツはキチンと足をたたんで座っているレイチェルの前へとにじりよった。
(あっ……えっ? 近い……ああ、クロイツ王太子殿下が、近いっ)
「もしかして、ぼくに代わって、ホルツが王太子になったの?」
「えっと……はい」
「どうして? ぼくが、ここにいるのに?」
自分を指さして聞いてくるクロイツに、レイチェルは1つの疑問を持った。
「あのぉ……クロイツ王太子殿下? もしかして、呪われた時の記憶がないのですか?」
レイチェルに言われて、クロイツはハッとした表情をうかべて後ろにのけぞった。
「ん~……残念ながら、あるな?」
「あるのですかっ⁉」
レイチェルは驚いて叫び、慌てて口を押えた。
(ああ、この部屋を遮蔽しておいてよかった。わたしってば叫び放題じゃない。内緒にしておくのは得意なほうじゃないから……でも、この状況。どうすればいいの⁉)
1人で百面相をするレイチェルを黙って眺めていたクロイツだったが、突然、何か思いついたようにニヤリと笑った。
(美形の、含みのある笑みって……怖い)
レイチェルはちょっと引いた。
クロイツは、その秀麗な顔をグイッと彼女に近付けて言う。
「ねぇ、君。君は夜伽聖女なんだろう?」
「えっ? あ、はい」
(近いっ、近いってばぁ~)
綺麗な顔と綺麗な体が一糸まとわぬ状態で、手を伸ばせば触れる距離にある。
初めての状況に、レイチェルはどぎまぎしながら答えた。
「王族専属の夜伽聖女? それとも未来の『国王の夜伽聖女』かい?」
「えっ、えっと……未来の『国王の夜伽聖女』です」
レイチェルの答えを聞いたクロイツは、甘い笑顔を浮かべ、右目でバチンとウインクした。
「なら、君。ぼくに抱かれてみない?」
「はい……えっ? はいっ⁉」
(えっ⁉ なにをおっしゃってるの⁉)
レイチェルは真っ赤になって、全身から汗がブワッと吹き出した。
「君が未来の『国王の夜伽聖女』ならば、君はぼくの夜伽聖女だ」
真っ裸のクロイツは、カチンコチンに身を固くしたレイチェルの肩を左手で抱き寄せると、右手を顎の下に差し入れてクイッと持ちあげた。
レイチェルのアメジスト色の瞳と、クロイツの金色の瞳が見つめ合う。
「瘴気払いをしてくれないかい? ぼくの夜伽聖女。人間には戻れたけど、まだ呪いが体中に絡みついているみたいだ。ねぇ、レイチェル? ぼくを正気に戻してくれないか」
目いっぱい見開かれたレイチェルの目に、金髪に金の瞳の美形が大きく映り込む。
(え? クロイツ王太子殿下に抱かれる? え?)
動揺して固まったままのレイチェルに、クロイツは不満そうに言う。
「んん~ん? 君、このぼくよりも、ホルツのほうがいいの?」
「えっ⁉ いえいえいえ」
レイチェルは即答すると、クロイツに向けた両手の平をブンブンと振った。
「ホルツさまに抱かれたことなんてありませんし……」
頭に浮かんだホルツの姿に、レイチェルはウゲッとなった。
ホルツも王族、しかも王太子ということで整った見た目をしている。
だが目の前にいるクロイツと比べたら月とスッポンだ。
軍人のように見えるホルツとは違って、クロイツは夢のように美しい王子さまである。
「ふぅん……君、もしかして夜伽はしたことがない?」
「はい、実技はしたことがないです」
バリッバリの処女です、と言いそうになってレイチェルは口をつぐんだ。
「そっか、処女か」
クロイツはレイチェルの呑み込んだ言葉を呟いて、パァァァァァと表情を輝かせた。
そして誘う。
「なら……ねぇ、ぼくとやってみない?」
色っぽい眼差しを向けてくるクロイツに気圧されながら、レイチェルはゴクリと唾を呑み込んでコクリと頷いた。
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