【完結】冷遇された瘴気払いの夜伽聖女は、召喚した呪われ王子に溺愛される

天田れおぽん

文字の大きさ
10 / 33

第十話 夜伽聖女の初仕事

しおりを挟む
(えっと……なぜこうなった⁉)

 レイチェルはクロイツに体をまさぐられながら思った。
 事態の急変についていけない。
 ベッドの上に2人して座ったまま、何の準備もなしに夜伽の開始である。
 加えて言えば、クロイツは既に素っ裸の臨戦態勢だ。

(夜伽聖女の夜伽は、瘴気払いだから……厳密には性交とは異なるのだけれど……けど……これは、まるで性交なのでは⁉)

「ねぇ、レイチェル。寝間着を脱がせても構わないかい?」
「ん……はい」

 クロイツに耳元で熱い吐息混じりの声でささやかれ、レイチェルの体は熱くなる。
 近くにあった逞しく熱い体がいったん離れ、金色の瞳がレイチェルのアメジスト色の瞳を覗き込む。
 そして悪戯な色を浮かべながら、レイチェルに見せつけるようにナイトドレスの胸元にあるボタンを外していく。
 
「君は、いつもこんな寝間着を着ているの?」
「え、ええ」

(えっと……わたしの手はどこに……これは、どんな体勢をとったらよいの?)

 白い肌を赤く染めながら戸惑うレイチェルを、微笑みながら翻弄するクロイツ。
 クロイツの形のよい長い指が、レイチェルの胸の谷間をスッと辿って降りていく。
 細いのに力強く、しっかりとした指先。
 白く滑らかに見えるのに女性の柔らかな肌とは違う感触が、敏感な胸の谷間を辿っていく感触に、レイチェルは思わず声を上げた。

「あんっ」
「ふふ、エッチだね」

 口の端を少し上げて、クロイツが艶っぽく笑った。

「っ……クロイツ王太子殿下のほうが、エッチですぅ~」
「ん? ぼくにこんなことをさせておいて、まだそんな呼び方をするの?」

 レイチェルの耳元で、笑い含みの声がささやく。

「え? あんっ」

 下に下がっていた指先が、最後のボタンを外した途端、胸の谷間を遡ってレイチェルに甘い声を上げさせた。

「名前で呼んでよ、レイチェル。君は、ぼくの夜伽聖女なのだから」
「えっ? あ、えっと……クロイツ王太子? クロイツ王子?」
「ふふ、王子は要らないよ。クロイツと呼んで」

 クロイツは笑ってナイトドレスを脱がせながら、露になったレイチェルの肩に唇を落とした。

「ふぁ⁉ ……ん、えっと……では、クロイツさま……」
「ぼくの夜伽聖女さまは固いな。ふふふ。いまはそれでいいよ。まだ時間はたっぷりある」

 白いナイトドレスがレイチェルの艶やかで張りのある肌を滑り落ち、腰の辺りで緩く波を打つようにして止まる。
 下着は付けていない。
 露になった上半身を見たクロイツの喉がゴクリと動いた。

「夜伽聖女というものが美しいとは聞いていたが、これほどとは……」

 クロイツはレイチェルから少し体を離して、彼女の体を上から下までじっくりとまさぐるように眺めた。
 すべてが露になってるわけではないが、彼女の胸はかなり大きい。
 レイチェルはモゾモゾと動き、腕で豊かな胸元を隠そうとするも、クロイツの手により阻まれた。

「は……恥ずかしい、です……クロイツさま……」

 消え入るような声で甘く訴えるレイチェルの姿を映したクロイツの金色の瞳が、欲望に輝く。
 左腕でレイチェルの腰を軽く抱き上げて、右手でナイトドレスをスルリと下半身からはぎ取った。

「ふふ、そこも白か。可愛くて綺麗な下着だね」

 レイチェルの大切な部分を隠している気持ちばかりの布切れは、クロイツの手によってゆっくりと下ろされた。
 まるで彼女へ見せつけるようにしてはぎとられていく白い下着。
 自分の下着の行く先を見ているレイチェルを、クロイツは金の瞳でジッとみていた。

(あ……やだ、クロイツさま。わたし、ガン見されてる?)

 レイチェルは羞恥でプシューと溶けてしまいそうだった。
 彼女の全身を眺め終えたクロイツは、今度は唇と指先でレイチェルの体を確認していく。
 彼は彼女のさらに奥を暴くために、レイチェルの体をベッドへ横たえた。
 そこからのクロイツは凄かった。

「あっ……うっ……えっ? ふっ……」

 巧みにうごめくクロイツの指先に翻弄され、レイチェルはぷっくりした唇から絶え間なく甘い喘ぎを上げて体を官能の喜びに震わせた。
 彼女の最奥にクロイツの長い指が潜り込み、蜜を探る。

「あぁっ」

 思わず仰け反ったレイチェルの白い喉元に、クロイツが白い歯を立てた。

「あっ!」

 驚いて声を上げるレイチェルの耳に届いたのは、ピシッという空気の振動と、クロイツの軽い悲鳴と満足そうな声だった。

「いたっ……くっ……痛いな。ふふ、君にはしっかりと守護が効いているらしい」
「えっ? ええ」

 夜伽聖女は娼婦ではない。
 大切な聖女の体を守るために、聖女紋には守護の力も込められている。
 聖女の魔力は瘴気払いに使われるだけでなく、自らの身を守るためにも使われるのだ。
 レイチェルには『国王の夜伽聖女』の聖女紋が刻まれているため、国王もしくは次期国王の資格を有している者しか性的に触れることはできない。
 そして資格を有する者であっても、聖女の体に暴力をふるうことはできないのだ。

「ぼくの聖女は、ぼく自身にも傷つけることはできない。これで安心だ」
「あぁ~んっ」

 クロイツはますます張り切って全身を使い、レイチェルの体を歓喜で震わせた。
 恥じらいのエッセンスがレイチェルをより魅力的に見せる。
 乱れる長いピンク色の髪。
 潤むアメジスト色の瞳。
 白く滑らかな肌は傷付くことなく、恥じらいと官能で赤く染まっていく。
 充分に湿ったレイチェルの秘部に満足そうな溜息をついたクロイツは、寝そべらせた彼女のそこを一気に貫いた。
 濡れた音と嬌声、そして初めて知る圧迫感と官能に戸惑うレイチェルの表情を見て、クロイツの理性は飛び散った。

「あぁ、いい……君も気持ちよくなってるといいけど……あぁ……いい……」

 クロイツは汗を滴らせながら、夢見るようにつぶやく。
 ガシガシと力強く、それでいてリズミカルに腰を振るクロイツの下で、レイチェルの背中は淫らに揺れた。
 彼女もまた快感のなかにいることは、レイチェルの額から全身へ広がり、白いベッドを縁取るように広がってピンク色に発光している聖女紋により明らかだ。

「ああ、レイチェル。ぼくの夜伽聖女……」

 クロイツはレイチェルの体をギュッと抱きしめ、小さく獣のようなうめく声を上げて達した。
 
(あ……熱い……)

 レイチェルのなかをクロイツの放った精が回っていくようだ。
 ベッドを縁取るように広がっていた聖女紋が七色に輝いて、蔓状文様の上に小さな芽がいくつもついていく。

(えっと……これで終わった、のよね?)

 レイチェルのなかにいるクロイツ自身は熱く固いままだ。
 
「レイチェル。痛くはない?」
「ん……はい」

(圧迫感があって苦しい感じはするけど、痛くはない、わよね?)

「なら、2回戦目いきますか」
「えっ⁉ ぁあ、んんっ」

 クロイツは再び動き始め、レイチェルは再び甘い喘ぎを上げ続けた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです

白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。 ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。 「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」 ある日、アリシアは見てしまう。 夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを! 「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」 「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」 夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。 自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。 ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。 ※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】毒を飲めと言われたので飲みました。

ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。 国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。 悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。

魔法学園の悪役令嬢、破局の未来を知って推し変したら捨てた王子が溺愛に目覚めたようで!?

朱音ゆうひ@11/5受賞作が発売されます
恋愛
『完璧な王太子』アトレインの婚約者パメラは、自分が小説の悪役令嬢に転生していると気づく。 このままでは破滅まっしぐら。アトレインとは破局する。でも最推しは別にいる! それは、悪役教授ネクロセフ。 顔が良くて、知性紳士で、献身的で愛情深い人物だ。 「アトレイン殿下とは円満に別れて、推し活して幸せになります!」 ……のはずが。 「夢小説とは何だ?」 「殿下、私の夢小説を読まないでください!」 完璧を演じ続けてきた王太子×悪役を押し付けられた推し活令嬢。 破滅回避から始まる、魔法学園・溺愛・逆転ラブコメディ! 小説家になろうでも同時更新しています(https://ncode.syosetu.com/n5963lh/)。

氷の公爵は、捨てられた私を離さない

空月そらら
恋愛
「魔力がないから不要だ」――長年尽くした王太子にそう告げられ、侯爵令嬢アリアは理不尽に婚約破棄された。 すべてを失い、社交界からも追放同然となった彼女を拾ったのは、「氷の公爵」と畏れられる辺境伯レオルド。 彼は戦の呪いに蝕まれ、常に激痛に苦しんでいたが、偶然触れたアリアにだけ痛みが和らぐことに気づく。 アリアには魔力とは違う、稀有な『浄化の力』が秘められていたのだ。 「君の力が、私には必要だ」 冷徹なはずの公爵は、アリアの価値を見抜き、傍に置くことを決める。 彼の元で力を発揮し、呪いを癒やしていくアリア。 レオルドはいつしか彼女に深く執着し、不器用に溺愛し始める。「お前を誰にも渡さない」と。 一方、アリアを捨てた王太子は聖女に振り回され、国を傾かせ、初めて自分が手放したものの大きさに気づき始める。 「アリア、戻ってきてくれ!」と見苦しく縋る元婚約者に、アリアは毅然と告げる。「もう遅いのです」と。 これは、捨てられた令嬢が、冷徹な公爵の唯一無二の存在となり、真実の愛と幸せを掴むまでの逆転溺愛ストーリー。

聖女の任期終了後、婚活を始めてみたら六歳の可愛い男児が立候補してきた!

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
23歳のメルリラは、聖女の任期を終えたばかり。結婚適齢期を少し過ぎた彼女は、幸せな結婚を夢見て婚活に励むが、なかなか相手が見つからない。原因は「元聖女」という肩書にあった。聖女を務めた女性は慣例として専属聖騎士と結婚することが多く、メルリラもまた、かつての専属聖騎士フェイビアンと結ばれるものと世間から思われているのだ。しかし、メルリラとフェイビアンは口げんかが絶えない関係で、恋愛感情など皆無。彼を結婚相手として考えたことなどなかった。それでも世間の誤解は解けず、婚活は難航する。そんなある日、聖女を辞めて半年が経った頃、メルリラの婚活を知った公爵子息ハリソン(6歳)がやって来て――。

老聖女の政略結婚

那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。 六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。 しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。 相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。 子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。 穏やかな余生か、嵐の老後か―― 四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

処理中です...