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第十四話 昼食会
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部屋の準備が整っていくなか、レイチェルはクロイツに誘われて食事へと向かった。
レイチェルの服装は聖女の正装のままだ。
クロイツはレイチェルをエスコートしながら、すまなそうに言う。
「今日は部屋も落ち着かないし、君の服の用意もないからそのままでいいかな」
「ええ。大丈夫です」
今日は謁見ということで侍女に手伝ってもらえたから、聖女の正装といっても普段よりはだらしなくはない。
クロイツは廊下の途中で立ち止まると、レイチェルを上から下まで眺めて言う。
「その服も似合うけど……色々と着せてみたいね」
「ふふ、ご期待にこたえられるとよいのですけれど」
レイチェルが笑った答えると、クロイツはかすめるようなキスを頬に落として耳元でささやく。
「大丈夫、君は何を着ても似合うよ。もちろん、何も着てなくても素敵だけどね」
レイチェルは、ポンと赤くなった。
「ふふ。気楽な家族の昼食会だから、リラックスしてね」
クロイツは、さりげなくレイチェルの手を取ってその指先にキスを落とした。
クロイツは本当にリラックスした様子で言っているが、向かった先にいたのは当然のように王族たちだ。
王族たちが使う食堂は高い天井にシャンデリア、金の地に柄が描かれているような壁、重厚な赤地のカーテン、金色に輝くレリーフによる装飾と華やかだ。
居るだけで目がチカチカして頭がクラクラしそうな食堂には、そこにいるだけで威圧感がある人たちが並んでいた。
(国王陛下に王妃殿下。ホルツさまやノラさまもいる。気まずいっ)
レイチェルはカチコチに緊張しながらも、礼儀正しく挨拶をして食事の席についた。
長いテーブルには国王と王妃が並んで座り、その向かいにレイチェルとクロイツ、ノラとホルツが座った。
「久しぶりに家族が揃ったな」
「そうですね。皆さんと会えて嬉しいです」
国王がニコニコして言うのを聞いて、クロイツは言った。
血のつながりのない王妃はニッコリと微笑んではいるが、心の中は穏やかとはいかないだろう。
(一説には王妃さまが呪って、クロイツさまと、クロイツさまのお母さまを殺害したと言われているほどだもの。戻ってこられて迷惑よね)
レイチェルは王妃の視線に気付いてブルッと背筋を震わせた。
(あの目。絶対にわたしのこと嫌ってるわよね。余計なことをしたと思われていそう)
もともとホルツの夜伽聖女であったレイチェルは、王妃と面識がある。
とはいえ、冷遇されていたせいで交流はあまりない。
こうして昼食を共にするのも初めてだ。
(睨まれながら、ご飯なんて食べられるかしら?)
横に座っているノラとホルツの存在も気になる。
この2人に至っては、視線を合わそうともしない。
(当然といえば当然かしら? わたしがクロイツさまの夜伽聖女になったせいで、ノラさまよりも上の立場となったのは確定してしまったし。ホルツさまに至っては、わたしのせいで王太子の地位を失ったと思われていそう)
レイチェルは、チラッと隣に視線をやった。
2人とも平静を装ってはいるが、明らかに気分を害している。
(でも……もともと王太子はクロイツさまだったのだし。兄を取り戻してくれてありがとう、と言われない時点でお察しよね)
この2人に関しては自業自得だとレイチェルは思っている。
昼食はつつがなく始まり、一見和やかな会話が続いていた。
「……ところで、レイチェル。君はどうやって私の息子、クロイツを取り戻したのかな?」
突然国王に話しかけられて、レイチェルは動揺してフォークを落とした。
「ふふ。慌てん坊さんだね。大丈夫だから落ち着いて?」
クロイツが目配せすると、使用人がサッと新しいフォークをテーブルに届けた。
「え、ええ。はい。申し訳ございません」
「君が謝る必要はないよ、レイチェル。父上、そのことについては秘密ですよ」
クロイツはレイチェルをやんわりと守り、立てた右手の人差し指を優雅に口元に当てると父親に向かって笑顔を見せた。
(クロイツさまが守ってくださるけど……この雰囲気では、美味しい料理も味なんて分からないわね)
レイチェルは諦め気味に手元へと視線を落とした。
食事は進んでいき、食後のデザートとコーヒーが出たところでクロイツが切り出した。
「ところで父上。ヘレンはどうなっているのでしょうか?」
「うむ」
クロイツの質問に国王の表情は曇った。
そしてレイチェルへ確認するような視線を向けた。
国王が何を懸念しているのかが分かったレイチェルは黙ったまま頷いて見せた。
(国王陛下は聖女ヘレンさまの死をクロイツさまがご存じかどうかを知りたいのね。クロイツさまはご存じだから問題はないわ)
国王は沈痛な面持ちで答えた。
「聖女ヘレンの遺体は、生家の墓所へ大切に収められた」
「そうですか……」
穏やかなクロイツさまの顔から表情がふっと消えた。
(やはりヘレンさまのことは、忘れられないですよね。クロイツさま。身を挺して守ってくださった方ですもの)
レイチェルは隣に座るクロイツへ目を向けて、彼の心を慮った。
「では、ヘレンだけの墓所はないのですね。王太子を守って亡くなったというのに」
穏やかな言い方だったが、クロイツの発言で場の空気が一瞬、ピキッと凍った。
「……ああ、聖女ヘレンだけの墓所はない。だが神殿に記念碑を立てた」
「そうですか。キチンと弔ってくださったのですね。彼女が……ヘレンの魂が安らかに眠っているとよいのですが。ぼくも墓前に花を供えて、彼女への敬意と感謝を表したいです」
「ああ、それがいい」
何かを思い出したのか、国王の目は潤んでいた。
王妃は一瞬ギリッと音がしそうな厳しい表情を浮かべ、ホルツはクロイツに気付かれないように睨みつけた。
(権力争いが激しい国ではあるけれど……目の前で見るとウンザリするわね。クロイツさまは平気なのかしら?)
チラッと横目で見たクロイツは穏やかな笑みを浮かべていた。
それを見てレイチェルは思った。
(わたし……クロイツさまのことを、何も知らないわ)
穏やかなクロイツの中に黒いものを見たような気がしたレイチェルは、ブルッと体を震わせた。
(これから知っていけばいい。黒いものがあるなら払えばいい。わたしは瘴気払いの夜伽聖女なのだから)
改めて決意したレイチェルは、お皿に残っていたケーキの欠片を口の中に放り込み、三分の一ほど残っていたコーヒーを一気に飲み干した。
レイチェルの服装は聖女の正装のままだ。
クロイツはレイチェルをエスコートしながら、すまなそうに言う。
「今日は部屋も落ち着かないし、君の服の用意もないからそのままでいいかな」
「ええ。大丈夫です」
今日は謁見ということで侍女に手伝ってもらえたから、聖女の正装といっても普段よりはだらしなくはない。
クロイツは廊下の途中で立ち止まると、レイチェルを上から下まで眺めて言う。
「その服も似合うけど……色々と着せてみたいね」
「ふふ、ご期待にこたえられるとよいのですけれど」
レイチェルが笑った答えると、クロイツはかすめるようなキスを頬に落として耳元でささやく。
「大丈夫、君は何を着ても似合うよ。もちろん、何も着てなくても素敵だけどね」
レイチェルは、ポンと赤くなった。
「ふふ。気楽な家族の昼食会だから、リラックスしてね」
クロイツは、さりげなくレイチェルの手を取ってその指先にキスを落とした。
クロイツは本当にリラックスした様子で言っているが、向かった先にいたのは当然のように王族たちだ。
王族たちが使う食堂は高い天井にシャンデリア、金の地に柄が描かれているような壁、重厚な赤地のカーテン、金色に輝くレリーフによる装飾と華やかだ。
居るだけで目がチカチカして頭がクラクラしそうな食堂には、そこにいるだけで威圧感がある人たちが並んでいた。
(国王陛下に王妃殿下。ホルツさまやノラさまもいる。気まずいっ)
レイチェルはカチコチに緊張しながらも、礼儀正しく挨拶をして食事の席についた。
長いテーブルには国王と王妃が並んで座り、その向かいにレイチェルとクロイツ、ノラとホルツが座った。
「久しぶりに家族が揃ったな」
「そうですね。皆さんと会えて嬉しいです」
国王がニコニコして言うのを聞いて、クロイツは言った。
血のつながりのない王妃はニッコリと微笑んではいるが、心の中は穏やかとはいかないだろう。
(一説には王妃さまが呪って、クロイツさまと、クロイツさまのお母さまを殺害したと言われているほどだもの。戻ってこられて迷惑よね)
レイチェルは王妃の視線に気付いてブルッと背筋を震わせた。
(あの目。絶対にわたしのこと嫌ってるわよね。余計なことをしたと思われていそう)
もともとホルツの夜伽聖女であったレイチェルは、王妃と面識がある。
とはいえ、冷遇されていたせいで交流はあまりない。
こうして昼食を共にするのも初めてだ。
(睨まれながら、ご飯なんて食べられるかしら?)
横に座っているノラとホルツの存在も気になる。
この2人に至っては、視線を合わそうともしない。
(当然といえば当然かしら? わたしがクロイツさまの夜伽聖女になったせいで、ノラさまよりも上の立場となったのは確定してしまったし。ホルツさまに至っては、わたしのせいで王太子の地位を失ったと思われていそう)
レイチェルは、チラッと隣に視線をやった。
2人とも平静を装ってはいるが、明らかに気分を害している。
(でも……もともと王太子はクロイツさまだったのだし。兄を取り戻してくれてありがとう、と言われない時点でお察しよね)
この2人に関しては自業自得だとレイチェルは思っている。
昼食はつつがなく始まり、一見和やかな会話が続いていた。
「……ところで、レイチェル。君はどうやって私の息子、クロイツを取り戻したのかな?」
突然国王に話しかけられて、レイチェルは動揺してフォークを落とした。
「ふふ。慌てん坊さんだね。大丈夫だから落ち着いて?」
クロイツが目配せすると、使用人がサッと新しいフォークをテーブルに届けた。
「え、ええ。はい。申し訳ございません」
「君が謝る必要はないよ、レイチェル。父上、そのことについては秘密ですよ」
クロイツはレイチェルをやんわりと守り、立てた右手の人差し指を優雅に口元に当てると父親に向かって笑顔を見せた。
(クロイツさまが守ってくださるけど……この雰囲気では、美味しい料理も味なんて分からないわね)
レイチェルは諦め気味に手元へと視線を落とした。
食事は進んでいき、食後のデザートとコーヒーが出たところでクロイツが切り出した。
「ところで父上。ヘレンはどうなっているのでしょうか?」
「うむ」
クロイツの質問に国王の表情は曇った。
そしてレイチェルへ確認するような視線を向けた。
国王が何を懸念しているのかが分かったレイチェルは黙ったまま頷いて見せた。
(国王陛下は聖女ヘレンさまの死をクロイツさまがご存じかどうかを知りたいのね。クロイツさまはご存じだから問題はないわ)
国王は沈痛な面持ちで答えた。
「聖女ヘレンの遺体は、生家の墓所へ大切に収められた」
「そうですか……」
穏やかなクロイツさまの顔から表情がふっと消えた。
(やはりヘレンさまのことは、忘れられないですよね。クロイツさま。身を挺して守ってくださった方ですもの)
レイチェルは隣に座るクロイツへ目を向けて、彼の心を慮った。
「では、ヘレンだけの墓所はないのですね。王太子を守って亡くなったというのに」
穏やかな言い方だったが、クロイツの発言で場の空気が一瞬、ピキッと凍った。
「……ああ、聖女ヘレンだけの墓所はない。だが神殿に記念碑を立てた」
「そうですか。キチンと弔ってくださったのですね。彼女が……ヘレンの魂が安らかに眠っているとよいのですが。ぼくも墓前に花を供えて、彼女への敬意と感謝を表したいです」
「ああ、それがいい」
何かを思い出したのか、国王の目は潤んでいた。
王妃は一瞬ギリッと音がしそうな厳しい表情を浮かべ、ホルツはクロイツに気付かれないように睨みつけた。
(権力争いが激しい国ではあるけれど……目の前で見るとウンザリするわね。クロイツさまは平気なのかしら?)
チラッと横目で見たクロイツは穏やかな笑みを浮かべていた。
それを見てレイチェルは思った。
(わたし……クロイツさまのことを、何も知らないわ)
穏やかなクロイツの中に黒いものを見たような気がしたレイチェルは、ブルッと体を震わせた。
(これから知っていけばいい。黒いものがあるなら払えばいい。わたしは瘴気払いの夜伽聖女なのだから)
改めて決意したレイチェルは、お皿に残っていたケーキの欠片を口の中に放り込み、三分の一ほど残っていたコーヒーを一気に飲み干した。
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