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第十八話 蜜と欲望 3
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「ちょっ、ちょっと待って! レイチェル!」
更に股間の屹立に手を伸ばそうとしたレイチェルを、クロイツは止めた。
流石に止めた。
いくらバッキバキのイチモツを持つ年若き王太子といえども、二度の無駄打ちの後なのだ。
三度目の無駄打ちは阻止しなければ、長い夜を楽しめない。
それに――――
「皆に聞かせたいのは、君の嬌声なのだが? ぼくの声ばかり響かせても、君の立場をしっかりさせるのは難しいと思うよ?」
「そうでしょうか?」
「ああ」
クロイツは自分の足の間に収まっている、納得している様子のないレイチェルを、ヒョイと抱き上げて膝に乗せた。
「真面目なのか、悪戯っ子なのか……君の使った夜伽の手引書には問題がありそうだね」
「そうなのですか?」
首を傾げるレイチェルのピンク色の髪がサラサラとクロイツの腕を撫でた。
「夜伽の手引書には、こんなにドキドキするなんて書いてなかっただろ?」
「なかには気持ちが乱れる者もいて、それは聖女らしくないから注意するように、と書いてありました」
「ん、その手引書は捨てさせよう」
クロイツは渋い表情を浮かべ、口直しとでも言うようにレイチェルの頬にキスをした。
「今度は、ぼくが君に声を上げさせる番だ」
「あら?」
「もうっ。はっきり言っておくからね」
キョトンとするレイチェルの耳元に吹き込むようにクロイツは言う。
「君は、ぼくの夜伽聖女で、ぼくの妃になるんだよ。ぼくは幼馴染で夜伽聖女であったヘレンを失った。母の死だって、どんな理由があったか分かったもんじゃない。もう愛する人を失うのは嫌だ」
「クロイツさま……」
すがるように自分を抱きしめてくるクロイツを、レイチェルは抱きしめ返した。
「君は強い。ぼくの側は危険だけれど……全部を君1人で受け入れて欲しい。夜伽聖女の役割も、王妃としての役割も。ぼくの愛する人の役割も受け入れて。できればいつか此処に、ぼくの子を宿してほしい」
クロイツはそう言いながら、レイチェルの薄い腹を優しく撫でた。
「君がぼくだけのものであるように、ぼくも君だけのものにして」
(なんてことを言うの、この王子さまはっ。そんなこと言われて、拒否できる乙女がいて⁉ いやいないっ!)
レイチェルはふわふわした気持ちになった。
「はい、分かりました。クロイツさま。わたしは貴方だけのもので、貴方はわたしだけのもの」
レイチェルを抱きしめている腕に力が入り、ぷっくりした桜色の唇にクロイツの形のよい唇が重なる。
重なり合った唇からは粘り気のある水音が響いて、二人の体温が上がっていく。
レイチェルのガウンの帯はクロイツの器用な右手によって解かれて床に落ち、続いてガウンも滑るようにして落ちていった。
「レイチェル……ぼくの夜伽聖女……」
ピンク色の髪を撫で、頬や首筋を撫でていくクロイツの白いが節くれだった逞しい手。
「んんっ」
見た目を裏切る力強い手は、繊細にレイチェルの欲望を掻き立てようと動き回っている。
もとからスタイルのよい彼女の体を覆う薄衣のナイトドレスは、着ていない時よりも猥褻でいかがわしく見えた。
「もうエッチだなぁ……えいっ」
「あんっ」
クロイツはナイトドレスの上から胸のとがりに唇を這わせた。
思わず声を上げたレイチェルの胸の上で、夢の中でうわごとを言うような口調でクロイツが呟いている。
「レイチェル……ぼくのレイチェル……」
(夜伽の手引書には、最中の殿方は思ってもいないようなことを呟くことがある、と書いてあったような気がしたけど……)
一瞬レイチェルの気が逸れたのを敏感に察したクロイツが、彼女の胸から顔を上げて拗ねたように言う。
「レイチェル? こっちに集中して」
「はい、クロイツさま」
「もう邪魔だから脱がせちゃえ」
クロイツはレイチェルを抱き上げると、器用に薄衣のナイトドレスを上からスポンと脱がせてベッドへと寝そべらせた。
自分の寝間着もポイポイと脱ぎ捨てる。
(クロイツさまの自己申告では童貞だったはずだけど、脱がせ慣れているのよねぇ……)
「レイチェル? また何か考えてるでしょ?」
「ふふ。秘密です」
「その可愛らしい頭で何を考えてたのか、自白させてやる」
ニヤッと悪い笑みを浮かべた素っ裸のクロイツが、レイチェルの上に覆いかぶさった。
艶やかな夜が始まる。
「君が二度も抜いちゃったから、今夜はちっとやそっとじゃ終わらないよ?」
「えっ⁉」
クロイツにペチャッと体重をかけられて、レイチェルは「ぐぇっ」と潰れた小さな悲鳴を上げた。
裸と裸の肌が、触れ合うのが心地よい。
サラサラと肌に当たる金髪の感触が気持ちいい。
重なり合って体温を分け合っているだけで、なぜか愛しさが込み上げてくる。
(これも呪い? いえ、違うわよね。呪いだったら、わたしは跳ねのけられるけど……この『愛しい』という感情は、どんどん強くなっていくのよ……)
レイチェルは白くて細い腕を、クロイツの背中へと回した。
重なっている体は、頭と足先がレイチェルからはみ出ている。
横幅も彼女より広い。
(愛しい温もり。もっと、もっと、近くに欲しい)
クロイツに押しつぶされながらモゾモゾと上を見上げれば、彼もまたレイチェルを見ていた。
レイチェルが顔を目いっぱい上げて唇を差し出せば、意図を理解した唇が彼女のそれを覆う。
絡めあう舌先で言葉もなく互いの熱を高めあい、さらに欲を煽るように動くクロイツの両手。
「んっ……あっ……やぁ……」
甘えるように喘ぎが桜色の唇からこぼれるたびに、クロイツの左右の手のどちらかが、レイチェルの性感帯をさまよっている。
彼女を覆うように上にあった体は、いつの間にかレイチェルの足の間に収まっていて。
レイチェルの細く長く形のよい脚は左右に割り開かれていた。
更に股間の屹立に手を伸ばそうとしたレイチェルを、クロイツは止めた。
流石に止めた。
いくらバッキバキのイチモツを持つ年若き王太子といえども、二度の無駄打ちの後なのだ。
三度目の無駄打ちは阻止しなければ、長い夜を楽しめない。
それに――――
「皆に聞かせたいのは、君の嬌声なのだが? ぼくの声ばかり響かせても、君の立場をしっかりさせるのは難しいと思うよ?」
「そうでしょうか?」
「ああ」
クロイツは自分の足の間に収まっている、納得している様子のないレイチェルを、ヒョイと抱き上げて膝に乗せた。
「真面目なのか、悪戯っ子なのか……君の使った夜伽の手引書には問題がありそうだね」
「そうなのですか?」
首を傾げるレイチェルのピンク色の髪がサラサラとクロイツの腕を撫でた。
「夜伽の手引書には、こんなにドキドキするなんて書いてなかっただろ?」
「なかには気持ちが乱れる者もいて、それは聖女らしくないから注意するように、と書いてありました」
「ん、その手引書は捨てさせよう」
クロイツは渋い表情を浮かべ、口直しとでも言うようにレイチェルの頬にキスをした。
「今度は、ぼくが君に声を上げさせる番だ」
「あら?」
「もうっ。はっきり言っておくからね」
キョトンとするレイチェルの耳元に吹き込むようにクロイツは言う。
「君は、ぼくの夜伽聖女で、ぼくの妃になるんだよ。ぼくは幼馴染で夜伽聖女であったヘレンを失った。母の死だって、どんな理由があったか分かったもんじゃない。もう愛する人を失うのは嫌だ」
「クロイツさま……」
すがるように自分を抱きしめてくるクロイツを、レイチェルは抱きしめ返した。
「君は強い。ぼくの側は危険だけれど……全部を君1人で受け入れて欲しい。夜伽聖女の役割も、王妃としての役割も。ぼくの愛する人の役割も受け入れて。できればいつか此処に、ぼくの子を宿してほしい」
クロイツはそう言いながら、レイチェルの薄い腹を優しく撫でた。
「君がぼくだけのものであるように、ぼくも君だけのものにして」
(なんてことを言うの、この王子さまはっ。そんなこと言われて、拒否できる乙女がいて⁉ いやいないっ!)
レイチェルはふわふわした気持ちになった。
「はい、分かりました。クロイツさま。わたしは貴方だけのもので、貴方はわたしだけのもの」
レイチェルを抱きしめている腕に力が入り、ぷっくりした桜色の唇にクロイツの形のよい唇が重なる。
重なり合った唇からは粘り気のある水音が響いて、二人の体温が上がっていく。
レイチェルのガウンの帯はクロイツの器用な右手によって解かれて床に落ち、続いてガウンも滑るようにして落ちていった。
「レイチェル……ぼくの夜伽聖女……」
ピンク色の髪を撫で、頬や首筋を撫でていくクロイツの白いが節くれだった逞しい手。
「んんっ」
見た目を裏切る力強い手は、繊細にレイチェルの欲望を掻き立てようと動き回っている。
もとからスタイルのよい彼女の体を覆う薄衣のナイトドレスは、着ていない時よりも猥褻でいかがわしく見えた。
「もうエッチだなぁ……えいっ」
「あんっ」
クロイツはナイトドレスの上から胸のとがりに唇を這わせた。
思わず声を上げたレイチェルの胸の上で、夢の中でうわごとを言うような口調でクロイツが呟いている。
「レイチェル……ぼくのレイチェル……」
(夜伽の手引書には、最中の殿方は思ってもいないようなことを呟くことがある、と書いてあったような気がしたけど……)
一瞬レイチェルの気が逸れたのを敏感に察したクロイツが、彼女の胸から顔を上げて拗ねたように言う。
「レイチェル? こっちに集中して」
「はい、クロイツさま」
「もう邪魔だから脱がせちゃえ」
クロイツはレイチェルを抱き上げると、器用に薄衣のナイトドレスを上からスポンと脱がせてベッドへと寝そべらせた。
自分の寝間着もポイポイと脱ぎ捨てる。
(クロイツさまの自己申告では童貞だったはずだけど、脱がせ慣れているのよねぇ……)
「レイチェル? また何か考えてるでしょ?」
「ふふ。秘密です」
「その可愛らしい頭で何を考えてたのか、自白させてやる」
ニヤッと悪い笑みを浮かべた素っ裸のクロイツが、レイチェルの上に覆いかぶさった。
艶やかな夜が始まる。
「君が二度も抜いちゃったから、今夜はちっとやそっとじゃ終わらないよ?」
「えっ⁉」
クロイツにペチャッと体重をかけられて、レイチェルは「ぐぇっ」と潰れた小さな悲鳴を上げた。
裸と裸の肌が、触れ合うのが心地よい。
サラサラと肌に当たる金髪の感触が気持ちいい。
重なり合って体温を分け合っているだけで、なぜか愛しさが込み上げてくる。
(これも呪い? いえ、違うわよね。呪いだったら、わたしは跳ねのけられるけど……この『愛しい』という感情は、どんどん強くなっていくのよ……)
レイチェルは白くて細い腕を、クロイツの背中へと回した。
重なっている体は、頭と足先がレイチェルからはみ出ている。
横幅も彼女より広い。
(愛しい温もり。もっと、もっと、近くに欲しい)
クロイツに押しつぶされながらモゾモゾと上を見上げれば、彼もまたレイチェルを見ていた。
レイチェルが顔を目いっぱい上げて唇を差し出せば、意図を理解した唇が彼女のそれを覆う。
絡めあう舌先で言葉もなく互いの熱を高めあい、さらに欲を煽るように動くクロイツの両手。
「んっ……あっ……やぁ……」
甘えるように喘ぎが桜色の唇からこぼれるたびに、クロイツの左右の手のどちらかが、レイチェルの性感帯をさまよっている。
彼女を覆うように上にあった体は、いつの間にかレイチェルの足の間に収まっていて。
レイチェルの細く長く形のよい脚は左右に割り開かれていた。
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