22 / 33
第二十二話 宣言
しおりを挟む
国王はクロイツとレイチェルを壇上に呼び寄せて宣言した。
「我が息子、クロイツを正式に王太子とする。そして、未来の国王の夜伽聖女であるレイチェル・ミアン男爵令嬢との婚約を正式に発表する。異論は認めない」
大広間に集まった人たちから拍手が上がった。
キラキラと輝く王太子が壇上から手を振ると、キラキラした視線を向ける者もいれば、ギラギラした視線を向ける者もいる。
中にはレイチェルを睨みつけてくる令嬢やその父親と思しき者たちもいた。
(どれが危険で、どれが危険でないか、なんて判断つかないわ)
クロイツの隣に立つレイチェルの肌は、ピキッピキッと飛んでくる嫉妬や呪いに反応している。
(それぞはたいしてものはないから、わたしの魔力の消耗もたいしたことはない。だから大丈夫だけど……先が思いやられるわね)
レイチェルが隣に立つクロイツを見上げると、金色の瞳もこちらを見ていた。
(今日のクロイツさまも綺麗で素敵。わたしには、この人を守るれる力があるのね。ふふ。嬉しいわ。今まで飼い殺しの状態だったから、余計にそう感じるのかしら? まぁ理由なんて、クロイツさまが素敵だからでも今まで活躍できなかったからでも、どっちでもいいわ。お役目を精一杯務めさせていただくわよ)
レイチェルは愛しい婚約者に、ニコッと笑って見せると正面に向き直った。
(ルシアナさまの視線からは、現在の王妃とは思えないほどの嫉妬と憎しみを感じるわ。これはわたしに感じ取る力があるから分かるだけかしら? そうでもないわね。周りにいる高位貴族も引いているもの。やはりルシアナさまは本来、王妃の器なんかじゃない)
レイチェルは自分なりに貴族たちを分析していた。
(ホルツさまが睨んでいるのは当然ね。王太子の地位を失ったのだもの。年齢を考えたら王子の地位も近々手放すことになる。政略結婚のために他国へ出るか、国内で公爵位でも得て生きるか。自分が一番な方だから、反乱でも起こされたら大変ね。注意が必要だわ)
ホルツが凄まじい形相でクロイツを睨むのは当然のことではあるが、王族としても、貴族としても、ふさわしい行為とはいえない。
クロイツを追い落として再びホルツを王太子へ、という動きが起きたとしても大きくはならないだろうとレイチェルは思った。
(ノラさまも、女の嫉妬は見苦しくてよ、って感じね。あれだけホルツさまを持ち上げていたのに、いざとなったクロイツさまに鞍替えしそう。わたしは睨むけど、クロイツさまに向ける視線、アレはなに?)
クロイツをうっとりと見るノラの視線に気付いて、レイチェルは腹を立てた。
(ノラさまってば、クロイツさまの婚約者の座を狙ってるの? ノラさまなんかに婚約者の座は絶対に譲らないわよっ。でもここはポーカーフェイス。貴族の曖昧な微笑みを絶やしてはダメなのよね。知識だけはあるよ、知識だけは。出来てるかどうかは分からないけど!)
目の端に意外な人物の姿を見つけて、ハッとしてレイチェルは我に返った。
(あれは副神官さまよね? なぜ王妃殿下の近くに?)
神殿と王族は協力関係にある。
ルシアナ王妃は夜伽聖女でもあるため、神殿との関係は深い。
それを考えれば意外でもなんでもないのだが、レイチェルはなんとなく違和感を感じた。
(なぜかしらね?)
不思議に思ったものの、クロイツに呼ばれて視線を移したレイチェルは、深く考えることなく忘れてしまった。
だからルシアナ王妃と副神官が似た視線をジッとレイチェルに向けていることに気付くことはなかった。
「我が息子、クロイツを正式に王太子とする。そして、未来の国王の夜伽聖女であるレイチェル・ミアン男爵令嬢との婚約を正式に発表する。異論は認めない」
大広間に集まった人たちから拍手が上がった。
キラキラと輝く王太子が壇上から手を振ると、キラキラした視線を向ける者もいれば、ギラギラした視線を向ける者もいる。
中にはレイチェルを睨みつけてくる令嬢やその父親と思しき者たちもいた。
(どれが危険で、どれが危険でないか、なんて判断つかないわ)
クロイツの隣に立つレイチェルの肌は、ピキッピキッと飛んでくる嫉妬や呪いに反応している。
(それぞはたいしてものはないから、わたしの魔力の消耗もたいしたことはない。だから大丈夫だけど……先が思いやられるわね)
レイチェルが隣に立つクロイツを見上げると、金色の瞳もこちらを見ていた。
(今日のクロイツさまも綺麗で素敵。わたしには、この人を守るれる力があるのね。ふふ。嬉しいわ。今まで飼い殺しの状態だったから、余計にそう感じるのかしら? まぁ理由なんて、クロイツさまが素敵だからでも今まで活躍できなかったからでも、どっちでもいいわ。お役目を精一杯務めさせていただくわよ)
レイチェルは愛しい婚約者に、ニコッと笑って見せると正面に向き直った。
(ルシアナさまの視線からは、現在の王妃とは思えないほどの嫉妬と憎しみを感じるわ。これはわたしに感じ取る力があるから分かるだけかしら? そうでもないわね。周りにいる高位貴族も引いているもの。やはりルシアナさまは本来、王妃の器なんかじゃない)
レイチェルは自分なりに貴族たちを分析していた。
(ホルツさまが睨んでいるのは当然ね。王太子の地位を失ったのだもの。年齢を考えたら王子の地位も近々手放すことになる。政略結婚のために他国へ出るか、国内で公爵位でも得て生きるか。自分が一番な方だから、反乱でも起こされたら大変ね。注意が必要だわ)
ホルツが凄まじい形相でクロイツを睨むのは当然のことではあるが、王族としても、貴族としても、ふさわしい行為とはいえない。
クロイツを追い落として再びホルツを王太子へ、という動きが起きたとしても大きくはならないだろうとレイチェルは思った。
(ノラさまも、女の嫉妬は見苦しくてよ、って感じね。あれだけホルツさまを持ち上げていたのに、いざとなったクロイツさまに鞍替えしそう。わたしは睨むけど、クロイツさまに向ける視線、アレはなに?)
クロイツをうっとりと見るノラの視線に気付いて、レイチェルは腹を立てた。
(ノラさまってば、クロイツさまの婚約者の座を狙ってるの? ノラさまなんかに婚約者の座は絶対に譲らないわよっ。でもここはポーカーフェイス。貴族の曖昧な微笑みを絶やしてはダメなのよね。知識だけはあるよ、知識だけは。出来てるかどうかは分からないけど!)
目の端に意外な人物の姿を見つけて、ハッとしてレイチェルは我に返った。
(あれは副神官さまよね? なぜ王妃殿下の近くに?)
神殿と王族は協力関係にある。
ルシアナ王妃は夜伽聖女でもあるため、神殿との関係は深い。
それを考えれば意外でもなんでもないのだが、レイチェルはなんとなく違和感を感じた。
(なぜかしらね?)
不思議に思ったものの、クロイツに呼ばれて視線を移したレイチェルは、深く考えることなく忘れてしまった。
だからルシアナ王妃と副神官が似た視線をジッとレイチェルに向けていることに気付くことはなかった。
22
あなたにおすすめの小説
『嫌われ令嬢ですが、最終的に溺愛される予定です』
由香
恋愛
貴族令嬢エマは、自分が周囲から嫌われていると信じて疑わなかった。
婚約者である侯爵令息レオンからも距離を取られ、冷たい視線を向けられている――そう思っていたのに。
ある日、思いがけず聞いてしまった彼の本音。
「君を嫌ったことなど、一度もない」
それは誤解とすれ違いが重なっただけの、両片思いだった。
勘違いから始まる、甘くて優しい溺愛恋物語。
【完結】番としか子供が産まれない世界で
さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。
何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。
そんなニーナが番に出会うまで
4話完結
出会えたところで話は終わってます。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです
白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。
ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。
「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」
ある日、アリシアは見てしまう。
夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを!
「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」
「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」
夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。
自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。
ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。
※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
偽聖女と追放された私は、辺境で定食屋をはじめます~こっそり生活魔法で味付けしていたら、氷の騎士団長様が毎日通ってくるんですけど!?~
咲月ねむと
恋愛
【アルファポリス女性向けHOTランキング1位達成作品!!】
あらすじ
「役立たずの偽聖女め、この国から出て行け!」
聖女として召喚されたものの、地味な【生活魔法】しか使えず「ハズレ」の烙印を押されたエリーナ。
彼女は婚約者である王太子に婚約破棄され、真の聖女と呼ばれる義妹の陰謀によって国外追放されてしまう。
しかし、エリーナはめげなかった。
実は彼女の【生活魔法】は、一瞬で廃墟を新築に変え、どんな食材も極上の味に変えるチートスキルだったのだ!
北の辺境の地へ辿り着いたエリーナは、念願だった自分の定食屋『陽だまり亭』をオープンする。
すると、そこへ「氷の騎士団長」と恐れられる冷徹な美形騎士・クラウスがやってきて――。
「……味がする。お前の料理だけが、俺の呪いを解いてくれるんだ」
とある呪いで味覚を失っていた彼は、エリーナの料理にだけ味を感じると判明。
以来、彼は毎日のように店に通い詰め、高額な代金を置いていったり、邪魔する敵を排除したりと、エリーナを過保護なまでに溺愛し始める。
最強の騎士団長と騎士たちに胃袋を掴んで守られながら、エリーナは辺境で幸せなスローライフを満喫中?
〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】毒を飲めと言われたので飲みました。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。
国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。
悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。
英雄魔術師様とのシークレットベビーが天才で隠し通すのが大変です
氷雨そら
恋愛
――この魔石の意味がわからないほど子どもじゃない。
英雄魔術師カナンが遠征する直前、フィアーナと交わした一夜で授かった愛娘シェリア。フィアーナは、シェリアがカナンの娘であることを隠し、守るために王都を離れ遠い北の地で魔石を鑑定しながら暮らしていた。けれど、シェリアが三歳を迎えた日、彼女を取り囲む全ての属性の魔石が光る。彼女は父と同じ、全属性の魔力持ちだったのだ。これは、シークレットベビーを育てながら、健気に逞しく生きてきたヒロインが、天才魔術師様と天才愛娘に翻弄されながらも溺愛される幸せいっぱいハートフルストーリー。小説家になろうにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる