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第二十三話 夜会を終えて
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煌びやかな夜会を終えて、レイチェルとクロイツは自室に戻った。
『王太子となったのに、あの部屋でよいのか?』
国王が戸惑い気味に聞いたがクロイツは頷くだけで、父に部屋を変えるとは答えなかった。
「本当によろしかったのですか? クロイツさま」
青い部屋に戻ったレイチェルは改めてクロイツに聞いた。
クロイツは室内を見渡しながら言う。
「ああ。ぼくはこの部屋が気に入っている」
「でもこの部屋は……」
言いよどむレイチェルに、クロイツは笑みを向けた。
「ぼくが呪いにかかり、ヘレンが亡くなった部屋だ。それは分かっているよ。君が冷遇されて過ごした部屋でもある」
「いえ、わたしのことはよいのです。クロイツさまがお嫌でなければ……」
「ああ。ぼくは構わない。むしろ、この部屋がいい」
穏やかにクロイツは言った。
「この部屋には、思い出が詰まっている。よいものばかりではないが……ぼくは、この部屋が好きなんだよレイチェル」
「クロイツ……」
クロイツはレイチェルの前に立つと、長いピンク色の髪をひと掴み右手にとって口元に寄せ軽くキスをする。
「君の次くらいね」
そして右目を軽くつぶってウインクをした。
レイチェルの頬がパッとピンク色に染まるのを確認したクロイツは、彼女の世話をするために入ってきた侍女やメイドたちに目配せをして下がらせた。
「ねぇ、レイチェル。ぼくの夜伽聖女さま。正式に婚約者になったことでもあるし……」
「えっと、クロイツさま?」
「ぼくの愛を全身で受けてみない?」
「ちょっ……クロイツさま⁉ きゃっ!」
レイチェルはドレス姿のまま横抱きにされて驚き、声を上げた。
「あ、髪飾りとかアクセサリーが……」
「ハハハッ。もう外したよ」
「え? いつの間に⁉」
用意周到に重たいアクセサリー類は外されていて、レイチェルは余計に焦った。
「ふふふ。ぼくのハンドテクニックに驚いたかい?」
「もうそれって、泥棒のスキルみたいなものですよね?」
クロイツに笑いながらベッドの端に下ろされたレイチェルは、呆れながら憎まれ口を叩いた。
「泥棒王太子か。それも悪くない」
「悪いですよ?」
「ぼくが盗むのは、こっち」
クロイツはベッドの端に座らせたレイチェルの唇に、かすめ取るようなキスをする。
「もうっ! クロイツさまってばっ!」
再びキスをしたクロイツは、抗議の声を上げるレイチェルの口の中へすかさず舌を差し入れた。
戯れるような軽いふれあいから、やがて濃厚なものへと変わっていき、唇を離したクロイツをレイチェルがうっとりと見上げる頃には、ドレスの背中のボタンは半分ほど外されていた。
背中を指でなぞられて、それに気付いたレイチェルが、抗議含みの声で言う。
「手際がよすぎるのでは?」
「ふふ。もっともっと手際のよいところを見せてあげるよ」
驚いて声を上げるレイチェルの唇を、うっとりするほどセクシーに笑う王子さまの唇が、再び塞いだ。
静かな部屋の中で、クチュクチュと音を立ててキスをしながら、衣擦れの音を聞く。
「母がドレスを見せてくれながら、その構造も教えてくれたんだ」
キスの合間に、クロイツは秘密を打ち明けるようにささやく。
レイチェルは熱くなっていく体を感じながらボウッとした頭でそれを聞いていた。
「これはココのフックを外して、と。あ、まだ紐があるね。ふふふ。母上が独身の頃のドレスだから、守りが固いな」
「んんっ。クロイツさまってば」
露になった背中へそっと指先を滑らせていく悪戯な王子さまに、レイチェルは甘く抗議の声を上げた。
いつもと変わらぬ部屋は、カーテンもしっかり閉じられて、灯りも絞られている。
蝋燭の灯りで浮き上がる金髪に金の瞳の王子さまは、セクシー度を増していた。
長い金色の髪を後ろで1つに束ね、白地に金刺繍がたっぷり入った貴族服には金のコードも使われていた。
肩のあたりを飾っている金のコードが、露になったレイチェルの肌へふわふわと当たる。
なんだかくすぐったくて、ふふふと笑うレイチェルを見て、クロイツは困ったように眉を下げた。
「君はぼくの服が気に入っているようだね。さて、ぼくは服を脱ぐべきか。着たままでいるべきか」
「ふふふ。脱ぐべきですわ。せっかく職人が綺麗に仕立て直してくれた服ですもの」
「ん~。汚すようなことをするのかな?」
「ええ。汚すようなことをしましょう」
レイチェルはふわふわした気分でクロイツの上着に手を伸ばした。
女性用の服とは違って大きなボタンのついたそれは脱がせやすい。
「コートは簡単に攻略できたね。だけど、ウエストコートはどうかな?」
クロイツはレイチェルの額や頬にキスを落としながら、彼女を煽った。
「ふふふ。ウエストコートも簡単に攻略してみせますわ、わたしの王太子さま」
「期待しているよ、未来のお妃さま」
顎や首筋にキスを浴びながら、レイチェルは果敢に小さなボタンと戦う。
外しても外しても終わりのこないようなボタンの攻撃に手間取っている間に、クロイツはレイチェルのドレスをスルリと脱がせてしまった。
「えっ、パニエは?」
「あそこ」
クロイツは、レイチェルを抱き上げたあたりを指さした。
そこにはどうやって外したのか、レイチェルが身に着けていたパニエの輪が重なるようにして落ちていた。
「え⁉ なぜ⁉」
「言ったろ? 母上がドレスについて色々と教えてくれって」
驚くレイチェルに悪戯っ子のように右目でウインクしたクロイツは、もう母親の腰にまとわりついていた子どもではない。
「さぁ、この下着はどうやって外してくれようか」
クロイツはベッドの端に腰かけているレイチェルへ覆いかぶさるようにして、彼女に見せつけるような色っぽい仕草で下着の肩ひもを口で咥えたのだった。
『王太子となったのに、あの部屋でよいのか?』
国王が戸惑い気味に聞いたがクロイツは頷くだけで、父に部屋を変えるとは答えなかった。
「本当によろしかったのですか? クロイツさま」
青い部屋に戻ったレイチェルは改めてクロイツに聞いた。
クロイツは室内を見渡しながら言う。
「ああ。ぼくはこの部屋が気に入っている」
「でもこの部屋は……」
言いよどむレイチェルに、クロイツは笑みを向けた。
「ぼくが呪いにかかり、ヘレンが亡くなった部屋だ。それは分かっているよ。君が冷遇されて過ごした部屋でもある」
「いえ、わたしのことはよいのです。クロイツさまがお嫌でなければ……」
「ああ。ぼくは構わない。むしろ、この部屋がいい」
穏やかにクロイツは言った。
「この部屋には、思い出が詰まっている。よいものばかりではないが……ぼくは、この部屋が好きなんだよレイチェル」
「クロイツ……」
クロイツはレイチェルの前に立つと、長いピンク色の髪をひと掴み右手にとって口元に寄せ軽くキスをする。
「君の次くらいね」
そして右目を軽くつぶってウインクをした。
レイチェルの頬がパッとピンク色に染まるのを確認したクロイツは、彼女の世話をするために入ってきた侍女やメイドたちに目配せをして下がらせた。
「ねぇ、レイチェル。ぼくの夜伽聖女さま。正式に婚約者になったことでもあるし……」
「えっと、クロイツさま?」
「ぼくの愛を全身で受けてみない?」
「ちょっ……クロイツさま⁉ きゃっ!」
レイチェルはドレス姿のまま横抱きにされて驚き、声を上げた。
「あ、髪飾りとかアクセサリーが……」
「ハハハッ。もう外したよ」
「え? いつの間に⁉」
用意周到に重たいアクセサリー類は外されていて、レイチェルは余計に焦った。
「ふふふ。ぼくのハンドテクニックに驚いたかい?」
「もうそれって、泥棒のスキルみたいなものですよね?」
クロイツに笑いながらベッドの端に下ろされたレイチェルは、呆れながら憎まれ口を叩いた。
「泥棒王太子か。それも悪くない」
「悪いですよ?」
「ぼくが盗むのは、こっち」
クロイツはベッドの端に座らせたレイチェルの唇に、かすめ取るようなキスをする。
「もうっ! クロイツさまってばっ!」
再びキスをしたクロイツは、抗議の声を上げるレイチェルの口の中へすかさず舌を差し入れた。
戯れるような軽いふれあいから、やがて濃厚なものへと変わっていき、唇を離したクロイツをレイチェルがうっとりと見上げる頃には、ドレスの背中のボタンは半分ほど外されていた。
背中を指でなぞられて、それに気付いたレイチェルが、抗議含みの声で言う。
「手際がよすぎるのでは?」
「ふふ。もっともっと手際のよいところを見せてあげるよ」
驚いて声を上げるレイチェルの唇を、うっとりするほどセクシーに笑う王子さまの唇が、再び塞いだ。
静かな部屋の中で、クチュクチュと音を立ててキスをしながら、衣擦れの音を聞く。
「母がドレスを見せてくれながら、その構造も教えてくれたんだ」
キスの合間に、クロイツは秘密を打ち明けるようにささやく。
レイチェルは熱くなっていく体を感じながらボウッとした頭でそれを聞いていた。
「これはココのフックを外して、と。あ、まだ紐があるね。ふふふ。母上が独身の頃のドレスだから、守りが固いな」
「んんっ。クロイツさまってば」
露になった背中へそっと指先を滑らせていく悪戯な王子さまに、レイチェルは甘く抗議の声を上げた。
いつもと変わらぬ部屋は、カーテンもしっかり閉じられて、灯りも絞られている。
蝋燭の灯りで浮き上がる金髪に金の瞳の王子さまは、セクシー度を増していた。
長い金色の髪を後ろで1つに束ね、白地に金刺繍がたっぷり入った貴族服には金のコードも使われていた。
肩のあたりを飾っている金のコードが、露になったレイチェルの肌へふわふわと当たる。
なんだかくすぐったくて、ふふふと笑うレイチェルを見て、クロイツは困ったように眉を下げた。
「君はぼくの服が気に入っているようだね。さて、ぼくは服を脱ぐべきか。着たままでいるべきか」
「ふふふ。脱ぐべきですわ。せっかく職人が綺麗に仕立て直してくれた服ですもの」
「ん~。汚すようなことをするのかな?」
「ええ。汚すようなことをしましょう」
レイチェルはふわふわした気分でクロイツの上着に手を伸ばした。
女性用の服とは違って大きなボタンのついたそれは脱がせやすい。
「コートは簡単に攻略できたね。だけど、ウエストコートはどうかな?」
クロイツはレイチェルの額や頬にキスを落としながら、彼女を煽った。
「ふふふ。ウエストコートも簡単に攻略してみせますわ、わたしの王太子さま」
「期待しているよ、未来のお妃さま」
顎や首筋にキスを浴びながら、レイチェルは果敢に小さなボタンと戦う。
外しても外しても終わりのこないようなボタンの攻撃に手間取っている間に、クロイツはレイチェルのドレスをスルリと脱がせてしまった。
「えっ、パニエは?」
「あそこ」
クロイツは、レイチェルを抱き上げたあたりを指さした。
そこにはどうやって外したのか、レイチェルが身に着けていたパニエの輪が重なるようにして落ちていた。
「え⁉ なぜ⁉」
「言ったろ? 母上がドレスについて色々と教えてくれって」
驚くレイチェルに悪戯っ子のように右目でウインクしたクロイツは、もう母親の腰にまとわりついていた子どもではない。
「さぁ、この下着はどうやって外してくれようか」
クロイツはベッドの端に腰かけているレイチェルへ覆いかぶさるようにして、彼女に見せつけるような色っぽい仕草で下着の肩ひもを口で咥えたのだった。
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