【完結】【小説】web小説で25万円稼ぐには

天田れおぽん

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第36話 会社へ報告

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 わたしは事務という名の何でも屋である。
 しかし社内には、事務という名のシゴデキお姉さまがいる。
 だからわたしは、お姉さまに相談した。

「小説ね。それなら副業の規定違反にはならないと思うわ」
「事後報告でごめんなさい」

 わたしはシゴデキお姉さまに頭を下げた。

 それにしても、わたしが『小説を書いている』かつ『本出しました』ということを知ると、皆同じ表情になるのはなぜだろうか?
 目を丸くしてからニンマリ笑うせいか、漫画みたいな目になる。
 揶揄うつもりはなくても、からかうような表情になるのだ。
 とても恥ずかしい。

 だがシゴデキお姉さまは大人の対応をした。

「いいのよ。最初は、よくわからないわよね。でもお金のことはちゃんとしないとね。本が出るならそれなりの金額になるでしょ?」
「いや、それは……」

 シゴデキお姉さまの夢を壊しては悪いので、その辺は誤魔化した。
 売れれば収入は増えるだろう。
 売れ行きがそれなりであれば、収入のほうもそれなりである。

「確定申告が必要になるのが副業の場合、20万円以上だから。本を出したなら、そのくらいはいっちゃうでしょ?」

 シゴデキお姉さまの言葉に、わたしはうなずいた。
 
「20万円以下の場合は源泉所得税が戻ってくるから、結局は確定申告したほうがいいわけだけど。印税以外に、webでの掲載で入ってきた金額も対象になるからね。気を付けてね」
「はい」

 足すと、確かにそれなりの金額になる。

「金額が膨らむと税金とかが増えて、かえって損しちゃう可能性もあるから。経費はちゃんと計上しないとダメよ」
「経費?」

 わたしは首を傾げた。
 経費となるような物に心当たりがない。

「そうねぇ、例えば調査とかに出かけた交通費とか」
「異世界モノだから、それはないかな?」
「そうよね」

 シゴデキお姉さまは軽やかな笑い声をたてた。

「広告宣伝費なども対象になるけど」
「それは出版社さんにお任せです」

 わたし、頼れるものは何でも頼るタイプなので。

「んー高橋さんは実家住まいだから、家賃とか水道光熱費とかを経費にするのは大変かもね」
「そうなんです。専業でもないし、そんなに経費にできるような物は……」
「あ、そうそう。文具とか、パソコン用品とか。パソコン本体も経費で落とせるわよ」
「おおっ」

 マイパソコン。なんて魅力的。

「パソコンも10万円未満なら消耗品として経費で落とせるの。10万円以上になると減価償却が必要だけど」

 ふむふむ。
 なんだか面倒そうだな?

「分からないことは、その時になったら相談してね。あと、まとまった金額を稼げるにしても、本業に差しさわりがあるのはダメよ? スケジュール調整はしっかりしてね」
「はい」

 わたしはとてもよいお返事をして振り返った。
 するとそこには、漫画みたいな表情を浮かべてニンマリと笑う佐々木がいた。
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