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38 診療室
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私に注意を促した後、長髪の魔術師と金髪碧眼のレナード王子は診療室を後にした。部屋の外には警戒のために第二王子が配置した警備兵が二人立ってくれている。周辺の廊下も兵士が巡回してるというし滅多なことはないだろうがロゼッタの身体が万全でない以上は、私がしっかりしなくては……。
そう思いながらベッドに横たわるプラチナブロンドの侍女に毛布をかけていると、黒髪の女性が足早に診療室へ入ってきた。
「ロゼッタの様子は?」
「今は落ち着いています。あなたは?」
「私は女官長のミレイユと申します。侍女であるロゼッタの上司です。あなたが第一王子の客人、マリナ様ですね」
「はい」
「ロゼッタから話は聞いておりました。ごあいさつが遅れて申し訳ございません」
「いえ、構いませんので頭をお上げ下さい。ミレイユさん」
私の言葉を受けて黒髪の女官長は深く下げていた頭を上げた。
「第二王子から話は聞きました。なんでもロゼッタはユリ毒を摂取してしまったとか」
「はい。その通りです。正確には夕方頃に一度ユリの茎を浸けた水を飲んでしまった為に、ユリ成分が含まれた水を飲んでしまったようです」
私の説明を聞いた白髪の侍女は眠っているプラチナブロンドの侍女を見ながら、やや困惑した表情で首を傾げた。
「それにしても、ロゼッタは本当に夕方頃にユリ毒を摂取したのですか? 通常なら、もっと苦しんでこのように眠っていられる状態ではないはずです。この顔色や状態では、とてもそんな風には……」
「ユリ毒の摂取直後に『胃洗浄』を行いましたから、本格的にユリ中毒の症状が出る前に毒成分を排出できたようです」
「胃洗浄?」
白髪の医女や黒髪の女官長が怪訝そうな表情を浮かべたので、私はひとつ頷いて微笑した。
「胃洗浄は口や鼻腔から胃に管を通して直接、胃へ水を流し込んだり強制的に胃の内容物を排出させる医療処置です」
「鼻から!? はじめて聞く処置ですね」
「そのような方法で、ユリ毒に対処したのですか?」
目を丸くする黒髪の女官長ミレイユさんと白髪の医女を見て、初めて聞くならこの反応も無理はないかと考えながら私は少し苦笑した。
「はい。今回はユリ毒を排出させるために胃洗浄を行いましたが、ユリ以外にも猫が摂取すると危険な花や食べ物は多いですし、毒成分を含む植物を誤飲した直後でしたら胃洗浄は救護処置として有効な手段です。あとは大量にお酒を飲んでしまった時などに起こる、急性アルコール中毒や本来必要の無い薬物を誤飲して早急に排出させなければいけない際にも有効な方法ですから、よろしければ胃洗浄の方法をお教えしましょうか?」
「ええ、ぜひ!」
そう思いながらベッドに横たわるプラチナブロンドの侍女に毛布をかけていると、黒髪の女性が足早に診療室へ入ってきた。
「ロゼッタの様子は?」
「今は落ち着いています。あなたは?」
「私は女官長のミレイユと申します。侍女であるロゼッタの上司です。あなたが第一王子の客人、マリナ様ですね」
「はい」
「ロゼッタから話は聞いておりました。ごあいさつが遅れて申し訳ございません」
「いえ、構いませんので頭をお上げ下さい。ミレイユさん」
私の言葉を受けて黒髪の女官長は深く下げていた頭を上げた。
「第二王子から話は聞きました。なんでもロゼッタはユリ毒を摂取してしまったとか」
「はい。その通りです。正確には夕方頃に一度ユリの茎を浸けた水を飲んでしまった為に、ユリ成分が含まれた水を飲んでしまったようです」
私の説明を聞いた白髪の侍女は眠っているプラチナブロンドの侍女を見ながら、やや困惑した表情で首を傾げた。
「それにしても、ロゼッタは本当に夕方頃にユリ毒を摂取したのですか? 通常なら、もっと苦しんでこのように眠っていられる状態ではないはずです。この顔色や状態では、とてもそんな風には……」
「ユリ毒の摂取直後に『胃洗浄』を行いましたから、本格的にユリ中毒の症状が出る前に毒成分を排出できたようです」
「胃洗浄?」
白髪の医女や黒髪の女官長が怪訝そうな表情を浮かべたので、私はひとつ頷いて微笑した。
「胃洗浄は口や鼻腔から胃に管を通して直接、胃へ水を流し込んだり強制的に胃の内容物を排出させる医療処置です」
「鼻から!? はじめて聞く処置ですね」
「そのような方法で、ユリ毒に対処したのですか?」
目を丸くする黒髪の女官長ミレイユさんと白髪の医女を見て、初めて聞くならこの反応も無理はないかと考えながら私は少し苦笑した。
「はい。今回はユリ毒を排出させるために胃洗浄を行いましたが、ユリ以外にも猫が摂取すると危険な花や食べ物は多いですし、毒成分を含む植物を誤飲した直後でしたら胃洗浄は救護処置として有効な手段です。あとは大量にお酒を飲んでしまった時などに起こる、急性アルコール中毒や本来必要の無い薬物を誤飲して早急に排出させなければいけない際にも有効な方法ですから、よろしければ胃洗浄の方法をお教えしましょうか?」
「ええ、ぜひ!」
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