97 / 450
宣伝広告と手土産のクッキー
97
しおりを挟む
一通り、双子にリフォーム内容を説明し終わった後、私は改めて店舗の前に立つ。店舗の看板には『パティスリー・セリナ』の文字がくっきりと記されている。店名をどうするか、悩んだがシンプルなのが一番だろうと、この名前にしたのだ。
「これから、がんばらないとね……」
自分の店を持つということは、全ての責任が自分の双肩にかかるということだ。この店が潰れるのか、繁盛するのかは私次第だろう。
店舗の外観を見ながら思う。リフォームした店舗は確かに綺麗だ。だからと言って黙っていても客が入ってくれるのかと言えば、世の中そんなに甘くはないだろう。
「食べてもらえれば、ケーキが美味しいことが分かってもらえるとは思うけど。まずはお客さんに興味を持ってもらって、店に足を運んでもらわないと話にならないわよね……」
何もせずに、ただ商品を作って店頭に並べているだけで、作ったそばから売れていくなら世話はないが、そんなに上手くいくはずがない。そもそも、この街に住む多くの人は、この『パティスリー・セリナ』がいつからオープンして、何を売るのかも全く知らないのだから。
私は店舗のオープン日と『パティスリーセリナ』の販売商品についての広告を作成し、それを人目のつく場所に貼り出すことにした。広告には分かりやすいように、定番のケーキなどを絵で描いて商品を簡単に説明してある。
肝心の広告を貼る場所は、やはり商売をやっている店にお願いするのが良いだろうと、手土産を持ち、まず訪ねたのは店舗近くにある肉屋、ナールング肉店だった。
このナールング肉店にいる恰幅の良い女性。エマさんはうわさ話が大好きで一日中、色んな人とおしゃべりをしながら店頭で仕事をしている。
こういう、おしゃべりが大好きな人に、口コミで新店舗の情報を伝えてもらえたら、非常に宣伝効果が高いだろうと思ったのだ。
「こんにちは、エマさん」
「ああ、セリナお嬢ちゃんじゃないかい。もうリフォーム工事は済んだのかい?」
「はい。おかげさまで無事に終わりました」
「そりゃあ良かったね! おや、その紙はなんだい?」
恰幅の良いエマさんは陽気に笑った後、私が肩からかけたバッグの中から見える複数の紙が気になったようで、軽く首をかしげた。
「あ、実はこの紙についてお願いがあるんです」
「お願い?」
「この紙は新店舗の商品内容と、オープン日を書いた広告なんですが……」
説明しながら、私はバッグの中から広告を一枚取り出してエマさんに手渡した。
「これから、がんばらないとね……」
自分の店を持つということは、全ての責任が自分の双肩にかかるということだ。この店が潰れるのか、繁盛するのかは私次第だろう。
店舗の外観を見ながら思う。リフォームした店舗は確かに綺麗だ。だからと言って黙っていても客が入ってくれるのかと言えば、世の中そんなに甘くはないだろう。
「食べてもらえれば、ケーキが美味しいことが分かってもらえるとは思うけど。まずはお客さんに興味を持ってもらって、店に足を運んでもらわないと話にならないわよね……」
何もせずに、ただ商品を作って店頭に並べているだけで、作ったそばから売れていくなら世話はないが、そんなに上手くいくはずがない。そもそも、この街に住む多くの人は、この『パティスリー・セリナ』がいつからオープンして、何を売るのかも全く知らないのだから。
私は店舗のオープン日と『パティスリーセリナ』の販売商品についての広告を作成し、それを人目のつく場所に貼り出すことにした。広告には分かりやすいように、定番のケーキなどを絵で描いて商品を簡単に説明してある。
肝心の広告を貼る場所は、やはり商売をやっている店にお願いするのが良いだろうと、手土産を持ち、まず訪ねたのは店舗近くにある肉屋、ナールング肉店だった。
このナールング肉店にいる恰幅の良い女性。エマさんはうわさ話が大好きで一日中、色んな人とおしゃべりをしながら店頭で仕事をしている。
こういう、おしゃべりが大好きな人に、口コミで新店舗の情報を伝えてもらえたら、非常に宣伝効果が高いだろうと思ったのだ。
「こんにちは、エマさん」
「ああ、セリナお嬢ちゃんじゃないかい。もうリフォーム工事は済んだのかい?」
「はい。おかげさまで無事に終わりました」
「そりゃあ良かったね! おや、その紙はなんだい?」
恰幅の良いエマさんは陽気に笑った後、私が肩からかけたバッグの中から見える複数の紙が気になったようで、軽く首をかしげた。
「あ、実はこの紙についてお願いがあるんです」
「お願い?」
「この紙は新店舗の商品内容と、オープン日を書いた広告なんですが……」
説明しながら、私はバッグの中から広告を一枚取り出してエマさんに手渡した。
16
あなたにおすすめの小説
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは
美少女に転生して料理して生きてくことになりました。
ゆーぞー
ファンタジー
田中真理子32歳、独身、失業中。
飲めないお酒を飲んでぶったおれた。
気がついたらマリアンヌという12歳の美少女になっていた。
その世界は加護を受けた人間しか料理をすることができない世界だった
断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!
柊
ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」
ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。
「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」
そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。
(やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。
※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。
【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜
Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。
異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/466596284/episode/5320962
https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/387029553/episode/10775138
https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/84576624/episode/5093144
https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/786307039/episode/2285646
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる