109 / 450
保冷と魔石とお値段
109
しおりを挟む
「これって、さっき削ってた?」
「ああ。コイツが氷の魔石だ」
「研磨してたのは魔石だったんですね……」
「そうだ。そして、この氷魔石の削りカスに魔力を込めると一定時間の保冷効果がある」
「一定時間の保冷効果って、量と時間はどの程度なんですか?」
「そうだな……。この量で魔力を込めれば、この店から街を出るまでの時間は保冷効果が保たれる」
「それだけ保冷効果があるなら、削りカスで充分です!」
「まさか、削りカスを引き取りたい奴が現れるとはな……」
コルニクスさんは何故か、ゲンナリした様子でうなだれた。しかし、これなら小型の保冷剤として、じゅうぶん使える。そうと決まれば、ケーキと一緒につめる事を想定しなければならない。
「じゃあ、魔石の削りカスを小さい袋につめて、小分けで売って頂けますか?」
「ハァ? このカスを袋につめるのか?」
「ええ。あ、お客さんが間違って食べないように、しっかりと密封した状態でお願いします!」
笑顔でお願いすると黒髪の店主は、やや首をかたむけながらジト目で私を見据えた。
「ほぉ……。いくつの袋が必要なんだ?」
「そうですね。とりあえず百個? いや、もっといるか……」
「は?」
「どの位、必要なのか分からないので……。でも、まぁ、腐るような物でもないですからストックとして、その位は最低でも必要かと……。あとは必要に応じて、追加注文を」
魔力がある人なら自力で氷魔法を使って冷やせるだろうから問題ないとしても、魔力が低くて保冷剤が必要な人がどの位の割合なのかが現段階では全く分からない。そして用意する保冷剤にお金がかかる以上、保冷剤もケーキと別料金の有料ということになる。
タダなら保冷剤が欲しいと言う人が多いだろうけど、有料なら欲しくないと言う人の割合の方が増えるかも知れない。特に今の時季だと気候的に絶対、保冷剤が必要なほど暑いわけではない。そんなことを思案していたら、眼前の店主が何故か、怒りの色を浮かべた瞳でビキビキと目元を引きつらせている。
「ふっざけんな!」
「えぇ……」
叫ぶと同時に大きな音を立てて、両手でカウンターの台を叩いた魔道具屋の店主に困惑する。しかし、そんな私の姿にコルニクスさんは、さらに怒りを爆発させた。
「こんなカスを何百個も袋につめる内職みたいな作業を、何で俺がやらなきゃいけねーんだ! おまえはアホか!?」
「で、でも、お金は出しますから……」
「どうせ、はした金だろうが!?」
「うっ、それは……」
そこを突かれると確かに痛い。しかし、無いソデはふれないのだ。どう説得するべきかと、私が視線をさ迷わせているとコルニクスさんは脱力した様子で肩を落とし、大きく息を吐いた。
「ハァ。もういい……。やる」
「え?」
「この魔石のカスはどうせ、ゴミだ。くれてやる……。木箱ごと持って帰れ」
「タダなんですか?」
「そうだ。袋詰めでも何でも、自分でやれ。……ただし、ショーケースと保冷庫の方はキッチリ金を取るからな」
「はいっ! ありがとうございます!」
こうして、コルニクスさんのご厚意で保冷剤の材料をタダで入手することができた。
「ああ。コイツが氷の魔石だ」
「研磨してたのは魔石だったんですね……」
「そうだ。そして、この氷魔石の削りカスに魔力を込めると一定時間の保冷効果がある」
「一定時間の保冷効果って、量と時間はどの程度なんですか?」
「そうだな……。この量で魔力を込めれば、この店から街を出るまでの時間は保冷効果が保たれる」
「それだけ保冷効果があるなら、削りカスで充分です!」
「まさか、削りカスを引き取りたい奴が現れるとはな……」
コルニクスさんは何故か、ゲンナリした様子でうなだれた。しかし、これなら小型の保冷剤として、じゅうぶん使える。そうと決まれば、ケーキと一緒につめる事を想定しなければならない。
「じゃあ、魔石の削りカスを小さい袋につめて、小分けで売って頂けますか?」
「ハァ? このカスを袋につめるのか?」
「ええ。あ、お客さんが間違って食べないように、しっかりと密封した状態でお願いします!」
笑顔でお願いすると黒髪の店主は、やや首をかたむけながらジト目で私を見据えた。
「ほぉ……。いくつの袋が必要なんだ?」
「そうですね。とりあえず百個? いや、もっといるか……」
「は?」
「どの位、必要なのか分からないので……。でも、まぁ、腐るような物でもないですからストックとして、その位は最低でも必要かと……。あとは必要に応じて、追加注文を」
魔力がある人なら自力で氷魔法を使って冷やせるだろうから問題ないとしても、魔力が低くて保冷剤が必要な人がどの位の割合なのかが現段階では全く分からない。そして用意する保冷剤にお金がかかる以上、保冷剤もケーキと別料金の有料ということになる。
タダなら保冷剤が欲しいと言う人が多いだろうけど、有料なら欲しくないと言う人の割合の方が増えるかも知れない。特に今の時季だと気候的に絶対、保冷剤が必要なほど暑いわけではない。そんなことを思案していたら、眼前の店主が何故か、怒りの色を浮かべた瞳でビキビキと目元を引きつらせている。
「ふっざけんな!」
「えぇ……」
叫ぶと同時に大きな音を立てて、両手でカウンターの台を叩いた魔道具屋の店主に困惑する。しかし、そんな私の姿にコルニクスさんは、さらに怒りを爆発させた。
「こんなカスを何百個も袋につめる内職みたいな作業を、何で俺がやらなきゃいけねーんだ! おまえはアホか!?」
「で、でも、お金は出しますから……」
「どうせ、はした金だろうが!?」
「うっ、それは……」
そこを突かれると確かに痛い。しかし、無いソデはふれないのだ。どう説得するべきかと、私が視線をさ迷わせているとコルニクスさんは脱力した様子で肩を落とし、大きく息を吐いた。
「ハァ。もういい……。やる」
「え?」
「この魔石のカスはどうせ、ゴミだ。くれてやる……。木箱ごと持って帰れ」
「タダなんですか?」
「そうだ。袋詰めでも何でも、自分でやれ。……ただし、ショーケースと保冷庫の方はキッチリ金を取るからな」
「はいっ! ありがとうございます!」
こうして、コルニクスさんのご厚意で保冷剤の材料をタダで入手することができた。
21
あなたにおすすめの小説
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜
Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。
断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!
柊
ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」
ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。
「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」
そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。
(やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。
※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。
美少女に転生して料理して生きてくことになりました。
ゆーぞー
ファンタジー
田中真理子32歳、独身、失業中。
飲めないお酒を飲んでぶったおれた。
気がついたらマリアンヌという12歳の美少女になっていた。
その世界は加護を受けた人間しか料理をすることができない世界だった
強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
異世界に召喚されたけど、聖女じゃないから用はない? それじゃあ、好き勝手させてもらいます!
明衣令央
ファンタジー
糸井織絵は、ある日、オブルリヒト王国が行った聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界ルリアルークへと飛ばされてしまう。
一緒に召喚された、若く美しい女が聖女――織絵は召喚の儀に巻き込まれた年増の豚女として不遇な扱いを受けたが、元スマホケースのハリネズミのぬいぐるみであるサーチートと共に、オブルリヒト王女ユリアナに保護され、聖女の力を開花させる。
だが、オブルリヒト王国の王子ジュニアスは、追い出した織絵にも聖女の可能性があるとして、織絵を連れ戻しに来た。
そして、異世界転移状態から正式に異世界転生した織絵は、若く美しい姿へと生まれ変わる。
この物語は、聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界転移後、新たに転生した一人の元おばさんの聖女が、相棒の元スマホケースのハリネズミと楽しく無双していく、恋と冒険の物語。
2022.9.7 話が少し進みましたので、内容紹介を変更しました。その都度変更していきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる