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黒熊のベルント
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もう、あの店に行けない! 内心、おおいに落ち込んでいるが、そんな俺の胸中を知らない冒険者たちはビールをあおりながら話をつづける。
「それがな……。パティスリーの店長で『セリナ』って名前の女と、やたら親しそうに道を歩いて、そのままパティスリーに入ったんだよ。店は休みだったのに!」
「えっ。それって……」
「ああ。それを見て、俺はピーンと来たよ……。パティスリー・セリナの店長は、黒熊ベルントの女なんだろうな!」
神よ!
俺はひそかに片手をグッと握り、神に感謝の祈りを捧げつつ、名も知らぬ冒険者のカン違いに心から感謝した。甘い物目当てでなく、パティスリーの店長と恋仲!
もしくは知り合いであるという形なら、俺が女子供に人気の店に入ったしたとしても、それほど違和感はないだろう。
実際、すでに彼女と『知り合い』というのは間違いないし、社交辞令もあるだろうが『また来てください』と言われている。再度、入店してもおかしくはないはずだ。俺は内心、ニヤつきながら夕食の肉料理をたいらげた。
そういう経緯があった物の、やはり胸をはって女性客で賑わうパティスリーに入るのは恥ずかしい。数日後、店の周囲をウロウロしていたところ偶然、店頭に出てきたセリナ嬢に見つかった。
「ベルントさん!」
「セリナ嬢……」
「来て下さったんですね!」
「ああ。近くまで来たのでな」
ずっと、このパティスリー・セリナの周囲をウロウロしていたのだが、彼女にそれを言う必要はないだろう。いかにも偶然、この近くを歩いていたんだという顔で話す。自分の表情筋がほぼ働かない『鉄面皮』とか『無表情』と呼ばれていることを、この時ほど感謝したことはない。
「先日、試作品のパウンドケーキを食べて頂いた時に、聞かせて頂いた感想を元に作った新商品ができたんですよ! ぜひ、味をみていってください!」
「そ、そうか……。では、おじゃましよう」
店に入ると、宝石のような色とりどりのケーキがショーケースに入っていた。そして、ショーケースの上に置かれているガラス容器に新商品としてハチミツのケーキが鎮座している。どうやら俺の感想を元に作られたらしい、レーズンとクルミが入ったキツネ色のケーキだ。
「ベルントさん。どうぞ、こちらへ」
「ああ」
以前と同じように試食の為、奥のダイニングルームに通される。ガラスのショーケースの後ろにいた従業員であろう、メイド服を着た猫耳の少女二人が興味津々といった表情でこちらを見ている。
猫耳メイドの視線が突き刺さるのが、ひしひしと感じられたが、何しろ店長であるセリナ嬢にうながされている訳で、なんら遠慮する必要は無いだろう。俺は堂々と奥へと入っていった。
「それがな……。パティスリーの店長で『セリナ』って名前の女と、やたら親しそうに道を歩いて、そのままパティスリーに入ったんだよ。店は休みだったのに!」
「えっ。それって……」
「ああ。それを見て、俺はピーンと来たよ……。パティスリー・セリナの店長は、黒熊ベルントの女なんだろうな!」
神よ!
俺はひそかに片手をグッと握り、神に感謝の祈りを捧げつつ、名も知らぬ冒険者のカン違いに心から感謝した。甘い物目当てでなく、パティスリーの店長と恋仲!
もしくは知り合いであるという形なら、俺が女子供に人気の店に入ったしたとしても、それほど違和感はないだろう。
実際、すでに彼女と『知り合い』というのは間違いないし、社交辞令もあるだろうが『また来てください』と言われている。再度、入店してもおかしくはないはずだ。俺は内心、ニヤつきながら夕食の肉料理をたいらげた。
そういう経緯があった物の、やはり胸をはって女性客で賑わうパティスリーに入るのは恥ずかしい。数日後、店の周囲をウロウロしていたところ偶然、店頭に出てきたセリナ嬢に見つかった。
「ベルントさん!」
「セリナ嬢……」
「来て下さったんですね!」
「ああ。近くまで来たのでな」
ずっと、このパティスリー・セリナの周囲をウロウロしていたのだが、彼女にそれを言う必要はないだろう。いかにも偶然、この近くを歩いていたんだという顔で話す。自分の表情筋がほぼ働かない『鉄面皮』とか『無表情』と呼ばれていることを、この時ほど感謝したことはない。
「先日、試作品のパウンドケーキを食べて頂いた時に、聞かせて頂いた感想を元に作った新商品ができたんですよ! ぜひ、味をみていってください!」
「そ、そうか……。では、おじゃましよう」
店に入ると、宝石のような色とりどりのケーキがショーケースに入っていた。そして、ショーケースの上に置かれているガラス容器に新商品としてハチミツのケーキが鎮座している。どうやら俺の感想を元に作られたらしい、レーズンとクルミが入ったキツネ色のケーキだ。
「ベルントさん。どうぞ、こちらへ」
「ああ」
以前と同じように試食の為、奥のダイニングルームに通される。ガラスのショーケースの後ろにいた従業員であろう、メイド服を着た猫耳の少女二人が興味津々といった表情でこちらを見ている。
猫耳メイドの視線が突き刺さるのが、ひしひしと感じられたが、何しろ店長であるセリナ嬢にうながされている訳で、なんら遠慮する必要は無いだろう。俺は堂々と奥へと入っていった。
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