222 / 450
セリナの近況
222
しおりを挟む
今日は朝から曇り空だったので、様子見としてケーキの量を少なめに用意していたのだが、店が開店する頃には薄雲の下に厚い灰色雲がじわじわと重なり、やがて灰色雲は厚みを増しながら黒雲と化し青空を覆いつくして、地上に大雨を降らせた。パティスリー・セリナは今日も営業中だが、こうも大雨が降ると客足は途絶える。
「ヒマですね~」
「せっかくセリナ様がケーキを焼いて下さったのに、お客様が来ないなんて~」
くちびるを尖らせたり、頬を膨らませたりしている猫耳の双子メイドに私は苦笑した。
「仕方ないわよ。こんな雨の中、わざわざ外に出てケーキを買いに来る人なんて、そうそう居ないだろうし……」
「そういえば前王が亡くなった後、次の王様が婚約と結婚を発表したけど、結婚式の当日ってやっぱりケーキ売れたりするんでしょうか?」
「まぁ、お祝い気分で多少は売れるかもね……。商売的には売れてくれたらありがたいけど……」
「でも新しく王様になったレオン陛下の婚約者って、あのフローラって言う赤髪の伯爵令嬢なんですよね?」
「うん……。そうらしいわね」
前王であるライオネル陛下の喪が明けると同時に、新王レオン陛下の婚約と結婚予定日が発表されたのはめでたいことなのだが、よりにもよって相手が伯爵令嬢フローラだと聞いた時には開いた口が塞がらなかった。
前にフローラは「王太子妃になる」と豪語していたが、本当に婚約者候補の身から『婚約者』の座を勝ち取ったのだ。そして前王が亡くなったことで現王レオン陛下との結婚と同時に、フローラが金獅子国の王妃となる予定なのだが……。
「あの人、すごい感じ悪かったですっ! あんな人を婚約者にして結婚相手にするとか、新しい王様は女を見る目がないですよ!」
「本当! あんな人が王妃になったら、ロクな事にならないに決まってます!」
「きっと毎日贅沢三昧して、庶民には重税が課せられるんですよ!」
「最悪ですっ!」
以前、この噴水広場で偶然、伯爵令嬢フローラと遭遇した際。私に対して散々、嫌味を言ってきたフローラのことを双子は鮮明に覚えていたようで、蛇蝎のごとく嫌っている。
「あー、うん……。そうと決まった訳じゃないけど……。そうなると困るわよねぇ」
「伯爵令嬢フローラが王妃になったら、この国はおしまいですっ!」
「セリナ様っ! いざとなったら、私たちはこの金獅子国を捨てて他国に逃げましょう!」
「できれば、離れたくないんだけどなぁ……。せっかく、固定客も付き始めたし、賃貸から持ち家状態になった訳だし……」
「ヒマですね~」
「せっかくセリナ様がケーキを焼いて下さったのに、お客様が来ないなんて~」
くちびるを尖らせたり、頬を膨らませたりしている猫耳の双子メイドに私は苦笑した。
「仕方ないわよ。こんな雨の中、わざわざ外に出てケーキを買いに来る人なんて、そうそう居ないだろうし……」
「そういえば前王が亡くなった後、次の王様が婚約と結婚を発表したけど、結婚式の当日ってやっぱりケーキ売れたりするんでしょうか?」
「まぁ、お祝い気分で多少は売れるかもね……。商売的には売れてくれたらありがたいけど……」
「でも新しく王様になったレオン陛下の婚約者って、あのフローラって言う赤髪の伯爵令嬢なんですよね?」
「うん……。そうらしいわね」
前王であるライオネル陛下の喪が明けると同時に、新王レオン陛下の婚約と結婚予定日が発表されたのはめでたいことなのだが、よりにもよって相手が伯爵令嬢フローラだと聞いた時には開いた口が塞がらなかった。
前にフローラは「王太子妃になる」と豪語していたが、本当に婚約者候補の身から『婚約者』の座を勝ち取ったのだ。そして前王が亡くなったことで現王レオン陛下との結婚と同時に、フローラが金獅子国の王妃となる予定なのだが……。
「あの人、すごい感じ悪かったですっ! あんな人を婚約者にして結婚相手にするとか、新しい王様は女を見る目がないですよ!」
「本当! あんな人が王妃になったら、ロクな事にならないに決まってます!」
「きっと毎日贅沢三昧して、庶民には重税が課せられるんですよ!」
「最悪ですっ!」
以前、この噴水広場で偶然、伯爵令嬢フローラと遭遇した際。私に対して散々、嫌味を言ってきたフローラのことを双子は鮮明に覚えていたようで、蛇蝎のごとく嫌っている。
「あー、うん……。そうと決まった訳じゃないけど……。そうなると困るわよねぇ」
「伯爵令嬢フローラが王妃になったら、この国はおしまいですっ!」
「セリナ様っ! いざとなったら、私たちはこの金獅子国を捨てて他国に逃げましょう!」
「できれば、離れたくないんだけどなぁ……。せっかく、固定客も付き始めたし、賃貸から持ち家状態になった訳だし……」
11
あなたにおすすめの小説
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜
Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。
断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!
柊
ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」
ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。
「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」
そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。
(やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。
※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。
美少女に転生して料理して生きてくことになりました。
ゆーぞー
ファンタジー
田中真理子32歳、独身、失業中。
飲めないお酒を飲んでぶったおれた。
気がついたらマリアンヌという12歳の美少女になっていた。
その世界は加護を受けた人間しか料理をすることができない世界だった
強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
異世界に召喚されたけど、聖女じゃないから用はない? それじゃあ、好き勝手させてもらいます!
明衣令央
ファンタジー
糸井織絵は、ある日、オブルリヒト王国が行った聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界ルリアルークへと飛ばされてしまう。
一緒に召喚された、若く美しい女が聖女――織絵は召喚の儀に巻き込まれた年増の豚女として不遇な扱いを受けたが、元スマホケースのハリネズミのぬいぐるみであるサーチートと共に、オブルリヒト王女ユリアナに保護され、聖女の力を開花させる。
だが、オブルリヒト王国の王子ジュニアスは、追い出した織絵にも聖女の可能性があるとして、織絵を連れ戻しに来た。
そして、異世界転移状態から正式に異世界転生した織絵は、若く美しい姿へと生まれ変わる。
この物語は、聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界転移後、新たに転生した一人の元おばさんの聖女が、相棒の元スマホケースのハリネズミと楽しく無双していく、恋と冒険の物語。
2022.9.7 話が少し進みましたので、内容紹介を変更しました。その都度変更していきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる