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セリナの近況
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今日は朝から曇り空だったので、様子見としてケーキの量を少なめに用意していたのだが、店が開店する頃には薄雲の下に厚い灰色雲がじわじわと重なり、やがて灰色雲は厚みを増しながら黒雲と化し青空を覆いつくして、地上に大雨を降らせた。パティスリー・セリナは今日も営業中だが、こうも大雨が降ると客足は途絶える。
「ヒマですね~」
「せっかくセリナ様がケーキを焼いて下さったのに、お客様が来ないなんて~」
くちびるを尖らせたり、頬を膨らませたりしている猫耳の双子メイドに私は苦笑した。
「仕方ないわよ。こんな雨の中、わざわざ外に出てケーキを買いに来る人なんて、そうそう居ないだろうし……」
「そういえば前王が亡くなった後、次の王様が婚約と結婚を発表したけど、結婚式の当日ってやっぱりケーキ売れたりするんでしょうか?」
「まぁ、お祝い気分で多少は売れるかもね……。商売的には売れてくれたらありがたいけど……」
「でも新しく王様になったレオン陛下の婚約者って、あのフローラって言う赤髪の伯爵令嬢なんですよね?」
「うん……。そうらしいわね」
前王であるライオネル陛下の喪が明けると同時に、新王レオン陛下の婚約と結婚予定日が発表されたのはめでたいことなのだが、よりにもよって相手が伯爵令嬢フローラだと聞いた時には開いた口が塞がらなかった。
前にフローラは「王太子妃になる」と豪語していたが、本当に婚約者候補の身から『婚約者』の座を勝ち取ったのだ。そして前王が亡くなったことで現王レオン陛下との結婚と同時に、フローラが金獅子国の王妃となる予定なのだが……。
「あの人、すごい感じ悪かったですっ! あんな人を婚約者にして結婚相手にするとか、新しい王様は女を見る目がないですよ!」
「本当! あんな人が王妃になったら、ロクな事にならないに決まってます!」
「きっと毎日贅沢三昧して、庶民には重税が課せられるんですよ!」
「最悪ですっ!」
以前、この噴水広場で偶然、伯爵令嬢フローラと遭遇した際。私に対して散々、嫌味を言ってきたフローラのことを双子は鮮明に覚えていたようで、蛇蝎のごとく嫌っている。
「あー、うん……。そうと決まった訳じゃないけど……。そうなると困るわよねぇ」
「伯爵令嬢フローラが王妃になったら、この国はおしまいですっ!」
「セリナ様っ! いざとなったら、私たちはこの金獅子国を捨てて他国に逃げましょう!」
「できれば、離れたくないんだけどなぁ……。せっかく、固定客も付き始めたし、賃貸から持ち家状態になった訳だし……」
「ヒマですね~」
「せっかくセリナ様がケーキを焼いて下さったのに、お客様が来ないなんて~」
くちびるを尖らせたり、頬を膨らませたりしている猫耳の双子メイドに私は苦笑した。
「仕方ないわよ。こんな雨の中、わざわざ外に出てケーキを買いに来る人なんて、そうそう居ないだろうし……」
「そういえば前王が亡くなった後、次の王様が婚約と結婚を発表したけど、結婚式の当日ってやっぱりケーキ売れたりするんでしょうか?」
「まぁ、お祝い気分で多少は売れるかもね……。商売的には売れてくれたらありがたいけど……」
「でも新しく王様になったレオン陛下の婚約者って、あのフローラって言う赤髪の伯爵令嬢なんですよね?」
「うん……。そうらしいわね」
前王であるライオネル陛下の喪が明けると同時に、新王レオン陛下の婚約と結婚予定日が発表されたのはめでたいことなのだが、よりにもよって相手が伯爵令嬢フローラだと聞いた時には開いた口が塞がらなかった。
前にフローラは「王太子妃になる」と豪語していたが、本当に婚約者候補の身から『婚約者』の座を勝ち取ったのだ。そして前王が亡くなったことで現王レオン陛下との結婚と同時に、フローラが金獅子国の王妃となる予定なのだが……。
「あの人、すごい感じ悪かったですっ! あんな人を婚約者にして結婚相手にするとか、新しい王様は女を見る目がないですよ!」
「本当! あんな人が王妃になったら、ロクな事にならないに決まってます!」
「きっと毎日贅沢三昧して、庶民には重税が課せられるんですよ!」
「最悪ですっ!」
以前、この噴水広場で偶然、伯爵令嬢フローラと遭遇した際。私に対して散々、嫌味を言ってきたフローラのことを双子は鮮明に覚えていたようで、蛇蝎のごとく嫌っている。
「あー、うん……。そうと決まった訳じゃないけど……。そうなると困るわよねぇ」
「伯爵令嬢フローラが王妃になったら、この国はおしまいですっ!」
「セリナ様っ! いざとなったら、私たちはこの金獅子国を捨てて他国に逃げましょう!」
「できれば、離れたくないんだけどなぁ……。せっかく、固定客も付き始めたし、賃貸から持ち家状態になった訳だし……」
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