感動伝記集

zukitaishi

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アルジャーノンの夜明け

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 ここアルジャーノンでは先月から爆撃の轟音がひっきりなしに響いている。ことの発端はここアルジャーノンにテロ集団が潜伏していて政府がこのテロ集団を援助しているのではとの偽情報による。そのために先進諸国から敵対視され、先月のパリ列車爆破事件を口火にここアルジャーノンに対して空爆が開始された。しかもテロ集団が潜伏しているというのはまったくの事実無根なのにである。NATOの主張によるとわがアルジャーノンには核兵器が配備されており、テロ集団の手に渡らないようにするには、我がアルジャーノンが誇る空軍基地をなんとしても爆撃したいようなのである。
 今朝は空爆の音で起きた。先月まで通っていた大学は見るも無惨に破壊されてしまった。おまけに図書館も攻撃されてしまった。いったいわたしは何処で勉強すればいいのだ。
 先週まで通っていたフットサル場は無傷だがチームメイトが殺られてしまった。わたしは辛いことがあっても嘆かないメンタルを持っていたが、これは例外かもしれない。アルバイト先のレストランも営業どころではない。わたしはどうすればいいのか。国連はまったく当てにならない。まだ第二次世界大戦の時に中立を保ってた時のほうがマシだ。この国はEUにも加盟できずにイスラエルのようにアメリカの庇護を受けているわけでもない。優れた空軍が唯一の取り柄だが、その空軍ですら機能していない。名目上同盟国であるロシアも見て見ぬふりをしている。これは政府の対応がまずかったといえばそれまでだが、おそらく避けられない被害だったのか。外国からイスラム過激派とみなされた移民を受け入れたのが間違いだったのか。わたしはこの国が滅ぶのを見ているしかないのか。
 あれから半年経った今ではあのときでは想像すらできないことになった。なんとインド政府の提案によりインド工科大学で開発が進められていたAIによる核兵器を事実上無効化できる通信技術の世界的導入によってもはやこの国を攻撃する理由がなくなったのである。
 暖冬の朝日に照らされた街は瓦礫ばかりながらも美しく輝いている。わたしはこの風景を見て科学者になる夢を抱いた。
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