歴史人物烈伝

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仏弟子群像

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 迦葉尊者の徳行
 釈迦仏を除いて一番徳があり、僧の中で第一に優れていたのが頭陀第一で知られる迦葉尊者その人である。頭陀とは、一言で言えば欲望を捨て去る修行のことで、迦葉尊者はそれが最も優れていたということである。それを物語るのが彼の身上の因縁である。彼の家は長者の屋敷であり、その富は当時のマガダ国ビンビサラーラ王を凌駕するほどであったが、その子息である迦葉尊者はその一切の富を投げ捨てて出家したのである。その後の修行においても彼の頭陀行は凄まじく、托鉢では貧しい家ばかりを選んでいたという。
 舎利弗の智慧
 舎利弗と言えば智慧第一と言われるが、なんとその智慧の優れていることは世界のパスカルやプラトン、アルキメデスといった知恵者の中で群を抜いて一番だったという。それを物語るのが、彼は母であるサーリーの母胎にいる頃から知恵があり、母の腹を蹴っては母は帯を締めて固定していたなどという逸話があるほどである。また彼は神通力においても優れており、目連との神力比べにも勝ち目連をして、舎利弗は智慧第一ではあるが神通においてもまた第一であると言わしめたほどである。その因縁はこうである。釈尊が弟子たちとの宿縁を説こうとしたところ、その場に舎利弗が居なかったのでその場に居た目連にすぐに行って舎利弗を連れてくるようにお命じになった。そこで目連は得意の神足通で即座に舎利弗のもとに至ったが、舎利弗は自分の僧衣を縫っていた。そこで目連はすぐに来いと催促したが、舎利弗は縫い終わるまで待ってほしいという。待ちかねた目連は神通力をもって舎利弗の僧衣を撫でたところ、すぐに出来上がってしまった。すると感動した舎利弗は目連に「汝ここに置いた帯を上げてみよ。」という。すかさず目連はその帯を手で上げようとしたがどんなに頑張っても上がらない。そこで目連は、定に入って大神通を現じて帯を持ち上げようとしたが到底持ち上がらなかったのである。このように舎利弗の体得していた神通には誰も及ばないのである。
 目連の神足
 神通第一と言われる目連の神足通がどれほどまでに優れていたかは想像を絶するほどである。太陽や月といった天体は日夜地球の周りを巡っているが、目連尊者は髪の毛一本ほどの容易さで地球を巡ることができたという。なぜなら彼は、前世に千里の道を往復して仏法を求めて説法を聞きに行っていたからであるという。だがそれほどの神通力を持ちながら、今はなき母を餓鬼道から救えなかった話は有名である。その因縁は目連が釈迦仏のもとに入道した頃、目連の母は慳貪の科によって餓鬼道に堕ちてしまっていたのだが、それを天眼を使って見つけた目連は驚いてご飯を与えたが口に入る瞬間に炎に変わってしまう。慌てて水をかけようとするが、やはり薪となるだけで助けられない。困って途方に暮れた彼は釈迦仏に相談して盂蘭盆という法門によって母を餓鬼道から救ったという。
 阿那律の天眼通
 釈迦仏の弟子の中で5本の指に入るのがこの阿那律である。彼は釈迦十大弟子中天眼第一である。天眼とは凡人では見れないものを見通すちからであり、阿那律は銀河系宇宙の全てを一瞬間のうちに見通していたという。その超能力を得ることができた因縁が驚きなのである。彼は前世において盗人であったのだが、とある蔵に盗みにはいったところ誰もいなかったのだが暗いのでそこにあった燈火に火をつけてあたりを照らしたところ、そこには仏像があり、彼の燈火により煌々と輝いていたのである。その時彼は畏敬の念に駆られて何も盗らなかったのだが、それだけの功徳によって現在世において非常に優れた天眼通を得たというのである。他にも彼には逸話がある。彼は釈迦族の王族出身だったのだが非常に裕福であり、生まれた時からご飯の絶えない金器とともにお金には何不自由なく暮らして貧しさを知らなかったという。そのような大福運の因縁は彼は昔猟師であり稗を庭に植えて暮らしていたのだが、干ばつなどにより動物は死に絶えてしまいとうとう食のあてが稗の収穫しかなくなってしまう。そんなときに彼のもとに仏弟子である辟支仏が托鉢にやってきたのである。その辟支仏が言うには、一週間の間飲まず食わずだという。それを聞いた猟師は憐れんで僅かな稗を供養したところ、その辟支仏は稗を一粒だけ猟師に返した。訝しんだ猟師はその一粒の稗を手に取ったところ、たちまちのうちに黄金の像に変わったという。それ以来彼は91劫という長きにわたり貧しさを感じることがなかったというのである。そのうえ彼はその功徳によって法華経に至っては普明如来という未来成仏の記別をうけることができた。
 賓頭盧の望み
 賓頭盧ことピンドーラは実に意欲の旺盛な青年であった。彼は子どもの時から食欲が旺盛で出家してからも施食をたらふく食べてはブッダに咎められていたのである。また、彼は若い時から何度も神通力を使い旅に出ては人々を驚かした。なぜなら彼の出身地は辺鄙な都市だったこともあり、彼は都会に憧れていたのである。
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