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服装
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金色の髪と、透き通った緑色の瞳。
その色が混じり合った金緑色の大きな宝石が、私の目の前で揺れて光を反射する。
「僕は似合うと思ったけど……、でも、気に入らないなら。他にもいくつか用意してあるんだ」
自分のセンスに自身がないのか、少しだけ声をかたくしてノルドは聞くけど。そもそも、そんなにアクセサリーに興味がない。
だけど、私のことを思って選んでくれたのなら嬉しいしかないから、大きく頷いた。
「とっても、きれい! 金緑石が、キラキラしてる」
「それなら、良かった。……ねぇ、僕がつけても良い?」
「お願い出来る?」
ノルドが小さな金具を外している間、私がクルリと後ろを向く。すると、水色のシンプルなドレスの裾がフワリと浮いてお姫様になった気分になる。いきなり少女時代の夢が叶って、嬉しくてクスクス笑ってしまった。
「動くと、つけられないよ。少しだけ、じっとしていて」
「うん」
直後、首すじにヒヤリとした金属を感じて息を止める。
ノルドはいつも、先に何があるかを想定して用意周到に整えてくれる。だから、こんなこともあろうかと、ドレスや装飾品も豊富に準備していてくれたらしい。
「僕の色」
ネックレスをつけ終わると、嬉しそうに私の着飾った姿をじっと見てきて、慌てて手のひらでノルドの目を隠す。
「そんなに、見ないで。恥ずかしいよ」
「ごめん。あまりに、綺麗だから」
「はいはい、装い、がね。……ノルド、その服は正装?」
肩についている、マントとセットになった何かシャラシャラとしたものを引っ張る。ファンタジー世界の王子様の格好。
家の中では、シンプルな服装の姿に見慣れてるから少しだけ遠い存在な感じがして、ノルドの手を軽く握る。
「……どうしたの? 今日は、家族だけだから簡易的な服装かな。でも、やっぱり、ちゃんとしないといけないから」
「そっか。そうだよね」
きっと、王家には、厳しいルールやしきたりがあるんだろうな。ノルドだけじゃなくって、サーシャやウイルも、何も言わないから甘えちゃってるけど。
「ママー、用意できたよー」
サーシャに支度をしてもらっていたリンクとノルドが、私たちの部屋に入ってきた。
「おはよう、リンク。…………ユルグ、様」
「おはよう、サクラ! はい、名前失格」
「ユルグ」
「うん。早く慣れてね」
覚えるだけじゃなくて、何より大変なのは実践だ。さっそく、身に染みる。
「ユルグっ! 早く、お城に行こっ」
リンクは動じなさすぎるから、あとで説教しよう。
そう思った矢先、リンクはモヤモヤと紫の霧のように浮かぶ転送装置に、何の迷いもなく飛び込んでしまった。続いて、ユルグも。
事前に説明とかないのだろうか。
手ぐしでセットしてもらった髪を整えていると、ノルドが「行こうか」と背中を支えてくれる。
「そうだね」
そう言いながら、進みかけた足がピタッととまる。黒やら紫のモヤモヤしたものが部屋の隅に浮かんでいる。ここに私も入るのだろうか。
そういえば、当然のように毎日見てるのに、自分がここに入るのは初めてだ。
「リンクは、無事に着いたの?」
念の為に、製作者であるノルドに聞いてみる。
「すでに、着いてるよ。もしかして、こわい?」
「だって。私だけ、魔力がないから。……変なところにいかない?」
「大丈夫。行かないよ」
それでも、足がすくむ。何か他に方法はないのだろうか。
「もし、馬車だと王都まで、どれくらい日数がかかるの?」
「そうだね、3日間くらいかな」
腰を痛める想像しか出来ないし、そんなに待たせるわけには行かない。
「……じゃ、頑張る」
「うん。頑張ろう」
絶対に離れないように、きつくノルドに抱きしめてもらいながら、いきおいよくジャンプした。
すると、あんなにこわがったのは何だったのか。ジャンプした足がついた先は、もう王宮の床だった。
その色が混じり合った金緑色の大きな宝石が、私の目の前で揺れて光を反射する。
「僕は似合うと思ったけど……、でも、気に入らないなら。他にもいくつか用意してあるんだ」
自分のセンスに自身がないのか、少しだけ声をかたくしてノルドは聞くけど。そもそも、そんなにアクセサリーに興味がない。
だけど、私のことを思って選んでくれたのなら嬉しいしかないから、大きく頷いた。
「とっても、きれい! 金緑石が、キラキラしてる」
「それなら、良かった。……ねぇ、僕がつけても良い?」
「お願い出来る?」
ノルドが小さな金具を外している間、私がクルリと後ろを向く。すると、水色のシンプルなドレスの裾がフワリと浮いてお姫様になった気分になる。いきなり少女時代の夢が叶って、嬉しくてクスクス笑ってしまった。
「動くと、つけられないよ。少しだけ、じっとしていて」
「うん」
直後、首すじにヒヤリとした金属を感じて息を止める。
ノルドはいつも、先に何があるかを想定して用意周到に整えてくれる。だから、こんなこともあろうかと、ドレスや装飾品も豊富に準備していてくれたらしい。
「僕の色」
ネックレスをつけ終わると、嬉しそうに私の着飾った姿をじっと見てきて、慌てて手のひらでノルドの目を隠す。
「そんなに、見ないで。恥ずかしいよ」
「ごめん。あまりに、綺麗だから」
「はいはい、装い、がね。……ノルド、その服は正装?」
肩についている、マントとセットになった何かシャラシャラとしたものを引っ張る。ファンタジー世界の王子様の格好。
家の中では、シンプルな服装の姿に見慣れてるから少しだけ遠い存在な感じがして、ノルドの手を軽く握る。
「……どうしたの? 今日は、家族だけだから簡易的な服装かな。でも、やっぱり、ちゃんとしないといけないから」
「そっか。そうだよね」
きっと、王家には、厳しいルールやしきたりがあるんだろうな。ノルドだけじゃなくって、サーシャやウイルも、何も言わないから甘えちゃってるけど。
「ママー、用意できたよー」
サーシャに支度をしてもらっていたリンクとノルドが、私たちの部屋に入ってきた。
「おはよう、リンク。…………ユルグ、様」
「おはよう、サクラ! はい、名前失格」
「ユルグ」
「うん。早く慣れてね」
覚えるだけじゃなくて、何より大変なのは実践だ。さっそく、身に染みる。
「ユルグっ! 早く、お城に行こっ」
リンクは動じなさすぎるから、あとで説教しよう。
そう思った矢先、リンクはモヤモヤと紫の霧のように浮かぶ転送装置に、何の迷いもなく飛び込んでしまった。続いて、ユルグも。
事前に説明とかないのだろうか。
手ぐしでセットしてもらった髪を整えていると、ノルドが「行こうか」と背中を支えてくれる。
「そうだね」
そう言いながら、進みかけた足がピタッととまる。黒やら紫のモヤモヤしたものが部屋の隅に浮かんでいる。ここに私も入るのだろうか。
そういえば、当然のように毎日見てるのに、自分がここに入るのは初めてだ。
「リンクは、無事に着いたの?」
念の為に、製作者であるノルドに聞いてみる。
「すでに、着いてるよ。もしかして、こわい?」
「だって。私だけ、魔力がないから。……変なところにいかない?」
「大丈夫。行かないよ」
それでも、足がすくむ。何か他に方法はないのだろうか。
「もし、馬車だと王都まで、どれくらい日数がかかるの?」
「そうだね、3日間くらいかな」
腰を痛める想像しか出来ないし、そんなに待たせるわけには行かない。
「……じゃ、頑張る」
「うん。頑張ろう」
絶対に離れないように、きつくノルドに抱きしめてもらいながら、いきおいよくジャンプした。
すると、あんなにこわがったのは何だったのか。ジャンプした足がついた先は、もう王宮の床だった。
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