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アナザー(順不同)
↑⑤ 終
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小さな頃。
毎年、春になると桜の花が散っていくのを、楽しみにしていた。
それからノルドと出会って、桜の花が咲きはじめるのが、楽しみに変わった。
そして、愛する人たちと一緒に見るようになって、どんな姿の桜の木も好きになった。
思い出と一緒に変化する気持ちが懐かしくて、自然と涙があふれる。
帰りたいと思ったことはないけど、こうやって風景を見てしまうと、私はこの桜の木を見ることが出来なくなる事は悲しいんだな、と自覚をしてしまう。
「僕は、もうこの景色をサクラに見させてあげられない。だから、せめてこの桜だけでも繋げられたらと思って……」
大切な想い出が、鮮明になって戻ってくる。
あの日々も毎日が幸せだった。
涙で濡れた花びらを目で追うと、光にキラキラと反射して、とてもキレイで、さらに涙をこぼす。
「嬉しい」
「良かった、喜んでもらえて。本当は怖かった。たくさん、迷惑をかけたから」
「迷惑?」
「……かけたと、思う」
「ノルドに会えてからは、ぜんぶ私の望み通りになってるのに?」
「でも、心配をかけた」
「あぁ、ノルドが消えた一週間だけね。あれは、つらかったな」
「……だよね」
ノルドは、サッと指輪に手をかざして魔法の効果を切ると、私の顔を正面から見つめる。
「ノルド。今は、あやまらないで、ちゃんと自分の気持ちを言って?」
立場とか責任とか忘れて、何も考えないで、私に気持ちを伝えて欲しい。
「何も感情がなかった僕に、サクラはすべてをくれたんだ。愛してるという感情も、失いたくないって苦しみも……。だから、ずっと一緒にいて欲しい」
「うん」
「神に仕組まれた計画だって、良い。どんな手を使ってでも、サクラを守るから」
私の両腕を掴んでいる手が、あったかくて、少しだけ震えている。
きっと、この世界を創っている存在に勝てるわけないのを、知ってるから。
こんな事を言って、どうなるか分からないから。
「一度、失敗してるでしょ?」
神に反抗することを言ったノルドを、たしなめる。
「……ごめん」
「きっと、大丈夫だよ」
あの日本での生活が計画的だったとしても、それはノルドに対する優しさだったと思う。
穏やかな日々は、確実にノルドに感情を作ってくれていた。
それは、きっと。
これから起こる「何か」に対して、ノルドの力が必要なのかもしれない、そんな予想にも繋がるけれど。
それでも、私は感謝している。
ノルドと同じくらいの年齢に私をしてくれたことに。
「あー。……パパとママ、またキスしてる」
指輪の魔力が切れてしまったのか、リンクがこちらに駆け寄ってくる。
「…………ママを、愛してるから」
「ぼくも!」
ノルドの腕の中にいる私は、リンクに引っ張られる。
「今は駄目だ。リンクは、あとで」
さっきの、素直なノルドが続いている。いつもなら、こんなこと言わないのに。
「……もう。じゃあ、リンク。指輪の魔力がたまるまで、私の指輪と少しだけ交換してあげるから。でも、絶対に落としたりしないでね」
壊したりでもしたら、取り返しがつかない……。修理は出来るのかな。
私の心配はよそに、親指につけてぶんぶん振っている。
「わーい。次は、どこにしようかなー。うん、決めた!」
そうさけんだ直後に、パッと風景が変わる。
そこは、私達がこの世界に来た最初の場所だった。
まだ、これからどうなるか分からなくて。……でも、ノルドが呼んでるって分かったから安心した、あの森。
そこからはじまった奇跡のような毎日が、これからもずっと続くだろう。
「ねぇ、二人とも。これから、楽しみだね」
毎年、春になると桜の花が散っていくのを、楽しみにしていた。
それからノルドと出会って、桜の花が咲きはじめるのが、楽しみに変わった。
そして、愛する人たちと一緒に見るようになって、どんな姿の桜の木も好きになった。
思い出と一緒に変化する気持ちが懐かしくて、自然と涙があふれる。
帰りたいと思ったことはないけど、こうやって風景を見てしまうと、私はこの桜の木を見ることが出来なくなる事は悲しいんだな、と自覚をしてしまう。
「僕は、もうこの景色をサクラに見させてあげられない。だから、せめてこの桜だけでも繋げられたらと思って……」
大切な想い出が、鮮明になって戻ってくる。
あの日々も毎日が幸せだった。
涙で濡れた花びらを目で追うと、光にキラキラと反射して、とてもキレイで、さらに涙をこぼす。
「嬉しい」
「良かった、喜んでもらえて。本当は怖かった。たくさん、迷惑をかけたから」
「迷惑?」
「……かけたと、思う」
「ノルドに会えてからは、ぜんぶ私の望み通りになってるのに?」
「でも、心配をかけた」
「あぁ、ノルドが消えた一週間だけね。あれは、つらかったな」
「……だよね」
ノルドは、サッと指輪に手をかざして魔法の効果を切ると、私の顔を正面から見つめる。
「ノルド。今は、あやまらないで、ちゃんと自分の気持ちを言って?」
立場とか責任とか忘れて、何も考えないで、私に気持ちを伝えて欲しい。
「何も感情がなかった僕に、サクラはすべてをくれたんだ。愛してるという感情も、失いたくないって苦しみも……。だから、ずっと一緒にいて欲しい」
「うん」
「神に仕組まれた計画だって、良い。どんな手を使ってでも、サクラを守るから」
私の両腕を掴んでいる手が、あったかくて、少しだけ震えている。
きっと、この世界を創っている存在に勝てるわけないのを、知ってるから。
こんな事を言って、どうなるか分からないから。
「一度、失敗してるでしょ?」
神に反抗することを言ったノルドを、たしなめる。
「……ごめん」
「きっと、大丈夫だよ」
あの日本での生活が計画的だったとしても、それはノルドに対する優しさだったと思う。
穏やかな日々は、確実にノルドに感情を作ってくれていた。
それは、きっと。
これから起こる「何か」に対して、ノルドの力が必要なのかもしれない、そんな予想にも繋がるけれど。
それでも、私は感謝している。
ノルドと同じくらいの年齢に私をしてくれたことに。
「あー。……パパとママ、またキスしてる」
指輪の魔力が切れてしまったのか、リンクがこちらに駆け寄ってくる。
「…………ママを、愛してるから」
「ぼくも!」
ノルドの腕の中にいる私は、リンクに引っ張られる。
「今は駄目だ。リンクは、あとで」
さっきの、素直なノルドが続いている。いつもなら、こんなこと言わないのに。
「……もう。じゃあ、リンク。指輪の魔力がたまるまで、私の指輪と少しだけ交換してあげるから。でも、絶対に落としたりしないでね」
壊したりでもしたら、取り返しがつかない……。修理は出来るのかな。
私の心配はよそに、親指につけてぶんぶん振っている。
「わーい。次は、どこにしようかなー。うん、決めた!」
そうさけんだ直後に、パッと風景が変わる。
そこは、私達がこの世界に来た最初の場所だった。
まだ、これからどうなるか分からなくて。……でも、ノルドが呼んでるって分かったから安心した、あの森。
そこからはじまった奇跡のような毎日が、これからもずっと続くだろう。
「ねぇ、二人とも。これから、楽しみだね」
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