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完璧な王女は、何としてでも手に入れたい!
話し合い
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幼い時に一緒にいた魔獣を思い出して、心がチクリと痛む。
この世界では、魔獣と言えば色々な意味合いを持つ。
フィオナのように魔獣を使役するのが得意な人もいれば、愛玩動物として可愛がる者もいる。
また、完全に食物として割り切って、その他は害獣扱いする人や、毛皮や肉を売って生活の糧にする冒険者。
そんな多種多様な価値観があって、お互いに否定もせずに絶妙なバランスを取っている。
文献によると、遠い国にはタイミングを合わせて魔石を取り出す特殊能力を持っている人もいるらしい。
だけれど、昨今、多く出現している凶暴な魔獣は、そのバランスを揺るがすものであり、全ての国で協力しあい解決しなくてはならない案件なのは確かだ。
「急に、各地でいろんな種類の魔獣が、一斉に凶暴化するなんて。なんだか、様子がおかしいわ」
「その通り。だから、慎重に内々で調査を始めているんだ」
「……ええ。父上は何ておっしゃってるの?」
私を小声で問いかける。唯一、創造神と話せる立場にある国王なら聞いているはずだ。
「それは、言えないよ。……と言うことは、賢いフィオナのことだ。分かるね?」
「……はい」
世界の組み立てに調整が入ったのだろう。ならば、核心は避けなければならない。
創造神はこちらにはすぐ干渉してくるのに、その反対は嫌がるらしい。
「フィオナ、受け入れるしかないんだ。……その先、どうしたら良いのか、深くまで入り込むと制裁もありうるからね」
私は小さくうなずく。
存在が分からないのが、一番こわい。さすがのフィオナも言われた通りにするしかないのが現状なのたから。
「フィオナは魔獣使役が得意だろう? だから、少しノルドに協力して欲しいんだ」
「分かったわ。魔獣とも話してみる」
「嬉しいよ。……ただ、危険なことはしないで。怪我でもしたら、私がウイルに叱られてしまうからね」
さすがに上司であるユルグに叱るなんて、ありえない。いつもの軽い冗談だと思って、笑って流す。
「大丈夫よ。……さっそく、これから準備して明日にでも行くわ。確かノルドの子供。……そう、リンクくんにも何か用意しなくちゃね」
「それは、喜ぶだろう。サクラとリンクには、初めて会うんだっけ?」
「そうよ。ノルドったら、王宮行事が義務じゃなくなったからって、仕事以外はすぐに帰ってしまうんですもの」
「……なら、フィオナはリンクに驚くと思うよ?」
驚く?
大抵のことは、もう驚かない自信があるけれど。
でも、ユルグが言うなら、きっと何かあるのだろう。
「会えるのが、楽しみだわ」
話を終えたとばかりに、ユルグは手に持っていたティーカップを置いて席を立つ。
「そうだ、あと一つ。ルジェも、あの辺りに住んでいるらしい。フラフラしているらしいが、もし遭遇したら私が会いたがってると伝えておいてくれる?」
「もちろんよ。……遭遇なんて、魔獣みたいに言わないで。ルジェもノルドも自由なのね。少し、うらやましいわ」
「…………自由というよりも、守るものが国以外にあるからだろうね」
「ユルグも、あるでしょう?」
数年前に婚姻をした、次期王妃である幼馴染みの女性と、その子供。二人は大切ではないのだろうか?
だが、その返事は戻ってこない。
「…………では、頼んだよ。報告は戻ってきてからで良い。ノルドからも連絡が入るだろうし」
「はい。了解しました」
音も鳴らさずに閉まった扉を確認すると、フィオナは何を手土産にするか頭を巡らせはじめた。
この世界では、魔獣と言えば色々な意味合いを持つ。
フィオナのように魔獣を使役するのが得意な人もいれば、愛玩動物として可愛がる者もいる。
また、完全に食物として割り切って、その他は害獣扱いする人や、毛皮や肉を売って生活の糧にする冒険者。
そんな多種多様な価値観があって、お互いに否定もせずに絶妙なバランスを取っている。
文献によると、遠い国にはタイミングを合わせて魔石を取り出す特殊能力を持っている人もいるらしい。
だけれど、昨今、多く出現している凶暴な魔獣は、そのバランスを揺るがすものであり、全ての国で協力しあい解決しなくてはならない案件なのは確かだ。
「急に、各地でいろんな種類の魔獣が、一斉に凶暴化するなんて。なんだか、様子がおかしいわ」
「その通り。だから、慎重に内々で調査を始めているんだ」
「……ええ。父上は何ておっしゃってるの?」
私を小声で問いかける。唯一、創造神と話せる立場にある国王なら聞いているはずだ。
「それは、言えないよ。……と言うことは、賢いフィオナのことだ。分かるね?」
「……はい」
世界の組み立てに調整が入ったのだろう。ならば、核心は避けなければならない。
創造神はこちらにはすぐ干渉してくるのに、その反対は嫌がるらしい。
「フィオナ、受け入れるしかないんだ。……その先、どうしたら良いのか、深くまで入り込むと制裁もありうるからね」
私は小さくうなずく。
存在が分からないのが、一番こわい。さすがのフィオナも言われた通りにするしかないのが現状なのたから。
「フィオナは魔獣使役が得意だろう? だから、少しノルドに協力して欲しいんだ」
「分かったわ。魔獣とも話してみる」
「嬉しいよ。……ただ、危険なことはしないで。怪我でもしたら、私がウイルに叱られてしまうからね」
さすがに上司であるユルグに叱るなんて、ありえない。いつもの軽い冗談だと思って、笑って流す。
「大丈夫よ。……さっそく、これから準備して明日にでも行くわ。確かノルドの子供。……そう、リンクくんにも何か用意しなくちゃね」
「それは、喜ぶだろう。サクラとリンクには、初めて会うんだっけ?」
「そうよ。ノルドったら、王宮行事が義務じゃなくなったからって、仕事以外はすぐに帰ってしまうんですもの」
「……なら、フィオナはリンクに驚くと思うよ?」
驚く?
大抵のことは、もう驚かない自信があるけれど。
でも、ユルグが言うなら、きっと何かあるのだろう。
「会えるのが、楽しみだわ」
話を終えたとばかりに、ユルグは手に持っていたティーカップを置いて席を立つ。
「そうだ、あと一つ。ルジェも、あの辺りに住んでいるらしい。フラフラしているらしいが、もし遭遇したら私が会いたがってると伝えておいてくれる?」
「もちろんよ。……遭遇なんて、魔獣みたいに言わないで。ルジェもノルドも自由なのね。少し、うらやましいわ」
「…………自由というよりも、守るものが国以外にあるからだろうね」
「ユルグも、あるでしょう?」
数年前に婚姻をした、次期王妃である幼馴染みの女性と、その子供。二人は大切ではないのだろうか?
だが、その返事は戻ってこない。
「…………では、頼んだよ。報告は戻ってきてからで良い。ノルドからも連絡が入るだろうし」
「はい。了解しました」
音も鳴らさずに閉まった扉を確認すると、フィオナは何を手土産にするか頭を巡らせはじめた。
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