誰も要らないなら僕が貰いますが、よろしいでしょうか?

イトウ 

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その後

会議 10

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「どうやって?」

 グランは嫌な予感をしつつ、聞いてみる。
 最優先事項である安全性と効率性が高くなるのであれば、多少の事は目をつむろう。

 だが、コンティの答えはシンプルかつ現実性がないものだった。

「川の上にも透明のトンネルを作れば良いと思うんだ」

 フォンシルが、ポンと手を打つ。
「なるほど。透明なトンネルなら誰も気付かないな。それに石を加工したものは物質であって、魔法ではない」

 いやいや、本当に宮廷魔法師が一晩で作れるとでも?
 そもそも飛び石はどこにいった。
 あくまでも、魔法を使っていないとでも言い張るつもりだろうか。
 ……何度めかの同じ疑問が脳裏に浮かぶ。

 だがそんなグランの思いにも気づかず、コンティは話を続ける。

「さすがフォンシル様です。話が早い。なんだか川の上だけ雨が止んでるなぁ、と、みんなが思うだけですよ」
「確かに。その通りだと思う」
「はい。グランお兄ちゃんに透明の石をトンネルの形にしてもらって配置しましょう」
「あとは不思議に思わないように飛び石を置けば、問題ないな」

 問題はありすぎる。
 適当に初期計画の飛び石を使わないで下さい。
 そう文句を言おうにも、2人の話に入っていけない。
 コンティとフォンシルの顔を交互に見るが意気投合をしていて楽しそうだ。

 まだ話は続くようだし、最後まで聞いてから思う存分ツッコミをいれさせてもらおう。

「はい!あと、グランお兄ちゃんの集めていた透明の石は、熱伝導率が高い素材だったので、風と氷と炎の魔法を使って、一年中、快適温度を保ちたいです」
「そんな事を、コンティが出来るのか?」
「はい。今、冷暖房魔道具もたくさん作って村に配布をはじめているくらいなので!」
「すごいな。では、その件はまかせた」

 まかせた、じゃない。

 人口減少はしてるものの、村のみんなが幸せそうなのは生活水準が高くなっているからなのかもしれない。
 義母も、コンティに魔法学院を進めるわけだな。

「……グラン、どうした?」

 フォンシルが、ようやく遠い目をしているグランに気づいてくれた。
 ……その前に、一つ気になったことを確かめたい。

「コンティ、何で僕の集めている石の性質を知ってるのかな?」
「あ、それ?グランお兄ちゃんのアイテムボックスをさっき確認させてもらったから」
「は?」
「探知魔法も、得意なんだ」

 そうですか。

「すごいなー」
 勝手に個人情報を見るなと思いつつ、棒読みで褒める。

「でも、ジャスキル石を簡単に採ることは、どんなに努力しても出来なかった。すごいよ。グランお兄ちゃんは」

 うん。
 それは、悪い気はしないな。

「そうだ。あの技は天性の才能に加え、たゆまぬ努力の結果だろう」

 うんうん。
 その通りだと思う。

 グランは、単純なもんで機嫌が治った。

「じゃ、村のみんなが寝静まってからこっそり作業を開始しよう」

 グランが掛け声をかけて、3人で手を合わせる。
 そして、テンションがあがった僕たちは合わせた手をあげて叫ぶ。

「おーーー!!!」

 横であっけにとられていた村長は、突飛な計画に苦笑いをしていた。


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