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三章
十二話
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フリードの問いに、ウェルディスは笑って答えた。
「イグナートがここまで真剣なんだ。反対する理由がないだろ?
君だって裏警察の隊長をしていたのに、皇族だからなれないなんて嘘は良くないな」
「嘘じゃないだろ。基本的に皇族は表警察には入れないし、表警察に入れないと裏警察には入れないのは事実だ。
俺は実際のところは皇族じゃねぇし」
「君は皇族だ。僕が保証する。
それとね、前例がなかっただけだよ。なければ作ればいい。ルールに反する事なんて一つもしてないんだから、堂々とね」
ウェルディスはイグナートに、いたずらをする子供のように笑いかけた。そんな様子を見たイグナートは、つられるように笑った。
「ウェルがそう言うなら、俺はこれ以上反対しない。何があっても知らないからな」
「またまた。僕が助けてって言ったら助けてくれるんだろ?」
「そうやって甘えても無駄。アンタの言う事なんでも聞くと思ったら大間違い!」
フリードは珍しく大声でウェルディスを睨みつけた。だが、ウェルディスにとっては拗ねた子供を相手にするようなものなのだろう。
ニコニコと楽しそうに微笑んでいる。
反対に、イグナートはフリードを見て不安げになる。
「大丈夫。フリードはいつもツンツンしているが、僕が頼めば絶対断らないんだから。
もし、裏警察で何かあったらフリードと僕に相談してくれ」
「陛下! フリード兄様! ありがとうございます!!」
イグナートは元気よくお礼を言い、「ここに来て良かったです」と愛想を振りまいていた。
(本っ当に! どうなっても知らないからな!)
その晩。イグナートを客室へ案内した後、フリードはウェルディスとベッドの中、正常位でまぐわっていた。
「あっ──ウェル、そこ……」
「ここがいいのか? おっぱい吸うか?」
「んん、そこいいの。おっぱい吸いたい」
ウェルディスが体勢を変えて、抱きながら自身の乳首をフリードの口元に移動させてきた。
その分腰が上にあがり、少しキツい体勢になるが、身体の柔らかいフリードには気にする事なく目の前の乳首にしゃぶりついた。
「ウェルの、ウェルのおっぱい……はぁ、はぁ」
興奮し過ぎて息が上手く出来ない。今日は来なくていいと言ったのに来てくれた事や、手紙の字が上手いと褒めてくれた事、たかが手紙なのに大事にすると言ってもらえた事、全てが嬉しかったのだ。
ここ半月以上、ほぼ毎晩している行為でも、その日にウェルディスに与えられた「嬉しかった事」を思い出すと、余計にこの行為が嬉しく思えた。
「フリードは本当に世話の焼ける子だ。そんなところが可愛いんだが」
ウェルディスも興奮して、腰の動きが速くなった。乱暴のようで、優しい扱いだ。フリードはアナルの奥で愛する人の熱を感じ、乳首に噛み付くように吸い付いた。
「イクよ、フリード」
「俺の奥に出して。ウェルのせーえき、いっぱい欲しいの」
愛をねだる言葉で興奮したフリードは先に射精をした。その後でアナルの奥にウェルディスの体液が注がれた。
フリードは満足してそのまま寝てしまいそうになり、ウェルディスの乳首に再度しゃぶりついた。
「フリードはそんなに乳首に夢中になって……、ミルク出ないのに美味しいのかな?」
「おいしいよ。ウェルの味、好き」
「こういう時だけ素直なんだから、もう」
ウェルディスは、フリードがしゃぶり飽きるまで頭を撫でて、したいようにさせている。
(あぁ、俺は興奮するとどうしてこんなに情けない事になってしまうんだろうか? 恥ずかしいのに
ウェルには恥ずかしいところも見て欲しいなんて……そう思ってしまうこと自体恥ずかしい事なのに)
最近ではクレイル公国のスパイだった頃の記憶は、遠い昔に見た夢のような気がしてならない。
それ程今の生活を満喫してしまっている。
満足いくまで乳首を堪能し、顔を上げると、ウェルディスがキスをしてきた。
いきなりの事で驚く。
「──ウェル!?」
「そんなに君の口を乳首にばっかり奪われては、自分の乳首に嫉妬してしまうよ。
ほら、もっと、僕の口が寂しがってるから」
「ごめんなさい」
フリードはシュンと落ち込み、次はウェルディスの口や舌をしゃぶるように舐めた。
何分だろうか、フリードには短い時間に感じられたが、ウェルディスに途中で止められてしまった。
「フリード、そんなに舐めたら口がふやけてしまうよ」
「ごめんなさい」
「謝らなくていいよ。君は僕が喜ぶ事をしてくれたんだ。愛してる」
「俺も。ウェルの事、愛してる」
ぎゅーっと抱き合う。そのまま眠りにつきそうだったのだが、次の一言で目が覚めてしまった。
「僕も。君だけを愛している……けど、申し訳ない。明日から数日、ここには来れない」
「──ん。分かった」
理由は聞かなくても分かる。皇后の存在だ。まだ会った事はないが、フリードが社交の場に出てこない為、わざと皇后を避けているのでは? と、変な噂になっているのだ。
(避けて当然だろ。俺は女じゃないからウェルの子供を産めないけど、彼女はウェルの子を産めるじゃないか。
会いたくない。愛し合ってないとはいえ、ウェルに優しくされている彼女を見たくない)
フリードの心には嫉妬が渦巻いていた。クレイル公国のスパイだった頃には芽生えた事のない、不快な感情だ。
与えられた任務を淡々とこなし、任務外では痛みに耐える為の訓練を行い、任務に必要な技術を身につけてきた。
自分に与えられている命とも言える時間の全てをクレイル公国に捧げてきたのだ。
そこに快・不快の感情はなく、自分がただの道具であると認識した上で命令を遂行してきた。
それを不幸だと感じた事はないが。
ウェルディスと出会ってから全てを塗り替えられてしまった。幸せだと思える事が増える程に、自分の存在を消したいと思える程の不快な感情にも苛まれるようになった。
(皇后陛下……彼女を暗殺出来たら……だめだ、なんて事を考えるんだ俺は。
ここまでウェルを独り占めしておいて、これ以上一体何を求めているんだ?)
怖くなる。得体の知れない怪物にでもなってしまったかのように、自分自身に気持ち悪さを感じた。
翌日、ウェルディスが城へ戻り、イグナートも帰っていった。
フリードは朝食や着替えを済ませてから皇城へと向かった。目的は皇城内にある図書室だ。
皇族が利用出来る図書室は、ウェルディスや皇后の居住区の範囲内に立派なものがあるのだが、フリードが利用しているのは、皇城で働く貴族が利用する為の図書室である。
皇城の地下にあり、城内関係者は誰でも利用出来る。
馬車で行くと目立つ為、徒歩で皇城前まで向かった。
門番をしている帝国軍の兵士とは顔見知りとなっており、挨拶するだけで通してもらえる。
フリードが中に入ると、いつものようにその場にいる貴族達がどよめいた。
端に寄り、フリードの行く先を妨げないように動きを止めている。
(これ、なんて言ったら普通にしていてもらえるんだろう?)
知らない人物達から視線を浴びるのは良い気がしない為、出来るだけ早歩きでその場を進み、地下へと逃げた。
ようやく図書室へと辿り着いた。法律関係がまとめて置いてあるコーナーへと行き、今勉強している内容の本をいくつか手に取った。
離宮の侍女に頼む事も出来ないわけではないが、好奇な視線に晒されるのも可哀想だし、なによりフリードが求める本を選ぶのは簡単ではない。
自分で行動するしかなかった。
受付を済ませて、五冊ほど本を抱えるとすぐに皇城から逃げるように去った。
帰り際、かなりの小声でフリードの噂をしている声が聞こえてしまった。
常人なら聞き取れなかっただろうが、フリードは肉体改造をされており、僅かな音すら耳が拾ってしまう。
サマエルであるリュートも、僅かな音を聞き取る技術があるが、フリードの聴力は訓練で身につけたものとはレベルが違う。
「離宮の愛人様、ここのところよく図書室にいらっしゃるなぁ?」
「なんでも実は弁護士だったらしいぜ。ほら、サーシュ侯爵様の裁判の弁護を担当したゴードン弁護士って、本当はフリード様だったって噂……」
「ああ、私も聞いた。ザハードに陛下と共に行って、愛人様が国王に説明したそうじゃないか。
お陰で戦争も回避出来たそうだ」
「へぇ! 陛下も、愛人様がいなかったら皇帝のままではいられなくなるんじゃないか?
大丈夫かな?」
「シッ! 誰が聞いているか分からないぞ」
フリードを褒めるような噂を立てるのは基本的に男が多い。逆に女性は……。
「また図書室にいらっしゃっているわ」
「皇室専用の図書館があるのに、何故一般開放されている図書室をご利用になるのかしら?」
「そんなの勿論決まっているわ。皇后陛下と鉢合わない為よ!
愛人だから正妻を疎ましく思っているのね、だから未だに挨拶の一つもしないのよ」
「陛下に気に入られているからって、自由でいい気なものね」
と、ゴシップに興味津々だ。
そんな噂も聞きたくない為、足早に離宮へと戻った。
(クソ、正妻を疎ましく思っているのは否定出来ない)
次からは町の国立図書館を利用する事を誓ったフリードだった。
「イグナートがここまで真剣なんだ。反対する理由がないだろ?
君だって裏警察の隊長をしていたのに、皇族だからなれないなんて嘘は良くないな」
「嘘じゃないだろ。基本的に皇族は表警察には入れないし、表警察に入れないと裏警察には入れないのは事実だ。
俺は実際のところは皇族じゃねぇし」
「君は皇族だ。僕が保証する。
それとね、前例がなかっただけだよ。なければ作ればいい。ルールに反する事なんて一つもしてないんだから、堂々とね」
ウェルディスはイグナートに、いたずらをする子供のように笑いかけた。そんな様子を見たイグナートは、つられるように笑った。
「ウェルがそう言うなら、俺はこれ以上反対しない。何があっても知らないからな」
「またまた。僕が助けてって言ったら助けてくれるんだろ?」
「そうやって甘えても無駄。アンタの言う事なんでも聞くと思ったら大間違い!」
フリードは珍しく大声でウェルディスを睨みつけた。だが、ウェルディスにとっては拗ねた子供を相手にするようなものなのだろう。
ニコニコと楽しそうに微笑んでいる。
反対に、イグナートはフリードを見て不安げになる。
「大丈夫。フリードはいつもツンツンしているが、僕が頼めば絶対断らないんだから。
もし、裏警察で何かあったらフリードと僕に相談してくれ」
「陛下! フリード兄様! ありがとうございます!!」
イグナートは元気よくお礼を言い、「ここに来て良かったです」と愛想を振りまいていた。
(本っ当に! どうなっても知らないからな!)
その晩。イグナートを客室へ案内した後、フリードはウェルディスとベッドの中、正常位でまぐわっていた。
「あっ──ウェル、そこ……」
「ここがいいのか? おっぱい吸うか?」
「んん、そこいいの。おっぱい吸いたい」
ウェルディスが体勢を変えて、抱きながら自身の乳首をフリードの口元に移動させてきた。
その分腰が上にあがり、少しキツい体勢になるが、身体の柔らかいフリードには気にする事なく目の前の乳首にしゃぶりついた。
「ウェルの、ウェルのおっぱい……はぁ、はぁ」
興奮し過ぎて息が上手く出来ない。今日は来なくていいと言ったのに来てくれた事や、手紙の字が上手いと褒めてくれた事、たかが手紙なのに大事にすると言ってもらえた事、全てが嬉しかったのだ。
ここ半月以上、ほぼ毎晩している行為でも、その日にウェルディスに与えられた「嬉しかった事」を思い出すと、余計にこの行為が嬉しく思えた。
「フリードは本当に世話の焼ける子だ。そんなところが可愛いんだが」
ウェルディスも興奮して、腰の動きが速くなった。乱暴のようで、優しい扱いだ。フリードはアナルの奥で愛する人の熱を感じ、乳首に噛み付くように吸い付いた。
「イクよ、フリード」
「俺の奥に出して。ウェルのせーえき、いっぱい欲しいの」
愛をねだる言葉で興奮したフリードは先に射精をした。その後でアナルの奥にウェルディスの体液が注がれた。
フリードは満足してそのまま寝てしまいそうになり、ウェルディスの乳首に再度しゃぶりついた。
「フリードはそんなに乳首に夢中になって……、ミルク出ないのに美味しいのかな?」
「おいしいよ。ウェルの味、好き」
「こういう時だけ素直なんだから、もう」
ウェルディスは、フリードがしゃぶり飽きるまで頭を撫でて、したいようにさせている。
(あぁ、俺は興奮するとどうしてこんなに情けない事になってしまうんだろうか? 恥ずかしいのに
ウェルには恥ずかしいところも見て欲しいなんて……そう思ってしまうこと自体恥ずかしい事なのに)
最近ではクレイル公国のスパイだった頃の記憶は、遠い昔に見た夢のような気がしてならない。
それ程今の生活を満喫してしまっている。
満足いくまで乳首を堪能し、顔を上げると、ウェルディスがキスをしてきた。
いきなりの事で驚く。
「──ウェル!?」
「そんなに君の口を乳首にばっかり奪われては、自分の乳首に嫉妬してしまうよ。
ほら、もっと、僕の口が寂しがってるから」
「ごめんなさい」
フリードはシュンと落ち込み、次はウェルディスの口や舌をしゃぶるように舐めた。
何分だろうか、フリードには短い時間に感じられたが、ウェルディスに途中で止められてしまった。
「フリード、そんなに舐めたら口がふやけてしまうよ」
「ごめんなさい」
「謝らなくていいよ。君は僕が喜ぶ事をしてくれたんだ。愛してる」
「俺も。ウェルの事、愛してる」
ぎゅーっと抱き合う。そのまま眠りにつきそうだったのだが、次の一言で目が覚めてしまった。
「僕も。君だけを愛している……けど、申し訳ない。明日から数日、ここには来れない」
「──ん。分かった」
理由は聞かなくても分かる。皇后の存在だ。まだ会った事はないが、フリードが社交の場に出てこない為、わざと皇后を避けているのでは? と、変な噂になっているのだ。
(避けて当然だろ。俺は女じゃないからウェルの子供を産めないけど、彼女はウェルの子を産めるじゃないか。
会いたくない。愛し合ってないとはいえ、ウェルに優しくされている彼女を見たくない)
フリードの心には嫉妬が渦巻いていた。クレイル公国のスパイだった頃には芽生えた事のない、不快な感情だ。
与えられた任務を淡々とこなし、任務外では痛みに耐える為の訓練を行い、任務に必要な技術を身につけてきた。
自分に与えられている命とも言える時間の全てをクレイル公国に捧げてきたのだ。
そこに快・不快の感情はなく、自分がただの道具であると認識した上で命令を遂行してきた。
それを不幸だと感じた事はないが。
ウェルディスと出会ってから全てを塗り替えられてしまった。幸せだと思える事が増える程に、自分の存在を消したいと思える程の不快な感情にも苛まれるようになった。
(皇后陛下……彼女を暗殺出来たら……だめだ、なんて事を考えるんだ俺は。
ここまでウェルを独り占めしておいて、これ以上一体何を求めているんだ?)
怖くなる。得体の知れない怪物にでもなってしまったかのように、自分自身に気持ち悪さを感じた。
翌日、ウェルディスが城へ戻り、イグナートも帰っていった。
フリードは朝食や着替えを済ませてから皇城へと向かった。目的は皇城内にある図書室だ。
皇族が利用出来る図書室は、ウェルディスや皇后の居住区の範囲内に立派なものがあるのだが、フリードが利用しているのは、皇城で働く貴族が利用する為の図書室である。
皇城の地下にあり、城内関係者は誰でも利用出来る。
馬車で行くと目立つ為、徒歩で皇城前まで向かった。
門番をしている帝国軍の兵士とは顔見知りとなっており、挨拶するだけで通してもらえる。
フリードが中に入ると、いつものようにその場にいる貴族達がどよめいた。
端に寄り、フリードの行く先を妨げないように動きを止めている。
(これ、なんて言ったら普通にしていてもらえるんだろう?)
知らない人物達から視線を浴びるのは良い気がしない為、出来るだけ早歩きでその場を進み、地下へと逃げた。
ようやく図書室へと辿り着いた。法律関係がまとめて置いてあるコーナーへと行き、今勉強している内容の本をいくつか手に取った。
離宮の侍女に頼む事も出来ないわけではないが、好奇な視線に晒されるのも可哀想だし、なによりフリードが求める本を選ぶのは簡単ではない。
自分で行動するしかなかった。
受付を済ませて、五冊ほど本を抱えるとすぐに皇城から逃げるように去った。
帰り際、かなりの小声でフリードの噂をしている声が聞こえてしまった。
常人なら聞き取れなかっただろうが、フリードは肉体改造をされており、僅かな音すら耳が拾ってしまう。
サマエルであるリュートも、僅かな音を聞き取る技術があるが、フリードの聴力は訓練で身につけたものとはレベルが違う。
「離宮の愛人様、ここのところよく図書室にいらっしゃるなぁ?」
「なんでも実は弁護士だったらしいぜ。ほら、サーシュ侯爵様の裁判の弁護を担当したゴードン弁護士って、本当はフリード様だったって噂……」
「ああ、私も聞いた。ザハードに陛下と共に行って、愛人様が国王に説明したそうじゃないか。
お陰で戦争も回避出来たそうだ」
「へぇ! 陛下も、愛人様がいなかったら皇帝のままではいられなくなるんじゃないか?
大丈夫かな?」
「シッ! 誰が聞いているか分からないぞ」
フリードを褒めるような噂を立てるのは基本的に男が多い。逆に女性は……。
「また図書室にいらっしゃっているわ」
「皇室専用の図書館があるのに、何故一般開放されている図書室をご利用になるのかしら?」
「そんなの勿論決まっているわ。皇后陛下と鉢合わない為よ!
愛人だから正妻を疎ましく思っているのね、だから未だに挨拶の一つもしないのよ」
「陛下に気に入られているからって、自由でいい気なものね」
と、ゴシップに興味津々だ。
そんな噂も聞きたくない為、足早に離宮へと戻った。
(クソ、正妻を疎ましく思っているのは否定出来ない)
次からは町の国立図書館を利用する事を誓ったフリードだった。
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