このレイプは合法ですか

眠りん

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十九話 放置プレイ中①

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 これは、皇樹に受験終わるまで接近禁止令を出した後の事だ。放課後、皇樹の奴隷になる前と同じように、匠は律と久々に一緒に帰宅をした。

「ようやく王子から解放」

「でも、王子の奴隷になるの嫌じゃないって言ってたよね?」

 匠が伸びをすると、律が首を傾げた。
 皇樹から解放してあげようとしたが、匠は「皇樹の奴隷でいたい」と断った筈だった。だが、その三日後には「解放されてせいせい」といった態度に、律は疑問でしかない。

「僕、実はドMだったみたい」

「うん」

「うんって! すんなり受け入れないでよ」

「いやいや、普通なら例え好きな人相手だとしても奴隷とか嫌だから。ドMなんだなって思ってたよ」

「も、もう! とにかくね、僕は藤倉君と主従関係でいたかったの。奴隷扱いされて、人以下の扱いを受けたかったの。
 それなのにさ、いきなり好きだとか大事にしたいとか言われて。それは求めてないよ」

「でもまぁ、最初が無理矢理だったんでしょ?」

「そうそう。多分あそこで目覚めてたんだよ~。
でも、僕って頭堅いから受け入れるまで時間かかってさ。早く気付いていればもっと楽しい奴隷ライフを過ごせてたのに」

「じゃあ、王子の言う通りやっぱりレイプじゃなかったんだね?」

「いやレイプでしょ。女の子から見てとう思う? いくら身体が感じようが、気持ち良くなろうが、強制的なセックスはレイプでしょ。合法とか有り得ない、全部違法に決まってるだろ」

「でも受け入れちゃったと?」

「それはそれ、これはこれ。兎に角、元のクズ野郎に戻らなきゃ僕は絶対、奴隷に戻らないし。
 今までの事反省してまともにならない限り、あの人の恋人になりたくない」

「条件厳しくない? まともな人になったら恋人になって、クズ野郎に戻ったら奴隷になるって事? ちょっと王子が可哀想かも」

「僕に恋したのも、僕に嫌われるのも、放置プレイされるのも、全部天罰じゃん? 今までどれだけ最低な事してきたんだよ。
 放置されてる間に反省すべきだと思うよ」

 匠はハッキリと自分の意見を言った。律はそれを聞いてウンウンと受け入れるように話を聞く。
 だから匠は律にありのままを話せるのだ。

 それからは、皇樹の事は忘れるように律と受験勉強を始めた。放課後はお互いどちらかの部屋に入って勉強の毎日だった。
 教室にいれば皇樹はいるけれど、存在がないかのように視界に入れないようにしていた。


 もう皇樹の事は話題にも出なくなった頃。
 匠が学校の廊下を歩いている時、生徒会の顧問である日下部と擦れ違い、呼び止められた。

「須藤君。大事な話があるんだ」

「はい?」

 匠が頷くと、生徒指導室へ連れていかれた。

「結構前の話になるが、君が生徒会室にプリント持って行った時、藤倉君が女生徒に何かしていなかったか?」

 律が襲われかけた時の事を思い出す。あの話はもう三人の間で決着がついている。
 全く信用していない教師に話す義理は匠にはない。

「何か……? 何の話ですか?」

「本当は阿部先生に行ってもらう予定だったんだよ。正義感の強い阿部先生なら、現場を見てもらえば問題にしてくれると思って……」

「藤倉君に弱味でも握られているんですか?」

 日下部は拳をギュッと強く握り、唇を噛んだ。どうやらそうらしい。
 自分の隠し事が公開されないよう、他の人にイジメの現場を見せれば問題にしてもらえると思ったようだった。

「阿部先生って、意外とアテになりませんよ。残念ながら」

「そんなっ」

「僕が女子達からイジメにあっていた時、相談したけど男だからって取り合ってもらえませんでしたし。
 被害者が女性なら動いたんでしょうかね、でも、僕はあの人をもう信用していません」

「そうだったのか……」

 日下部はうーんと唸る顔をした。
 匠は知っている。阿部の方が日下部より立場が上だと。
 そして、日下部が気の弱い男である事も。

 何かしてくれるだろう、という考えは一切なかったので、早く帰りたいという気持ちが胸に広がる。

「他に頼りになりそうな先生は……」

「いえ、藤倉君はもう心配ないですよ。そんな事出来ないようにしましたから。今は大人しいと思いませんか?」

「た、確かに。最近は生徒会の仕事を普通にしているようだ。藤倉君に何をしたんだ?」

「内緒です。そういうわけだから、安心していいですよ。藤倉君だけはね。他のメンバーは知りませんが」

 頼りない、しかも話したところでマイナスにしかならなそうな相手に言うわけがない。
 皇樹が大人しくなってから、他のメンバーが女性を生徒会室に連れ込んでいるという話も聞かないので、問題は解決したと認識している。

 これから夏休みになり、それが明ければ行事で忙しくなるし、その後はすぐに生徒会選挙になるので、今の生徒会は解散だ。
 日下部はそれまでの間少し我慢をすればいい。

 匠は生徒指導室を出て、ポツリと呟いた。

「先生も大変だ」
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